『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十四話

☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
＜人物＞
ジョミー　ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン　ノアの首相　人類の評議会議長を兼任
シド　ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属
ソルジャーズのブルー　人類が作ったブルーのクローン（タイプブルー）
　　　　　　ジョミー　本当はジョミーのクローンではない（タイプイエロー）
ヴィー　大戦後に生まれた若いミュウ　キースの作ったミュウ部隊を任されている

　　　

「じゃあ、僕達は行くね」
「え？」
「タイプイエローでも時にはタイプブルーを凌ぐ事があるんだよ」
　と、シドが言う。
「ヴィー。君の部下の安全は保障する。それと、この船は医療船だ。小さいけど役に立つ」
　そういうとシドと一緒にセイクリッドへと跳んだ。
　ジョミーを拘束していた手錠が音を立てて落ちた。

　惑星ニュクスと旗艦プロメテウスの間でゆらゆらと金色の髪を揺らしながら、黒いガウンのような服を着たジョミーが手を広げて立ちはだかっている。
「旗艦プロメテウス。射程の長さが自慢の最新鋭艦。これ以上先へは行かせない」
　その声が合図だったかのように、プロメテウスから主砲が撃たれる。
　レーザー砲はジョミーの真横を過ぎる。
　彼の後ろのニュクスへ向かった光は何かに当たり反射して艦隊へと向かっていった。
「退避！」
　光の先にあったゼウス級の戦艦は慌てた。
「大丈夫…」
　静かな声と共に、戦艦の前にはジョミーが青く輝いていた。
　まばゆい光だけがそこにあった。音もなく急速に光が収束して終わった。
「ソルジャー・シン」
　解放されたセイクリッドの仲間が声を上げる。
「ジョミー」
　ヴィーの部隊が乗ったベルーガ２がジョミーに向かっていった。
　ベルーガ２に収容されたジョミーはそのまま『ジュピター』のキーコードを打ち込み、通信を送った。
「ジュピターとして命ずる。全艦、破壊行動を停止せよ。これは最優先事項であり、絶対である。逆らう事は許されない」
　ジュピターの白いブレスが光を放っていた。
　絶対命令を出したジョミーはブルーガ２でプロメテウスへ乗り込み。レドニウスではなく、キースとの会談を要求した。
　キースは通信での会談を承諾し、二人は話し合いを持った。
　会談の終了を聞いて、ヴィーはジョミーのいる部屋のドアを開けた。
「ジョミー！？」
　床に倒れこんでいるジョミーを見てヴィーは走り寄る。
「何かあったのですか？」
「いや、大丈夫。キースとの話は無事に済んだ。ちょっと無理をしただけ…」
「大丈夫ですか？」
「肩を貸してもらえるかな…」
「ベルーガへ行きましょう」
「ありがとう」
　ヴィーに支えられてベルーガのミュウの医療ベッドへ横になるジョミー。
「話題になっているのですが…さっきのは…兵器フィズですよね？」
「知ってるの？」
「一応、軍人ですし、僕らはミュウですから…あの時に何があったのかは知らされています」
「そうか」
「惑星ノアを救った英雄はキースだと思っていました。違うとわかっても尊敬する気持ちは変わりませんが、僕は…本当にノアを救ったあなたたちに銃を向けたって事なるんですね…」
「それは君の任務だったのだろう。今の君の立場なら、しょうがない」
「最近…その誇りも自信も無くしそうです」
「ヴィー。休暇が取れたら一度メサイアに来てみるといい」
「メサイアに？
「とても良い星だよ。トォニィが君を気にしている」
「わかりました。考えておきます」
「そうするといい」
「はい」
「それよりヴィー。セドルを追っていったのはどうなった？」
「見失いました。あなたのステルスはミュウにも見つけられない」
「ステルス機能だけじゃないよ。セドルがそういうのが上手いんだ」
「セドルですか…。彼が来てから問題ばかりだ」
　そういってヴィーは治療部屋から出て行った。その手に何かが握られているのをジョミーは見逃さなかった。
「…彼も迷っている…」
　ベルーガのミュウ用の治療ベッドで回復を待ちながら、窓から見える緑の星ニュクスを見つめた。星をバックにしてグランド・マザーが浮かびあがった。
「グランド・マザー。まさか、僕が貴女を守る事になるなんて思いもしませんでしたよ」
（ジョミー・マーキス・シン。お前はまだ欲しくないのか？）
　マザーがジョミーへと手を伸ばした。
「何を？」
（世界を）
　ゆっくりとマザーの幻が消えていった。
「世界か…」

