Sightsong

自縄自縛日記

ICP+Waterlandse Harmonie@アムステルダムBimhuis

2019-05-28 14:13:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

アムステルダムのBimhuis(2019/5/25)。

20時に着いてみるとまだ日中みたいに明るい。Bimhuisは大きな運河に面したモダンな建物の2階にある。

目当てはミシャ・メンゲルベルク亡きあとのICP(Instant Composers Pool)。地元のオーケストラと共演する趣向で、総勢30人くらいがステージ上にぎっしり。トリスタン・ホンジンガー、メアリー・オリヴァーらICPのメンバーだけではなく、オケの面々も混ざって前面に出ている。指揮者はときおり出てきてすっくと立ち、指揮をするが、それ以外の時間は最前列に座っている(笑)。わたしも最前列に座ったらあまりのかぶりつきでちょっと驚いた。

ICP:
Tristan Honsinger (cello)
Ab Baars (sax, cl)
Michael Moore (sax, cl)
Thomas Heberer (cor)
Wolter Wierbos (tb)
Mary Oliver (viola)
Guus Janssen (p)
Ernst Glerum (b)
Han Bennink (ds)

Waterlandse Harmonie

この日は、ミシャと、やはり故人だがオランダで活動したサックスのショーン・バージン(Sean Bergin)(トリスタン・ホンジンガー『Sketches of Probability』なんかにも参加している)の曲が演奏された。

演奏前も和やかな雰囲気で、演奏者たちが登壇しながら「Hi there」と口々に挨拶する。それが皆に伝播していって「Hi there, hi there」とおもむろに音楽になっていった。生活から自由に音楽とつながる、いきなりの自由さである。ここからICP劇場が始まった。

アブ・バースのクラはときに刺すように尖り、ときにユーモラスによじれる(ミシャの「Who's Bridge」を演った!)。マイケル・ムーアのサックスは擦れて渋く、含みがある。メアリー・オリヴァーの悠然とボスのように振る舞うヴィオラ。ピアノのフース・ヤンセンは猫のように柔らかいミシャとはまた違い、端正でありながら奇妙な音楽に溶け込んでゆく。「ドレミファソファミレ」から段々と崩し、ずれを盛り上げに変えてゆくソロは見事だった。それにトリスタン・ホンジンガーがチェロを乗せた。トロンボーンのウォルター・ウィールボスは笑いも何もすべてを音色に込めていた(1997年のベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラの中野ZERO公演では、いきなりデジカメで客席を撮っていた)。

トリスタンのチェロの音色は、発せられるたびに、幽玄で心のどこかを触るようである。それだけでない。かれはいきなり立って、くるくる回ったりしゃがんだりして奇妙な指揮をした。歌いもした。そしてハン・ベニンクも健在で、さほどソロの機会はなかったものの、背後にあのエネルギーの塊が動いているだけで色が付くというものだ。アンコールでのブラシも、嬉しいハンのノリだった。

この過激な自由さ。多幸感が溢れていた。

(フリッカーが出てしまった)

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、XF35mmF1.4

●ICP
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)

●トリスタン・ホンジンガー
ジャスト・オフ『The House of Wasps』(2015年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)
トリスタン・ホンジンガー『From the Broken World』、『Sketches of Probability』(1991、96年)
セシル・テイラー『Corona』(1996年)
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
浅川マキ『Stranger's Touch』(1989年)
1988年、ベルリンのセシル・テイラー(1988年)

●ハン・ベニンク
ハン・ベニンク『Adelante』(2016年)
ハン・ベニンク@ディスクユニオン Jazz Tokyo(2014年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)
ハン・ベニンク『Parken』(2009年)

ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
イレーネ・シュヴァイツァーの映像(2006年)
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(2002年)
ハン・ベニンク+ユージン・チャドボーン『21 Years Later』(2000年)
エリック・ドルフィーの映像『Last Date』(1991年)
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
レオ・キュイパーズ『Heavy Days Are Here Again』(1981年)
レオ・キュイパーズ『Corners』(1981年)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(1981、91、98年)
アネット・ピーコック+ポール・ブレイ『Dual Unity』(1970年)
ウェス・モンゴメリーの1965年の映像(1965年)

●ミシャ・メンゲルベルグ
ハン・ベニンク『Hazentijd』(2009年)
横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』(2011年) 
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
カンパニー『Fictions』(1977年)


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