君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

雑記 PC…。データを全消去で再インスト…。

2012-11-28 03:22:49 | 月イチ雑記「青い星」
とある事故で、PCがブラックアウトしてしまいました…。
中の、写真や音楽、イラストや、作ってた動画(50くらいあった;)
後、書いていた小説が、全て消えてしまいました。
PCは幸いにも修理に出す事無く、再インストで済みましたが;
全消去「はい」を選ぶ時は手が震えました;;
残したかったメールがあった…。
知人から頂いた画像とかも、泣けました><
それと、随分前に書いた「詩」のような「小説」の一編。
もうあんなのは書けない。残したかった。。。
ショックで、三日程、放心状態。
PCを触りたくなかった。
キレイに何もないTOPを見たく無かった。

面倒がらずにUSBに移せば良かった。。っと、言う事でノートPCを買う事にしました。(保存の意味も兼ねて…)
今の部分は書き溜めていなかったので被害は最小ですが…同じものを頭から引き出す作業と、一からUSBに移す作業をしなければならないので、しばらく休筆します。

「小説家になろう」にあるのも救出しないと消されるからそこから残そうと思います。

本当に最初に書いた文から全て消えてしまったので…後悔することしきりです。

ごめんなさい。


しかし、予感ってあるなぁ、と思いました。
「心」に従って動くのもいいかも、です。




『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 九話「そして…公開処刑」

2012-11-22 03:01:53 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 九話「そして…公開処刑」

   海賊の旗艦(将軍の船)の一室
 対峙しているのは、ミュウのソルジャー服を着たソルジャー・シンとミュウの一般服を着たソルジャーズのジョミー。
 二人のジョミーの間で青いスパークがいくつも起きていた。
 お互いが間合いを取り睨みあっている。
「ジョミー、止めるんだ」
 ソルジャー・シンが声をかける。
「……」
 答えは無かった。
「本当に君はミュウを裏切るのか?」
「もうずっと裏切っていました。それに…もう僕はミュウの中にはいられない。このままにしていても、いつかは嘘がバレる。僕はその時が怖いんです」
「大丈夫だ。僕がそうさせない!」
「そんなのは無理だ。あなただって、月を目の前にした木星で、月にソルジャー・ブルーの身体がある事を黙っていた。そう、あなたはミュウを裏切っていた。そのことが怖くて仲間から逃げたのでしょう?」
「僕がシャングリラを、船を降りたのはそんな理由じゃない。そう、確かに、居たたまれない感じはあった。でも、そんな事より僕は早く共存を進めたかったんだ」
「…そうですか。でも…僕は知っていますよ。あなたは黙っていましたが、人間と暮らして、あなたはとても酷い目に遭いましたよね?それは傷になっていますよね?その気持ち…増幅させてもらいます。人を憎めば楽になりますよ」
「違う。あの事は傷にはなっていない!」
「でも、良い思い出でもないでしょう?」
 クローンのジョミーの目が妖しく光る。
「やめ…思い出させるな…」
「忘れたいだけでしょう」
「…やめろ…ジョミー!」
 ソルジャー・シンが頭を押さえて呻いた。
「本当にあなたは優しいのですね。こんな裏切り者の攻撃…。跳ね返して反転させればいいでしょう?」
「…それはしない…」
 青いスパークの中、自分と同じ顔を睨みつけるジョミー。
「僕の研究所の時のことを、あなたも僕に見せ付けて押さえつければ反撃出来るでしょうに…しないんですね…」
「ジョミー」
「…優しさは甘さだって事ですよ」
「…ジョミー、僕はもう二度と僕を殺したくないんだ…」
 自分で作ったクローンのジョミーをこの手にかけた事。
 沢山の僕に分かれてしまった僕、彼らが僕だけを残したあの日。
「まだ抵抗します?では、もう一つ、あなたにとって最大の弱点を思い出しましょうか」
「…やめろ…」
「貴方が悔やんでも悔やみきれない事…。貴方の生きる意味だった彼。そう…」
「……」
「そう、ソルジャー・ブルーを殺したのは誰ですか?」
「…キース、キース・アニアン…」
 ごめん…キース…。
 僕は…。
 恨みは何も生み出さない言ったけど、気持ちを変えたと言ったけれど、本当は忘れてはいないんだ。
 忘れられる訳がない…。
 あの日、僕は…彼と……と…思っ…だから…。
 今は、ミュウの力はクローンのジョミーの方が上回っている。
 反発しあっていた力はやがて均衡を崩した。
 ソルジャー・シンが床に崩れ落ちた。

