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授業料も借りる国

2009年08月03日 | 南域内情勢
今更ながら、4年前のMBCドラマ『土地』を見ている。やっと3分の1を見終えたところだが、韓国の身分制度の過酷さや“両班”というものの存在悪が厳しく描かれたこのドラマを見ながら、現代韓国と重ね合わせて見ざるを得なかった。
韓国の公務員たちの姿が、そのまま両班の姿に重なるからだ。

韓国では、大学に進学しないことはすなわち人生を放棄すること、と言わんばかりに、猫も杓子も大学に行く。公務員や教師、大企業に就職できるようにと、親たちは、子どもたちを朝から夜遅くまで勉強させようとする。需要と供給のバランスという子どもでもわかる経済学によって、“教育費”はおのずと世界一の水準になった。

実態を見れば、個体差があるのは生物界の常。
実際、猫も杓子も大学に行く中で、高等教育の意味が損なわれ、無意味に大学に進学する者がいかに多いことか…

学力だけがその人間の能力を測る絶対的尺度でないことも言うまでもない。
ところが、ラベルがもの言う社会、つまり旧態依然、さらに深刻化した“両班社会”で、人間らしく生きるためには、せめて大学までは行かせなければというのが人の親の情なのだろう。

さて、韓国は、『自由の国』アメリカに並んで、大学の授業料が日本と並んで一番高い国だ。大学に入るまでにかかる“教育費”は、日本をしのぐ。一人当たりGDPは日本の半分にも満たないにもかかわらず。

“両班”の家に生まれたものであれば、そのような教育費のねん出も可能であるかもしれない。“両班”でなくとも、お金さえあれば“両班”への道が開かれるのかもしれない。
しかし、そうでないものは…

この国で希望を持つことは難しい。

脱北者は毎年数千人に上る。
鴨緑江や豆満江を超えて中国の地にわたる人々は、北の生活に希望が持てないから故だ。その根底にあるのは、絶対的貧困と自由の否定であるのだろう。

では、北の数10倍に上る、年間数十万人に上る“脱南者”はどうであろう。
彼らの“脱出”理由に貧困を挙げる者は今やいない。自由の否定をあげる者も今やいない。
では、何が彼らをして南から脱出させるのか…
深刻に考えてみなければならないのだ。


by maneappa

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ハンギョレサランバンからの転載です。
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/734163.html

2009年08月02日
[社説]根本的な対策は‘授業料引き下げ’だ
原文入力:2009-07-31午後07:27:01
大学学資金を卒業後に所得が一定水準以上になった時点から返していくようにした政府の‘就職後償還学資金貸出制’は現在の授業料問題を相当部分解決する制度として評価される。この間には償還期間になれば所得があろうがなかろうが、無条件に貸出金を返さなければならず低所得層の負担が大きかったし信用不良者も大量に生み出されてきたが、今後はこういう弊害が大きく減ると予想される。

政府の前向きの措置は歓迎するに値するが、新しい制度施行を控えて憂慮される点がある。第一に財源調達問題だ。新しい学資金貸出制度の成功可否は莫大な財源をどのように用意するかに掛かっていているが、これに対する政府の具体的な青写真が見られない。単に政府保証で韓国奨学財団が債権を発行し貸出金財源を調達するという大きい枠組みが提示されただけだ。関連部署らが深く協議をした跡もそれほど見られない。最近イ・ミョンバク大統領が強調する‘親庶民政策’に歩調をそろえてとても急いで発表したのではないかという感じがする。

授業料貸出に劣らず重要なのは学資金の融資を受けた若者たちが卒業後に背負い込むことになる負担を最大限に減らすことだ。そうでなくても経済状況も難しいのに、これらが一生涯借金返済に苦しむ境遇に陥ってはいけない。そのためには貸出利率を大幅に引き下げる必要がある。今の展望では利率が年5%後半程度に策定されると予想されるが、これはオーストラリアやオランダなど同様な制度を施行している国々よりはるかに高い水準だ。

イ・ミョンバク政府は当初‘半額大学授業料’を大統領選挙公約に掲げたが、いつのまにかこの政策は失踪してしまった。今回の学資金貸出制度改善案は半額授業料公約を公式に廃棄し‘キジの代わりに鶏’を選択したものだと見ることができる。だが今回の措置で大学授業料はむしろより一層急騰する憂慮さえある。学生たちが授業料の心配をしなくなれば大学は道徳的に緩み安心して授業料を引き上げることができるためだ。

新しい制度では授業料が引き上げられれば、国家財政運用にも大きな圧迫要因になる。最小限‘授業料上限制’等を導入し、適正な線を引く必要がある。登録料引き下げと教育財政拡充などの根本的な対策なしに学資金貸出制度にだけ寄り添う場合、また別の問題にぶつかる可能性があることを政府は分からなければならない。

原文: http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/368885.html 訳J.S