君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

お久しぶりの雑記。

2015-07-29 03:00:49 | 月イチ雑記「青い星」

☆久しぶりの月イチ雑記です。
久しぶりなのに嫌な事を書く事になるとは…。

あっちのブログを見て下さっている方は「何かあったな」と気付いている筈、、。
一筋縄ではいかない問題が起きています。

このままだと、人間の一番嫌な部分を直視しないといけなくなると思います。
人はある程度、心を「オブラート」に包んでものを言っている。
そこを取るとどうなるか;;

ここ三日~四日でかなり動きがありまして、、
大変な方向へ行きだしました。

ごたごたをどう捉えればいいのか…。
そこに巻き込まれずに創作する方法を探しています…。




『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 十話

2015-07-22 03:05:04 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セドル 教育ステーション時代ミュウと偽りジョミーと会う

  『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 十話

  惑星ノア・首都(同時刻)

 セルジュがトォニィの許を訪れていた。
「セルジュ。全く会議ってのは退屈だ。主義主張ばかりで進まない」
 トォニィが議案のデータを見ながら文句を言った。
「確かにね。でも、それは仕方のない事。僕もさっさと終わらせてしまいたいよ」
「うん。わかってる…」
「今回は相談があって来たのだけれど…」
「相談?」
「僕らの条件を合わせておかないと、動けないと思ってね」
「って、それって。相談じゃないね」
「じゃあ、お願いがあってかな?」
「セルジュ。僕達ミュウもずっと耐えてきた。その間、人類も苦しんできたのは知ってるよ。今回の事件で膿を出してしまえない?」
「根強いからねぇ…」
「マザーなぁ。僕も自分の考えをジョミーに託した事がある。それが甘えや逃げだと知りながらね」
「それはどうやって気が付いた?」
「ジョミーが一度は助けるが二度目は無いって最初に言ったんだ」
「そっか、じゃあ、もうジョミーはキースを許さないのかな?」
「許すも、許さないも、あの二人はきっとまだ同意見だよ」
「……」
「セルジュ。君のお願いはキースの居所を知る事?」
「……」
「僕は不思議だったんだ。ニュクスの事件の後に、ジョミーはキースの身柄をミュウで拘束するように指示した。特殊な治療するという名目で、完全に人類から隠せと…それはこういう事だったんだ」
「ジョミーに会って聞き出そうとしたけど、答えは自分の中にあるって言われた…」
「キース・アニアンの暗殺計画でもあるの?」
「……」
「そして、それに反対ではないって事か…」
「僕、個人は反対だ。だけど、議会はそう決めた」
「暗殺を?皆で決めたの?全く、野蛮な連中だ」
「……」
「何?暗殺部隊でも動いたって事?それで、君はここに来たんだ。で、来たのに。どうしてここにいる?」
「トォニィ…」
「見届けでもしに来たのか?」
「…違う…」
「見損なった。いますぐ僕の前から消えろ。出て行け!」
 トォニィの全身から怒りの色が見えるようだった。
 セルジュは何も言わずに部屋を後にした。
「ジョミー。トォニィはあなたに似てきましたね。だけど、僕は、僕の心だけでは何もできません…でした」
 セルジュは眼下に広がるノアの街並みを見下ろし祈るように呟いた。


