『点字呼吸の領域』(Armageddon、2019年)を聴く。
Rachel Musson (sax)
Naoko Saito 齋藤直子 (sax)
Audrey Lauro (sax)
女性サックス奏者3人のソロ集。ジャケットには点字が施されている。
英国のレイチェル・マッソンはジョン・エドワーズやパット・トーマスなんかとの共演歴がある人で、ロンドンのCafe OTOでのライヴ盤もある。いきなり様々な音波を束のようにして放つブロウに驚くが、音量のレンジの広さも印象的。これなら他の楽器も懐深く受け容れられそうだけれど、サックスとは別のものにも思える。
齋藤直子さんのプレイはもう2年以上観ていない、飲みには行くのだけれど。これを聴くとその間にかなり変貌している感がある。マッソンが吹き方を変えて音量をドラスティックに変化させるのに対して、直子さんはフレーズの中で音量をかなり幅広く連続的にコントロールしている。それに加えて、進む方向への指針を頑なに握って、その先に向かってソロを展開している印象がある。本人がどう言うかわからないけれど奇妙に物語的。
ベルギーのオードリー・ラウロは表現や音色が多彩。重音にバラエティがあって、ソロの音の連なりは楽器依存的(サックスを感じさせる)。この人もピーター・エヴァンスやマーク・リボーなどただごとでない共演をしている。
面白かった。サックスソロにはまだまだ表現のポテンシャルがあるのだなと思える。
●齋藤直子
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)