写真展のハシゴ。
■ オサム・ジェームス・中川『GAMA CAVES』(Photo Gallery International)
田町から海岸へと歩いたところにあるギャラリー。足を運ぶのは、石元泰博『シブヤ、シブヤ』を観て以来だ。
以前の『BANTA -沁みついた記憶-』と同様に、デジタルで撮られ、大型のプリンタで出された写真群である。『BANTA』では沖縄の崖、『GAMA』はガマ、つまり鍾乳洞。崖もそうであったように、沖縄戦の記憶とともに作品化されている。
写真は異様なほど精細で、リアルを超えていて気持ちが悪いほどだ。人間の眼ではこのように捉えることができない。
●参照
オサム・ジェームス・中川『BANTA』、沢渡朔『Kinky』後半
■ 津田直『On the Mountain Path』(Gallery 916)
そのまま、ゆりかもめで竹芝へ移動し、「Gallery 916」に行く。倉庫を利用して作られただけあって、展示空間が巨大で贅沢である。
作品は3パートに分かれ、スイスのアルプス、ブータンの山岳地域、フィリピンのピナトゥボ。これも大きく精細な写真ばかりであり、滅多なことでは足を踏み入れないであろう場所のディテールを前にすると、畏敬の念にとらわれずにはいられない。特に、ブータンの写真群は独特なマット紙に印刷してあり、こちらの眼の水分がすべてディテールに吸い込まれていくような奇妙な感覚を覚えた。
■ 大原明海『Out of Blue Comes Green』(Gallery 916)
福島の五色沼で撮られた写真群。ここに行ったことはないが、ずいぶんと多彩な色をあらわにしている。
精細な写真を観た直後だけに、丸いエッジに目が悦びそうだ。一点だけ、ピンボケを作品化したものがあり、それもまた幻のようだった。
ところで、観終わって休んでいると、織作峰子さんが観に来ていた。つい、また一緒に入ってしまった。後で写真家の大原さんと少し話をしたところ、それもバレていた。