Sightsong

自縄自縛日記

イ・ギュマン『カエル少年失踪殺人事件』

2012-08-12 05:43:01 | 韓国・朝鮮

イ・ギュマン『カエル少年失踪殺人事件』(2011年)を観る。

1991年に韓国・大邱で起きたこの事件は、2006年に時効を迎え、韓国三大未解決事件のひとつに数えられるという。カエルを獲りに行くと出かけた5人の子どもたちが失踪し、2002年、何度も捜査したはずの近くの山で白骨死体となって発見された事件であり、検視の結果、他殺とされた。

映画は、事件の謎を追うテレビマンと大学教授の行動を中心に描いている。前者は、視聴率さえ取れればヤラセも辞さないという傲慢な業界人。後者は、真実を執念深く追求するようでいて、本質は自己満足。彼らは、ひとりの子どもの両親を犯人だと決めつけ、強引な捜査と取材をした結果、社会的地位を失う。どうやら、犯人は、屠場で牛を屠ることを生業とする性格異常者だった。(もちろん映画であるから架空の設定である。)

テレビ、大学というインテリ権力者が、取材・研究対象たる庶民を、自らの考えだけで判断する奢りや蔑視構造が描かれていたのが面白い点だった。その一方、屠場に向けられる映画の視線が蔑視でなかったのか、「性格異常者を野放しにする」ことの危険をことさらに強調しているのではないか、といった点が気になった。


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