　物語を悲劇的に考えるなら、この世界が僕を必要としなくなってもかまわないと思っていた。
　だけど、それはあっさりと変わった。
　望んで得た世界だ。自分の好き勝手にしてしまいたとも思った。
　でも、望んでも願っても得られない物ばかりを望んだ。
　僕はもう追う事に疲れてしまったんだ。
　そこへ魔女が僕を誘った。
『世界を地球を救って…』それはとても、甘美な囁きだった。
　僕はそこへ逃げ込んだ。
　僕が世界から消えた。
　消えても世界は回り続けた。
　そう、僕が消えても何も起きなかった。
　小さな小さな僕がどこかで泣いていた。
『誰か僕を見つけて。僕を見て』
　そんな世界が永遠に続く…。
　僕はずっとそう叫んでいた。
　誰も僕を見てくれなくなる気がして。
　僕が…言うんだ。
『失いたくない』
　世界で一人は嫌なんだ。

「なんの為に戻ってきたと思っているんだ」

「そうさ。マザー。僕も人間なんだ。貴女を守った礼を望んでいいよね？世界を…僕に…くれないかな」
「守りきれたならな」と言うキースの声が聞こえた気がした。
「！」　
　ジョミーは部屋を出て操縦室へ飛び込んだ。
「ゼウスが動き出しました」
「星へ向かっています」
「プロメテウスから停船要求を無視して進んでいます」
「だけど、星には防御システムがある…降りる前に破壊される…」
「キースが乗っているあの船は攻撃されない」
「それっ…まさか…」
「…実験体が全て殺されている訳じゃないからね…」
　けびすを返して行こうとするジョミーをヴィーは引き留めた。
「…行きますか？」
「何であれ、止めないといけない」
「俺も行きます」
　あきらかに顔色が悪いジョミーを心配してヴィーが言った。
「君の気持ちはありがたいが…僕には」
「何が味方してくれると言うんです？マザーですか？フィズですか？」
「……」
「支えているくらいは出来ます」
「ヴィー…」
「銃を向けてしまったお詫びをさせて下さい」

　運命がそこへ僕を連れてゆくのなら…。
　僕は足掻いてもがいて無様に堕ちよう。




　　　続く



※今回少し短いです＞＜；

☆月イチ雑記 七月 「一週間が早い～」＞＜；

☆月イチ雑記。
もう一個のブログに書いていますが、ただ今「エッセイ講座」を受講中です。
いやあ、一週間が早い早い～～；；
あっという間にあれ？もう？ってなってしまいます。
宿題が出るのですよ、テーマがあって原稿用紙三枚～五枚。
ある程度前に筋書だけでも立てて書き出しておかないと大変な事に…。
今度は「旅の思い出」だったっけ…。
ネタはある「トワイライトエクスプレス」と「正月の京都」
ＧＷの同人巡りは書けないな＾＾；
どっちもどっち。両方書くか。
三枚でいいので。。。

そんなこんなで最近は頭がエッセイ（現実）に行っていて…。
ちょっとこっちに持って来るのに苦労しています；
エッセイの先生に「小説」と「エッセイ」の違いを聞いたら、
小説は「創作ですね」と言われました。
「そっかあ」と思いました。
だから、私はエッセイが苦手なんだ；
「私小説」なんて全く書ける気がしない。
小説は最後に「言いたい事」がくる。
エッセイはそこの字数内で言いたいことまで書かないといけない。
難しい＞＜。
そりゃ、こういう日記でも言いたいことがあるから書くのだけど…
起承転結の「結」に持って来る必要が無いから、最初に書いてもいい。
今日のは、「エッセイ講座始めたら小説が大変になった」って事でしょ？
それをタイトルにしてうだうだと書いてもいい訳です。
ともかく宿題、頑張ります。

