高瀬アキ『St. Louis Blues』(Enja、2001年)を聴く。
Aki Takase 高瀬アキ (p)
Rudi Mahall (bcl)
Fred Frith (g)
Nils Wogram (tb)
Paul Lovens (ds)
あまりにも有名な「St. Louis Blues」を含め、W.C.ハンディの曲をカバーしたアルバム。他にもメンバーのオリジナルも演奏していて、それがハンディの曲とすんなりと融和している。
高瀬アキの悠然として音が立ったピアノは、アーリー・ジャズのようでもあり、ヨーロッパ的にも聴こえる。ルディ・マハールのキャラが立っているバスクラは、楽器を鳴らし切って道の真ん中を歩くというよりも、飄々とヘンな音で側道を歩くかぶき者の音であり、諧謔のようでもあり、また本道か側道かなんてどうでもよくなる愉快さに満ちている。そして意外にも、フレッド・フリスがこの中でギターをかき鳴らす面白さ。
日本とヨーロッパによるブルースへのアプローチ、などと決めつけたような見方をすることはない。外れた個性たちによるブルース再構築、メタ・ブルースとでも言うのか。
●参照
アンサンブル・ゾネ『飛ぶ教室は 今』(2015年)(高瀬アキ、マハール、ヴォグラム参加)
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)(マハール参加)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)(マハール参加)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)(ローフェンス参加)
『失望』の新作(2007年)(マハール参加)
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
『Improvised Music New York 1981』(1981年)(フリス参加)
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)(ローフェンス参加)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)(ローフェンス参加)