Sightsong

自縄自縛日記

キース・ティペット+アンディ・シェパード『66 Shades of Lipstick』、シェパード『Trio Libero』

2013-03-22 20:28:25 | アヴァンギャルド・ジャズ

キース・ティペット+アンディ・シェパード『66 Shades of Lipstick』(EG Records、1990年)。ティペット久しぶりの来日前後から、何度も聴いている。

同じ英国人、アンディ・シェパードとのデュオである。どんな曲を演っても、シェパードによるサックスの音色のコントロールは完璧。ティペットはそれに対し、プリペアド・ピアノの割れた音色を重ね、畳み掛けるように攻める。轟音でありながら繊細だという点がティペットの魅力なんだろうな、と思う。

Keith Tippett (p)
Andy Sheppard (ss, ts, fl)

アンディ・シェパードの今のところの最新作は、『Trio Libero』(ECM、2012年)で、その前のECM第1作『Movements in Color』よりもシンプルなサックストリオの編成としている。

ここでもシェパードのサックスの巧さは限りないのであって、一聴、物足りない印象を抱く。どこかに破綻があったり、突き抜けた個性があったりする方が、ジャズの聴き手としては、その個性のコードを見出しやすく嬉しいところだ。シェパードの音はそのようなものではない。ただ、ECMの録音の所為もあるのだろうか、澄んだ空気の中で、森や川の向こう側にこだまのように届く、ヤン・ガルバレクにも共通する雰囲気がある。

発売直後に入手して肩透かしのような気持ちになり、しばらく棚の中にしまっていたが、あらためて聴いてみると、実に味わいがある。聴けば聴くほどこの音空間のなかに没入してしまうような・・・。

特筆すべきはベーシストのミシェル・ベニータ。太い音ながら柔らかく、影響を受けたというチャーリー・ヘイデンに似た残響が確かにある。

Andy Sheppard (ts, ss)
Michel Benita (b)
Sebastian Rochford (ds)


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