と、もう一つ。
今月末にバンドメンバー集めがひと段落しそうです。
そしたら、本格始動になるかも…。
まだ、かも。の段階なんですが…。
それでも今度会う時はこんなのがやりたいと各自言うので、
私は「ＴＨＵＮＤＥＲＢＩＲＤ」Ｔ、Ｍ、ＲＥＶＯＬＵＴＩＯＮを言うつもり。
　　　　↑これぐらいのテンポなら遅いし。
ＳＩＤの楽譜があるからＳＩＤでも良いけど…早いんだよね。
好きな三代目ＪＳＢや藤澤ノリマサはバンドでは出来ないからなぁ…。
これも向こうのブログに書きましたが、
私は「両声類」なんです^^;
歌いやすいのはちょっと高い男性歌。
しかも声を張る方が好き。
前は音量が無いから却下だったけど最近はそれも何とかなってきた。
このバンドが本格始動したら、やっぱり「歌」を習うのを再開させないといけない。
今度は私のこの「両声類」に理解ある先生を選ぼう。


では、「小説」の今後ですが…。
星は守りきれません。
シドにはシドへの想いの形を、
セドルにはセドルへの思いを。
ブルーには想いへの答えを。
キースには…。
と言う風に全部補完してゆきます。
どうして力を使わない(使えない）のか。とかも。
補完し終わったら何が残るのかなぁ…。とちょっと自分を心配しています＾＾；
きっとまた、何か書きたくなって書くと思います。

ふわふわな恋愛が書きたいから、そっちへ移行すると思われます＾＾

それにしても、ジョミーが随分セドルにタメ口ですね＾＾；
そのうち、
「バカじゃないの？」とか言いそうです。
好きだ好きだと言われ続けたら好きにもなるって言ってたけど、
多分最初から嫌いなタイプでは無かったのでしょうね。


では、今月もまったり更新ですが…。よろしくお願いします。

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十三話

☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
＜人物＞
ジョミー　ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン　ノアの首相　人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー　人類が作ったブルーのクローン（タイプブルー）
　　　　　　ジョミー　本当はジョミーのクローンではない（タイプイエロー）
シド　ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属


