NPO法人 三千里鐵道 

NPO法人 三千里鐵道のブログです。記事下のコメントをクリックしていただくとコメント記入欄が出ます。

金大中前大統領追悼リレー 9

2009年08月25日 | NPO三千里鐵道ニュース
           

          この地に融和と和解、そして統一を!


… …
"被告人、最後陳述して下さい"
"再びこの地に政治報復はあってはならないでしょう"
"被告人キム・デジュンを死刑に処する"

被告人キム・デジュンは,パク・チョンヒ,チョン・ドゥファンなど軍事政権の独裁者らに魂まで売ってしまった判事らから死刑を宣告された。 単なる地位保全のために良心まで売り飛ばした政治侍女ら,その判事らからの死刑宣告…。
死刑宣告を控えた被告人の、この地にこれ以上政治報復があってはいけないという彼の最終陳述は, 死刑を宣告する判事らの肝を冷やした。

あの5.18光州事件の首謀者として死刑を宣告された金大中が、最終陳述を行った場面を描写した文である。
奇跡の生還を果たし大統領に上りつめた時、彼を拷問した悪辣非道な刑事は戦慄した。これで自分の人生も終わりだと…。ある日刑事のもとに郵便が届けられた。開けてみると漢方薬「熊胆」と、金大中からの手紙であった。これを飲んで元気に長生きしてください、と。
その刑事は、今回の金大中逝去に際し、インターネットサイトに文を載せ、故人のご冥福を祈った。

世界で唯一の分断国家・朝鮮半島は、過去3年間の戦争を経験している。血で血を洗う凄惨な戦争が残したものは何か。それは数百万の同族の死骸と山河の破壊、そして骨髄に沁み込んだ憎悪であった。その後経済は復興し、山河に緑は戻っても、今も大国の都合に翻弄される朝鮮半島は、冷戦構造の枠組みの中にがっちり取り込まれ、息詰まるような分断と対立の中にある。
びくともしないと思われた鉄の壁に穴を開けた人、それが金大中である。
これまでも幾多の志士が、民族統一と融和の祭壇にその命を捧げた。金九、文益煥、近くはノムヒョン…。
彼らはパルゲンイと罵倒されながらも、過去殺し合った、しかし同族である彼らを、愛と融和の精神で受け入れ対話し、気の遠くなるような忍耐で一歩、また一歩と進んできたのだ。

死を目前にした金大中が「失われた10年」を叫ぶ輩(その頂点であるMB)に向かって、民主主義の逆行を憂い独裁的手法に警告を発した。しかしその金大中の国葬に際し、MB政権は、故人の遺志を継ぎ国民統合と融和の機会にしようと、叫ぶ。本意だろうか?
あまりにも嘘と謀略が透けて見えるので、突然彼の口から吐かれる言葉を額面通りには信じがたい。北の弔問団を招き柔和な笑みを浮かべるMBに、何故かぼくは、軍服を脱ぎサングラスをとったあの独裁者の姿を見る。
それでも本当に南北融和と統一に向かうのであれば、ぼくもMBを支持する。好きになろう。なぜなら、わが民族にとって最大、緊急の至上命題は分断された国土と民族の統一であるから。

ノムヒョンは言った。嘘のない、原則を貫く政治をしたい、と。
今年の夏ポンハを訪れ、彼の歩いた道、彼の眺めた風景を見ながら、退任後ノムヒョンが故郷で描いた夢を見た。そんな小さな夢まで無残に踏みにじったMBの所業を、国民は忘れていない。そのことで体の半分が崩れ、逝かなければならなかったDJの無念を忘れない。

ノムヒョンが生前、最も尊敬する人の一人として上げたDJ、彼とあの世で、今どんな話をしているだろうか。… …
金大中前大統領、ご苦労さま。ご冥福をお祈りします。namsang