つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

たまにはこういうのもありってことで……

2008-01-20 15:20:04 | その他
さて、一応商業ベースの本だからいいよねの第939回は、

タイトル:東方求聞史紀 Perfect Memento in Strict Sense.
著者:ZUN
出版社:一迅社(初版:'06)

であります。

あぁ、とうとうこれを出す事態になってしまった……。
はっきり言って、趣味です。
100%、趣味のための本です。

ストーリーは……ってないのよ~(爆)
これはとあるものの設定資料集+読み物要素が入った本なのです。

そのとあるもの、と言うのは同人で発表され、同人の世界では絶大な人気を誇る「東方Project」と言うシューティングゲームシリーズ。
NECのPC-9801のころからあったシューティングで、Windowsになってから現在で都合10作発表されている。
そうしたたくさんの作品の中での世界観「幻想郷」を舞台に、稗田阿求と言う記憶能力を持って転生する少女が、幻想郷のことをまとめた、と言う体裁で書いた「幻想郷縁起」が本書。

内容は、
「妖怪図鑑」
設定上、現世界と結界で隔離され、江戸時代くらいのイメージの幻想郷に登場する妖怪……と言っても、妖精やら幽霊やらなんやらと、Windows版以降で最新作以前に登場した人間以外の存在の特徴やらが書かれている。
また、ゲーム以外にも僅かに商業ベースで描かれている妖怪などもいたりする。

「英雄伝」
こちらは妖怪ではなく、妖怪図鑑同様、Windows版以降の主人公など、人間のほうの紹介。
ゲーム上のストーリーに関わった話などもあったりと、けっこう詳細。

「危険地域案内」
幻想郷に存在する地名を紹介した章。
「人間の里」とか、「三途の川」とか、危険地域なのか? ってところがあったりするが、基本的に妖怪が跋扈する世界なのでたいていが危険地域(笑)

「独白」
これは幻想郷縁起の著者である稗田阿求が、この縁起をまとめるに当たっての考えなどを綴った部分。

「未解決資料」
これはタイトルどおり、稗田阿求が資料として不完全なため、まとめきれていないものをとりあえず収録した章。

以上の5章に渡る設定資料集のようなものだが、最新作以外(最新作は'07発売なので)の妖怪、人物などが網羅されている。
また、設定と言いながらも基本的に稗田阿求が読み物として執筆していると言う体裁を採っているので読み物としてもおもしろい。

他にも下段に注釈があるのだが、注釈と言うよりはツッコミだったりと、くすっと笑えるところも随所にあり、ゲームをやったことがあるひとにとっては、かなりオススメできる本と言える。

……と言うことは逆に言えば、知らないひとにとってはこれほどどうでもいい本はないのかもしれない。
と言うか、設定資料集なんてものは、その作品を知っていなければそもそも買やしねぇわな(爆)
画集だってそうだし。

てなわけで、Windows版以降のすべてを持っていて、このゲームが大好きな私としては二重丸のオススメをつけたいところではあるし、読み物としても十分おもしろい内容となっているけれど、結局ひとを選ぶ、と言う点はネック。
となると、総評としては当然、及第止まり。

でも、このゲーム、音楽はいいし、シューティングが苦手なひとにも配慮した間口の広い難易度選択が出来たりと、シューティングゲームとして極めてレベルの高い作品ではあるので、ゲーム好きなひとにはちょっと手にしてみるのはいいと思う。
ZUN氏のホームページ「上海アリス幻樂団」には体験版もあるしね。


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