青空文庫。
著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、ボランティアの方々が電子テキスト化した書籍です。無料でダウンロードして読めます。
週末、何故か中島敦の「悟浄歎異」が急に読みたくなり、書架に鎮座している筑摩書房刊の中島敦全集第1巻を引き出そうとしたとき、
「まてよ、iPhoneで読めないのか?」という考えが頭を過ぎりました。
ネットで調べてみると中島敦は青空文庫に27編(下リスト)がアップされています。
すべてiPhoneのアプリ、SkyBookで読むことが出来ます。
書架の中島敦全集第1巻には○がついている作品が載っていました。
青空文庫よりすくない!?
そして厚さ5cmの紙のブロックの重さは1.2kg!
和歌でない歌 (旧字旧仮名、作品ID:43043)
盈虚 (旧字旧仮名、作品ID:4336)○
盈虚 (新字新仮名、作品ID:24438)○
河馬 (旧字旧仮名、作品ID:43813)
かめれおん日記 (旧字旧仮名、作品ID:24443)○
環礁 ――ミクロネシヤ巡島記抄――(旧字旧仮名、作品ID:24444)○
環礁 ――ミクロネシヤ巡島記抄――(新字新仮名、作品ID:46429)○
狐憑 (旧字旧仮名、作品ID:618)○
牛人 (新字新仮名、作品ID:1742)○
鏡花氏の文章 (新字新仮名、作品ID:24441)
夾竹桃の家の女 (新字旧仮名、作品ID:4879)○
悟浄出世 (新字新仮名、作品ID:2521)○
悟浄歎異 沙門悟浄の手記(新字新仮名、作品ID:617)○
山月記 (旧字旧仮名、作品ID:623)○
山月記 (新字新仮名、作品ID:624)○
弟子 (新字新仮名、作品ID:1738)○
斗南先生 (新字新仮名、作品ID:1741)○
虎狩 (新字新仮名、作品ID:24439)○
南島譚 01 幸福(新字新仮名、作品ID:619)○
南島譚 02 夫婦(新字新仮名、作品ID:43044)○
南島譚 03 鶏[#「鶏」は「奚+隹」、第3水準1-93-66](新字新仮名、作品ID:43045)○
光と風と夢 (新字新仮名、作品ID:1743)○
名人伝 (旧字旧仮名、作品ID:620)○
名人伝 (新字新仮名、作品ID:621)○
文字禍 (新字新仮名、作品ID:622)○
李陵 (新字新仮名、作品ID:1737)○
狼疾記 (新字新仮名、作品ID:42301)○
早速ダウンロードしてiPhoneで読んでいます。
フォントも好ましくページ送りも楽!
「悟浄歎異」の小生の好きなフレーズです。
夜。俺は独り目覚めている。
今夜は宿が見つからず、山蔭の渓谷の大樹の下に草を藉いて、四人がごろ寐をしている。一人おいて向こうに寐ているはずの悟空の鼾が山谷に谺するばかりで、そのたびに頭上の木の葉の露がパラパラと落ちてくる。夏とはいえ山の夜気はさすがにうすら寒い。もう真夜中は過ぎたに違いない。俺は先刻から仰向けに寐ころんだまま、木の葉の隙から覗く星どもを見上げている。寂しい。何かひどく寂しい。自分があの淋しい星の上にたった独りで立って、まっ暗な・冷たい・なんにもない世界の夜を眺めているような気がする。星というやつは、以前から、永遠だの無限だのということを考えさせるので、どうも苦手だ。それでも、仰向いているものだから、いやでも星を見ないわけにいかない。青白い大きな星のそばに、紅い小さな星がある。そのずっと下の方に、やや黄色味を帯びた暖かそうな星があるのだが、それは風が吹いて葉が揺れるたびに、見えたり隠れたりする。流れ星が尾を曳いて、消える。なぜか知らないが、そのときふと俺は、三蔵法師《さんぞうほうし》の澄んだ寂しげな眼を思い出した。
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こんなことばかり書いていると、「文字禍」の主人公ナブ・アへ・エリバのように書架が崩れ落ちてくるかな?