テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

新年度が開始されました。エデュコ流を再確認します

2022-04-18 20:35:23 | 中学受験

 2022年度が始まり、子どもたちも新しいステージで飛躍しようとしています。エデュコ29期生(22年度新中学生)たちも新しい制服に身を包み、来校してくれました。すべての子が生き生きとした輝きを見せて、「頑張って入学した学校こそ、一番いい学校だね」と実感させられる時です(個人的には、新しい制服を纏った子どもを見て、役割の一つを終えたという実感がわいてきます)。

 毎年、入試が終わると各校問題の確認、難易度の確認、各教科の傾向確認等を行うとともに、国語の素材文の確認を行うのですが、異なる観点で気になる小説=朝比奈あすか『翼の翼』(光文社、2021)があったので、やっとこの週末(今年に入って初めての休日)を利用して一読しました。
 朝比奈さんと言えば、入試問題頻出作家とも呼ばれ、『君たちは今が世界(すべて)』(角川文庫、2019)は、2020年入試において10校を超える学校で出題された方です。
 本書(『翼の翼』)には、周りの保護者に振り回される母親、インターネット掲示板に吸い込まれる母親、クラス分けテストや偏差値に惑わされる母親、親の期待に応えたいとする健気な子ども、親からの圧力に耐えきれず答案用紙を改ざんするこども、家を飛び出す子ども、子どもに寄り添うのではなく理想を突き付けるだけの父親、共通理解の持てない義父母等、実際に中学受験生(家族)に関わる問題点が現実と変わりなく描かれています。
 それもそのはず、朝比奈さんは二人の子ども(長女・長男)の中学受験を経験された方のようで、実録とは言えないまでも、仮想ではなく現実を知る(知った)立場で、中学受験の問題点を指摘されていると評価できるでしょう。
 多くの示唆に富む本書は、どんな講演者よりも雄弁に思えます。視野狭窄に陥る前に、経験者からの伝承として受け止めておきたい内容です(お勧めします)。

 そして、朝比奈さんの問題指摘とも照らして、改めてエデュコ学習の理念・狙い・利用価値、すなわち「エデュコ流」を確認してみましょう。エデュコ会員・保護者には自信を持ってもらいたいです。
1:エデュコには、クラス分けテストがありません。
→エデュコが子育てとして、一番こだわることは、すべての子を「自己肯定感情を持つ子にする」「自信をどんどん獲得する子にする」ことです。ですから、エデュコのクラス選択は、第一に、本人・ご家庭の希望によるものです。簡単に言えば、子どもの思いを絶対に否定しないということにほかなりません。

2:エデュコの授業内容はクラス名に忠実に実行します。
→1のように言えば、きれいごとであったり、弱小塾の言い訳のように聞こえることでしょう。授業内容はクラス名に忠実に実行します。つまり、「御三家」と名がつけばそのレベルの力量をつける内容、「名門」と名がつけば予習シリーズレベルの問題を解ける内容になります。そうでなければ、保護者に対する裏切りになります。

1,2をまとめて言えば、授業で〇をもらえなくても、頑張れる気持ちがあればいいということです。クラス選択の基準は人それぞれです。ある子は「御三家に参加して〇が一つももらえないけど、説明を聞いてわかることが楽しい。改善記録ノートを作成して力をためたい」といえば、またある子は「半分くらいは正解したい。そのうえで、残りを課題として改善記録ノートを作るやり方がいい。だから名門クラス」とも言います。保護者の学習観・子どもの実感に合わせて、クラス選択をしてください。

3:エデュコ生の多くは6年生「合不合判定テスト」を経験するまで、自分の偏差値を知りません。
→エデュコ生の多くは、6年生になるまで対外的なテストを受けることもなく、偏差値とは無縁の活動を送っています。これは、私自身が偏差値という格付けを、発達途上の子どもに押し付けたくないという思いもありますが、何より実力評価は本人の学習作業の質(さらに言えば本人の自己評価)でしか測れないという思いがあります。
 仮に、私が少年野球のコーチだとすれば、子どもの力量を打率で評価はしたくありません。「監督の言う通り、転がしたら野手の間を抜けてヒットが打てた」というより、「いい感じで振り抜けた。外野手にとられたけど、飛ばすコツがわかった気がする」というほうが、子どもにとってはうれしいに違いありません。
 教科学習にあてはめると、「わからないけど、やり方を守ったら解けた」というより、「僕・私の考え(判断)で、自信を持って解けた」ほうが、間違いなく実力向上につながります。ですからエデュコ学習の「評価基準」は「ノート作業力」なのです。エデュコの合言葉は「勉強上手になろう」であり、私が頻繁に意図して口にするのは「勉強は、頭の良し悪しではない。下手のままか、上手になるかだ!」というものです。
 
 こう書けば、「井の中の蛙」集団と酷評されそうですが、エデュコ創業以来(29年間)、いわゆる最難関校に合格者が出なかった年は1回もありません。今年の新6年生(30期生)の合不合判定テスト(4月実施)では、男子の平均偏差値がすでに50を超えました(女子はもう少し時間が必要)。
 「すでに」というのは、小規模なエデュコ集団を会員数でみると、3年生で10名位、4年生で40名位、5年生で60名位になる集団で、受験学習への取り組みとすれば、決して早い方々の集団ではないからです。これから、偏差値という指標もどんどん向上すると踏んでいます。

4:授業に増して「個人面談」が大切です。
→そもそも「エデュコ」は、「Education Conference(教育会議)」というテーマ・コミュニティのイメージとラテン語で教育(education)の原義とされる「educo」を重ねる思いで命名しました。エデュコスタッフを、「子どもを取り巻く隣人」と定義して相談にいらしてください。
 「あれをやれ、これをやれ」というのは簡単で、大人の身勝手です。「できることは何か」「優先順位はどう付けられるか」を話し合いましょう。エデュコ生の中にも「保護者からの圧力」に耐えている子がいます。「夢のある受験活動」を「教育虐待」に貶めてはなりません。
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