 
「今、あのミュウの長は我々の作ったもう一人のジョミーの支配下にある。こいつは人類と戦わない道を選んだが、この男にも軍を憎む気持ちがある。それを増幅してやれば、お前達に牙をむく怪物に簡単に変身だ。大戦時や、首都星ノア事変や教育ステーションでの事を知っている軍人には脅威だろう」
「何が望みだ。東の覇権だけではないだろう?」
「政権交代。…そうだな。お前というマザーの申し子の死だ」
「…承知した…それで俺はどうすればいい…」
「公開処刑だ。こいつにお前を殺させてやる」
 公開処刑のメリット、デメリットとは、極悪犯を殺すには大昔のように今も人々の心にも悪者を倒したと刻まれるだろう。
 だが、それを今の人間の前でやっても受け入れられるだろうか?
 人類はまだひ弱だ。
 今、過激な事をしたらそのままそちらに流されてしまうだろう。
 人類の手で今の平和を壊し、再び、戦争へと向かわせるには、ミュウに俺を殺させる。
 それはミュウが再び人々の脳裏に怖ろしい怪物として残ってしまうだろう…。
 だが…。
 彼が、ジョミーが俺を殺すのか?
 それは俺にはふさわしい最後だろうな。

「俺は将軍に殺されるくらいならば…お前に殺されたい」
「君は人類に必要だと思ったからイグドラシルで地上に運んだ。その命を今またここで消したいと思わない。本当に殺したいならとっくにそうしている」

 ジョミーの心の中にはまだブルーがいる。
 そう、彼を、ブルーを殺した俺への憎しみの火は消えていない。
 地球再生から戻ったジョミーは、俺を許し愛した事を後悔していた。
 だから、俺に心を許しはしなかった。
 自分の気持ちが本当に純粋な物であったのか?と迷っていた。
 停戦状態の中、小型艇で海賊の下へとやってきたキースはまるでシャングリラの艦橋と庭園を真似て作られたような広場へと連れて来られた。
 その中心で俺はジョミーと再会をした。
 俺を見ても顔色、いや目の色一つ変えずに見つめるジョミー。
 それは、地球での、イグドラシルの地下に降りる前の、まっすぐに見つめるジョミーを思い出させた。
 操られているのは本当だろうか?
 ああ、だが俺は、
 こいつになら、…この目になら殺されてもいい。
 そう思った。
 大戦中、イグドラシルで俺はもう心を決めていた。
 それを確認するかのように俺の中に入ってきたジョミー。
 あの時、俺にもこいつの心が見えたんだ。
 それで俺は、こいつに任せて、殺されようと思った。
 今、それがジョミーの使う彼の気に呑まれている状態だとしても…俺は良かった。
 ジョミーがよく俺の傍にいると安らぐと言うが、それは俺も同じだった。
 俺はこいつが俺を見るその視線が心地よかった。
 いつまでも俺を見ていて欲しかった。
 あの時の再来でも何でも良かった。

 俺はこの目に映っていられるように頑張ってきたんだ。
 そう、俺はここまでちゃんと人類を導いてきた。
 そろそろ終わってもいい頃合いだろう。
 一つ、心残りがあるとすれば…。
 ソルジャー服を着たジョミーを見た時に伝えられなかった言葉が浮かんでいた。
「ジョミー。お前は、そのソルジャー服が一番似合っているな」
 前に自分の軍服姿が似合っていると言われた返礼だったが…それが本心であるのに違いは無かった。
 ジョミーがミュウの力を無くしていようといまいと、ソルジャー・シンなんだ。
 だから、安心しろとどうして言ってやれなかったのだろうか?
 それを言うとまたどこかへ飛んでいってしまいそうだったからだろうか?
「ジョミー、お前はお前だ…」
 それを聞いたジョミーは何の変化も無かった。
 ゆらりと持ち上げられた右手に青く輝く細い剣が現れた。
 そして、ジョミーは静かにキースを見ていた。



   続く






『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 八話「開戦、そして」

2012-11-16 02:38:12 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 八話「開戦、そして」

