四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その5) 

2021年10月13日 05時04分33秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その5)   【短歌入門・質問コーナー】を設けました!!

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うコーナーです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」目指したいと
 思っています。皆様の投稿を歓迎します。

【運営にあたって】
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
    仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。



「ブログ友の投稿歌 交流コーナー」

☆曼珠沙華 天界に咲く 彼岸花 逆のサイクル ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)
☆タカブシギ日本に飛来旅鳥の宿命(さだめ)と知るも明日はいずこか
☆マルモッタン 睡蓮池に 映る空 水鏡の紅葉 心を洗う
                      浅間山明鏡止水(kencyan)さん

【解説】
 曼珠沙華の別名「葉見ず花見ず」に、また、ユーラシア大陸で生息し、秋や春に日本に飛来して
 休憩する旅鳥タカブシギ、さらに、高知県北川村「モネの庭」マルモッタンに寄せて、詩人としての
 深い想いをこめて詠まれた短歌です。
 「睡蓮池に 映る空 水鏡の紅葉」の語句を少し整理してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
★マルモッタン もみじ、睡蓮 映しつつ モネの想いも 深く刻まれ

☆道中が旅は楽しきものなれば楽しみてをり旅の道中
                     びこさん

【解説】
 びこさんは「おざなりの歌」と謙遜されますが、決してそうではありませんね。
 旅は「行くまで、道中、思い出」といわれますが、いずれも楽しいものですね。とりわけ、中身の
 詰まった道中の楽しさは格別と思います。そんな実感を詠んだ楽しい短歌と思っています。

☆亡き母に問うた答えはみずからの心に灯る道しるべなり
☆嵐去り七七日に光差す 悲しみさらにつくつくぼうし
                    アンリさん

【解説】
 「自灯明 法灯明」という言葉を、お母様が亡くなる6日前に病院に向かうラジオで聞かれた
 とのこと。この言葉は、お釈迦様の教えと伺ったことが在ります。
 四十九日の法要を済まされてもなお、哀しさや寂しさは襲ってくることでしょうが、
 つくつくぼうしの鳴き声が、さらに哀しさを誘いますね。そんな想いが切々と詠まれて、
 共感を呼ぶ短歌と思います。「悲しみさらにつくつくぼうし」の表現が秀逸です。

☆自販機に馬のいななくお茶を買う勝ち馬祈願の藤森神社
☆いま一度馬のいななき聞きたくてまたお茶を買う荷物になるに
                    リコさん

【解説】
 疾走する馬の上に乗って曲技を披露する、駈馬神事が行われている京都市伏見区の
 藤森神社。その神社で自販機の「馬のいななき」を聞きたくて、お茶を買っている
 作者の、ほほえましい姿が浮かぶ短歌。歌枕を取り入れた巧みな短歌と思います。
 なお、リコさんには「短歌を詠む時の手順」をまとめて頂きましたので、
 【短歌入門・質問コーナー】で紹介させて頂ます。

☆楽しみは古いカメラをあれこれとカスタマイズする一人の時間
☆誕生日祝いの葉書二通着く割引で釣る店の作戦
☆スーパーで買い物中に咳すれば皆振り向く困ったものだ
                    ものくろ往来さん

【解説】
 一首目の短歌は、ジャズを聴きながら、かつての垂涎もののカメラを手に入れ調整している、
 ものくろ往来さんの幸せに満ちた表情が浮かびます。このようなひと時を、短歌に詠み切る
 感性に学びたいと思います。俳句をよくする、ものくろ往来さんの鋭い観察眼が短歌にも
 生きていると考えます。

☆曖昧な 表現多き演説の 眼鏡の奥の 怪しき眼  
                    oraiさん

【解説】
 新総理の所信表明演説は抽象的な表現が多く、具体的な政策の深堀も無く、期待外れに
 終わったとの印象がありますが、あいまいさの中に感じた「怖さ」はoraiさんの詩人としての
 感性と思います。「詩人は時代の半歩先を読む」と言われていますが、この感覚を大切に
 していきたいと思っています。なお「怪しき眼」を「怪し眼光」として見ましょうか。
【ご参考】
★曖昧な 表現多き演説の 眼鏡の奥の 怪し眼光

☆寺町の 記憶色濃き 秋すだれ 祭り太鼓と お囃子の音
                    オライ&kencyanさん

【解説】
 京都・祇園の花町にひっそりと佇む「創作京料理 北郎」の秋すだれが、寺町の記憶を
 色濃く残しています。そのすだれに祭り太鼓とお囃子の音を結び付けた、オライ&kencyanさん
 渾身の連歌がいい味を出しています。このような連歌遊びも良いものですね。

