アムステルダム市立美術館に入ったら、思いがけず、マリア・ラスニックの作品をまとめて多数観ることができた。
マリア・ラスニックはオーストリアの画家であり、2014年に90代半ばで亡くなっている。わたしはその年にNYのMOMA PS1で観て驚かされた。改めて観てもその驚きは大きくはなっても薄れることはない。
まるで別世界で宇宙人を実際に視た人が、憑依したように、その記憶を何十年も再現し続けているようである。そして幻視する自分自身が、宇宙人たちの眼にも重ね合わせられているようだ。ときにそれはゴーグルとなり、ときにカメラとなる。
その他の発見。
ルーチョ・フォンタナの裂け目はかなり立体的な構造となっている。
マリーナ・アブラモヴィッチの自傷的パフォーマンスの映像。身体と直結しているだけに今観てもかなりの痛みを伴う。(90年代に東京でパフォーマンスをやったことがあったが、観なくて後悔した。)
ジャン・デュビュッフェとアスガー・ヨルンによる音楽。デュビュッフェの音源は再発されてもいるけれど、レコードははじめて観た。確かにアール・ブリュットやコブラなどの自由さの文脈で語られもしていて、試聴してみるとなんということもない。