 キースが今回の事の始まりをまとめてみようと言い出した。
  
「八年前、俺達にグライムを殺すように仕向けたのはクラヴィス将軍だ。あれは、お前が人類軍に入って来て、海賊の恨みをお前に向けようとしたのか?」
「ミュウへというより、ジュピターになのかも…」
「…大戦時に将軍の恋人だったエディの母親のミディアンにミュウの疑いがかかり彼女はクラヴィスの指示で身を隠した。海賊の首領のミディアンの兄グライムはまだその頃は軍にいた。双子の妹がミュウだと疑われ消息不明になった事で、グライムは軍に居られなくなった。彼は東の辺境の地へと移り住んだ。そして、自分と同じように軍に不満を持つ者を集めた。そして「海賊」と呼ばれるまでになった。将軍は戦争の混乱でミディアンを見失った。彼女を探し出せず、その上、自分の片腕だったグライムが海賊になってしまった事にショックを受けた。そして、全てはミュウの所為だと…戦争の所為だと思った」
「…戦争が終わり。何も知らない僕がのこのこと将軍の前に姿を現した」
「共存を始めたミュウに面だった事は出来ない。だから、俺を使いまだ軍に不慣れお前に一人海賊に立ち向かわせた上に、捕らえたグライムを殺させた」
「僕に会った事で、ミュウに対する恨みが再燃したのか。…それで、海賊とミュウを戦わせようとしたのか?マザー信奉者に資金援助と情報を流してクローン作らせた。メギドの強奪も惑星メサイア襲撃も、惑星ノアへ落とそうとした最終兵器フィズも、全てに将軍が絡んでいるのか?ことごとく計画が潰れて…ミュウと海賊との戦力差があるから、それで軍を相手に戦おうとするのか?あの将軍はそんなに浅はかな人物だった?僕にはそう思えないんだ」
「俺も、何かが掛け違っている気がする」
「…キース。教育ステーションの襲撃の時に、首領のクリスティナが最初から上級生のBブロックを捜索していたのは聞いていると思う」
「ああ、聞いた」
「あの事件の後にミディアンとクリスティナが話をしたんだ。立ち会った訳じゃないけど、シドが見た感じだと知り合いだと言う割には違和感があったと言うんだ。でも、その違和感は彼女達が子供時代の記憶を消されているからじゃないかと最初は思ったんだけど、僕達には記憶が無い状態はよくわからないからね…。でも、気になって、シドにミディアンに会いに行ってもらったんだ」
「何か掴めたのか?」
「はっきりとはわからないけれど…、クリスティナが将軍を憎んでいる気がすると言う事と、自分にも憎しみを感じだとミディアンは言った。これはシドも感じたから、間違ってはいないだろう」
「…婚約者のグライムを殺されたんだ。将軍への恨みは当然…」
「キース、僕が一人で海賊に向かったのは誰もが知っている事?僕とキースとで海賊の首領のグライムを殺した事は知られている事?」
「将軍が話したんだろう」
「将軍がキースにそう仕向けた事は?」
「それは海賊を仲間にしたいなら言わないな…」
「なら、どこをどうしたらクリスティナがグライムの上司だった将軍を憎む?」
「…やはり…どこか間違っているのか…」
「それとミディアンを憎む意味も…わからない。それに襲撃事件で将軍に裏切られたのがわかったのに、海賊はそれを簡単に許し、将軍を匿った。この事も変だけど、その彼を恨んでいるってどういう事なのだろう…」
「どこかで、クリスティナが動いているな。ミュウと海賊と将軍のどこを…いや…違う、彼女は全てに恨みを晴らそうとしている…のか…?」
「個人的にはエディも恨んでいる気がするし…何が彼女をそうさせるのだろう…」
「もしかしたら、将軍はその意味に気が付いているのかもしれない…」
「どっちがどっちを利用している訳じゃなくて、利害が一致したって事?」
「なら、利用もし、利用もされている感じだな。将軍は俺を殺して政権を握りたい。海賊はお前を殺したい。俺が死んでお前が死んだら、何が起きる?」
「事の事実関係を知るミュウが宣戦布告をする…かも…しれない…」
「大戦の始まりだな」
「でも、そうなったら、軍は黙っていない。全軍を投入をしてでも政界を取り戻すだろう。その時にミュウはそれを許せるだろうか?」
「例えそこでミュウが何もしなくても、結果的に人々の目が武力に向く。そうしたら、いつか、いや…近いうちにミュウをまた敵と見る日が来てしまうのだろうな…」
「でも…だけど…どうしてそんな…。彼らはただ人を愛しただけなのに…全ては戦争の所為なのか?…将軍はミディアンを愛して、クリスティナはグライムを愛しただけなのに…あ…」
 ジョミーは急に黙り込み考えだした。
「どうした?」
「…彼女が愛したのは本当に彼だったのか…」
「何?」

