つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ちょいとこれは……

2008-03-06 19:02:55 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、前紹介してからそんなに経ってないよなぁの第952回は、

タイトル:月光スパイス
著者:斎藤けん
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'08)

であります。

鈴:なんか微妙に方向性が偏ってきて、実は読者から引かれてるんじゃないかと心配してる小心者のLINNで~す。

扇:君の方向性が偏ってるのは初回からずっとぢゃないか、と優しくフォローするSENでーす。

鈴:何を言っている。
このブログをやらんかったらミステリなんぞ一顧だにせんぞ。
ただ、な~んか最近微妙に萌えに走ってる気がせんでもないかもしれないのだろうかな? ってありんこの足先くらい思っただけだぞ。
それに、それってぜんぜんフォローになってへんし。

扇:あー、それはあるかも知れんが……だったらついでに海外作品も読めよ。
海外作家一覧埋めてるの俺だけぢゃねぇか!
微妙にどころか、電撃文庫読み始めてから、お前さん萌え系に走りまくってるぞ。
フォローじゃない? ならアゲインストだな。ちなみに、左側は海、右側はバンカーだ。

鈴:海外作品……あれは訳文が受け付けないからダメだな。
と言うか、いままで何度か手を出したことはあるが……一度たりとも読み切ったことはない!(自慢)
でも、電撃というか、けっこういわゆるラノベ黎明期(ロードスとかの時代)からずっと読み続けてるから、その傾向はあったんだよねぇ。
つか、もうここまで来てるからいまさらだけど、基本オタだし(爆)

扇:何の自慢にもならんわっ!
駄目だな~リンリンは。それだから胃の中の河津掛けと言われるんだぞ。
ゴシック・ホラー読め! ハードボイルド読め! ついでにハーレクインも読め! 俺は全部遠慮するけどな!
基本オタだし……って、こういうブログ書いてる時点でそれはもう周知の事実だらう、俺は違うけどな!

鈴:あ、やっぱならんか、ちっ……。
さておき、胃の中の河津掛け……そうなるとどっかの貴ノ浪ってのしか思い浮かばないんだよなぁ。
いい身体してたのに、うだつの上がらん力士だった……(遠い目)
しかし、ホラーやハードボイルドはいい。
だが、ハーレクインなんぞ誰が読むかいっ!
つか、読め、っつーんなら先に読んで記事にしたら私も読むぞ。
たぶん、耐性付きの私でもさぶいぼ発症して悶えまくりそうだけど(笑)
だが、こういうブログ書いてる時点で……って自分だけ違うってのは無理やと思うぞ(素)

扇:貴ノ浪って誰?(素)
いや、ハードボイルドも結構きてると思うぞ。
バーボンとトレンチコートとコルトパイソン、んで、ヒロインにデリンジャー、後はやられ役のチンピラさえ出てくれればオッケーという男が自分に酔うための物語(偏見?)だから、お前さんなぞひとたまりもあるまい。
まぁ……俺もはっきり言って遠慮したいが。

鈴:まぁ、わからんならいいや>貴ノ浪
しかし、ひとたまりもないっつーか、ベタな恋愛とか、お約束な展開とか、そういうのはぜんぜん……とは言わないまでも、耐性はあるが、そのハードボイルドのお約束展開には、さすがにさぶいぼどころか、拒否反応出そうだな。
……そういや、その手の作品はいままで記事にしたことないんじゃかったか?
お互い。

扇:解説本なら、俺が一応ネタにしたぞ。(→過去記事
まーなんつーか、この手の話の主人公って、存在自体がギャグだよな。
家賃滞納してても追い出されないし、いつも金欠なのに餓えてる感じはしないし、組織と事を構えても次回作では何事もなく事務所で仕事待ちしてるし、事件には必ず美女が付録で付いてくるし……世界は、君が格好付けるために存在するんだね、きっと。(毒)

