さて、脳内リフレインしていますの第1017回は、
タイトル:這いよれ! ニャル子さん
著者:逢空万太
出版社:ソフトバンククリエイティブ GA文庫(初版:'09)
であります。
アニメのほうは人気あるみたいですね~。
ネット配信されているので私も見ていますが、アニメはおもしろいです。
なので、最近定番化しつつある「アニメを見る」→「原作を読む」の流れに沿って読んでみました。
さて、原作はどんなものやら……。
ストーリーは、
『八坂真尋は逃げていた。暗い夜道をただひたすらに。
なぜ逃げているのか、なぜ追われているのか、追っているのは何者なのか、さっぱりわからないがとにかく逃げていた。
助けを求めてみても、住宅街だと言うのに真尋の声に反応する者はいない。
そして道を誤ったのか、袋小路に辿り着いてしまい、追っ手の姿を見て愕然とする。
人型はしている。しかし、その背には蝙蝠のような羽を持ち、頭には突起がついていてとても人間には見えない。
進退窮まったそのとき、場違いなほど緊張感のない声とともに真尋に救いの手が差し伸べられた。
右手一本で追っ手の化け物を倒してしまったのは銀髪を靡かせたひとりの少女。人間に見えるその少女は奇妙な自己紹介をしてきた。
曰く「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」……と。
とりあえず、家に帰った真尋は、ついてきた少女――ニャルラトホテプに事情を聞こうとするのだが、ニャルラトホテプは駄菓子にテレビに大忙し。
……話をするために電光石火のフォーク刺しでニャルラトホテプに話をする体勢を整えさせた真尋は、ふとニャルラトホテプと言う名に心当たりがあることを思い出す。
それはクトゥルー神話。アメリカの小説家ラブクラフトに端を発し、他の小説家を巻き込んで発展した小説群の中でもかなり高位に位置する邪神の名前だったからだ。
そんな邪神の名前を冠するニャルラトホテプがなぜ自分のところへ? と言う疑問はもっともで、ニャルラトホテプは真尋が狙われている事情を話し始める。
曰く、地球が宇宙連合の中で保護惑星に当たること、自分が宇宙人であること、とある犯罪組織が地球でなにやら大きな取引をするらしいこと、その中に奴隷貿易も含まれていること、そしてその奴隷貿易の対象となっているのが真尋であることなどなど――。
俄には信じがたいが、先ほど化け物に襲われて、それをニャルラトホテプに助けられたのは事実。
どうやらニャルラトホテプは真尋の護衛と違法取引の組織壊滅の仕事を任されているようだし、真尋にあんな化け物と戦う術なんて持ち合わせていない。
而して、放火で拠点をなくしたニャルラトホテプは、真尋の家にご厄介になりつつ、真尋の護衛をすることになったのだが……。』
う~ん、アニメがかなりテンポよくギャグやアクションを盛り込んで、おもしろく作ってくれているので、どんな破天荒な内容になっているかと思えば、意外と淡々と進んでいってるなぁ、ってのが第一印象。
まぁ、ボケ役のニャルラトホテプ、通称ニャル子とツッコミ役の真尋のコンビはそれなりにいい漫才をしてくれるので、コメディとしてはまぁまぁでしょうか。
ストーリーの流れは、初手でニャル子が真尋を助けてから、真尋の家に居候することになったり、真尋の学校に転校してきたり、護衛と称して同人誌やゲームを買い漁りに行ったりと、ニャル子の趣味丸出し――ここで地球のエンターテイメントは宇宙でもかなりの人気を誇る、と言う設定が加わる――の買い物に付き合わされたりしつつ、時折襲撃してくる化け物を撃退。
それは取引が行われる場所が出現するまでの時間稼ぎで、その場所が出現するときになってからはニャル子は真尋を連れて件の組織壊滅のために動くことになる、という感じ。
ストーリー自体の流れは悪くありません。