「クリスティナは、将軍を愛しているんじゃないか…?」
「将軍を?…そうなら、人を率いる才能のあった彼女がグライムの婚約者と名乗って新たに海賊を集めて将軍に近づいた?」
「それで利害は一致するよね」
「将軍はマザー信奉者にも資金援助をして…それは海賊からだったのか…」
「戦争後の人々の心は、泣けるような美しい美談を求めていた。東の空域では、英雄グライムの悲劇の婚約者は割と知られている。海賊が自分達の政府への不満の捌け口にもなっている。まぁ、物語だけでは人が動かないけど将軍は僕らより人の心を見るのが上手いようだね」
「…では、俺達も物語の一つでも語ってみようか?」
「さっきみたいに、殺し合いの話になるなら、きっと人々は面白いと思ってくれるだろうね。でもそんな事をしなくても、キース、将軍が人心を操ると言うのなら、君には天性のカリスマ性があるじゃないか」
「将軍と一騎打ちをしろと言うのか?」
「出来ればそうしたいでしょ?そろそろ出たいと思っているんじゃないか?こんな所に隠れっぱなしはつまらなくなっているでしょ?」
 ジョミーがこんな言い方をする時は何か計画が浮かんできた証拠だった。
「では、お前はクリスティナにつけ入る隙はあるか?」
「無いな…」
「…無い?」
「長い間、グライムの婚約者のふりをして、将軍を思い続け、ミュウを恨み、軍を憎み。ミディアンを妬み、その子エディまで恨み、いつまでも自分を見ない将軍まで恨んでしまった女だ。哀れでならない…」


 その頃、東の空域では、軍と海賊との海戦が始まっていた。
 戦艦ゼルには刻一刻とその戦況が伝えられていた。
 僕とキースは艦橋にいた。
 僕達の乗るゼルに従うようにミュウの戦艦ブラウがステルスディバイスで控えていた。
 その中にはソルジャーズの二人が乗るベルーガがあった。
 戦況が激化する中、一機の小型機が飛び立ち戦いの中に紛れていった。
 軍と海賊の戦いは思いのほか軍が苦戦をしていた。だが、ほぼ互角の戦いで一時膠着状態になった。
 僕はクローンのジョミーの手引きで敵の旗艦に潜入していた。
 にらみ合いを続ける軍と海賊。

 やがて、 膠着状態を壊したのはクラヴィス将軍だった。
「キース総督。キース・アニアン。隠れていないで出てきてもらおう」
 海賊の船の中で大きな船(ゼウス級の戦艦)からゼウスへの直接通信だった。
「そろそろ呼ばれる頃だと思っていた。セルジュでは役不足か?」
 戦艦ゼウスのキースが答えた。
「君と直接交渉をしたいと思ってね」
「交渉が出来ると思っているのか?」
「こちらには人質がいる」
「人質?」
「向こうから飛び込んで来てくれたのでね。それに応えたまでだ」
 音声だけの画面を睨みながらキースはゆっくりと言った。
「…それで、将軍。あなたは何を望む?」
「まずはこの東の空域から軍を引いてもらおう」
「…宇宙を二分するつもりなのか!?」
「大戦から十年、そろそろ引退をしてもいいんじゃないか?マザーの亡霊、キース」
「それはお互いさまだろう。あなたもあの大戦で活躍をして将軍となったのだから…どちらも過去の亡霊さ」
「ふん。何とでも言うがいい。手を引かなければお前達、軍を殲滅させるだけだ」
「…出来るものならな…」
「出来ないはずがない」
 と将軍はおかしそうに笑った。
「…何を…笑う」
「おかしいからさ…」
「また極秘に兵器でも開発したか?」
「ああ、兵器ね…。あのフィズを消してくれた憎き宿敵が我が手に堕ちたのさ」
「…何?…」
「来るかと思っていたら、本当に単身で来た。全く考えられない。キース、お前はこんなのを飼っていたんだな」
「…ジュピターか?」
「ああ、そうだ。ジュピターだ。一人でこの船に潜入してきて我々に捕まった。ミュウの長さ」




   続く








『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 七話「愛と憎しみ」

2012-11-08 01:32:00 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
惑星アルテメシア ジョミーの故郷 ここの教育衛星で学園生活を送る
ジュピター キース警護時ジョミーのコードネーム(シャトル所有↓)
ベルーガ ジョミー所有の小型シャトル(ワープ可能、ステルス機能あり)
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 七話「愛と憎しみ」