  惑星ノア・東部の砂漠地帯

「吐き出していけよ」
 セドルが真面目な顔でそう言った。
 その顔を不思議そうに見返しながら、ジョミーは笑った。
「ははっ。まさか、君が僕を読むのか?」
 ジョミーのその問いに、セドルは答えなかった。
「ジョミー。お前はこの船で何をする気なんだ?」
「ん…」
「まだ何かをするつもりだとみた。俺はその事に興味は無い。だげ、どこかへ行くか、するなら、ここで全部出してから行けよって事だ」
「悔いのないように?」
「そうだな」
「全部?全部、受け止められると思っているの?」
「お前は俺をキースの代わりにしようとしただろ?俺もヤツになりたかった。それなら、おいつに及ばなくてもそれなりにはな…」
「代わりに…。そうだね。そうしようとした…」
「ベリアルと会う前に俺を見ただろ」
「そう。僕は君を好きだと落としたいと思って見た」
「やっぱりな」
「僕は卑怯なんだ。シドにソルジャーズのジョミーを託し、僕が好きだと言ったら彼はどうするのかを試した。それで、彼に拒絶されると、君に魅惑を使った。どうして、そんな事をしたのか、本当に浅はかな答えしか思いつかない…」
「それは、寂しくなったからだろ?お前はシドに失恋したから」
「…失恋?」
 そうか、これが失恋か…。僕はキースに避けられ、シドにも去られた。これが失恋なのか…。だとしたら、僕は今まで、恵まれすぎていたにかもしれない。
「お前、今なら、そのソルジャー服、自分から脱げるんじゃないのか?」
「…え?…」
「それを脱ぎたいのか脱ぎたくないのか、それとも、俺に脱がせて欲しいのか。わからないが、なぜわざわざその服に着替えてきたんだ?」
「威圧する為かな…」
「威圧?威嚇だろ?予防線を張ろうとしたんだろ?」
「…予防線?」
「その気になった自分が、その服なら、自制心を保てると思ったとか?」
 セドルはジョミーに近づき挑発するように言った。
 ジョミーはその視線を受け止めてから、視線を下に外し、呟くように答えた。
「そうだね。僕はこの服を着たことで、気が付いてしまったから…」
「何に?」
「そう、気が付いてしまった。知らなければ良かった事を…」
「ジョミー…?」
「さっき、僕はこの服を着ていたのに君に殴られた。普段の僕なら殴らせない、かわせる。だけど僕は殴られた。身体が動かせない訳でもないのに殴られたんだ。それが驚きだった。だから、僕は君を自分で思っている以上に好きに…なっているのだと気付いた」
 ジョミーの言い出した言葉の重みに気が付いたセドルは一歩退いた。
「それはお前の気の迷い、そうだなぁ。勘違いだな」
 そう言って、顔の前で遮るように手を振った。
「勘違い?」
「お前は人間に助けられるのに慣れていない。ミュウの仲間にも、あのシドにでさえ助けられるのを気にするのに、力の無い俺みたいなただの人間に助けられた事で過剰に感じてしまったんだ。だから、俺なんかがちょっと優しくしただけで、そんな事を言う」
「そんな…。違う」
「いや、きっとそうだ」
「違う」
「じゃあ、こうだ。気の迷いじゃないと証明出来たら…次に会った時にまだ好きだと思っていたら、告白しろ」
「告白?」
「ミュウの長が何もないこんな小悪党に惚れたって皆に言えって事だ。そしたら考えなくもない」
「いいね。そういうの。本当に君は負けてないね」
 ジョミーは笑い出した。
「言えないだろ?」
「さぁ、言えちゃうんじゃないかな?」
「お前、結構、考えなしなんだな」
「自分の事を大事にしないヤツと言われた事はあるよ」
「全くだ。俺たちの手に引っかかってベリアルにいいように使われるだろう事はわかっていたのに、交渉に応じた。やつが昔の事を知りたいと知ってホッとしたんじゃないのか?」
「そこは、助けにきてくれたのは、嬉しかった。だけど、少し、がっかりしたかな」
「お前…」
「そうだなぁ…どうしてそう思ってしまったのかな…」
「お前、あんなのにいいようにされたら、破滅するぞ」
「わかってた。僕という地位とかの諸々、全部利用されてもいいと思ってたし、彼の生い立ちを知って、なおさらそう思った。だけど、今はまだだな」
「違う、違う。そうじゃない。何かが終わって全てが済んだら、全てを搾り取られて殺されても良いなんて事はない。いくらお前があいつの恨まれていてもだ」
「……」
「それは償う方法として間違っている」
「間違っている?」
「じゃあ、お前があいつを知っているから、あいつには償うって事がおかしいのはわかるか?」
「……」
「お前は償わなきゃいけないかもしれない。だけど、それはあいつだけにすれば終わるものじゃない。お前があいつに殺されてそれで何が済むんだ?いや、違うか…難しいな…。お前はな死んじゃいけないんだ」
「……」
「あー、もう。お前、間違ってるってわかっているか?読みが間違っているんだよ」
「……」
「お前はお前って人間の価値を読み違っているから、俺たちみたいなのに引っかかったんだ」
「セドル。君は良いやつだな」
「俺は悪いヤツだ」
「僕が好きになるだけの価値のある人間だよ」
「そうか?なら今度会う時が楽しみだ」
「告白されても、逃げるなよ」
「受け止めてやるさ」