適度な漫才に、適度なアクション――一応邪神とされているので、とても正義の味方とは思えないようなニャル子の残虐な攻撃方法など、見所もそれなりにあると思います。
要所要所にパロディも入っていて、わかる人には笑える要素にもなっています。
ただ、設定はご都合主義満載です。
たとえばニャル子たち宇宙人が使う宇宙CQCと言う格闘術。ニャル子は格闘術らしく近接戦闘にバールをメインに用いて戦うのですが、物語終盤に出てくる敵方のクトゥグアは同じ宇宙CQCを名乗りながらも炎のレーザー使う遠距離戦だったりと、何でもありです。
まぁ、作中でも「そういう設定です」と押し切る場面があったりするので、ご都合主義もここまで来るといっそ潔くて気持ちがいいくらいです。
キャラの設定はニャル子を始めとする宇宙人はクトゥルー神話のそれに沿った設定に、アレンジを加えて作られています。
まぁ、キャラ立ちは……しているほうだと言っていいでしょうか。個性はしっかりしていますし。
常識人でツッコミ役の真尋にも邪神=ニャル子さえ恐れさせるフォーク刺しと言う特殊攻撃があったりと、漫才的な意味ではバランスが取れています。
もっとも、キャラにもご都合主義の影響があるので、どうしてもキャラ立ちがはっきりしているとは言えないのが残念なところではあるのですが……。
さて、そういうわけで総評ですが、すごいおもしろい、と言うほどではなく、何事も適度におもしろい、と言う程度に収まっているので、及第というところでしょうか。
アニメのテンポが原作のほうにもあれば、コメディとしてはおもしろいとは思うのですが、案外淡々と進んでいってるほうなので、こういうところに落ち着いてしまいます。
設定もご都合主義満載ですし、客観的に見て小説としてのクオリティはさほど高いとは言えません。
まぁ、ニャル子と真尋の漫才はおもしろいところもありますし、落第にするほど悪い作品ではありませんので、こんなものでしょう。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:這いよれ! ニャル子さん
著者:逢空万太
出版社:ソフトバンククリエイティブ GA文庫(初版:'09)
であります。
アニメのほうは人気あるみたいですね~。
ネット配信されているので私も見ていますが、アニメはおもしろいです。
なので、最近定番化しつつある「アニメを見る」→「原作を読む」の流れに沿って読んでみました。
さて、原作はどんなものやら……。
ストーリーは、
『八坂真尋は逃げていた。暗い夜道をただひたすらに。
なぜ逃げているのか、なぜ追われているのか、追っているのは何者なのか、さっぱりわからないがとにかく逃げていた。
助けを求めてみても、住宅街だと言うのに真尋の声に反応する者はいない。
そして道を誤ったのか、袋小路に辿り着いてしまい、追っ手の姿を見て愕然とする。
人型はしている。しかし、その背には蝙蝠のような羽を持ち、頭には突起がついていてとても人間には見えない。
進退窮まったそのとき、場違いなほど緊張感のない声とともに真尋に救いの手が差し伸べられた。
右手一本で追っ手の化け物を倒してしまったのは銀髪を靡かせたひとりの少女。人間に見えるその少女は奇妙な自己紹介をしてきた。
曰く「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」……と。
とりあえず、家に帰った真尋は、ついてきた少女――ニャルラトホテプに事情を聞こうとするのだが、ニャルラトホテプは駄菓子にテレビに大忙し。
……話をするために電光石火のフォーク刺しでニャルラトホテプに話をする体勢を整えさせた真尋は、ふとニャルラトホテプと言う名に心当たりがあることを思い出す。
それはクトゥルー神話。アメリカの小説家ラブクラフトに端を発し、他の小説家を巻き込んで発展した小説群の中でもかなり高位に位置する邪神の名前だったからだ。