「ジョミー、ヘッドセットの変わりにブレスに機能を追加させた」
 手を出せとキースが言った。
 ここは式典の行われる会場の控え室だった。
「新しい機能?」
 僕の右手のブレスの解除コードは二人しか知らなかった。
 それはお互いが考えた物で、僕のコードを彼は知らないし、彼のコードも僕は知らなかった。
 ただこれが外れたり壊れたりするとキースにわかるようになっていた。
 これは普通の力では切れない。
 ミュウの力であれば壊せる。
 だが、何も入力しないで壊すと、僕のシャトルから主砲が僕がその時居る場所に向けて撃たれるのは変えていなかった。
 今日は、ブレスが出すシグナルの範囲にはベルーガはいなかった。
 付け替えられたブレスのウィンドウを開いて確認をするジョミー。
「って…、心拍とかは前のにあったからわかるけど…、これ何?」
「お前の役職。卒業したら働くんだろう?」
 とキースは笑った。

  軍事基地ペセトラ
 戦争終結の記念式典が行われる軍事基地ペセトラに僕はいた。
 惑星の表面にはいくつものドーム都市が連なり軍事基地を形成していた。
 行政と軍事が切り離せないので、ここはノアの直轄地のようなものだった。
 僕は制服を着て学生として観客席に紛れていた。
 記念式典は予定通りに進んだ。

 終わる直前に一隻の戦艦が現れ主砲を向けて脅してくる所まで予定通りだった。
 指示通りに式典会場の上空にミュウの戦艦ゼルがステルスで現れる。
 その中にはミュウの部隊とトォニィの親衛隊が乗っていた。
 対峙する二隻の戦艦
 所属不明の戦艦が撃ってくる。ゼルからそれを相殺するように撃たれる。
 下のドームにはミュウのバリアが張られている。
 計画の失敗を確信した戦艦が旋回して逃げてゆく、それを追うようにゼルが動き出した。
「!??」
 僕は戦艦ゼルの中にいた。
 所属不明の戦艦から主砲が撃たれる寸前に僕はキースの元へ走り、彼を上空のゼルへと送ったのだ。
 だが、彼に駆け寄った瞬簡に物質転送が起きて僕らはここに飛ばされた。
 かつてセルジュが僕に行ったあの実験船のと同じだ。
「…何故?」
 僕はそう言う事しか出来なかった。
 すぐ横では、キースが転送の衝撃で床に膝をついたまま、頭痛を振り払っていた。
 この部屋は、キースの為に用意した部屋だ。
「どうして、僕までここに…」
「どうやら、ここには俺だけが送られるはずだったようだな」
 部屋の壁に浮かぶ沢山の映像と情報を見ながらキースが言った。
 所属不明艦を追ってゼルがワープ準備に入ったと放送が流れる。
 僕は腕の端末のマイクをオンにすると近くにいるはずのシドに向かって叫んだ。
「僕までとはどういうつもりなんだ」
 シドからの返事は無かった。
 やがて、戦艦ゼルがワープに入った。
 ゼル以外にも追っている戦艦が表示されているのを確認してキースが僕を見て言った。
「お前も安全な所に逃げていろって事だろう?」
「…そんな…」
「今や海賊は将軍が動かし、軍は俺ではなくセルジュが動かし、ミュウはトォニィが動かしている事になるな」
 ワープ座標の表示と共に、ワープアウトタイムと戦闘体制のまま待機と表示されている。
「あの会場に現れたのは過去に行方不明になった船だ。民間船だが、攻撃が出来るように改造されていた。船の識別が難しいな…」
 点滅する様々な船を見ながらキースが呟いた。
「今から行く座標には敵しかいないと思っていい…」
「消耗戦になるな…」
「…将軍がそうしたいならね…」
「トォニィからの情報は上がっている。お前はこれをどう見る?」
「人類の戦艦ゼウスを旗艦として布陣させてるんだよね。このままだと敵の真ん中に突っ込むね」
「ゼウスには俺が乗っている事になっているからな…」
「……」
 敵を追いながら二度目のワープに入るゼル
 少しずつお互いの陣形が見えてくる。
 戦況が整うにつれて学園の制服のままでは問題があると思い僕は着替える事にした。
 クローゼットには、シドが用意したのだろう僕の昔のソルジャー服が入っていた。
「着替えがこれしかなかった…」
 マントを少しなびかせながら歩く僕を見て「懐かしいな…」とキースがつぶやいた。
 キースは何か言おうとしたが、その言葉を飲み込んだ。
「…?」
 僕には、キースが言おうとした言葉は何だかわからなかったが、この服を着る事に抵抗はなかった。
 前に感じた気恥ずかしさも今はもう無かった。
 ソルジャー服に包まれているという安心感だけがあった。

