ロル・コクスヒルが、数週間の闘病のすえ、79歳で亡くなったらしい。
1998年、歌舞伎町のナルシスでサックスソロを聴いた。そのときはあっちこっちに飛ぶヘンなサックスだなと思っていたのだが、このあてどない浮遊感と遊牧性は、実は過激なる個性の発露なのだった。
2010年に、ロンドンのCafe OTOにて再び聴くことができたのはとても嬉しいことだった。明らかにコクスヒルの音が、集団の中で、やはり浮遊していた。コクスヒルに話しかけると、ああナルシスなら覚えているよ、誰か呼んでくれるんならまた日本にも行くけどね、と、もの静かに語った。
残念。
ロル・コクスヒル、2010年 Leica M3、Summicron 50mmF2.0、Tri-X(+3)、フジブロ4号
●参照
○G.F.フィッツ-ジェラルド+ロル・コクスヒル『The Poppy-Seed Affair』
○ロル・コクスヒル、2010年2月、ロンドン
○コクスヒル/ミントン/アクショテのクリスマス集