実に久しぶりに千葉市美術館に足を運び、『赤瀬川原平の芸術原論展』を観る。赤瀬川さんは、この個展開催の直前に亡くなってしまった。
ずっと赤瀬川ファンのつもりでもあったので、その多彩な活動は概ね知っている。しかし、こうして実際にまとめて観ると本当に愉快だ。先鋭なアヴァンギャルドの部分と、笑いとともに共感してしまう部分とが微妙に重なっているところが、この人ならではである。
中古カメラのイラストの原画を観ることができたのも嬉しかった。精彩でいて少し震えるような線で描かれたものも良いし、『科学と抒情』の表紙にもなったペンタックスLXのイラストのようにざっくり描かれたものも良い。そして、カメラコレクションが数台展示してあるのも見ものである。特に、当時塗りの名人として名をはせた高橋兄弟による「黒塗りゾルキー」の現物なんて、もう(高橋兄弟の塗りは触っても絶品だそうだが、さすがにここでは体験できない)。
夢中になること間違いなし。遠方の方々もぜひ。