「将軍の得意な奇襲とかはしてこないんだね…」
「それは互角に戦える自信があるからだろう」
「戦力差があると卑怯な手も使うけど…か…」
 画面を遮るように僕と壁のパネルの前に立って、キースが真剣な顔をして僕を見下ろして聞いた。
「一度、聞こうと思っていたが、お前は戦争をどう捉えているんだ?」
「この戦いを?」
「いや、戦争そのものをだ」
「ん…、人として愚かな行為だと…ただの陣取り合戦だと思っている…」
 僕を見下ろすキースの視線を避けて答えた。
「先の大戦もそう思うのか?」
「ううん。僕達が起こした戦いは聖戦だと思っているよ…仲間の命を守る為、仲間の誇りを守る為の聖なる戦いだったと…」
「そう思い込もうとしているんじゃないのか?」
「…どんな言い方をしたって…。戦争なんて結局は殺し合いだから…人としての心を何かと取り替えてやってゆくしか出来ない。戦争という名の大義名分が無いと殺せない」
「今回はこの戦いの大儀はどこにある?」
 キースは壁のパネルに向かって聞いた。
「大儀はない…。ただの復讐だ。彼は憎しみから動いているだけだ。僕らの戦いとは違う…」
「グライムの弔い合戦か?」
「…そうだね」
「お前は…どう思う?お前は復讐しないのか」
 キースはパネルを見たままだった。
 その表情は読めない。
「…キース…どうして思い出させようとしているんだ。僕が君をどうしたいと…言わせたいんだ」
「…なら、俺を殺したいか?と聞いていいか?」
 そう言ってキースは振り返った。
「…もう、聞いているじゃないか…」
 僕はキースを見返して少し笑った。
「俺は将軍に殺されるくらいならば…お前に殺されたい」
 キースはまっすぐに僕を見ていた。
 この瞳に僕は何を答えればいいんだ。
「……僕は…」
「俺が憎いか?」
「ああ…」
 僕はもう彼を見る事が出来なくなって目を閉じた。
 キースはまたパネルを見て話を続けた。
「なら解るだろう…何年経っても、思い人が死んでいなくても、憎しみは消えない」
「…でも…それでも!憎しみは憎しみしか生まない!」
 ジョミーは絞り出すような声で、それでも、強く言い切った。
「そうだ。それで殺し会っていたらいつまで経っても世界は憎しみの呪縛から解放されない」
「…僕は君を憎しみ切れなかった…それを愛するに変えて…それは本当に…それで良かったのだろうか?」
 言いながら、ジョミーはキースの前に回りこんだ。
 腕を掴んできたジョミーを見てキースは優しく言った。
「今、俺を殺したいか?」
「それが答え?」
「良かったかどうかの答えなら、俺に答えはない。その替わりに、俺がまだ憎いならを殺していいと言っている」
「…憎いよ。でも、それ以上に君は人類に必要だと思ったからイグドラシルで地上に運んだ。その命を今またここで消したいと思わない。本当に殺したいならとっくにそうしてる」
「そうか…。なら俺は将軍には殺されない。お前が俺を殺せ」
「キース。そんな事ばかり言ってると死亡フラグ立っちゃうよ」
「そんな物、何本でも立たせとけばいい」
「あはは」
 袖を掴んだジョミーの手が小さく震えていた。
 キースはジョミーの頭に手を乗せて言った。
「せっかくその服が着れるまで成長したんだ。お前はそんな物を立たせるなよ」
「それじゃ、僕は君が死ぬまで死なないよ」
「出来るだけ長生きするさ」

 この時の僕らの間には何が流れていたのだろう。
 「愛」なのか?それとも「憎しみ」なのか?
 僕はキースの手の暖かさを感じながら、彼の腕から手を離した。



   続く







『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 六話「かけがえのない時」

2012-11-02 00:56:47 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 六話「かけがえのない時」

