JR嵯峨野線の丹波口駅から15分ほど歩くか、京都市営バス205系統・208系統・33系統で梅小路公園前BSで降りるかと公式には案内しているが、JR京都駅から西へ、京都の町家の並びをブラブラ20分ほど歩いた方が余程楽しいと思う、蒸気機関車の保存展示施設です。ここは西日本旅客鉄道(JR西日本)が所有し、財団法人交通文化振興財団が運営する、あまりにも有名な日本で唯一の蒸気機関車のサンクチュアリですね。
1972年、当時の国鉄により日本の鉄道開業100周年を記念して、京都駅の西側にある梅小路機関区の扇形庫を活用して開設され、爾来、日本の鉄道輸送を支え続けた蒸気機関車を動態保存してきた施設です。
1987年の国鉄分割民営化によってJR西日本が運営を引き継いだが、その後、連続立体交差事業によって取り壊されそうになった旧二条駅舎を移築・復元し、「資料展示館」としてさらなる拡充を果たしています。
扇形庫は、1914年に建設された鉄筋コンクリート製のもので、5t電動天井クレーン(1915年完成)、引き込み線とともに国の重要文化財に指定されています。この扇形庫に保存されている蒸気機関車一式、および点検修理の工具一式などが準鉄道記念物。この一帯が近代産業遺産といっていいでしょう。
扇形庫には、蒸気機関車17形式19両が収容・展示されています。開館当初にはC53 45とC51 239の2両を除き15両に車籍があったが、その後保存対象車両の見直しが何度か行われ、現在は動態保存機は7形式7両となっています。そのうちの5形式5両は現在も車籍を持っていて、C57 1とC56 160は、山口線の「SLやまぐち号」や北陸本線の「SL北びわこ号」などで活躍しているのはよく知られていますね。
扇形車庫の前には転車台が据えられ、動体保存された機関車の扇形車庫への入出庫作業を支えています。訪れたときはデモンストレーション運転を終えた8620型車両が入庫するところ。転車台は通常なら角度を変えるぐらいの回転しかしないが。デモンストレーションなのでグルグル1周以上回転させるサービスを…「いつもより余計にまわっています!」
この日は通常のデモンストレーション走行のほかに、C56の試運転があったため、試走後の整備の様子も見ることができました。火室の燃え残りの石炭を排出し、新しい石炭をテンダーに積み込む。やっぱり蒸気機関車は手間がかかりますね。
この梅小路蒸気機関車館、大阪の交通科学博物館が老朽化し手狭となってきたため、この蒸気機関車館を拡張して新しい博物館を建設し、車両などの展示品の一部を交通科学博物館からこちらへ移設する構想があるようです。そうなれば関西の鉄道博物館に成長することになるでしょうね。弁天町が寂しくなるが…
- 訪問日:2011年5月21日