Sightsong

自縄自縛日記

クニ三上@東京倶楽部

2019-05-16 00:47:12 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋の東京倶楽部(2019/5/15)。

Kuni Mikami クニ三上 (p)
Satoshi Ikeda 池田聡 (b)
Tomoyuki Okabe 岡部朋幸 (ds)

NY暮らしの長いクニ三上さんについては、名前は知っていたのだが、こうして聴く機会はなかった。先日ある偶然から今回のライヴのことを知り、この店に20年ぶりくらいに足を運んだ次第。

最初の「Old Devil Moon」においてタッチの軽さに驚く。そのあかぬけた洒脱さは、「Prelude to a Kiss」でもみられた。演奏中に店の電話が鳴ったのだが、三上さんは電話のコールを真似し次の展開につなげていく。余裕すぎて感心するのみである。「Danny Boy」では池田聡さん(池田芳夫さんのご子息)のベースと微妙に合わせる巧さをみせ、そのまま「おたまじゃくしは蛙の子」(ヨドバシカメラを思い出すのは仕方がない)に移って気持ち良いスイング。

ここで、三上さんが両手にピンポン玉を握ったり置いたりしていることに気が付いた。どうやら握ることで親指と小指の動きを自ら封じ、それによりシンプルで小気味の良い音を出しているようなのだった。逆に封印を解くと音が横に拡がり、これもまた気持ちが良い。

バッハ曲でも岡部さんのブラシが良かったのだが、さらに「Memories of You」ではいきなりドラムソロでと三上さんに無茶振りされ、見事に歌心のあるソロを取った。三上さんは過度に弾かない時間も多く、「Satin Doll」や「One Note Samba」などでのバッキングがアーマッド・ジャマルを思わせた。

セカンドセットは、奇妙なコードでの「The Sidewinder」から。「Nearness of You」などをはさみ、やはりちょっとトリッキーな「Take Five」では終盤に別の曲に移るのかどうなのかわからない展開で、池田さんのベースがやや困っていた(それも愉しい)。静かにゆったりと始まる「It's Only a Paper Moon」では和音が次第にゴージャスに重ねられてゆき、さらに軽快になってからピンポン玉を棄てて両側の指解禁、さらに音が拡がった。「My Foolish Heart」や「Yesterday」での工夫があり、最後はきらびやかでもブルージーでもゴキゲンでもある「Moanin'」。

余裕も技もあるエンタテインメントは良いものだ。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4


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