Sightsong

自縄自縛日記

ドーハの村上隆展とイスラム芸術博物館

2012-02-22 23:21:51 | 中東・アフリカ

カタールの首都ドーハ。夜到着しての印象は、上海を凌駕するほどギラギラしたハイテク都市ぶり。ペルシャ湾に面してちょっとした内湾になっており、水面越しに高層ビル群を眺めるとその光景は『ブレードランナー』である(下に猥雑な通りがない点が決定的に違う)。

仕事が終わって少し時間ができたので、話題の村上隆展を観に行った。『murakami ego』と題されており、会場のAlriwaq Exhibition Spaceを大通りから見ると村上隆のキャラでギトギトに飾り付けられている。玄関を入るとそこには巨大な村上隆の座像、横に笑うお花たち。何なんだ。

受付の女の子たちはフレンドリーで、こちらを日本人だと見るや嬉しそうに日本語で話しかけてくる。やはりサウジ社会とはまるで違う。

中も凄い。DOB君、TOKYO MXのゆめらいおん、お花、カイカイとキキ、カッパ、美少女たちといった馴染のキャラたちが、圧倒的な物量で迫ってくる。ここまで親しみの圧力をかけられると、アニメ的なキャラが宗教であっても問題ないなと思った次第。それにしても、湾岸国だから出来た展示ということなのだろうか。

すぐ隣りには、イスラム芸術博物館(Museum of Islamic Art)がある。斬新なデザインのハコが、湾の中に建てられ、橋でつながっている(中野ミュージアムショップには、田原桂一による博物館の大判の写真集があったが、高いため買わなかった)。


中の吹き抜けから天井を視る


外はいい雰囲気

閉館まで時間があまりなくて駆け足での観賞だったが、それでも非常に愉しかった。撮影は自由である。


猿(イラン、1200年頃)


『シャー・ナーメ』より、ザーハックの悪夢(イラン、1525-35年頃)


小型コーラン(イラン、1550年頃)


鉄鏡(イラン、16世紀)


ボウル(イラク、9世紀)


ガラス瓶(エジプトまたはシリア、1200年頃)


モスクのランプ(エジプト、14世紀)


モスクのランプ(リバイバル品)(フランス、1881 or 84年)


『ラーマーヤナ』写本(インド、16世紀後期)


ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンのカメオ(インド、1630-40年)


宝石の隼(金、エナメル、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド、サファイア、オニキス)(インド、1640年頃)


オスマン帝国のヘルメット(トルコまたはコーカサス地方、15世紀)


オスマン帝国のヘルメット(トルコ、16世紀初頭)




オスマン帝国の兵士(トルコ、15世紀末~16世紀初頭)


オスマン帝国のコーヒーカップ・ホルダー(金、ダイヤモンド、ルビー)(トルコまたは欧州、19世紀)


リヤドのビルと鍵と扉

2012-02-22 01:54:36 | 中東・アフリカ

サウジアラビア、リヤド。中東に行くのは、15年ほど前にエジプトとイエメンに足を運んで以来なのだ。観光にも一部門戸を開いているとはいえ、基本的には、仕事と宗教でしかビザは発行されない。

ドーハで飛行機を乗り換え、しばらくは砂漠ばかり。やがて高度を下げてくると、何やら道や人工物が見えてくる。そして街。不思議な気分である。

到着したのは金曜日の午前、それはサウジの休日。宿に荷物を置いて昼食を取り、とりあえず外を歩いてみたが、ほとんどの店は閉まっている。人もろくに歩いていない。せいぜいスターバックスなどのカフェにたむろしている程度である。ショッピングモールの中は閑散としていて、賑わっているのはフードコートのみ。とはいえ、平日も昼間はこんなもので、夜こそ活動的になるらしい。


だだっ広くて閑散


閑散


店は閉まっている


本当に辛そうだが閉まっている

目立つ超高層ビルは、尖ったアル・ファイサリヤ・センター(267m)、上海環球金融中心(492m)(>> リンク)よりも「栓抜き」らしいキングダム・センター(302m)。これでも、ドバイのブルジュ・ハリーファ(828m)やメッカのアブラージュ・アル・ベイト・タワーズ(601m)には全然敵わない。さらにクウェートやサウジに「1km超え」のビルの建築計画がある。

王族の所有するキングダム・センターの77階には、「世界でもっとも高い場所にあるモスク」があるという。


アル・ファイサリヤ・センター


向こう側にキングダム・センター

もうヒマですることがない。「勧善懲悪委員会」(宗教警察)に取り上げられるのが嫌で銀塩カメラを持ってこなかったのだが、そもそも人がいない。向こう側のビルには「2 Reasons 2 Be Here」と書いてある。ヒマな自分のできること、それは鍵の写真と扉の写真を撮ること。


ここに居るふたつの理由

その1、鍵シリーズ。

その2、扉シリーズ。

そんなわけで1時間半ほどウロウロして宿に戻ったら、急激に眠気を覚えて爆睡。気がついたら夜、待ち合わせの時間になっていて飛び起きた。

●参照
保坂修司『サウジアラビア』