　　　『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編　十三話

　　惑星ニュクス　上空
　セイクリッド艦橋
「旗艦から通信が入っています。メインに出します」
　ジョミーたちの前に浮かぶスクリーンに気難しそうな初老の男の顔が浮かんだ。見覚えの無いその顔にシドは不信を覚えた。そして、ジョミーへ小さく首を振り合図を送った。
「そちらはジョミー副首相の船セイクリッドか？」
　初老の男が先に聞いてきた。
「そうだ。では、そちらはキース首相のプロメテウス」
「では何故、セイクリッドは我が船の進路を阻むのかをお教え願いたい」
「ニュクスへ向かわせる訳にはいかない。ただそれだけだ」
「ニュクス？ああ、俗称か…。ＴＩ２８７の事だな」
　とあざけるように笑った。
「名称などはどちらでもよい。あの星へ向かうと言うのなら、僕はそれを止めるまで」
「それはノアの副首相として言われるのか？」
「いいや。僕個人だ。もちろん、ミュウとしてでもない」
「では、ジョミー・マーキス・シン。貴方はあの星に何があるか知っていると言うのか？」
「あの星には人類が恐れなければならないような物は存在しない」
「存在しない？」
「ああ。しない。いや、恐れる必要はもう無いと言うべきだろう」
「それは、ミュウのあなたが決める事ではないのでは？」
「…貴殿はその名も名乗らず、僕の前に立っている。その無礼は許そう。だが、今の発言…ミュウを侮辱するのは見過ごせない事になるが…それでいいのか？」
「私はあなたがミュウとしてでは無いと言われたから、そう言ったまで…」
「まずは、名乗りたまえ。話はそれからだ」
「西部方面隊・レドニウス・ブランシュ」
　シドが素早く彼の情報を出して表示させる。そこには『マザー信奉者の可能性あり』とあった。小さくため息をついてジョミーは会話を再開させた。
「では、レドニウス大佐。貴殿が率いるその進軍の目的を聞かせて欲しい」
「惑星ＴＩ２８７の破壊を…」
「大佐」
　何者かがレドニウスに声をかけた。
「……っ」シドが呻く。
　暗示をかけていた術が解かれたのだった。
　それを見て素早くジョミーが会話を進める。
「レドニウス大佐。あなたではなく、僕はキース・アニアンと話がしたい」
「いいだろう、我々はここで停船する。シドと二人。ベルーガでここまで来い」
　その声はキースだった。
「！」
　思わず立ち上がったジョミーを制したのはシドだった。
「ジョミー」
「……」
「その前に、この船を囲むミュウの部隊を下がらせてくれないか？そうしてくれればその条件に従おう」
　レドニウスとの会話の間に少しずつ包囲を狭めていたミュウの部隊が下がっていった。
　その後、座標が送られ、通信は切れた。
　ホッとしたように息をつくソルジャーズのジョミー。
「だけど、キースがいるのはプロメテウスじゃないね…」
　シドが声をかけた。
「さっきのレドニウスが…黒幕とは思えない」
　ゼウス級戦艦が三隻、巡洋艦が二隻、そして、最新鋭艦プロメテウス。この月サイズのニュクスを破壊する為に小規模ではあるがこれだけの船が来ている。これは正規軍では無かった。正規では無いなら、個人で集まった事になる。秘密裏に誰かが集めたもの。
　レドニウスにそれだけの艦隊を動かせるとは思えなかった。
　やはり、キースが集めたとみるのが妥当だった。
「マザー信奉者か集まっているのか？彼にそこまでの影響力は無いと思えるのだけど…」
「だけど…やっかいだな…」
「マザー信奉者は何故、世界を再び壊そうとするのだろう。彼らは何もない安定を望むんじゃないのか？」
「安定と言うより、ただ自分達だけの安寧を望むって感じに変わってきている」
「安寧？マザーはそれを与えてくれるの？『神』じゃないのに？」
　ジョミーが吐き捨てるように言った。
「なにかにすがっていたいだけ…」　
「でも、誰だってそう思う時はある。すがるだけなら良いけど、集まるとそれが暴力になる…」
「何かにすがって、何も考えず力だけを使う」
「まだ…人類は…駄目なの？」
「…まだかもね…」
「やっと…信じて進めると思ったのにな…」
「ジョミー。君はレドニウスやキースの後ろにブルーがいると思っているのかい？」
「いる」
「キースを操っていると？」
「わからない…」
「ミイラ取りがミイラになったって事か…」
「……」

　　惑星ニュクス・中心部
　床に手をついて肩で息をしているいるジョミー。
「ジョミー。大丈夫か？少し休めよ」
　セドルが彼を支えて立たせる。
「休んでいる時間はない…」
　ほぼ全てのニュクスの情報を集めて黒い塊へと封じたジョミーはもう立ち上がる力も無い程に憔悴をしていた。
「ありがとう…」
　セドルに支えられている手を離し、中心へと進む。
「さあ…これで…最後だ」
　手を上げて光を集める。黒い塊へと吸い込まれてゆく。
「終わった」
「ジョミー。それを、コンピューター・テラを渡せ」
　セドルの手には銃があった。
「…セドル…」
「早く渡せ。時間が惜しいんだろ？」
「そんな事をしなくても…君の船にステルスを付けたのは、これを遠くへ運んでもらう為だ…」
　コンピューター・テラをセドルに渡すジョミー。
「この中の情報は人類の命綱。人類の君に託すよ」
「俺は…」
「星を守るのには使わないって…？」
「ああ。俺はこれを自分の為に使う」
「いいよ。それでも。逃げてさえくれれば、ここでお別れだ。僕が側にいなくても、ステルス機能はこれで作動するから…」
「…俺にこの星を守る気がないと…わかっていたんだな。それはミュウの力なのか？」
「ううん。見ていればわかるよ」
「……」
「君にキースが近づいた時に君は何かを感じ取った。そして、アルテメシアで僕に接触してきた。キースのその後の対応を見て君は確信したんだ。自分の星にはなにかとてつもない物があると…。その思いがあって君は僕の計画に加わった」
「この星の歴史そのものが人類にとっての脅威になるなんて俺は思えない。俺はただこれが商売になるとふんだだけさ」
「セドル。君が望む物は金か？」
「さぁ、なんだろうな」
　そういってセドルは銃をジョミーに向けたまま、データ室から出ていた。
「俺が望むのは…手に入らない…」
　セドルは目の端に閉まるドアを見て呟いた。
　ゆっくりと世界が回り、ジョミーは床に手をついた。
「セドル。この星に来て、はっきりとわかったよ。君が望んでいるのは…君の事を見てくれる人」
　他人が自分を見る事で人は自分の意味と価値を知る。
　それが人間。
　この星はいうなれば観察者。ただ実験をしてそのデータを集めるだけ…。
　見続ける事。ＳＤ体制が崩壊して生まれてきたクローンの彼でさえ変わろうとしている。
　今まで、人が変わろうとするのをマザーが奪ってきた。
　その事実がこの星にある。
「人類の様々なデータがここに残されている。ＳＤ体制の…全てが…。ミュウの始まりもここには…だから僕は守りたい」
　上を見上げるジョミー。
　立ち上がろうとするがまだ動けない。諦めてごろりと横になる。
「戦闘が始まってしまう…」
　オレンジ色に光り始め、黒い服がふわりと空気をはらんで膨らむ。目を閉じたまま仰向けのジョミーの身体が浮かび上がる。そのまま光が強さを増す、ニュクスの建物から光が宇宙へと伸びていった。

