フレッド・フリス『Storytelling』(Intuition、2017年)を聴く。
Fred Frith (g)
Lotte Anker (sax)
Sam Duhsler (ds)
はじめは飄々としたフレッド・フリスのノリとともに気楽に流していたのだが、やっぱり手を止めて聴き込んでしまう。
『Step Across The Border』を思い出すまでもなく、フリスの達観したような漂流ぶりは旅人のインプロヴィゼーションなのだ。ロッテ・アンカーのサックスは、発酵しぶくぶくと泡立つところから胃液を吐き出すようでもあり、これもまたいい。かれらによる人間の音楽はなぜだかノスタルジックでもあり、その感覚は「Backsliding」において極大化する。
このふたりのデュオは『Edge of the Light』(2010年)でも個性を発揮していたのだけど、本作はドラムスが加わったためか、より風穴からの隙間風が吹き込んでいるようで、いい感じの距離感を生んでいる。
●フレッド・フリス
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
高瀬アキ『St. Louis Blues』(2001年)
突然段ボールとフレッド・フリス、ロル・コクスヒル(1981、98年)
『Improvised Music New York 1981』(1981年)
●ロッテ・アンカー
須川崇志+ロッテ・アンカー+キャスパー・トランバーグ+ラース・グレーヴェ@下北沢APOLLO(2017年)
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)