☆秋あかね群れ飛ぶ里に「もういいよ」忘れし言葉つぶやいてみる 
                      ポエット・M

【解説】
 幼い日、かくれんぼうの最中にアキアカネを追いながら、その輪から離れ「もういいよ」 
 の言葉を言い忘れ、友に迷惑をかけました。そんな遠い日の微かな悔いを詠んでみました。



「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (6)
2.出会い (3)
  「いけんじょ」と
   口ではいえど
    夕闇に
   妖しく光る
    きみの瞳(まなざし)
     
     夕霧に
      うるむ瞳の
       哀しさよ
      抱けばはるか
       遠き鐘の音

      夕霧の
       白きヴェイルに
        包まれて
       二人はしばし
        愛の彫刻

    夕霧に
     生けるロダンの
      彫刻と
     なりてはるかな
      鐘の音を聞く

   夕霧の
    白きヴェイルの
     影二つ
    包め夜霧よ
     黒きマントで



【短歌入門・質問コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からの提案、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。それが学びに
 繋がれば嬉しいです。

【短歌を詠む時の手順】 リコさんからのご提案です。
 短歌を詠む時の手順を忘備録的に書かれたとのことですが、皆様の参考になると思いますので
 掲載させて頂きました。
 (1) 散文風でも、まずメモをとる。心躍る情景等に出会ったら電車の中でも。
     例:琵琶湖へと久方ぶりに遠出する特急電車に心躍らせ
 (2) 声に出して読む。調べが良いと31文字にまとめやすい。
 (3) 文語、旧かな、文法のチェック
 (4) 語句を推敲(主語の統一)
 (5) 句切れ、体言の多用等に注意


【表記について】
 歌を詠む場合、声に出して読んでいた万葉集の時代などとは違って、現在では文字によって書き、
 それを読み手に届けることになります。前回のこのコーナーで述べました「調べ・響き」と
 おなじくらいに、表記の仕方も作品の完成度に重要な影響を与えます。
 これも「こうしなければいけない」というような決まりはなく、人それぞれなのですが
 「読み易さ」などを指標としながら、著名な歌人の作品などを参考にして学んで頂ければと
 思います。また、先にリコさんから提案がありましたが、漢字、仮名の表記も工夫して
 頂ければと思います。


【枕詞(まくらことば)】
 枕詞とは短歌(和歌)にみられる修辞用語のひとつで、一定の語の上にかかって、ある種の
 情緒的な色彩を添えたり、句調を整えたりするのに用いられます。ただ、主題とは直接に
 意味的な関連はありません。
 簡単に言うなら、「あしびきの」とくればその下は「山」、「ひさかたの」とくれば
 その下には「空」や「光」などがくるわけです。

  ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ (紀 友則)

 たとえばこの歌の場合は、「ひさかたの」が「光」にかかって(光を引き出して)いる枕詞です。
 万葉集の時代には短歌(和歌)は文字に書いて見せるものではなく、声に出して詠み、
 詠うものでした。 枕詞が生まれた背景にはそのことが深く係わっています。 たとえば…詠み手が
 「あし~ひき~のぉ~~~」と詠んでいる間に読み手は、「ああ、これから山の歌を詠むのだな」と
 想像し、心構えが出来たのです。 詠み手はそれを利用して、読み手の期待通りの素敵な山の歌を
 詠んだり、または技巧を凝らし予想外の山の歌を披露することで人々の喝采を得たりしたわけです。

 このように枕詞は、口誦時代には一定の語句を引き出す役目をしていました。ただ、現代では短歌は
 文字に書いて発表されることが大半のために、このような効力は失われつつあります。それでも、
 枕詞の多くの語句が五音から出来ているため、現代短歌の世界においても韻律を整えるうえで
 有効であることは確かですので、挑戦してみましょう。

 枕詞とその枕詞が引き出す語句の例を、いくつか挙げておきたいと思います。

  枕詞      被修飾語
  あかねさす:  日・昼・紫・照る・君
  あしひきの:  山・峰(を)
  あらたまの:  年・月・日・夜・春・
  あをによし:  奈良・国内(くぬち)
  うつせみの:  命・人・世・妹
  くさまくら:  旅・結ぶ・結ふ(ゆふ)・仮・露・たご
  たまきはる:  命・うつつ・世・わ・うち
  たらちねの:  母・親
  ちはやぶる:  神・宇治
  ぬばたまの:  黒・髪・夜・夢・夕・暗き・今宵・寝る
  ひさかたの:  天(あめ)・雨・月・光・日・昼・雪・雲・霞・星・夜・桂・都・鏡

                            了
コメント (25)
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