張芸謀『LOVERS』(原題:十面埋伏、2004年)を観る。15元(190円位)だった。
張芸謀の作品としては、この前作『HERO』(2002年)と同様に、ワイヤーアクションやCGをふんだんに使った武侠映画である。唐王朝期、反乱組織と官吏との争いを描いている。しかし、絢爛豪華なワダエミの衣装もあり、時代性は希薄だ。
この特殊効果の出来は素晴らしく、特に竹林の対決シーンには目を見張るものがある。チャン・ツィイー、アンディ・ラウ、金城武それぞれの見せ場も満載。
面白いとは言え、こんなエキセントリックな映画に張芸謀の作家性を見いだすのは難しい。『HERO』(2002年)、『LOVERS』(2004年)、それから陳凱歌『PROMISE/無極』(2005年)と、巨匠が揃って派手なワイヤーアクションにトチ狂ってしまった数年間、とでも言えるだろうか。その後、張芸謀と陳凱歌はそれぞれ『単騎、千里を走る。』(2006年)、『花の生涯~梅蘭芳~』(2008年)というオーソドックスな傑作に回帰している(しかし、張芸謀はまた『王妃の紋章』という武侠アクションを撮った)。それでは、『レッドクリフ』連作(2008、09年)を撮ったジョン・ウーはどこに向かうのだろう。
●参照
○張芸謀『単騎、千里を走る。』
○北京五輪開会式(張芸謀+蔡國強)
○陳凱歌『人生は琴の弦のように』、『さらば、わが愛/覇王別姫』、『PROMISE/無極』
○陳凱歌『花の生涯 梅蘭芳』
○ジョン・ウー『レッドクリフ』
高倉健さんの『単騎、千里を走る。』は、私も観ました。日本で撮影した部分は降旗康男監督や撮影の木村大作さんが撮られています。スチールは連れ合いが撮りました。
私は他の「ホタル」という映画ですが、二度ほど撮影現場で高倉健さんを見つめる時間に恵まれました。
真っすぐに役に向かう健さんの眼差しは鋭く、放つ緊張感が私を更に健さんファンにさせてくれました。
真面目に生きるということは素敵なことです。
日本での撮影の話は初めて知りました。降旗康男監督+健さんなんて最高の組み合わせです。あの病院のシーンなどもそうだということですね。
それにしても、健さんに近付いたというだけでも激しく羨ましいことです。