Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

予約修理インターネットオークション購入車両(後編)

2019-08-15 09:09:00 | ノンジャンル
さっさと作業に移ろう

何気なくインシュレーターを見たらおかしなことに気が付いた
お客様が自身でキャブO/Hした際に一緒に交換したものだが
#1、#2に付いてるインシュレーターの向きが#1、#1

#3、#4に付いてるインシュレーターの向きは#3、#3

純正のインシュレーターは各気筒ごとの番号が書かれている
CB400Fでは2種類あって#1/4用16212-333-030、#2/3用16213-333-030
向きを替えることによって対応
この車両のは社外品のインシュレーター(左側)、右は純正
#1、16212-333-030 ケーブル避けの溝が右側に来る

逆さにすると#4用となる(溝は左側になる)


次に#2 16213-333-030 右側にオフセット

逆さにすると#3用 左側にオフセットする

社外品を使う場合は事前に形状を見比べどこに付くのか把握しておく必要があるだろう
一応、部品番号が書かれているので#1/4用か#2/3用かは判るだろう


はみ出ていた茶色い液状ガスケット
インシュレーターを外すと....


酷いな塗りすぎ
はみ出たものがポート側にはみ出ていて下手すりゃ燃焼室へまっしぐら

インシュレーター側も酷い有様


#1、黒いOリングらしきが居ないが...
あ゛!!
本当に居ないよ!!

無くした?注文ミスで足りなかった?
いずれにせよ無い状態で液状ガスケットでごまかしてはいけない
将来的に二次エアーでも吸ったらエンジンを壊してしまいますよ

液状ガスケットを除去し、オイルストーンで仕上げる

インシュレーター側は余分な液状ガスケットのみ除去して装着
バンドも酷いな、ビスの+部が舐めています。

要交換ですね

異常に重かったクラッチ
先ほどの画像を見ても判るように#4インシュレーターの外側を通ったり、ライト裏でもおかしな取り回し
一度外してフリーな状態で装着すると大分軽い(新品ケーブルほどは軽くないが...)

これもお客様には乗って左手が辛ければ新品に交換するようアドバイス


やっとキャブに取り掛かれる

フロートチャンバー内のガソリンを抜く

ん!?
終わってる色....O/Hされているはずだが

依頼事項は#4アームのボールジョイントの剥がれと諸調整
とりあえずステープレートを外しましょう

ありゃスロットルケーブル取り付けステーはひん曲がってるし

これではケーブルワイヤーがレバー側面をこすりながら動くので切れやすくなります

ステープレートを外す際に、#4キャブのアジャスターホルダーがポロッと

あぁ確かにボールジョイントが抜けている
「何故だ!?」

#4キャブを離別し、アームを外す
ひん曲がっています。
何故そんなに力を加える必要があったのか??

おや、部品も足りないし

スプリングと樹脂のカラーの間にワッシャーが入ります。

いやな予感がするので全キャブを確認することにした(左から#4~~#1)

案の定#1にはワッシャーと樹脂のカラーが不在
酷いなぁ

チョークのバタフライ調整部を見ると皆曲がっている



これも修正
しかしフロートチャンバー面のはみ出た液状ガスケットが気になる

言われては居ないが確認すべきだろう
フロートチャンバーを外すと....案の定



これは酷い、酷すぎる
このふやけたものが剥がれてジェットを詰まらせたら大変です
なんだろうな、Oリングを溝に固定するのにとりあえずあるものを使ってしまうパターンが多い
液状ガスケットを使うならガソリンに浸って変質しないものを溝に極少量使うか
ゴムのりを使ってもらったほうが良い
中には瞬間接着剤を使う人も居るが絶対にダメ、漏れるよ

ん!何故逆さにしているのにフロートレベルを維持しているのか???
本来フロートバルブの背中のピンがスプリングで沈み込むのでフロートも下がるがそれが無い
試しにフローとを触るが動かない何故???

フロートを外してみましょう
なんと!
フロートバルブ逆組み


これでガソリン流し込んだらオーバーフローしまくりでしょう
正規に組み替え、フロートレベルを調整します。

フロートチャンバーの溝掃除
Oリングは液状ガスケットを剥がす手間を考えたら新品を使ったほうがお安いので交換します。

ドレンボルトはOリングの交換はされてない


無論、穴掃除とOリングを新品に交換

きれいになりました


当店ではホンダボンドを使います。

これはニトリル系の接着剤(ゴムのり)乾くとガソリンには侵されない
市販品でニトリル系のゴムのりはめったに無くあっても大きいので使い切るまえにダメにしてしまうのでこのサイズは使い勝手が良い
(NetShopで販売中)
また、グリップの固定にも使えます。

溝全周に薄く塗り

Oリングを軽く引っ張り大きくしてから溝に納める(当店販売品)

