NPO法人 三千里鐵道 

NPO法人 三千里鐵道のブログです。記事下のコメントをクリックしていただくとコメント記入欄が出ます。

グランドバーゲンとパッケージディール

2009年10月05日 | 東北アジアの平和
9月22日、李明博大統領が、国連演説の際に発表した『グランドバーゲン』の内容について、韓国国会の聴聞会で、批判が続出している。
それは野党民主党ばかりか、与党ハンナラ党からもである。
「非現実的である」というものから、米国と事前の調整があったものなのかどうかという批判まで。

それはさておき、北はこの『グランドバーゲン』について即座に否定的な立場をとった。
一方、米国の提案する『パーケージディール』については、前向きである。

実は、この二つの用語は、日本語ではいずれも『包括的交渉』とか『一括妥結』というように翻訳されている。だから、その違いが何であるのかよくわからない。

その違いは一体何なのか…。

『グランドバーゲン』の中身は、簡単に言えばこういうことである。

「核を放棄しなさい。そうすれば、お金を恵んでやる。」

では、『パーケージディール』の中身は何なのか。

「核を放棄してください。それならば敵視政策をチェンジして国交正常化します。」

肝心なことは、朝鮮半島の非核化のためには、朝米国交樹立が必須条件であるということである。

『グランドバーゲン』には、この肝心なことが、完全に抜け落ちている。
そればかりか、6者協議の構図を『5者対北』という北包囲網の構図にしようという魂胆を隠すこともしない。これを北が受け入れるはずもないのは自明である。

米国務副長官のスタインバーグが、日本、韓国、中国などを歴訪した際、30日の韓国での記者会見で、

……
アメリカの「包括的接近」と韓国の「グランドバーゲン」に差はあるのかという質問には、「これまで韓米間で協議してきた事案であり、包括的かつ決定的な解決策が必要だという点で何の違いも無い」と答えた。
……

とのことだ。

ここで注意すべきは、
「包括的かつ決定的な解決策が必要だという点で何の違いも無い」

と言っている点だ。
内容が同じとは言っていないのだ。



反北ジャーナリズムであるデイリーNKの記事に良いものがあったので貼り付けておく。


by maneappa

……………
http://japan.dailynk.com/japanese/read.php?cataId=nk00200&num=6891

北,“世界の非核化で核問題を解決…大統領府補佐チームは賢くない”

朝鮮中央通信 “核は米朝間の問題…経済支援と取引はしない”
ジョン・ジェソン記者
[2009-10-01 10:23 ]

北朝鮮官営の朝鮮中央通信が、李明博大統領の『グランドバーゲン』の提案を「根拠のない夢」、「百害あって一利なし」などの表現を使って拒否する意思を明らかにした。

同通信は30日に『核問題の解決にとって百害あって一利もない提案』という記事で、グランドバーゲンの提案について「南朝鮮の高官が最近アメリカに行って、核問題とそれに関連した、いわゆる一括実施の案を提案した。しかしこれは、『非核・開放・3000』の内容そのままだ」と評価した。

さらに、「それは我々が6カ国協議を通じて核計画の核心部分を廃棄する見返りとして我々に何かを提供するという内容だが、アメリカの反共和国敵対政策が撤回されない限り、我々に核放棄云々するのは根拠のない夢にすぎない」と一蹴した。

また、「朝鮮半島の核問題はアメリカの対朝鮮敵対政策による結果であり、徹底的に米朝2国間で解決すべき問題だ。グランドバーゲンには、米朝間で解決しようとしている核問題に割り込んで、それを妨害しようとする狙いがあるに違いない」と主張した。

通信はこのように、核問題はアメリカと解決しなければならない問題だという従来の立場を繰り返した。

それ以外にも、「我々が誰かと関係を正常化して経済支援を受けるという、愚かな提案を受け入れると考えること自体がおかしい。大きな思い込みだ。核問題は朝鮮半島と世界の非核化が実現した時点で解決できる問題だ」と主張した。

非核化の前提として『世界の非核化』を主張していることから、北朝鮮には核保有国の地位を維持するという思惑があると解釈できる。

また、「(李大統領に)朝鮮半島の核問題は米朝間で解決すべき問題だということが分からないはずがない。彼自身も問題だが、彼に恥をかかせた大統領府の補佐チームのレベルはより低い。状況が把握できていない賢くない人たちだ」と非難した。

朝鮮中央通信は李大統領の実名に直接言及しなかったが、これは最近の宥和政策に関係していると考えられる。韓国政府はこれまで、南北が接触する度に北朝鮮メディアが李大統領の実名を挙げて批判したことに対して強く抗議してきた。