そんな邪神の名前を冠するニャルラトホテプがなぜ自分のところへ? と言う疑問はもっともで、ニャルラトホテプは真尋が狙われている事情を話し始める。
曰く、地球が宇宙連合の中で保護惑星に当たること、自分が宇宙人であること、とある犯罪組織が地球でなにやら大きな取引をするらしいこと、その中に奴隷貿易も含まれていること、そしてその奴隷貿易の対象となっているのが真尋であることなどなど――。
俄には信じがたいが、先ほど化け物に襲われて、それをニャルラトホテプに助けられたのは事実。
どうやらニャルラトホテプは真尋の護衛と違法取引の組織壊滅の仕事を任されているようだし、真尋にあんな化け物と戦う術なんて持ち合わせていない。
而して、放火で拠点をなくしたニャルラトホテプは、真尋の家にご厄介になりつつ、真尋の護衛をすることになったのだが……。』
う~ん、アニメがかなりテンポよくギャグやアクションを盛り込んで、おもしろく作ってくれているので、どんな破天荒な内容になっているかと思えば、意外と淡々と進んでいってるなぁ、ってのが第一印象。
まぁ、ボケ役のニャルラトホテプ、通称ニャル子とツッコミ役の真尋のコンビはそれなりにいい漫才をしてくれるので、コメディとしてはまぁまぁでしょうか。
ストーリーの流れは、初手でニャル子が真尋を助けてから、真尋の家に居候することになったり、真尋の学校に転校してきたり、護衛と称して同人誌やゲームを買い漁りに行ったりと、ニャル子の趣味丸出し――ここで地球のエンターテイメントは宇宙でもかなりの人気を誇る、と言う設定が加わる――の買い物に付き合わされたりしつつ、時折襲撃してくる化け物を撃退。
それは取引が行われる場所が出現するまでの時間稼ぎで、その場所が出現するときになってからはニャル子は真尋を連れて件の組織壊滅のために動くことになる、という感じ。
ストーリー自体の流れは悪くありません。
適度な漫才に、適度なアクション――一応邪神とされているので、とても正義の味方とは思えないようなニャル子の残虐な攻撃方法など、見所もそれなりにあると思います。
要所要所にパロディも入っていて、わかる人には笑える要素にもなっています。
ただ、設定はご都合主義満載です。
たとえばニャル子たち宇宙人が使う宇宙CQCと言う格闘術。ニャル子は格闘術らしく近接戦闘にバールをメインに用いて戦うのですが、物語終盤に出てくる敵方のクトゥグアは同じ宇宙CQCを名乗りながらも炎のレーザー使う遠距離戦だったりと、何でもありです。
まぁ、作中でも「そういう設定です」と押し切る場面があったりするので、ご都合主義もここまで来るといっそ潔くて気持ちがいいくらいです。
キャラの設定はニャル子を始めとする宇宙人はクトゥルー神話のそれに沿った設定に、アレンジを加えて作られています。
まぁ、キャラ立ちは……しているほうだと言っていいでしょうか。個性はしっかりしていますし。
常識人でツッコミ役の真尋にも邪神=ニャル子さえ恐れさせるフォーク刺しと言う特殊攻撃があったりと、漫才的な意味ではバランスが取れています。
もっとも、キャラにもご都合主義の影響があるので、どうしてもキャラ立ちがはっきりしているとは言えないのが残念なところではあるのですが……。
さて、そういうわけで総評ですが、すごいおもしろい、と言うほどではなく、何事も適度におもしろい、と言う程度に収まっているので、及第というところでしょうか。
アニメのテンポが原作のほうにもあれば、コメディとしてはおもしろいとは思うのですが、案外淡々と進んでいってるほうなので、こういうところに落ち着いてしまいます。
設定もご都合主義満載ですし、客観的に見て小説としてのクオリティはさほど高いとは言えません。
まぁ、ニャル子と真尋の漫才はおもしろいところもありますし、落第にするほど悪い作品ではありませんので、こんなものでしょう。
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