少し乾かしてから組み付けます。

参考までにガソリンに溶けない液状ガスケット
ハイロマー ユニバーサルブルー

パーツクリーナーにも溶けません

キャブレターは前日25時までやって終わらず中断し
早起きして翌朝7時から再始動9時頃に完成
予定では昨日のうちに完成させたかった。
とりあえずお客様には夕方くらいになると連絡

初めて診る車両はこういうことが普通にあるから難しい

キャブを車体に組んで
諸調整をするためにエンジン始動
ありゃ、なぜか3気筒
#4に火が入らない

プラグを診る、火花は飛ぶが沿面放電、色も黄色い

テスト用プラグに交換

ばっちりスパーク 紫の良い火花

キャブレター調整は
同調調整、エアスクリュー調整、ファーストアイドル調整、オーバートラベルストッパー調整、スロットル開度調整

エンジンが充分に温まったところでスタッドボルト交換
ん?スタッドボルトではなく普通のボルトが使われている

しかもこの社外品マフラーはフランジの位置がエンジンに寄りすぎ
ワッシャーで対応するか

そんなんで外すのは容易だったが新品のスタッドボルトを組むと.....
#3の内側、角度がおかしく奥まで入らない

下手クソが修正したな!仕方ないのでボルトを短くした。

#2外側も奥まで入りきらない

修正して組み込み


1本だけあさっての方向を向いていますね

それでもマフラーは組めたので結果オーライ

次はリア周りの作業

持ち込まれたのは中古のスプロケットと新品のドライブチェーン

店主的には中古のスプロケットはありえない選択
リアは前のものよりははるかに良いが(前記事参照)
フロントは今付いているものと変わらない
お客さまに懇願してフロントのみは新品交換の許可を得た
持ち込まれたものと新品との比較


リアブレーキのアジャスターは調整できないまで締めあげてあった

チェーンアジャスターのボルトの頭は無いし
アクスルナット、割りピンの代わりにクリップじゃないの?
車検場で指摘され慌てて対処したものか??

まっ平らになったアジャストナット


適当なワッシャーのみで組まれていた

本来はストッパーアームクッションラバーと大きなワッシャーが組まれているが...

開けたらブレーキシューはもちろん磨耗していたがなぜか油っぽい

ドラム内部も同様

脱脂洗浄を行う

リアタイヤ交換、リムの中って普段見えないが古いものは大体こんな感じ

ワイヤーブラシでこすって剥がせるものは剥がします。

組み立て時、ブレーキロッドはねじ山が痛んでいたのでダイスで修正


さぁ完了


依頼事項すべて終わったのが18時頃になってしまった。
完成後試乗に出ますが
気になるのはフロントブレーキ
しかし、予備検で通っているだけに強く握れば止まる
(制動距離は正常な状態よりははるかに長い)
これはお客様に気をつけるようアドバイス、一番最初に対処するよう指示

伝票書いている間に一回りさせたが
「別物になりましたと大喜び」


この車両、某インターネットオークションで画像と商品説明のみで判断して買ったわけだが
自分で直す気満々でベース車両と割り切った買ったのだろうがあまりに程度が悪すぎた
確かに商品説明にはうまいこと書いてある
「年式の割には比較的に綺麗です。」フレーム缶ペン塗りまくりで!?
ブレーキ「正常稼働(陸運局にて検査済み)」確かに検査ラインは通っただろうが.....

たとえば業者さんがインターネットオークションに出す場合
業者オークションには出せない車両の場合があるので注意が必要
できれば現車確認(詳しい人間同行で)はしたいところ

以前にも有ったがインターネットオークションで九州から買った車両
商品説明では「そのまま車検を取って乗れる」と書かれていて
画像は夜に撮ったピントの甘い不鮮明な画像
届いてみたら手に負えず修理依頼が来たがいざ預かってみると
ブレーキレバーは無い、バッフルは入っていないし、状態最悪
完全に詐欺状態の車両
実際見積もるとかなりな額になるため
その車両下取りで当店に有った委託車両の購入を勧めた
その委託車両は現在では別のオーナーさんに代わり
3世代で当店で面倒を見ています。

自分でメカに自信が有ってもなるべく状態の良い車両を購入すべき
また、金額に目がくらんでいじれもしないのに安い車両に飛びつきドつぼにはまる人も居ますが
少し我慢してお金を貯めてなるべく状態のよい車両を購入すべき
初期投資と考えレストア済みの車両の購入もひとつの方法
ただし、O/Hやレストアの定義は決まっていないので内容を良く聞くことが肝心




