コンビニでこの本を手に取ったときは買うつもりはありませんでした。よく見かける忍者大百科みたいな図解本で、とくに目新しい内容ではあるまいと思っていたので。
パラパラッとページをめくってみると何か非常に見やすく読みやすそうな雰囲気。軽やかなイラストと写真、ページ・レイアウトもいい感じ。文字サイズも見やすい。そして私がちょうど調べたいと思っていた、火術・火器についてもけっこう詳しく解説されている。さらに現在私が描いているウェブコミック【時空マジシャン】の舞台である天正伊賀の乱当時の伊賀の勢力分布図も載っているではありませんか。
というわけで【決定版】忍者・忍術・忍器大全(学習研究社)購入決定!
これまで私の忍者関連の資料としては、【果心居士の幻術(司馬遼太郎)】や【忍びの者(村山知義)】などの小説が主なものでした。あとは必要に応じてその都度調べて...というような感じです。
先ほど火術・火器について調べたかったと書きましたが、時空マジシャンに登場する忍者ゲンの得意技は火術です。実際にその当時の忍者がどのような火術や道具を使用していたのか、という知識を仕入れてからゲンらしい火術にイメージを膨らまそうというわけです。
上の一コマ漫画は、ゲンが火薬の原料である硝石を製造中、干草に糞尿をまく作業を妹のアヤに手伝わそうとして断わられるの図です。ププッ(^m^ )
火薬の原料は硝石・硫黄・炭ですが、日本では硝石が産出しないので、輸入する以外は自作するしかなかったんですね。忍者にはその製造技術があったようです。糞尿の中のアンモニア、硝酸バクテリア、土中のカルシウム等が化学反応を起こして硝石が取れるまでには、なんと三年もかかったそうな。(この本には硝石抽出法が詳しく書かれているわけではなく、他にもインターネットなどで調べました)
上の一コマ漫画のようなイメージがわき上がってくる資料が私は好きですね。執筆・監修者の一覧を見ると、尼子騒兵衛の名がありました。だからかΣ(゜Д゜;)ガッテン!!...なわけない!?
尼子騒兵衛は、ご存知!アニメ忍たま乱太郎の原作【落第忍者乱太郎】の作者です。乱太郎の舞台は忍者学校ですから、生徒達の授業物語を描くためにはさまざまな忍者道具や修行法についての知識が必要でしょうね。
それから飢渇丸や水渇丸などの忍者食の作り方は、料理レシピのように写真入りで載っています。ここでも一コマ漫画のイメージがわいてきました。
飢渇丸を実際に食して「まだ熟しきっていないバナナの味に近い」と執筆者(編集者?)が感想を述べています。また取火方(とりびかた)という火器を実験中に、スタッフの腹部を火の塊が直撃、あわや惨事になりそうだったというエピソードが載っていたりして、単に古い秘伝書を読み解いただけでなく歴史の闇に眠る忍者に血を通わせようとするスタッフの熱意が感じられました。
私の机の上に積んでおいて、ちょくちょく手に取る一冊になりそうです。