Sightsong

自縄自縛日記

The Open Secret『A Geography For Plays』

2018-06-07 07:27:03 | アヴァンギャルド・ジャズ

The Open Secret『A Geography For Plays』(2014年)を聴く。

John Butcher (sax, feedback)
dieb13 (turntables, computer)
Gino Robair (energized surfaces, prepared p, Blippoo Box)

ジョン・ブッチャーとジノ・ロベールとは20年来の付き合いだそうであり、デレク・ベイリーを含めた3人で吹き込んだ『Scrutables』がある。さらに今回、ウィーンのターンテーブル奏者dieb13が参加して、「The Open Secret」を名乗っている。

もとよりブッチャーはカメレオンのように周囲の環境と同化する稀有な人だが、本盤での演奏は、さらに上のフェーズへと上がっているように聴こえる。

エレクトロニクスとターンテーブルがアンビエントサウンドを作り、操作により断絶や亀裂が忘れたころにあらわれる。ブッチャーは、その卑近から抽象までの往還に同化もするのだが、それはやがて、「サックスを演奏するということ」自体との追いかけっことなってゆく。あくまでかれはサックスを吹き、幅広い周波数と音色とを発し、タンポの音を鳴らす。このサウンドが人間のわがままな活動なのか世界との共存なのか、その境界を消し去ろうとしているように思える。

傑作。

●ジョン・ブッチャー
ジョン・ブッチャー+ジョン・エドワーズ+マーク・サンダース『Last Dream of the Morning』(2016年)
歌舞伎町ナルシスの壁(2016年)
ジョン・ブッチャー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2015年)
鈴木昭男+ジョン・ブッチャー『Immediate Landscapes』(2006、15年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』(2015年)
ジョン・ブッチャー+トマス・レーン+マシュー・シップ『Tangle』(2014年)
ロードリ・デイヴィス+ジョン・ブッチャー『Routing Lynn』
(2014年)
ジョン・ブッチャー@横浜エアジン(2013年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+ジョン・ブッチャー+ポール・リットン『Nachitigall』(2013年)
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年)
ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
ジョン・ブッチャー『The Geometry of Sentiment』(2007年)
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』(2000年)
『News from the Shed 1989』(1989年)

ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年) 


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