鈴:ギャグって言ってやんなよ、そういうのが好きなのがいるんだからよ!
まーでも、家賃だの、組織だの、そのあたりはハードボイルドの定番やね。
つか、ツッコミどころ満載だもんなぁ、この手の真性ハードボイルドは(笑)
それはそれでおもしろいんではないかえ? ギャグとして。
……ってギャグって言ってやんなよ、って言ってんな、私……(爆)

扇:男の子向けファンタジーという意味では、萌え系ストーリーと実は同じなんだよな――つまりギャグ。
自分に都合のいい夢を見るのは勝手だけど、ま、ほどほどにね、ってのは今まで散々言ってきたから、今更フォロー入れても仕方あるまい。
もっとも、女性にとって都合のいい夢を、雰囲気がいいと言って評価するレビュアーが身近にいたような記憶もあるがね。君、誰か知らないか?

鈴:まぁ、男性向けファンタジーってのは確かだね。
基本、主人公、不老不死だし(笑)
しかし、雰囲気がいいとか、身近ねぇ……。
誰だろうねぇ、それは。

扇:頭がLで、最後がNだった気がするなぁ……そいつのニックネーム。

鈴:ニックネーム?
誰だろう……。
なんか妙な方向に行きそうだから、そろそろ別の話しようっと。
と言うわけで、今回の木曜劇場の一冊であります「月光スパイス」
デビュー作である表題作から、「花の名前」の連載中、もしくは連載後などにLaLaDX他、白泉社系他誌に掲載されていた短編を収録した作品集であります。
では、各話から……の前にCM~。


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鈴:では、まず表題作……は最後なので、一つ目から(目はふたつあるひとしか出てきません)
第1話「カエル裁判」
『魔法に失敗してカエルになってしまった魔法使い。それを助けたカエルは、ひとつだけ願いをかなえてくれると言う言葉に、かわいい女の子になりたいと願う。
その言葉通り、人間となったカエルは魔法使いによって流された先でオルドーブルの皇太子に出会う。
恋をしたいと願って人間となったカエルは、拾ってくれた皇太子に恋をするようになるが……。』

えー、なんと言いましょうか……相棒、寸評よろしく。

扇:まー、一言で言うと、女の子は恋をした時から、超一流の魔法使いに早変わりってとこですかね。

鈴:それは「ときめきトゥナイト」の専売特許や(笑)
まー、ある意味間違いではないわなぁ。
でも、これはこれで実はカエルは……ってのが最後にあって、「あっそ」って感じの終わり方だったりして、いまいちなんだよなぁ。
てなわけで、次の話よろしく♪

扇:えー、一応補足しとくと、オチがバレバレのおとぎ話です。
猫被ってた魔法使いが、とっても邪悪な顔を見せるシーンだけ素敵ですが、それ以外見るべきとこがないかも……。

では次。
第2話「君に天使の祝福を!!」
『偉大なる修院長マザー・ディーアの元で、日々修行を続けている修道女マリー。彼女は町に使いに出かけた際、窃盗罪及び傷害罪で追われている少年ウィルと出会う。ナイフを突きつけられ、人質にされてしまったマリーは、ウィルに変装して逃げ出すことを勧めるが――』

えーと……マリー様最高!(つーか、それがすべて)
嘘吐かないとか言いつつ平気で嘘吐くわ、ウィル君を操作して女装させようとするわ、人質なのに偵察に出かけるわ、とても修道女とは思えない暴れっぷりが素敵でした。
もっとも、話の筋立てがイマイチなので、作品としては「をいをい」って感じですが。

鈴:すべて……まぁ、そのとおりだけどね。
クライマックスのシーンと言い、ウィルくん、なんかいちおう主人公だと思うんだけど、完全にマリーに食われてるわね。
では、第3話……と言いたいところだけど、これ、はっきり言って紹介すらしたくないくらい、どーでもいー。

扇:しかし、紹介せんわけにもいかんだろうよ。

第3話「森とお城」
『アルシュアヴェイスの森の中、ぽつんとたっている綺麗なま白いお城に、一人のお姫様が住んでいました。両親は物心つく前に亡くなっており、国の実権は腹黒い大臣達が握っていたため、姫様は何もすることがありませんでした。ある日彼女は、鳥の誘いに乗って城の外に出るのですが――』