やっちまった

2019-08-13 10:00:00 | ノンジャンル
早起きして3時間掛けて書いたものが一瞬で消えた

昨年11月に買ったPCが次第に不調になりここにきてどうにもならなくなったので友人に修理を頼み
その前に使っていたPCを引っ張り出して使っているが
立て続けにクリックしたり動作中に再びクリックしたりするとパニックするようで動きが停止するで「Internet Explorerは動作を停止しました」と出て画面を閉じてしまう
そんなことが立て続けにあったので
逐一バックアップするようにしていたが
すっかり忘れていた

あぁ時間がもったいない

今日はこれから墓参りです。



某インターネットオークション購入車両(前編)

2019-08-12 18:31:00 | ノンジャンル
やっと夏休み突入
土曜日までは可能な限り車両を仕上げなくてはと
ブログを開くこともなく仕事に邁進

日曜日は休み前の最終日とあって
お客様が入れ代わり立ち代わり

夏休み初日の今日は
早起きして庭の草むしりをして
その後は店の床のペイントの剥がれた部分の補修
車両、荷物を外に出して
プライマー塗って乾燥に2時間~
上塗りして乾燥に2時間~
二度塗りするのでさらに2時間~
乾燥している間なにもできないので
溜まったネタの消化をしましょう


NetShop利用者から予約修理のオファーを戴いた

キャブレターのO/H+インシュレーターマニホールドの交換
タイヤ交換
チェーン、スプロケの交換
エキゾーストスタッドボルトの交換

キャブレターのO/Hに関しては
一度お越しになって代替品と交換してキャブレターをお預かりするのだが
チェーンの状態が悪く切って処分したので走れる状態ではないという
ウチの場合は「じゃぁ引き取りに行って預かって」と安易に云うことはできない
では、自力でキャブレターを外して持ってきていただく提案をした。
すると自分でO/Hするというので
出来上がるまで予約は保留

しばらくして出来上がったと連絡が来たので
作業日を決めるが
キャブレターのアームのボールジョイントが剥がれて1カ所スロットルバルブが動かないという
(なにやらかした?)
万一のことを考え
土曜日の夜預かって翌日曜の昼過ぎまで
という内容で予約を受けた。

果たして当日土曜日の夜に陸送で届いたCB350Fは状態があまりよろしくない

ヨーロッパ車の為ナンバーブラケットが特殊で日本のナンバーが付かない
リプロのナンバーブラケットが持ち込まれた
(要フェンダーの穴加工)

キャブレターを確認

本当だ#4のアームが動いていない

お客様にはこれから始めても翌日の昼には無理かもしれないので翌朝におおよその完成予定をお知らせしますとお話しした。

また、自分でできることは自分でやりたいとのことで
ウチで引き渡しができる最低限での作業ということにした。

さっそく粗探s....不具合箇所探索

タンクの中は.....シルバー色しているがコーティング?

いや、錆の上にシルバーの缶スプレーが塗ってあるだけ

底にも錆が見えますので絶対リザーブにしないようにアドバイスしなくちゃ
タンクの天井は.....

やっぱりね

メーターもおなじみ

メータークッションが潰れてリジット状態
メータークッションが劣化するとガタガタ動くようになるが
体裁が悪いのでカラーを抜いてぐいぐい締めあげる

ただ、一カ所は緩んで浮いていた
トリップノブのブーツも無くなっています。


さて、シートを開けると
クッションラバーが居ないし

シートロックバーのクッションラバーも終わっています

っていうか、至る所ゴムの上から黒の缶スプレー吹いていて
ゴムパーツ全滅しますよ

エアクリーナーのスプリングが何故こんな状態???


あれ?バッテリーのブリーザーチューブが居ない!?

バッテリー液は希硫酸、滴ったところは侵されて錆びてしまいます。
あ、居た

なんとスイングアームの上に落ちていました。
エアクリーナーチャンバーの後ろのバンドも落ちています。
(キャブO/H時に落としたな)

IGコイル、一カ所ハイテンションコードの根元のゴム被膜が切れていて芯線が見えています

これはリークするのでやばいでしょう
お客様には早急にIGコイルを交換するよう具申して
この場は液状ガスケットで応急処置

ブレーキホースにヒビを発見

これも交換を促した

あれ?ディスクカバーが妙にオイルっぽいな

メッキのカバーの下側を触ると濡れてるし

反対側は...

要フォークシール交換ですね
オイルがディスクに伝ってパッドにも付着しています。
フルード漏れでパッドが濡れた時同様にブレーキの制動力が著しく低下します。
これは優先順位1、早急に処置するよう指示

ドリブンスプロケット、ここまで使ったもを見るのはのはフォアでは初めてかな

カブはカバーされてて見えないのでよくありがち

エンジン左側おびただしいオイル漏れ

Lカバー内すべてのOリング、オイルシールから漏れています。


念のため油量を確認

運行前点検項目ですよ!!