 やがて、時間がきてセドルとベリアルは人類の街へと帰って行った。
 




つづく








※やっと、本命登場です。


『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章閑話「たなばた」

2015-07-08 00:46:56 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆イベント「七夕」
最近、メインCPのキースとジョミーが書けていないので、
ちょっと、なんだなぁ~。と思っていました。
ですが、今の話の中に「七夕」を書いて挟む訳には行かず。
苦肉の策で、別CPで一本。
時間も無いので、変かもしれませんが;
よろしくお願いします。


  「たなばた」

陽が落ち、夕焼けが空を染める頃、ノア行政区の建物の間を大股で歩いて来たのはトォニィだった。
議会が思うように進まず、イラついていた。
「まったく、何が結果が得られないだ?やってみればいいんだ。結果も何も動くときは動くのに」
気が昂ってゆく。
「機を逃す方が、ずっと、問題だ」
とうとう走り出す。
勢いで空に浮きかけた時、トォニィの腕を掴む者がいた。
「ダメダメ。ここは飛行禁止だ」
「!」
ハッとなるトォニィ。
無意識で、跳ぼうとしていた自分に驚く。
「警報が鳴る前に降りて」
「セルジュ…」
「降りてくれる?」
「……」
トォニィは止めに入ったセルジュも持ち上げて、20センチ程浮かんでいた。
「わかった」
静かに地上へ降りる。
トォニィはセルジュを見ても、憮然とした表情のまま言った。
「でもさ、今日はノアには来れないって話だったよね。何でこんな所に居るんだよ。軍は暇でいいね。こっちは何も進まないのに会議会議って、全く、どうしようもない」
「トォニィ。イラついてる?」
「あったりまえだ」
「会議が、じゃなくて。ジョミーが行っちゃった事にでしょ?」
「違う。会議が意味なしだからだよ」
「ジョミーは今、まだ、ノアに居るよ」
「…!」
「会いたい?」
「ううん…。今はまだいい。僕がもっと、ここでちゃんと出来るようになってからでないと会えない」
「そっか…今朝、商業地区で正体不明の船が現れたって騒ぎになったよね?大丈夫だよ。皆、無事だ」
「会議中で、詳しくは聞かされてないけど、やっぱり…そうだっかか…」
「大丈夫だよ」
「わかってる。信じてるから、だから、もし、このままジョミーが旅立ってしまっても、僕は後悔しない…」
「強がってる?」
「な、セルジュの前で強がってどうする?僕は、もう十分、強いのに」
「じゃあさ。手を離して」
「あ、え?」
 トォニィは自分の手を見る。しっかりとセルジュの手を握ったままだった。
 でも、慌てて離す事はしなかった。
「たまには、繋いでたっていいんだよ」
「まぁね。あはは」
「笑うなよ。セルジュ」
「可愛いと思って」
「可愛い?僕が?違うよ」
「ん?」
「僕はかっこいいんだ」
「まぁね。うん。かっこいい」
「セ、セルジュ!」
 セルジュの言葉に真っ赤になるトォニィ。
 でも、まだ手は繋いでいる。
「あ」
「何?」
「言い忘れた」
「何を?」
「セルジュ、さっきは、ありがとう」
 と、トォニィはにっこりと笑った。
 この笑顔は反則だ。と思うセルジュだった。
「ど、どう致しまして」
「空が夜に変わるね」
「トォニィ。今夜は七夕なんだって、こうしてさ、来年も再来年も星を見れたらいいね」
「んー、そうだね。二人で一緒にね」
「うん。一緒にね」
 空が次第にオレンジから青に変わり、星が瞬き始めた。



