さて、相方がファンタジーが少ないとボヤクので第202回は、
タイトル:風の又三郎――ガラスのマント
編者:朝日新聞社編
出版社:朝日新聞社
であります。
まず最初に断っておくと、これは宮沢賢治の『風の又三郎』ではありません。
その実写映画のフィルム・ブックです。
綺麗なカラー写真五十数点と細かい解説で映画の魅力を余すことなく伝えており、ストーリーブックとしても楽しめます。
主人公は原作に出てこない少女『かりん』。
父が亡くなり、母も病気の治療のために療養所に入らざるを得ない状況で、彼女は養女として本家に迎えられることがほぼ決定していました。
母との別れを拒むかりんは、ある日の夕方に本家の屋敷を飛び出します。
森の中の隠れ家に身を潜めてうたたねしていると、どこからともなく聞こえてくる不思議な歌声――どっどど どどうど どどうど どどう。
そして……かりんは見たのです。
夜霧の向こう、森の色に溶けるような緑の帽子、緑のマント、緑の靴を身につけ、巨木の上に座る不思議な少年を……。
来ましたね。
夜、霧、森、着物の少女!(いや、それは関係ないだろ)
これだけ条件揃えてボーイ・ミーツ・ガールかませる少年などそうはいません。
そう、奴です――風の又三郎です。
又三郎のキャスティングが非常にいい。
かりん達が通う小さな学校に転校生として現れるのですが、真っ白い帽子、真っ白いマント、すましたお顔で度肝を抜いてくれやがります。
なんと言うか……雰囲気がハイカラなのです、普通の子役じゃなくてオーディションで選ばれた子らしいんだけど、これは大当たり。
かりん役もよいです。
周囲から程よく浮いてて(笑)、自然を象徴する又三郎と他の子供達との間に立つ巫女役として、いい感じの演技を見せてくれました。
ちなみに彼女もオーディションで選ばれた子ですが、その後女優となりました――早勢美里、って知ってますか?
かりんの母が壇ふみ、使用人のおばばが樹木希林とサブキャラも豪華。
でも特筆すべきは、又三郎の父親が草刈正雄だということ。
かりんが又三郎の家に行った時、チェロを弾いてくれます――つーか、お父さん役似合いすぎ、昔は汚れた英雄だったんだが……。(笑)
深く考えると、セロ弾きのゴーシュのオマージュだったのかも。
ストーリーの本筋は原作を追いつつも、原作より遥かに又三郎のキャラクターがファンタジックに描かれている、不思議な映画でした。
又三郎と接触することで大人に近づいていくかりんの姿を描くことに主眼がおかれており、従来のものとは違った雰囲気が楽しめます。
うーむ、書評じゃなくて映画レビューになってしまった。
わっ、時間ないので今日はこれまでっ。
(次の日に大幅加筆しました、ごめんなさい)
え、カテゴリーがファンタジーなのはなぜか?
本来ならその他カテゴリーなんですが、本の最後に原作の『風の又三郎』の全文が掲載されているので、敢えてファンタジーにしました。
原作だけだと文学カテゴリだしなぁ……。
タイトル:風の又三郎――ガラスのマント
編者:朝日新聞社編
出版社:朝日新聞社
であります。
まず最初に断っておくと、これは宮沢賢治の『風の又三郎』ではありません。
その実写映画のフィルム・ブックです。
綺麗なカラー写真五十数点と細かい解説で映画の魅力を余すことなく伝えており、ストーリーブックとしても楽しめます。
主人公は原作に出てこない少女『かりん』。
父が亡くなり、母も病気の治療のために療養所に入らざるを得ない状況で、彼女は養女として本家に迎えられることがほぼ決定していました。
母との別れを拒むかりんは、ある日の夕方に本家の屋敷を飛び出します。
森の中の隠れ家に身を潜めてうたたねしていると、どこからともなく聞こえてくる不思議な歌声――どっどど どどうど どどうど どどう。
そして……かりんは見たのです。
夜霧の向こう、森の色に溶けるような緑の帽子、緑のマント、緑の靴を身につけ、巨木の上に座る不思議な少年を……。
来ましたね。
夜、霧、森、着物の少女!(いや、それは関係ないだろ)
これだけ条件揃えてボーイ・ミーツ・ガールかませる少年などそうはいません。
そう、奴です――風の又三郎です。
又三郎のキャスティングが非常にいい。
かりん達が通う小さな学校に転校生として現れるのですが、真っ白い帽子、真っ白いマント、すましたお顔で度肝を抜いてくれやがります。
なんと言うか……雰囲気がハイカラなのです、普通の子役じゃなくてオーディションで選ばれた子らしいんだけど、これは大当たり。
かりん役もよいです。
周囲から程よく浮いてて(笑)、自然を象徴する又三郎と他の子供達との間に立つ巫女役として、いい感じの演技を見せてくれました。
ちなみに彼女もオーディションで選ばれた子ですが、その後女優となりました――早勢美里、って知ってますか?
かりんの母が壇ふみ、使用人のおばばが樹木希林とサブキャラも豪華。
でも特筆すべきは、又三郎の父親が草刈正雄だということ。
かりんが又三郎の家に行った時、チェロを弾いてくれます――つーか、お父さん役似合いすぎ、昔は汚れた英雄だったんだが……。(笑)
深く考えると、セロ弾きのゴーシュのオマージュだったのかも。
ストーリーの本筋は原作を追いつつも、原作より遥かに又三郎のキャラクターがファンタジックに描かれている、不思議な映画でした。
又三郎と接触することで大人に近づいていくかりんの姿を描くことに主眼がおかれており、従来のものとは違った雰囲気が楽しめます。
うーむ、書評じゃなくて映画レビューになってしまった。
わっ、時間ないので今日はこれまでっ。
(次の日に大幅加筆しました、ごめんなさい)
え、カテゴリーがファンタジーなのはなぜか?
本来ならその他カテゴリーなんですが、本の最後に原作の『風の又三郎』の全文が掲載されているので、敢えてファンタジーにしました。
原作だけだと文学カテゴリだしなぁ……。