君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 一話

2014-01-02 03:56:20 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
☆新年明けましておめでとうございます。年末UPが出来ませんでした><;
松の内UPと言いましたが、4日~5日が不在となると日にちが無いのでUPさせます。
時間軸は「伝えたい言葉」の直後か少し重なっています。
Hっぽい部分を引き受けてくれる新キャラが登場しています。

※流石に長くなってきているので、2013,12,07の三部までのあらすじを読んでからの方がわかりやすいと思います。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
惑星アルテメシア ジョミーの第二の故郷 ここの教育衛星で学園生活を送る
ジュピター キース警護時ジョミーのコードネーム(シャトル所有↓)
ベルーガ2 ジョミー所有の小型医療用シャトル(ワープ可能、ステルス機能)
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 一話


 宇宙(そら)を滑るように進む一隻の白い船。その中にはジョミーとシド。そしてミュウのクルーが乗っている。
「急いで。間に合わなくなる」

 その約一か月前
 惑星スメールに到着するジョミーのシャトル「ベルーガ2」
 カナリア達の居る研究育英センター
「お疲れさま」
 とシドをジョミーが出迎える。
「無事、終わりました」
 無事に済んだと言うわりに不機嫌そうにシドは答えた。
「シド、何か言いたい事があるみたいだね。僕も聞きたい事があるけど…僕の部屋で話そうか」
 惑星スメールでのジョミーの部屋はカナリアの子供たちが集まれるようにと広いリビングのような部屋になっている。
 床に優しいクリーム色のふかふかの絨毯が敷き詰められていて、奥にカウンターがあった。
 ジョミーはカウンターではなく窓際のフィシスとのお茶の時間に使っている小さな丸いテーブルの方にシドを招いた。
「今日はクッキーを焼いたんだ。だから、紅茶でいいよね」
 ジョミーは用意していたティーセットをカウンターから運んで来た。
「クッキー、久しぶりですね」
 そう言ってシドはクッキーを一枚取って食べる。おいしいですよと言うシドを嬉しそうに見ながらジョミーは彼のカップに紅茶をいれた。
 しばらく談笑をしてからジョミーが切り出した。
「シド。僕に言いたい事があるだろ?」
「あ…いいえ。さっき言ったように彼のノアに来る手続きは何も問題無く無事に済みました。ただ、ちょっと」
「何かあったの?」
「ん、ちょっと…あ、別に、手続き上は何も起きていません。僕が彼の事で個人的に気になるだけで…」
「……」
 質問を待つジョミー。
 だがシドは何も言ってこなかった。
 少ししてからシドが「それより、ジョミーは何が聞きたいのですか?」と聞いてきた。
「んーと、多分、君の気になっている事と同じじゃないかな。いつも一緒に行くから、彼にシドは単独で会った事が無かったね。だから、どんな感想を持ったか知りたいんだ」
 さっきからでてくる彼とは、教育ステーション落下事件の後の休校中にアタラクシアで会ったあの青年だ。
 昏睡状態になっミュウがいるので助けてあげて欲しいとスゥエナに頼まれてジョミーが彼の深層心理に潜って助けたあの男。
 彼の名はセドル。
 あの事件後彼はミュウではないという事がわかったが、あの出会いで彼に興味を持ったジョミーが親密に接触するようになって一年以上が過ぎていた。最近、セドルが惑星ノアに居住権を申し込んだ。だが、許可が下りなかった。それで彼は、ジョミーに協力を頼んだ。許可が下りないのは彼の経歴に問題があるからだった。ジョミーは、問題のある部分を改ざんさせて彼の許可を通した。立場的に表だって動けないジョミーに代わって、その手続きに行ったのだった。シドは彼が星に住む事が出来ようが出来まいがジョミーが関与する問題ではないと思っていた。シドはジョミーが何故セドルにそうまして関わるのか不思議でならなかった。

「僕の印象は見たままです。あなたが居ないから余計に見下されている気はしましたが、いつもの通りの自信家で話すのは自分の自慢ばかり。必要以上に馴れ馴れしくて、言動が粗野で野蛮で。長命なミュウですから、僕らの年齢をとやかく言うつもりはないですけど、いくら若く見えるからって敬う事もしない。とても無遠慮で無神経で無礼な男です。出会った時は大人しそうな普通の青年に見えましたけど、まぁ、僕が見ていたのは寝顔でしたけどね」
 あからさまに不快を露わにいるシドだった。
「そうだね。確かに、とても礼儀を知らないね。ごめん。許してあげて。もう一人で会う事はさせないから」と彼に替わって許しを請うようなジョミーを見てシドの怒りの矛先がジョミーへと移る。
「何故、あんな野蛮で危険な男にあちこちに手回ししてまで、ノアに住む権利など与えるのですか?」
「頼まれたから動いたまでだが、そこまで危険な男ではないと思うよ」
「危険極まりないでしょう?彼の扱うものは…危ないし、彼はあなたを狙ってるのですよ。自覚して下さい」
「それは…そうだが」
「あんな下品な」
 とシドは彼に初めて会った時の事を話し出した。
「覚えているでしょう?あの救出した時、救ってもらった恩も忘れて、思念体のあなたが自分の好みの女性になったって吹聴して回って、あげく俺の女になれって強制して結婚を迫ったんですからね。全く信じられない。あの時は本当に腹が立った」
「あれは、彼のちょっとばかり過激な社交辞令だよ」
「何故、庇うんです。あいつの暴言をジョミーが許したからっていい気になって、今度はまるでストーカーみたいに付け回して、どこにいるのか調べあげて、それなのにいちいち何をしてる?なんて聞いてくるヤツなんて…相手にしないで無視すればいいものを。何故、相手をするのですか?どうして、あなたの方も彼に興味など持つのです?弱みでも握られたのですか?」
「まあね。怒らないで、シド。弱みなんて握られていないよ。ただ、何度も好きだ。好きだ。と言われれば少しは気にはなってくるよ」とジョミーは笑った。
「冗談はやめて下さい」
「まぁ、好きかは別にして。彼が気になる。興味があるんだ。強い個性にも惹かれている」
「だからどうして」
「彼はとても野心家だからさ…」
「野心家?」
「そう、あの出会った時、資産家に取り入り、スウェナまで動かして僕に会えるようにと完璧な口実を作った。そしてその上、僕の思考の上をいったんだ」
「昏睡状態だったのが自作自演だったとは聞きましたが、何か薬で眠っていたらしいですね」
「眠っているのが薬の所為だと人類の医学は答えを出せなかった。彼の中には人類とは別の何かがある。医学も化学も恐ろしく違っているようだ」
「医学と科学ですか…」
 シドは自分のポケットの中にある小さなカプセルを思い出していた。それはセドルから渡されたものだった。



   続く





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