  おわり










※本編が微妙にドロドロしているので、こういうカワイイ恋愛が新鮮です。
最短30分でUP^^楽しかったです。

※オスミウムー毒をはく、青色のレアメタルの結晶です。キレイですね。






『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 九話

2015-07-05 02:16:17 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セルジュ 軍事惑星ペセトラの評議会議長代理(現在、軍部で最高位)

  『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 九話

 叫んだ後、セドルは振りほどいたジョミーの腕を掴み、カウンターから引っ張り出した。
 そして、右手でジョミーの顔を殴った。
「どうせ、最初から信用などしていないんだろ!」
 殴られ、床に座り込んだジョミーは、何故かただ茫然としていた。
「…セドル」
「ちくしょう。俺を、俺たちを。人だと思っていないくせに」
「どうして…」
「どうしてだ?そんなの決まっている。俺たちがニュクス人だから」
「そんな訳は無い…は…ははっ」
 ジョミーは床に座り込んだまま、笑いだした。
「何故、笑う?」
「セドル」
 ジョミーは答えようとしたが、それを止めて、セドルを見上げたジョミーの目にうっすらと涙がにじんでいた。
「はっ…。そんなに面白いのか?」
 セドルは憮然としていた。
「大丈夫だよ。僕は君を信用している。しかし、この姿の僕を殴る人間が居るとは思わなかった」
「当然だ。俺を怒らそうとしていただろ。でもま、殴って悪かった」
 と言いながら、セドルはジョミーに手を差し出した。その手をとってジョミーは立ち上がった。
「威圧するつもりで着たのに、殴られるとはね…」
 殴られた頬をさすりながらジョミーは小さく笑った。
「怒らそうとしたのは事実だろ」
「うん。それに、先にケンカを売ったのも僕だね」
「シドの事か…」
「シドに薬を盛った事や、その所為で彼も僕も死ぬ思いをしたし、君が言うように彼を特別に大事に思っているのもそうなんだけど、本当は、皆、僕を透して誰かを見ているのが面白くなかったからかな」
「皆?シドがか?お前、さっきはソルジャー・シンを見てるからとか言っていなかったか?」
「うん。そうだよ。シドはソルジャー・シンを見ている。けどそれは、僕にソルジャー・ブルーを望んでいるからなんだ」
「伝説の…か…」
「僕は…所詮、彼の代わり…。シドはブルーに成る事を望んでいる」
 そう。シドには自覚が無いかもしれないけど、自分の手のひらに落ちてくる僕を認められなかった。リオやハーレイは僕にソルジャーに成るように言ったけど、ブルーに成れとは言わなかった。その違いだ。
「シドが越えられない壁は強大な力を持ったソルジャー・ブルー。でも、僕もそれを越えられない。たとえ、僕が彼に抱かれていても、僕が彼を抱いていても、多分同じ。何一つとして変わらない。むしろ、そうしてしまったら、もっと辛くなるだろう」
「重く考え過ぎてるだけじゃなさそうだな」
「僕らの思いだけがそこにあって、お互いが生きてきた年月分がそれを許していなくて、そして、僕はもっと彼を裏切ってゆく。僕が、人間であり最大の敵だったキースを愛した事を、彼はトォニィより許していない」
 そして、僕はずっとミュウを裏切ってゆく。
 カウンターまで戻ったジョミーは、子どものように膝を抱え込んで椅子に座った。

