さて、予告通りにもう一冊な第525回は、
タイトル:そして扉が閉ざされた
著者:岡嶋二人
文庫名:講談社文庫
であります。
岡嶋二人の長編ミステリです。
ある日突然、地下シェルターに閉じこめられた四人の男女の姿を描きます。
毛利雄一は堅い床の上で目覚めた。
最後の記憶は、亡くなった三田咲子の母・雅代と会った所まで。
話の途中で意識が途切れ、気づいた時にはここ――地下シェルターの中だった。
そこには、他にも三人の男女がいた。
雄一も含め、三ヶ月前、咲子が死んだ日に集まっていたメンバーである。
雅代と会った際に意識を失ったこと、その間にここに連れてこられたこと、それ以外何も解らないこと、すべてが雄一と同じだった。
出口を求める最中、四人は雅代の目的について思考を巡らせる。
咲子の死は事故だった……少なくとも、警察はそう処理した。
だが、ここにいる面々を出口のない場所に閉じこめたという事実は、雅代がそれを信じていないことを如実に物語っている。
追いつめられた状況の中、互いに互いを糾弾する不毛な議論が進行していく。
その間にも脱出するための努力を続けるが、壁は強固で厚く、ようやく発見した別の部屋には新たな謎があるばかり。
咲子は何故死んだのか? 誰かに殺されたのか? この中に犯人はいるのか? 疑心暗鬼の中、四人は物理的な出口と精神的な出口両方を求めて迷い続ける――。
いきなり、映画『キューブ』や『ソウ』を思わせるシチュエーションです。
こーゆー話は大好きなので、一気に引き込まれてしまいました。
別に血が出たりはしませんが、出口がないという圧迫感はかなり上手く描かれています……実際そういう目に遭いたいとは思わないけど。(笑)
無論、状況に頼るだけの話ではありません。
四人の性格の書き分けをきっちりやってくれているので、疑似裁判物のような会話が非常に上手くはまっています。
事件当日の行動もかなり、らしい、というか性格そのまんまで、勘のいい人ならオチもそれで読めるかも。
(実はこの人はこんな性悪な奴だったんだよ~、という反則技がないのもいい)
ミステリとしては回想型で、故人との絡みをベースに、各人の当日の行動が次第に明らかになっていくというタイプ。
非常にシンプルなタイムテーブルで話が進んでいくので、時間計算しない面倒くさがりの私でも大筋の流れは楽につかめました。
ちなみに、いくら推理しても解決できない問題があったのですが、ラストでそれが一瞬にして氷解します……これは結構凄いかも。
特筆すべきは、各人の行動が非常に自然なこと。
途中、メイン四人の表裏が明らかになりますが、そこに読者の想像の範疇を超える異常な行動は一つもありません。それどころか、この舞台の仕掛け人である雅代の行動も非常に理に適っています。
こういう、自然な行動が重なって一つの謎を作ってしまうミステリって好きですね~、特に大仰な仕掛けがなくても十分楽しい。
非常に出来のいい密室劇です、オススメ。
趣味だけで言うなら、『クラインの壺』より好きかも……謎も完全に解けてるし。
――【つれづれナビ!】――
◆ 『岡嶋二人』のまとめページへ
◇ 『つれづれ総合案内所』へ
タイトル:そして扉が閉ざされた
著者:岡嶋二人
文庫名:講談社文庫
であります。
岡嶋二人の長編ミステリです。
ある日突然、地下シェルターに閉じこめられた四人の男女の姿を描きます。
毛利雄一は堅い床の上で目覚めた。
最後の記憶は、亡くなった三田咲子の母・雅代と会った所まで。
話の途中で意識が途切れ、気づいた時にはここ――地下シェルターの中だった。
そこには、他にも三人の男女がいた。
雄一も含め、三ヶ月前、咲子が死んだ日に集まっていたメンバーである。
雅代と会った際に意識を失ったこと、その間にここに連れてこられたこと、それ以外何も解らないこと、すべてが雄一と同じだった。
出口を求める最中、四人は雅代の目的について思考を巡らせる。
咲子の死は事故だった……少なくとも、警察はそう処理した。
だが、ここにいる面々を出口のない場所に閉じこめたという事実は、雅代がそれを信じていないことを如実に物語っている。
追いつめられた状況の中、互いに互いを糾弾する不毛な議論が進行していく。
その間にも脱出するための努力を続けるが、壁は強固で厚く、ようやく発見した別の部屋には新たな謎があるばかり。
咲子は何故死んだのか? 誰かに殺されたのか? この中に犯人はいるのか? 疑心暗鬼の中、四人は物理的な出口と精神的な出口両方を求めて迷い続ける――。
いきなり、映画『キューブ』や『ソウ』を思わせるシチュエーションです。
こーゆー話は大好きなので、一気に引き込まれてしまいました。
別に血が出たりはしませんが、出口がないという圧迫感はかなり上手く描かれています……実際そういう目に遭いたいとは思わないけど。(笑)
無論、状況に頼るだけの話ではありません。
四人の性格の書き分けをきっちりやってくれているので、疑似裁判物のような会話が非常に上手くはまっています。
事件当日の行動もかなり、らしい、というか性格そのまんまで、勘のいい人ならオチもそれで読めるかも。
(実はこの人はこんな性悪な奴だったんだよ~、という反則技がないのもいい)
ミステリとしては回想型で、故人との絡みをベースに、各人の当日の行動が次第に明らかになっていくというタイプ。
非常にシンプルなタイムテーブルで話が進んでいくので、時間計算しない面倒くさがりの私でも大筋の流れは楽につかめました。
ちなみに、いくら推理しても解決できない問題があったのですが、ラストでそれが一瞬にして氷解します……これは結構凄いかも。
特筆すべきは、各人の行動が非常に自然なこと。
途中、メイン四人の表裏が明らかになりますが、そこに読者の想像の範疇を超える異常な行動は一つもありません。それどころか、この舞台の仕掛け人である雅代の行動も非常に理に適っています。
こういう、自然な行動が重なって一つの謎を作ってしまうミステリって好きですね~、特に大仰な仕掛けがなくても十分楽しい。
非常に出来のいい密室劇です、オススメ。
趣味だけで言うなら、『クラインの壺』より好きかも……謎も完全に解けてるし。
――【つれづれナビ!】――
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って思ってたらその通りだったようで…
自然な行動で書かれたミステリは非常に好感が持てますよね。
読んでみようっと
ほとんど情報がないと言うことと、自力で出られない(と思われる)とこまで。
こちらを狙う死の罠とかは出てきませんが、充分嫌な状況です。(笑)
表面こうだけど裏は、とか、この時だけなぜかこういう行動を取った、とか、与えられた情報では想像できないミステリって嫌なんですよ~。その意味で、自然な行動、納得できる行動だけで組み立てられた話って非常に好きです。
文句なしにオススメです、長さもほどよい感じですし。