Sightsong

自縄自縛日記

マーク・ドレッサー『Unveil』、『Nourishments』

2018-01-04 11:10:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

去年(2017年9月)に巨匠マーク・ドレッサーの演奏を目の当たりにして、ああこういう人だったのかと感動のようなものを覚えた。それ以来、バンドのベーシスト以上には聴こえなかった音が、耳と脳の中で主役に躍り出たのだから面白いものである。

『Unveil』(clean feed、2003-2004年)

Mark Dresser (b)

個人的なスタジオで録音されたコントラバスソロ。マイクはベース本体とスピーカーにひとつずつ使われ、多重録音や編集は施されていない。

ドレッサーの音はことさらに重低音を効かせたものではない。ノイズは破裂的なものではなく、割れたような音もコアからさほど離れてはいないように感じられる。だからと言って音が細いというわけではなく、むしろ、豊かな倍音に注意が集まる。ときには口琴の音のように聴こえたりもする。これは聴き惚れる。

『Nourishments』(clean feed、-2013年)

Rudresh Mahanthappa (as)
Michael Dessen (tb)
Denman Maroney (hyperpiano)
Mark Dresser (b)
Tom Rainey (ds) (1,2,3,5)
Michael Sarin (ds) (4,6,7)

もちろんこの面々のなかで、個性的なルドレシュ・マハンサッパのアルトはかなり目立っているし、トム・レイニーの豪放に叩き落すようなドラミングも良い。デンマン・マロニーの「ハイパーピアノ」とはなんだろうか、ただ内部奏法もオーソドックスな演奏も混ぜ、ドレッサーの弦と絡み合っている。

そしてここでドレッサーのベースが一貫して存在感を発揮している。アンサンブルの巧みさもあるのだろうし、即興演奏において随時そのようにアンサンブル的にベース音を入れてくるということもあるのだろう。サウンドを下から力強く押し上げるというよりは、サウンドの隙間を豊かな音によって埋めてゆくようである。

●マーク・ドレッサー
マーク・ドレッサー7@The Stone(2017年)
マーク・ドレッサー7『Sedimental You』(2015-16年)
『苦悩の人々』再演
(2011年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)
ジェリー・ヘミングウェイ『Down to the Wire』(1991年)
ジョン・ゾーン『Spy vs. Spy』(1988年)


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