   惑星アルテメシア上空 教育ステーション
 僕達は教育ステーションへ戻った。
 それから、一年が過ぎた。
 僕は四年生になった。
 ソルジャーズの二人は他の生徒より半年遅れで卒業した。
「卒業おめでとう」
 三年まで首席を争っていた二人の卒業は教授陣と僕とシドとミア。
 それと彼らの友人達という少ないメンバーで行われた。
 それでもとても暖かい空気に包まれていた。
 その三日後、僕はベルーガで旅立つ彼らを見送った。
 僕はブルーにジョミーの正体を話してはいない。
 敵へ情報を流すスパイであり、彼らの情報を得る二重スパイをしている。
 正体が僕とトォニィにバレて、こちら側に付く事を望んだ彼だが、それでも、強力な力を有するミュウである事は変わりがない。
 彼らは惑星メサイアへ向かうという。
「寂しくなったんじゃない?」
 キリアンが声をかけてきた。
「面倒事が一つ減ったってのが正直な所だよ」
「あのジョミーが居れば大丈夫だろ?」
「そうだね」
「だけど、何か少し変わったな」
「彼が?」
「前は大人しいだけの優等生だと思ってたけど、最近は本気で物を言ってるような…」
「そうだね」
 マックスが同意した。
「よく見てるんだね」
 僕はこの友人達を感心した。
「だって同じ顔だろ?つい見ちゃうんだよな」
「でも、最近は別に思えるようになったな」
「そうそう」
 僕に似せる必要がなくなった彼。
 ここでの事が彼にとって良い思い出になってくれればいいと僕は思った。
 それは僕も同じ事で、ここに来て良かったと思った。
「でも、こっちのジョミーも変わったよな?」
 マックスが言う。
「ん?」
 見ると、僕の上で手をひらひらさせていた。
「ああ、身長。ここ一年で随分伸びたな」
「十五センチくらい伸びた?」
 エディが聞いてきた。
 真横に来た彼を見て、僕とエディの身長がそう違わないまできているのに気がついた。
「二十センチじゃない?」
 エディが言う。
「最近…測っていないから…でも百六十は超えたって事かな?」
「百六十五か七十近いんじゃないか?」
「抜かされそうだ」
 エディがちょっと面白くなさそうに言った。
「ジョミーが仲間に入ってチビ扱いされなくなったのに…」
「まだ身長なんて、今は関係はないよ。すぐに伸びるよ」
「でも、いつもいつも、見下ろされてるんだよ。たまには皆を見下ろしたいよ」
「ん、まぁ、確かに…。手を…」
 僕はエディに手を差し出した。
 僕が何をしようとしているのかはわかったようだった。
 エディは無言で僕の握った。
「気付かれない?」
 彼は少しずつ浮かび上がった。
「そんな、ヘマはしないよ」
 床から十センチくらい所で普通の状態で浮いているエディ。
 彼の足の下だけ床を上げたような感じになっているのだった。
「目線が合うっていいな」
 とエディが言った。、
「そんなに気にしてるのなら、これからはかがんで話してやるよ」
 キリアンが言う。
「え?いい。そんな事しなくていい」
「キリアンなら本当にそうやって話しそうだよね」
「ジョミー。もういいから、降ろして」
「OK」
 僕はエディの手を離した。
 彼はストンと降りた。
「ふぅー。キリアン、そんな事しなくいいって」
 ちょっとだけ首をかしげたようにエディを見ているキリアンにエディが言う。
「え、あ?そうか?」
 どうやって話してたか忘れちまった。とキリアンが言う。
 僕らの笑い声が廊下に広がった。
 その後、僕は自室に戻った。
 セキュリティにかからない形で僕への文書が送信されていた。
 「終戦記念式典」とだけ書かれた文書。
 それは、彼らが動き出す事を意味していた。
「やはりな…」
 今の政府に不満を持つ者は多くいる。
 さずがに戦後十年以上ともなるとマザー信奉者は減っていたが、以前のナンバーズエリート達が引き継いだ形の行政に不満を持つ者達が出てきていた。
 それを緩和する為に、軍事基地ペセトラは議会制になったのだが、また政策を転換する時期が来たようだった。
 人類と共に生きて大きな問題を起こして来なかったミュウは、もう人類に受け入れられている。
 なので、そろそろ政治介入もさせたい所だが、まだ人類が燻っている内は危険だった。
「僕らを火種にはさせない」
 彼ら側にはクローンのジョミーがいる。
 トォニィはまだ動けない。
 ならば、僕はキース側でいるのが一番良い。
 僕はシドを部屋に呼んだ。
「来年のペセトラでの式典ですか…」
「軍はトラビィス将軍を取り逃がした事で信用が落ちてしまいましたから、今度は是が非でも捕まえたいのでしょうね」
「僕としたら、僕らがされたように自然に流して見ていたいけど…」
「自然にされてはいないでしょ。僕らは全力で迫害されてましたよ」
「ああ、マザー信奉者がだよ。その考えが自然に消えないかなって言ってるんだ。将軍は、彼個人は捕まえないといけないね」
