温友のおにゆりさんから岩井温泉でオフ会をしようとのお誘いがありました。でも鳥取は遠いな…っと逡巡していたところ、これまた温友のたかおさんが「鳥取・岩井温泉間にはボンネットバスが走っているよ」っと煽る。調べてみると…ホンマや!確かに5月から土日祝日に限って運行している。これは行かねばならんかな!
しかし、このバスに乗るには朝の9時前に鳥取駅に着いていなければならない…ということは前泊しなきゃ間に合わんやないか!しかし、ボンネットバスはぜひとも乗りたい…ってな訳でオフ会の前日、難波のOCATバスターミナルから鳥取行きのバスの中の人になってしまいました。
大阪と鳥取を結ぶ交通機関は、JR・智頭急行の特急列車か、日本交通の高速バスです。以前は高速バスのひとり勝ちだったが、智頭急行が開通すると、速さで勝る特急列車と、料金の安い高速バスとで、激しいデッドヒートを繰り広げています。車体に描かれた砂丘名物のラクダが鳥取らしいですね。
バスは佐用インターで中国自動車道を降り、智頭急行と並行する一般道の国道373号線を進んでいき、鳥取にたどり着きます。それにしても鳥取は実にのんびりしたところ。車のスピードもゆっくりだし…驚いたのはエスカレーターの速度の遅さ。いつもの調子で乗ったらコケそうになりましたわ。しかも地元の人はエスカレータを歩くことをせずジッとしている。イラチな大阪人は、少しは見習わなきゃ!
夕食を求めて、のんびりした鳥取の街をブラブラします。小奇麗な玄関の料理屋があったので入ってみることにしました。
前泊せにゃならんので、仕方なく楽天でビジホでもとろうかと検索したら、鳥取駅近くのホテルでは温泉があるではないか。さすがに掛け流しは望むべくもないが、ビジホのユニットバスに身を沈めるよりかは、温泉大浴場で足を伸ばせるほうがいいに決まってる。
翌朝、心躍らせながら鳥取駅に来ました。駅前のバスセンターでは頻繁にバスが発着しています。写真のふそう「エアロミディ」は湯村温泉行きのゆめぐりエクスプレスです。このバスは日本交通と全但バスが共同で運行していて、途中、岩井温泉を経由するので、単に岩井温泉に行くだけならこっちのほうが速くて便利。 ただしこのバスはバイパスを通るので、岩井温泉では周囲に何もないバス停に降ろされる。以前これに乗ったとき、こんなところに本当に温泉があるのか…っとものすごーく不安になったことがあったなぁ…
このバス乗り場に、他のバスとは違う、ひときわ喧しい車が入ってきました。これが今回の旅のテーマのひとつ、ボンネットバスです。
バスには運転士とともに車掌が乗っていて、車内で切符を購入すると、昔ながらのパンチで鋏を入れる。道中、絶えず車掌による観光案内があるが、マイクがないので地声で口上を述べる。これがまた昔風で味がある。よく通る声で「発車オーライー!」って……たまらんなぁ!!!
バスは鳥取市内を抜け、鳥取砂丘の展望台から浦富海岸へと進んでゆきます。山陰の美しい海岸線を走る路線ではあるが、なにぶん今日のこの天気のこと、美しい眺望は叶いません。でもまあワタシの場合は景色よりバスなので関係ないが…
上り坂ではやたら音がでかくなるいっぽう、速度が徐々に落ちてゆく。海岸線のアップダウンの激しい路線は、このロートルには試練の連続。車掌さんのバッグや、切符を切るパンチも、車庫の倉庫から引っ張り出してきたとのこと。こういった小道具も雰囲気作りには欠かせない。どうせなら衣装もむかしふうにしてほしいな。例えばこんな感じに…
ゆけむりエクスプレスなら45分で着くところを、ゆったり海岸線を経由し1時間半かけて岩井温泉に到着しました。しっとりとした温泉街に佇む老いたバス、町並みに見事に調和しています。
この小さな温泉街には飲食店は皆無です。それでも1軒だけ酒屋があって、ここでお酒や手作りの肴をいただくことができます。このお店の自家製豆腐が絶品、豆の味が効いていて実に美味い。湯上りの一杯(1杯では済まなかったが…)を楽しんでいたら、温友さんたちが到着、合流です。
岩井温泉からは秀太さんの運転する車便乗させてもらって次の温泉を目指します。その途中に鳥取市の北部にある賀露漁港に昼食のための寄り道を。漁港にある海鮮市場かろいちで温友さんたちは買物三昧。独りもんのワタシは買っても仕方がないので見てるだけです。
ここで雨が本降りになってきました。こんなときはやっぱり車があると助かります。意地のように路線バスにこだわっているワタシだが、こんな状況では宗旨替えしたくなってしまいます。ガツン湯が大好きな某温友さんの起ってのリクエストにより、江戸っ子もたじろぐ熱い湯とのことで評判の吉岡温泉に行くことにしました。不安だ…
このあと、温友さんたちは三朝の株湯に行くようですが、それに付き合っていると帰れなくなる。頼んで大阪まで便乗させてもらうという手もあるのだが、やはりワタシのポリシーとして公共交通で帰らねばならない。途中の末恒駅で降ろしてもらって、ここから列車で帰ります。
末恒駅は無人のローカル駅で、列車に乗るときは整理券が発行されます。まるでバスのよう。
鳥取からは智頭急行の特急「スーパーはくと」に乗って大阪に戻ります。智頭急行は、鳥取県の智頭と兵庫県の上郡を結ぶ第三セクターの鉄道で、この線の完成によって鳥取と関西がショートカットできるようになりました。鳥取駅から智頭駅まではJR西日本の因美線をとろとろ走るが、新しい線路の智頭急行に入ったとたん、猛烈なスピードで駆け抜けます。山陽本線に入ってもスピードは衰えません。 鳥取と大阪を結ぶ「スーパーはくと」を擁する智頭急行は、非電化ながら高速のため、第3セクターの鉄道にしては珍しく黒字経営を保っています。しかし、佐用‐鳥取間の高速道路が開通したら競争力が失われてしまう。それまでに、JRの因美線の改良をしなければならんのではないかな?
「岩井には食べるところがないよ」っと温友さんに散々脅されました。なので朝に鳥取駅で名物のかに寿司を買っていたが、岩井温泉の酒屋でビールと豆腐にありつけたので、結局役に立たず、家まで持って帰ることになりました。帰ってからの夕食は駅弁です。かなりタップリ入ったカニの身と酢飯が絶妙。カニの身を噛み締めながら、今回の旅を反芻することとします。
- 訪問日:2008年6月24日
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