偽装告発の反撃 倉田真由美
二〇〇七年を表す漢字が「偽」。特に食品偽装の問題が大きく取り上げられた年だったが、先日とある番組で共演した作家がこんな話をしていた。「食品偽装なんて、最近始まったことじゃない。昔からあっただろうし、今までは露見しなかっただけ。発覚するようになったのは、非正社員が増えて会社への忠誠心を持ちにくくなったことが大きいでしょう」
さらに彼は、偽装について「由々しき問題だ」と渋面をつくるコメンテーターが多い中、「僕らが子供のころは、もっとひどいものを食べさせられていましたした」と、鷹揚だった。問題を起こした対象に対し、ひたすら強く非難するのが最近の風潮だが、こういう意見は面白い。
実際、私も「そんなに大騒ぎするほどのことかな」と思っていたので、共感できる部分が多かった。シューマイの原材料で玉葱が貝柱より多かろうが少なかろうが、どうでもいいとしか思えない。非を許さずどんどん神経質になっていく、この国の行く末が不安だ。
重要なのは、作家の指摘にもあった、非正社員が増えたことによる問題のほうだ。内部告発は、会社に労働力を吸い上げられ、保障という形で守られない者の反撃ともいえる。会社と雇用者、お互いを信頼できない現状は決して美しいものではない。賞味期限うんぬんより、人材を使い捨てする会社の姿勢こそ、改善してほしいものである。
(漫画家)
二〇〇七年を表す漢字が「偽」。特に食品偽装の問題が大きく取り上げられた年だったが、先日とある番組で共演した作家がこんな話をしていた。「食品偽装なんて、最近始まったことじゃない。昔からあっただろうし、今までは露見しなかっただけ。発覚するようになったのは、非正社員が増えて会社への忠誠心を持ちにくくなったことが大きいでしょう」
さらに彼は、偽装について「由々しき問題だ」と渋面をつくるコメンテーターが多い中、「僕らが子供のころは、もっとひどいものを食べさせられていましたした」と、鷹揚だった。問題を起こした対象に対し、ひたすら強く非難するのが最近の風潮だが、こういう意見は面白い。
実際、私も「そんなに大騒ぎするほどのことかな」と思っていたので、共感できる部分が多かった。シューマイの原材料で玉葱が貝柱より多かろうが少なかろうが、どうでもいいとしか思えない。非を許さずどんどん神経質になっていく、この国の行く末が不安だ。
重要なのは、作家の指摘にもあった、非正社員が増えたことによる問題のほうだ。内部告発は、会社に労働力を吸い上げられ、保障という形で守られない者の反撃ともいえる。会社と雇用者、お互いを信頼できない現状は決して美しいものではない。賞味期限うんぬんより、人材を使い捨てする会社の姿勢こそ、改善してほしいものである。
(漫画家)