　　ベルーガ船内
「危ない！ジョミー」
　銃声が響く。ジョミーを庇ったシドが肩を押さえて倒れこむ。
　シドを抱えるジョミー。
「シド」
「ジョミー、無事ですか…」
「なんで？僕を庇うなんてしなくていい」
　ジョミーが黄色く光りだしてシドの治癒を始める。その腕を掴むシド。
「駄目です。僕はまだ大丈夫だから、力を使わないで」
「だって、血が出てる。こんなに…」
「僕だって力は使えますよ…」
「でも…」
「まだ。気を抜かないで。ジョミー」
　そう言われジョミーは撃ったヴィーを見る。
「何で、ヴィー。こんな事を」
　指定された場所に来たのはキースではなく、ミュウの部隊だった。
　彼らはいきなり襲ってきたのだった。
「セイクリッド制圧」
　ヴィーが仲間からそう報告を受けている。
「セイクリッドを…」
　シドが呻く。ジョミーはシドを抱えたまま叫んだ。
「君は何をしたいんだ。答えろ。ヴィー」
「動かないで下さい。ジョミー」
「キースを信じた僕がバカだったのか？」
「あなたも騙したでしょ？」
「…ヴィー。お前…」
「だが、これはあまりにも…やり方が汚い」
　シドがヴィーを睨みながら言った。
「誰も死んでないし…怪我をしたのは抵抗してきた者だけです…」
「当たり前だ。こんな所で殺されてたまるか！」
　シドが叫んだ。
「殺さなきゃいいって？…だって、これは戦争じゃないんだ。誰も…」
「ジョミー。武器を持った者の前に立ったって事を忘れていませんか？」
「何も持たない者を撃つ。いや、銃を向ける事自体がおかしいんだ。違うか？ヴィー」
「ミュウは何も持っていない訳じゃない」
「お前たちが相手なら、それは同じだ」
「僕が偽物だと知っていたならなおさら、同等の筈だ」
「それでも…ミュウはミュウだ」
「…それ…まさか…」
「キースがそう言ったのか？」
「そう…なのか…」
　シドはミュウ部隊から手当てを受けた。
　ジョミーは力が使えないように拘束された。
「ヴィー。これを」
　ベルーガの操縦席にいた隊員がヴィーを呼んだ。
「惑星から何者かが接近しています」
「タイプ・ブルー。ソルジャー・シンです」
「ジョミー。良かった。僕達は間に合ったんだ」
　シドのその言葉にソルジャーズのジョミーが小さく笑う。
　ヴィーが艦隊の方を見る。その先に青く光る光りが見えた。




　　　続く