「狙いは何でしょう?」
「彼らが単純に狙うなら、キース・アニアンの命だろうな…」
「それだけで、政変は起きますか?」
「今、彼が居なくなったら、この政府が瓦解する…と思っている…ならね…」
「そうは簡単にはいかないと?」
「キースの下にはまだ沢山のメンバーズエリートが居る。流石にマザーが選んだだけあって彼らは優秀だ。キースが居なくなっても心配はないだろう」
「なら…」
「それでも…キースのカリスマ性は人心を動かす。将軍が海賊と軍を本当に戦争を起こしたいならキースの死がいいだろう…だが…」
「それは出来ないですね…どうします?」
「守り抜くしかないな」
「ミュウ部隊の再編成が必要ですね」
「そうだね」
「ねぇ、シド」
 机に向かって式典の会場になるペセトラ基地の映像を見ていたジョミーがその手を止めて言った。
「はい」
「人は…どうして…愛や憎しみで殺し合うのだろう…」
「…それが人だからでしょう?」
「そんな邪魔な感情が無ければいいのに…」
「それじゃ、マザー信奉者と同じですね」
 と笑うシド。
「そうだね」
「人は結局一人では居られないものなんですよ。だから、愛し合う」
「憎しみ合うのはどうして?」
「それも愛の為でしょうね」
「愛する為に憎しみで殺しあう?」
「そうなりますね」
「それは、とても怖ろしい愛だね。そして、とても短絡だ」
「ジョミー。君は博愛主義な所がある」
「僕は個人的な考えを言っているんじゃないよ」
「全ての人が君みたいには考えない」
「シド、僕は…」
「だから、ジョミーはキースを守り抜けばいいんです」
「……」
「全ての人を守ろうとしなくていいんです。彼を守れば最悪な事態は防げますから」
「シド…」
「後は任せてください」
「わかった。皆に任せよう」
「了解しました」
 シドはミアから教えてもらったのか、まるで軍人のように僕に敬礼をした。
「だけど、一つだけ…気になる点がある…二年前、ここが襲撃されたあの事件、あの時、本当に彼らはここを落とそうと思っていたのだろうか?」
「何を言っているんです?あの時はジョミーが居たからここは落ちなかったんですよ」
「だから…僕がここに居るのも計算されていたんじゃないか?と…もしくは…」
「ジョミーの力はあの事件でかなり戻ってきた。そこまでは計算出来ないでしょう?」
「ここにはブルーがいた。彼の力でも軌道に戻す事は出来た」
「ブルーだけじゃ無理ですよ」
「たとえ、犠牲が出てもいいなら、可能だ…」
 僕のデスクの映像はあの時のステーションで、Aブロックを放棄すれば浮上は可能と出ていた。
「それじゃあ、クローンのジョミーが黙っていると?」
「…それか…彼には知らされていないか、だ」
「そうなら、どうなります?」
「あの時、海賊のボスのクリスティナは上級生のブロックで誰を探していたんだ?」
「それはエディでしょ?」
「彼女がステーションを飛び立ってから僕は海賊の一人に聞いたんだ。彼女は最初から上級生のBブロックを探していたと…」
「まさか…」
「あれは僕を探していたんじゃないかと思えるんだ」
「ジョミーがAブロックに居なくて、Bブロックに居ると知っていた者が…」
「ジョミーだろうな…。彼が早々に連れ去られたのも不自然だったけど、あれは本当は二人のジョミーを連れて行くつもりだったと思えないか?」
「あの女装のおかげで、クリスティナがジョミーを見つけてもすぐにはわからずに…その隙にジョミーの能力に呑まれた」
「女装は関係無い気がするけど…何も出来ない筈の僕の能力が聞いていたより強くて、手を出し損ねただけかもしれないが、彼女は僕に会って計画を変えたんだ…」
「聞いてすぐに逃げた海賊を追った。ってて…あれ?」
「気がついた?」
「エディの捜索も本気じゃなかったと言うのですか?」
「本意は不明だけど…彼女だけは知っていた可能性が高いね。それにあの時、僕が拉致されてたり、あの場で僕が能力を取り戻していなかったら…」
「……」
「ブロックの閉鎖をしたのは海賊だから…Cブロックでは足りず、Bブロックでは重すぎで、Aしか考えられない状態で、生徒の移動も出来ない…そうなったら、あの子は、ブルーはAを切り離す決断をするだろう」
「燃え尽きはしなくても、全体が落ちるより惑星への影響もはるかに少ない…」
「そう」
「でも、それじゃ…逃がしていなかったら、エディも死んでいたかもしれなくなるじゃないですか?」
「だから…彼女の本意はわからないんだ…エディを海賊の旗印にしたいのは彼女の望みではないかもしれない」
 まだわからない部分は多くある。
 全ての発端が愛憎であるなら、そこを見極めないといけない。
「まだ、何かあると思った方がいいだろう。シド、アルテメシアに行ってくれないか?」




   続く