スイングアームピボットナット部におかしなものを発見
内側に入るべきキャップがナットのワッシャー代わりに使われている??

この厚み分スイングアームが横方向に動きます

酷いな
挙句、ナットは締まっていない(セルフロックナットなので外れはしないが)
これも早急に対処するよう具申しました。

こんな車両でも予備検取って販売するのですから
いいかげんなものです。

この夜の時点で、お客様には翌日曜日は夕方まで時間が欲しい
目途が立ったら連絡するとお伝えして
お客様から指示のあった作業のみを進めることに

つづく

車検車両その後

2019-08-06 09:13:00 | ノンジャンル

預かり中の「ギアの入りが悪い「」車検車両
詳細には
信号待ちなどでニュートラルを出しづらい
ロー、セカンドから動かないといったもの
ミッションシャフトが動いて入ればスムーズに動く
「止まる直前でニュートラルに入れれば」」とか
「半クラ当てて少し動かせば」と言われそうだが
全車がそういうわけではないので時間を頂いて検証中

とりあえずシフトリンク周りの部品を交換してテスト
わずかな曲がりで不具合が出ている可能性を考える
中古ではあるがシフトスピンドルを交換して試乗

この陽気なら昼間に少し走ればすぐに100℃に達するので確認が容易
(人間には拷問だが)
結果は100℃ちょうどでニュートラルに入らなくなった

次にポジティブストッパーも換えて同様に試乗

これも全く同様

ここでとん挫

そんな中お客様から有力情報を得た
純正S9を使っていた時にそんな症状が時折あったが
MOTUL 7100に換えてから無くなったという

オイルに依存するのもいかがかと思ったが
このエンジンは以前ウチでフルO/Hしているので
全合成のオイルを使っても問題無いと判断し投入


土日は予約作業と来客があり試乗ができず
明けて月曜に試乗
すると100℃超えてもスコスコ入る
更に頑張って走って120℃までもっていった

それでも同様に問題なく入る

もう少し試乗して問題無ければこれでお返しできるかな

ただし、ジャダーが発生しているので
スピンドルとポジティブストッパを戻しがてら
クラッチディスクスプリングも交換しましょう

120℃くらいになるとキャブレターも熱くなる

パーコレーションか信号待ちでストンと止まることが多くなる


コメント (2)

長期預かり車検車両

2019-08-04 20:39:00 | ノンジャンル
木曜日のエコーの検査と採血
正式な結果は月末の内視鏡検査の結果と一緒にという
悠長な病院だ
エコーの検査担当のドクター?技師?は
画面見ながらチクチク
「お酒飲んでる?たくさん飲んでる?」
「(^^;)」
「甘いもの好き?」
「ドキッ!(^^;)」
「血圧高いでしょ?動脈見れば判っちゃうんだよね~
すぐにでも薬飲んだ方が良いよ」
「ドキドキ(^^;)」

結果が待ち遠しい....









7月半ばに預かった車検車両
油温が100℃超えるとギアの入りが悪くなる

毎回車検で言われていたがこれという結果も出せずにお返ししていたが
今回は時間を頂いてじっくり考察

預かっているうちに車検が切れてはいけないので
適当なところで車検整備
地元のショップで組んだというキャストホイール
バランスを取っていないのでバランス取り
と、ホイールを外し先にベアリングのチェック
指を突っ込みまわすとベアリング内輪が動かない


なんだぁ?ベアリングの打ち込みすぎか?

リテーナーを外さないと分からないので
4個のナットを緩めようとしたら
すんげぇ固い
こんな8mmボルト/ナットをどれだけオーバートルクで締めているのか

6角のソケットでなんとか外した

角が舐めかけているのでナット交換だ

そしたら動くようになりました


何故か?

ノーマルハブはボルト穴は無垢状態に穴が開いている
キャストは中空部分をボルトが通るため

過大トルクで締めれば変形する
なんでもそうだが規定トルクで締めるもの

もちろん、ベアリング内輪は抵抗なく回ります

で、バランス取り

見た目の問題でバランス取りを拒否する人も居ますが
高速道路を走る車両なら必須でしょう
ウチはタイヤ交換ではもれなく行います。

次はリア
あれぇロックピンが逆向き

ロックピンの口が空いてる方は後ろ向きが基本
前に向けた場合、何かに引っ掛けたら外れてしまいます。
ドライブチェーンのクリップと同じ考え

こちらはベアリングに問題無し


集合管を付けた際に使用するセンタースタンドストッパー
この車両の場合は位置関係がずれている

ストッパーラバーも切れてしまっている
すっぽ抜けてしまうことがある

そこで、作ったのが


これならしっかりとセンタースタンドを受け止めます



試乗も兼ねて自走で車検場へ

これ以外と役に立つなぁ