「ジョミー。俺はお前を利用していた。俺はキースに近づく為にお前を騙した」
「うん。気付いてたよ。僕も君をニュクスへの通行証にした」
「通行証か…。それの代償はもらったからいいぜ」
「キースに、どうして近づいたの?」
「簡単に言えば、俺の仕事が海賊まがいだったから、知り合いになって、色々と便宜を図ってもらおうとか思ったんだ。だが、私情を挟むようなやつじゃないと知って、ベリアルは俺を使って、このままお前を利用しようと言った。それだけ」
 セドルはカウンターにほおづえをつき、ちらりとジョミーを見て答えた。ジョミーは膝を抱えたまま他の事を考えているかのように言った。
「僕が思った以上に、君を気に入ってしまったからね」
 そう言ってからセドルの方を見返した。その視線から目をそらしセドルが答える。
「そ、それは光栄だな。で、でも、俺はシドと同じに、お前の先にキースを見ていたんだぞ。彼がクローンの代表だと思っていた。だけど、それは、マザーの手を離れてどう生きていいかわからなかった時と似てる。すがる物が欲しかったのかもしれない」
「大戦後は誰もがそうだったね。僕もキースにすがった一人だ」
「そうか…。マザーが消え、誰もが自由になったあの時、俺は喜びでいっぱいだった。だが、すぐに現実が見えた。クローンには生きる術が無かった。だから…生きる意味を探した」
「ベリアルは生きる意味をあの時の真実を知る事に求めた」
「復讐が生きる糧か…」
「父親、アガレスのしていた事をベリアルは気付いていたと思う。それを確かめたくて、ただそれだけで僕に近づいた。彼がこの先どうしてゆくかは、彼次第だ。だから、セドル。教えて欲しい。君は僕を使って、キースを見ただろう。それで、何が見えた?」
「言いたくないな。さっきので、十分、俺らしくない事を言っている。これ以上言わせる気か?」
「何か要求する?」
「そうだなぁ…いや。いい」
「そうなの?」
「ああ…。お前が俺を信用した証だったあの石を俺はベリアルに渡しちまったしな…あれ以上の物なんか無いだろ?」
「ベリアルの所にある事を気にしているのか?」
「そりゃあ、気になるだろ?お前が必死になって集めたニュクスの情報なんだぞ。お前はあいつが持ってるのが不安じゃ無いのか?」
「医薬品に関しての情報だから、悪用しようと思えば簡単に出来るからね」
「だろ?」
「セドル。大丈夫だよ。僕はあれを回収できるんだ」
「え?」
「元々あれは僕が作ったただの入れ物だ。ベリアルが悪用したら、それ以上出せないようにあっちのを消す事が出来る。でも、僕はそれをする気は無い。あれは君たちに必要な情報だから」
「騙したのか…?」
「ニュクスの情報は一人の人間に破棄されて良い物でも、一人の物になって良い物でもないんだ。人が繰り返してきた人体実験の事実も、遺伝子を操作してきた事実も、その悪魔のような所業を人類はいつか知らなきゃならない時が来るだろう。そして、それだけの犠牲をはらった結果は使っていかないと死んでいった者が浮かばれない。あれはキースや君たちの過去の事を知ると同時に未来も作れるもの。ベリアルは頭の良いやつだから、きっと大丈夫。僕は人を信じている。そう、君を信じて…きみ…を…」
 まるで、言い過ぎた。とはっきりわかるような感じでジョミーは口に手をあてて、言葉を止めた。
「…ん?」
「いいや、騙したと思うなら思っていい。だから、教えて。君がキースに会えてどう思ったかが知りたい」
 あわてたようにジョミーは話を戻した。そんなジョミーを見てセドルはある種の興味が沸いた。
「じゃあ、さっきの代償を要求する。俺が答えたら、今の続きを言ってくれるか?正直にな。じゃなきゃ俺は言わない」
「…今のって…う…でも、ちょっとかっこ悪い…から…」
 ジョミーは椅子から抱えていた足を下ろし、セドルに背を向けるように向きを変えた。それを追うようにセドルはジョミーの方へ体を伸ばした。
「俺が今から言う事も、かっこ悪いのはきっと同じだぞ」
 セドルは肩をすくめて笑った。それにつられるようにジョミーも笑った。
