Sightsong

自縄自縛日記

Ten meeting vol.2@阿佐ヶ谷天(フローリアン・ヴァルター)

2018-12-10 22:55:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷天にて、フローリアン・ヴァルターの今回最後のギグ(2018/12/9)。

■ 森順治+玉響海星  

Junji Mori 森順治 (fl, bcl, as)
tamayurahitode 玉響海星 (biwa, voice)

海星さんは弦を押さえて音を殺し、森さんはフルートでやはり抑制的。静寂と隙間がかなり支配する中で、海星さんがいきなり叫んで驚かされる。何とも言えない世界を創ろうという策動、森さんの音は邦楽のように響く。やがてバスクラに持ち替えるのだが、その押し引きによって説得力を持たせたかと思うと、ネックを取り、分解し、あらぬ所にあらぬものを結合させ、果てはベルから声を吹き込む。まるで『どろろ』であり、その証拠に海星さんはまだ憑依している。森さんはアルトを吹き、海星さんの叫びとシンクロさせた。

■ 紺野将敬+横山玲+堀込美穂

Shokei Konno 紺野将敬 (ds)
Rei Yokoyama 横山玲 (b)
Miho Horigome 堀込美穂 (g)
 
延々と作業のように続くサウンド、それゆえに愉しい。朦朧とする。
 
 

■ フローリアン・ヴァルター+山崎正明+玉響海月

Florian Walter (as)
Masaaki Yamazaki 山崎正明 (g)
tamayurakurage 玉響海月 (perc)  

海月さんは内省的、山崎さんが探るように音を出す。その音空間に、ヴァルターが目覚めよと言わんばかりの楔をさし、それは痙攣へと移行した。呼応して山崎さんはゆっくりとした物語を、海月さんはガラスや生木や金属のマテリアル世界を展開する。やがてヴァルターのマルチフォニックスもあり、サウンド全体が混然一体としてきた。だがそれはまた、ヴァルターが起爆剤を仕掛けて別のサウンドへと跳躍する。

山崎さんの地鳴りのごとき音、ヴァルターの活きたバブル音。サックスを上に向けて水が沸騰するようなサウンドも披露した。山崎さんは鐘の音により運命を思わせる。海月さんは、待ち、また念を発する。絶えざる変化と円環。

■ 森順治+フローリアン・ヴァルター

Junji Mori 森順治 (as)
Florian Walter (as)

嬉しいことにこのデュオが実現した(年齢差は倍以上)。その面白さは、シームレスで連続的な森さんと、断絶と再構築のヴァルターの違いにもあった。

終わってからヴァルターのレコーディングの話も聞いた。来年には2枚の実に興味深い作品が世に出そうである。

Fuji X-E2、7artians 12mmF2.8、XF60mmF2.4

●フローリアン・ヴァルター
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
フローリアン・ヴァルター『Bruit / Botanik』(2016年)
アキム・ツェペツァウアー+フローリアン・ヴァルター『Hell // Bruit』(2015年)

●鵺魂
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
宙響舞@楽道庵(2017年)

●森順治
松風M.A.S.H. その3@なってるハウス(2018年)
松風M.A.S.H. その2@なってるハウス(2017年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
松風M.A.S.H.@なってるハウス(2017年)
林ライガ vs. のなか悟空@なってるハウス(2017年)
リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri(2016年)
森順治+高橋佑成+瀬尾高志+林ライガ@下北沢APOLLO(2016年)
本多滋世@阿佐ヶ谷天(2016年)
M.A.S.H.@七針(2016年)
森順治+橋本英樹@Ftarri(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年) 


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