なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ398 カオスへ向かう世界 

2023年01月01日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ。第398回。令和5年1月1日、日曜日。

新年を迎えました。
皆様によき出会いがありますことをお祈りいたします。
当家は喪中のため、年賀の挨拶をご遠慮させていただいています。
(この記事は毎週日曜日の朝5時に予約投稿の設定をしています。元旦のこの時間は4時から元朝祈祷を行っている最中で、今本堂にいます。)

先々週は動物と植物の話をしましたが、人間には動物的人間と植物的人間がいるのではないかと考えるところです。
概して言えば、遊牧民族は動物的、農耕民族は植物的と言えるように思います。
移動を基盤とする生き方は動物的、定住を基盤とする生き方は植物的と言えるのではないかと思いますがどうでしょうか。
はるか長い年月に及ぶ生活習性が根っこのような基盤となり、習慣や文化、宗教に至るまでその彼我の違いとして現れていると思われます。
遊牧民族、狩猟民族というのは、獲物や土地を求めて移動しあるいは縄張りを築き、他の群れとの競争や奪い合いの中で生き抜いてきた歴史があります。
なので、他の土地に移動したとしても変わらぬ普遍的な精神的拠り所として、自分たちの創造主である「神」を求めました。
一族は「神のもとで平等」という社会意識が出来上がることとなります。
ただ、「自分たちの神」は他の群れの神とは相いれないこととなり、神の優劣が民族の優劣という意識を生み、民族の争いの定義、旗頭ともなりました。

一方農耕民族は、一つの土地にしがみつき、共同作業を余儀なくされる暮らしの中で、群れの協調を意識するようになったものと思われます。
『鎌倉殿』でもそうでしたが、鎌倉時代の武士たちが何より大事にしていたものは、自らの土地であり、そこに暮らす一族を護ることでした。
そこから、自分の土地に命を懸ける「一所懸命」という概念が生まれました。
天候に直接左右される農耕は、自然をあがめ、人智の及ばない天や山や海、岩や木や水に「神」が宿るとして畏れ、感謝する精神を醸成してきたでしょう。
現代世界では、純粋な遊牧の民もほぼいないものと思われ、また、農耕民族といっても先祖代々の土地を捨てて棄農する人々が珍しくなく、それとこれで大別されるようなこともない状況かと思われます。
血に染みついた生活環境からの文化という分類も、やがて混血していくのではないでしょうか。
それでも宗教は、根ざした生活の基盤が変化しても、その独自性を保ち、意義や解釈を変えながら宗教そのものの存続を目指していくようにも思えます。
動物的宗教も植物的宗教も、性の多様性の如く存在を認め合う寛容の姿勢が求められているように思われます。

また、概して言えば、男は動物的、女は植物的な性質ではないかと感じています。
その行動的特徴として、どちらかといえば、家に居て家族を守ることを得意とする女性は植物に近いと感じ、外に出て生活の糧を得てくることが得意な男性は動物的と感じます。
もちろん、だからといって男らしさや女らしさを主張しようとしているのではありません。
先々週も話したように、動物と植物は果たして別の種類の生物かという疑問に端を発した延長線上の問題提起です。
なので、動かないように見える植物が動物を動かしているという見方をここでも当てはめようとしているのです。
これも鎌倉殿を観ていて感じたことですが、外に出て戦っている武士を戦わせようと仕向けているのはその女房ではないかという見方です。
ドラマはそれを印象的に見せている意図があると思いますが、それだけでなく、性が分化した意図は、まさに、女が自分の分身として男を生んだのであり、それは植物が動物を生んだという構図と重なるのではないかという考え方です。

こんなことを考えてしまうのは、グローバル化と自国ファーストのせめぎ合い、保守的な性の捉え方と多様性を認めようという考え方のせめぎ合いが起こっている現代は、今後、性の分化の意義や、民族・宗教が混沌としてきてカオスとなり、それらの意味の組み換えを強いられる世界の始まりかもしれないと、心のどこかで思っているからかもしれません。
まあ、どうでもいいことであり、正月元旦からそんな面倒くさいことを主張しなくてもよさそうなものです。
まずは皆様の諸縁吉祥を祈ります。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

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2 コメント

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謹賀新年 (大閑道人)
2023-01-01 05:58:47
喪中の貴家に対してならば、
「寒中見舞い」とすべきですが、
ここの訪問者を思って・・・・

ところで、
多様性の行き着く先は、画一・均一でしょう、思考実験の結果ですが。

・・・ということで、
今年も、相変わらずの「屁理屈」を捏ねていきます。

よろしくお願い申し上げます m(_ _)m
Unknown (三部義道)
2023-01-01 06:05:02
新たな年を穏やかにお迎えのことと思います。ありがとうございます。今年もよろしくお願いします。合掌

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