7月9日~15日の期間、全会員へ「5㎜方眼罫(10㎜マス)ノート」を配布いたしました。これまでエデュコでは、体験授業などに参加される際に、必要な道具としてごく一般的なキャンパスノートを1冊ずつ差し上げてきました。
その目的は、ノートを持参されずに体験授業にいらっしゃる方を念頭に用意したもので、決してエデュコが推奨する意図で差し上げているものではありませんでした。今回を機に、エデュコが推奨するノートモデルを表明することとするものです。
改めて、中学受験学習における実践的な視点で、どのような市販ノートが便利に使えるかを確認してみましょう。
第一の視点は、算数の「図形作成・線分図作成」です。エデュコでは、図形の構成をきちんと理解するために、「作図力を上げる」ことににこだわっています(個人的には、図形をかけなければ図形は読めない、図面をかけなければ図面は読めない、と考えています)。子どもたちの作図力の現状は、長方形・正方形すらうめく描けない子どもも少なくありません。
このような場合、定規・コンパスの活用をお勧めするのですが、6年生になれば、立方体・直方体・複合図形まで、フリーハンドで書けるようになることが求められます。それぞれの図形を「らしく」書けるためには、「方眼罫」を利用しない手はありません。
第二の視点は、算数の記述的な解答技法としての「文字や数式のレイアウト」です。常々、「式・計算・論証(説明)いずれも、しっかり他者が分かるように大きく書こう」と勧めるのですが、子どもたちにしてみればバランスが取れないことから、1問の処理を1ページで終えられない例も少なくありません。
このような場合も、「10㎜マス」を上手に利用して、整った解答様式に近づけることが可能と言えます。
第三の視点は、国語の記述解答に対応できる安定的な「書き方」です。このためには、縦書きの方眼掛10mmで22マスか、方眼罫8mmで28マスが有用だと思われます。
こういえば、「低学年じゃあるまいし・・・」という声が聞こえてきそうですが、中学入試における文字数指定の記述解答様式のほとんどは、1行20マスなのが実態です(極稀に25マスの学校が見受けられます)。また、マス目のない縦行だけの解答スペースを用意する学校でも、2行~4行のスペースが多く、解答文を40~50字以内に想定する場合は2行、80字以内なら4行使用ということになるでしょう。
方眼罫10mmで22マス…20マスルールにして使用、方眼罫8mmで28マス…25マスルールにして使用、マス目のない解答様式にはどちらでも可としていいのではないでしょうか。
第四の視点は、漢字の「例文練習」と「書き取り文字」の大きさです。このノートも漢字罫1行15マスノートをお勧めします。
入試問題の漢字書き取りに求められる文字の大きさは、この15マスノートに記入する際の大きさが最も小さいレベルと指摘できます。曖昧模糊ではなく明確な漢字を練習する意識を持ちたいものです。
また、エデュコでは四谷大塚出版の『漢字とことば』を漢字練習教材とし、例文を書いて練習することをお勧めしています。これは、漢字そのものの習得よりも、使用例に触れて漢字の意味を捉えて語彙として修得し、思考のツール・表現のツールを増やすことを目的としています。ちなみに、『漢字とことば』の例文は10~13文字で構成されており、15マスノートがうってつけと言えるでしょう。
他、グラフ作成がある理科においては算数と同種のノートを、社会は、国語と同種のノートを横書きで使用することをお勧めします。
エデュコスタッフ・保護者の責務は、子どもたちの学習体制の枠組み整備が第一と言えます。中学受験学習の目的である、個々の安定的な学習スタイルの獲得と志望校への合格を念頭におけば、学習しやすいノート、実践に通用するノートにこだわっていいでしょう。
かわいらしいノート、高級なノートではなく、機能的なノートにこだわりましょう。