さて、久々に新人さんを手に取ったの第382回は、
タイトル:暗夜変 ピストル夜想曲
著者:青目京子
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
同文庫の第11回公募で優秀賞を受賞した作品。
舞台は大正時代。
東京浅草に、あらゆる闇の仕事を請け負う者たちが住む「なまくび横町」という場所があった。
そこには毒を扱う者、様々な武具を扱う者など、表の世界ではまっとうとは言えない職業の者たちが住んでいる。
その中で、特定の技を持たず、曖昧な望みを実現させる「闇掌」(あんしょう)と言う職業に就いている壇上映(はゆる)と言う女性に、ひとりの少女が仕事を依頼する。
醍醐寺日向子と名乗る少女は、婚約者であったはずの男が裏切り、別の家へ婿に行ったことに復讐するために、映に仕事を依頼したのだった。
そこから始まる同業者との戦いや、映の心の奥底にある暗く、けれど逃れられない忌まわしい過去、日向子を通じて得ることが出来た、闇に生きる者としては必要がないとされる幻想。
ホワイトハートはいちおうやや年齢層は高めだけど、ライトノベルのジャンルに入る文庫だとは思うけど、ストーリー的にはけっこう重い。
闇の世界に身を浸し、けれど日向子と言うきっかけを得て、ひとのあたたかさを感じ、信じることが出来た映の姿がしっかりと描かれていて、心理描写もそれなりに充実しているし、流れはいい。
展開も、あとがきで、もともと3つの話をひとつにした、と言うだけあってめまぐるしい。
流れがいいので、展開のめまぐるしさもいい要素になっているのではないかと思う。
キャラも映、日向子、映のトラウマの象徴である公爵家の夫人、同業者の男など、しっかりと描かれている。
設定上、闇の世界である「なまくび横町」と対立する帝都守護隊のキャラがどうかとは思うが、そこまで出張っているわけではないので、読むほうとしてはそこまで気にしなくていいと思う。
ステレオタイプのキャラだしね。
展開も悪くはないし、全体的なストーリーもしっかりしている。
ラストでこける作品はたくさんあるが、巻末の選考委員の寸評にあるとおり、ラストも腰砕けにならず、映と日向子の姿が納得できる終わり方になっている。
新人にしては、とてもしっかりとした、おもしろいと言える話になっているのではないかと思う。
デビュー作と言うことを加味しなくても、十二分に読ませてくれる話になっているのではないかと思う。
文章量も、表現力も十二分にある。
比喩表現は特筆するところはないし、ふつうだとは思うけど、だからと言って読みにくいかと言えばそうではない。
だから、これで優秀賞ってのはちょっと厳しすぎやしないかな、と思うよ。
ホワイトハートの大賞受賞作でさえ、私的にぜんっぜんダメなのはいままでかなりあったし、そうしたのと較べて、よっぽどかこっちのほうがおもしろい。
なんか久しぶりに次が期待できる新人ではないかな。
何気なく、「優秀賞受賞作!」って帯の文句で手に取ったけど、なかなかいいものを手にしたな。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:暗夜変 ピストル夜想曲
著者:青目京子
出版社:講談社X文庫ホワイトハート
であります。
同文庫の第11回公募で優秀賞を受賞した作品。
舞台は大正時代。
東京浅草に、あらゆる闇の仕事を請け負う者たちが住む「なまくび横町」という場所があった。
そこには毒を扱う者、様々な武具を扱う者など、表の世界ではまっとうとは言えない職業の者たちが住んでいる。
その中で、特定の技を持たず、曖昧な望みを実現させる「闇掌」(あんしょう)と言う職業に就いている壇上映(はゆる)と言う女性に、ひとりの少女が仕事を依頼する。
醍醐寺日向子と名乗る少女は、婚約者であったはずの男が裏切り、別の家へ婿に行ったことに復讐するために、映に仕事を依頼したのだった。
そこから始まる同業者との戦いや、映の心の奥底にある暗く、けれど逃れられない忌まわしい過去、日向子を通じて得ることが出来た、闇に生きる者としては必要がないとされる幻想。
ホワイトハートはいちおうやや年齢層は高めだけど、ライトノベルのジャンルに入る文庫だとは思うけど、ストーリー的にはけっこう重い。
闇の世界に身を浸し、けれど日向子と言うきっかけを得て、ひとのあたたかさを感じ、信じることが出来た映の姿がしっかりと描かれていて、心理描写もそれなりに充実しているし、流れはいい。
展開も、あとがきで、もともと3つの話をひとつにした、と言うだけあってめまぐるしい。
流れがいいので、展開のめまぐるしさもいい要素になっているのではないかと思う。
キャラも映、日向子、映のトラウマの象徴である公爵家の夫人、同業者の男など、しっかりと描かれている。
設定上、闇の世界である「なまくび横町」と対立する帝都守護隊のキャラがどうかとは思うが、そこまで出張っているわけではないので、読むほうとしてはそこまで気にしなくていいと思う。
ステレオタイプのキャラだしね。
展開も悪くはないし、全体的なストーリーもしっかりしている。
ラストでこける作品はたくさんあるが、巻末の選考委員の寸評にあるとおり、ラストも腰砕けにならず、映と日向子の姿が納得できる終わり方になっている。
新人にしては、とてもしっかりとした、おもしろいと言える話になっているのではないかと思う。
デビュー作と言うことを加味しなくても、十二分に読ませてくれる話になっているのではないかと思う。
文章量も、表現力も十二分にある。
比喩表現は特筆するところはないし、ふつうだとは思うけど、だからと言って読みにくいかと言えばそうではない。
だから、これで優秀賞ってのはちょっと厳しすぎやしないかな、と思うよ。
ホワイトハートの大賞受賞作でさえ、私的にぜんっぜんダメなのはいままでかなりあったし、そうしたのと較べて、よっぽどかこっちのほうがおもしろい。
なんか久しぶりに次が期待できる新人ではないかな。
何気なく、「優秀賞受賞作!」って帯の文句で手に取ったけど、なかなかいいものを手にしたな。
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