「あっは。そうかもね。わかった。言うよ。言うから、教えてくれる?」
 そう言ってまっすぐにセドルを見つめ直した。その眼を見てセドルはこれは本当に覚悟を決めなければと思った。そして、コホンと一つ咳払いをして話し出した。
「どうして、それが知りたいかは聞かない。気付いていなかったが、俺はヤツに憧れじゃなくて、嫉妬していたんだ。初めて会った時は、あれは俺の深層だった。俺の横にはお前がいて、俺にも薬の作用もあったから、お前は女性体だったな。キースにはどう視えたかはしらない。深層に来たキースを見て、お前たちがどんな関係なのかがわかった。俺はこれはマズイ事だと思った。恋人がベッドに他の男と居るんだもんな。良い訳が無い。だが、あいつは何もしないで出て行った。俺はあの後、ベリアルと集められるだけ情報を集めてお前たちを調べた。そして、再び、お前に会った時に二人が良い状態ではないと知って、お前を俺の物にしようと思った。いや、実際薬も使ったな。シドがいた方がやりやすいなら、あいつも利用してだな。落とせると思っていた。だが、それは出来ないと気が付いたんだ。ニュクスに行った時、お前に『キースを止めるのか』と聞いたな。止める事が出来るなら、お前は普通な状態じゃなくなっているキースの軍隊の前に立ちはだかると決めていた。結局、その役目は、もう一人のジョミーがやる事になったが、その方法で止められるのなら、自分が死んでしまっても。あいつを殺してしまっても。と思ってただろ?」
「嫉妬か…。嫉妬やプライドって無い方が良いんじゃないかと思う時があるよ。でも、それがあるのが人間なんだよね。無い方が良いなんて、僕こそがマザー信奉者じゃないかと思えるね。セドルと会ったあの時、キースが僕に何も言わなかったのは僕にもわからない。色々あったからね。キースをね。止めたいと思っていたけど、戦艦ゼウスで、僕はキースに会った。キースは僕の胸ぐらを掴んでこう言ったんだ『また俺の邪魔をするのか。今度は出てくるな』と一言」
「ま、そのままだな」
「キースは、本当は自分を囮にしてマザー信奉者を集めて殺すのが当初の目的だった。それが、彼らと逝くと決めて、僕が何をしても、それでどんな結果になっても、死ぬつもりだとはっきりわかった。それを止めるだけのものを僕は持っていない事を知った。彼だけを助けても同じなんだ。キースはイグドラシルを再現したんだ。マザー信奉者もろとも、自分の過去を全てを持って死んでゆくのが一番良いのだと思ってしまっていた。今度は答えの出ない賭けをしたんだ。そんなの逃げでしかない…のに」
「…ジョミー」
「ちょっと昔を思い出して…。僕はさ。命をかけてもキースを止めて、またぬるま湯のような暮らしをしたいと思ったんだよ」
 とジョミーは自分をあざ笑うかのように言った。
「戦艦ゼウス、あれはニュクスに落ちたままだな。プロメテウスが墜ちたあの時、俺はお前が時間を止めたとは思っていない。ただ、こうなってしまうかもしれないっていう未来を皆に見せて、目を覚まさせたと思っている」
「ああ、それが、正解だよ。暗示の強いヤツを広範囲に使った。それで、タイプブルーの力が枯渇した。無くなったんじゃないんだ。タイプブルーは戦闘特化。僕に希望という名前の戦う理由があればまた戻ってくる。でも、僕は戦う理由を見失っていた。だから、ああいう形で使った。僕はキースを信じていた。僕がニュクスの情報を盗んでしまえばニュクスも巻き込まず、僕を使ってマザー信奉者たちを説得して戻ってくる事を」
「なら、お前は…ニュクスで…」
「そうだよ。人類に再び、宣戦布告をしようと思っていた。僕をもう一度敵にすれば人類はまとまる。その為に力を温存していた。ソルジャーズのブルーは僕を追ってくるだろうから、二人で死ぬまで戦っているのも良いんじゃないかと思っていた。僕らはどこかで滅ぶのが似合っているんだ」
「絶望したのか…」
「まださ。僕はまだ人類が好きだ。だけど、バラバラになりそうな心を必死に繋げてあそこにいた」
「吐き出して行けよ」
「え?」




 つづく