何か色々と、自由に伴う代償だの、世間の厳しさだの、教訓めいたことを並べてはいるのですが、最後のオチが劣悪なので、すべて無意味になっています。
これならまだ、×××に売られてすれまくった挙げ句、脱走して強く逞しくせこく生き延びた方が、成長話として面白かった気が……。

鈴:まー、この手の天然お姫さま(貴族の娘もあり)が、×××に売られて、すれてんのか、すれてないのか、よくわかんないけど、って話はどっかで見た憶えがあるなぁ。
まぁいいや。この話はもー、私的にどーでもいーから。
さて、では第4話、表題作にもなっている「月光スパイス」
ストーリーは、
『草食、雑食など、いくつもの種族に分かれて暮らす世界。その中心には肉食獣の黒黒彪がいた。
でも、黒彪は隔離された土地でひとりきり。そこへうさぎ族の少年アリスが舞い込んでくる。
黒彪を怖れないアリスに黒彪は、食うぞと脅しながらもひとりぼっちの寂しさを紛らわせるために食欲を抑える日々。
それを解消するために訪れた魔女の館。そこで見つけた「月光スパイス」という万能の薬。アリスを手放したくない黒彪は、それを使って何も食べなくてもいいと言う願いをかなえるが……』

初期作品……というか、執筆年度が平成16年というふる~い作品。
ちなみに、LaLaDXでリアルタイムに読んでました(笑)
絵は……言ってはいけない。絵にさして拘らない私でさえ、粗い……と思ったくらいのものですが、作品の雰囲気は「花の名前」と似たセンシティブなお話で、この作品を読んだとき、こういう話を描けばこのひとは売れるだろう、と本気で思ったくらい、けっこう思い入れのある作品。
つか、似た雰囲気の「花の名前」が連載になったので、私的には「やっぱり」って感じ。

扇:ところで、凄く気になるんだが……。
この子、女の子だろ?
名前がアリスだし、一人称「私」だし、つーかそもそも何で男の子って思ったんだ?

鈴:見た目(きっぱり)
髪はショートだし、パーカーにショートパンツだから男の子。
別にいーじゃん、男の子でも。はっきりしたラブストーリーじゃないんだしさ。

扇:まー、この時の絵はかなりアレだったから、目の錯覚で女の子が男の子に見えたとしても不思議はないけどね。(色んな意味で皮肉)
はて、全四編紹介したが……好きだと言える作品が一つもないな。
辛うじて、「君に天使の祝福を!!」のマリーのキャラは好きなんだけど、事件そのものに関しては何だかなぁって感じだ。

鈴:まぁ、男の子だろうと女の子だろうと、別にかまやしないけどね。
私はいちばんこの話が好きだし、実際リアルタイムで読んで、この雰囲気を保って描けるなら売れるだろう……と思ったくらいだし。
実際、「花の名前」は連載にもなったし。
……だけど、なーんか他の短編はなぁ……。
「With」もいまいち好きになれなかったし、どーも「月光スパイス」と「花の名前」以外はちと……。

扇:つまり、今のところ一発屋ってことか?
『花の名前』以外も読んでみようかと思ってたが……激しく不安だな。
LINNの意見は十万億土の彼方に置いといて――四編すべて地雷の香りがするので、購入を控えることを推奨します。
前回ベタボメしといて今回奈落の底まで落とすという、いつものパターンですが、今日はこのへんでお別れ致しましょう。さっよーなら~

鈴:「花の名前」は売れたんだろうから弐発屋ってとこじゃないか?(笑)
だが、置いとく云々はさておき、まぢであんまりオススメできんなぁ、この短編集。
短編はもうちょい精進してくれ、ってのが正直なところ、か。
と言うわけで、売れた割には残念な結果になってしまいましたが、仕方がありません。
やっぱ、いい短編はマンガも小説も難しいよね、と思いつつ、今日はこの辺で。
再見~


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