君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十二話

2013-03-27 01:46:42 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十二話

「ジョミー。確認したい事があるんだが…」
 と、キースが言った。
 キースがジョミーの座るソファーの前にやってくる。
「?」
 キースはソファーに片膝をのせて無言でジョミーの頭に手を伸ばした。
「え、何?」
 そのままぐいっと引き寄せられた。
 キースはジョミーの髪に顔を埋めている。
「……」
 聴こえないような声でキースが囁いた。
「…キース…。それは違う…」
「同じだ。俺もこうしたい。いや、したかった」
「僕が人を(胸に)抱くのが好きなんだ。抱きしめられるのが好きなんじゃない…」
「だが、実際は俺がお前にこうしていたな…」
「ああ。そう…僕は、ずっと君に甘えてきた。シャングリラを降りた時も、殺されても良いって言いながら、君が僕を殺させない事は知っていた。木星での暮らしは今の僕を作る大事な時間だった…」
 そう言いながらジョミーはキースの腕から抜け出した。
「僕は人類に償いをしたくて、でも、許せなくて…。戦争は確かに僕らから起こしたけど、それは、そうするしか僕らは生きる術がなかったからだ」
「人類もお前たちを受け入れる事が出来なかった」
「それは、百も承知だった。僕らは殺しあうしか道を選べなかったのだから…」
「ジョミー…俺は償う気は無かった。償う事は非を認める事になると思っていた」
「さっき、マザーの所為にはしないと言ったけど、全てをそこに投げ込んで逃げたいと思った事もあった。人を殺してきた事実と殺せない矛盾。大義名分が無いと殺せないなんて、自分勝手な言い訳だ」
「俺も殺せない」
「いいや。君はマザーの判断が無くなっても、ちゃんと責任は果たしてきた。僕が勝手すぎるんだ」
「その頃のお前には『地球再生』の義務があった。そこで全てを清算してしまおうと思っていたんだろう」
「…そうだね。僕はそこで全てが終わると思っていたから…。ねぇ、キース。ここに座って」
 ジョミーはソファーから立ち上がった。
 さっきとは反対にキースの頭を抱きしめる。
 ゆっくりと彼の髪に顔を埋め、キスをした。
「僕は、戻ってしまった。それはもちろん嬉しかったが、戻って生きる事は僕に苦痛と苦悩を与えた。動けない身体。軋み続ける心。自分の生きてきた道を一から問われた。そして、これからの生き方を決めろと言われているようだった。このままただの人間で生きるのかと、動けずに何もできなくてもいいのかと、そんな風で戻って良かったのかと、何の為に何がしたくて戻ったのか、と。何も見えず、何も聴こえず、味覚も触覚も無くなった僕が「人間」の幸せを願ってしまったから…罰を受けたんだと思っていた。でも、それでも…僕は君を求めたんだ…僕はそんな自分が醜くて、怖くなった。でも、どうしても僕は君を…求めてしまう。僕は…逃げていた…」
「ジョミー」
「心がこぼれそうだよ…」
「俺をどう思っている?」
「今、それを聞くの?」
「いや…答えなくていい」
 二人の周りには暖かな空気が流れていた。
「いいよ…。言葉で伝えないと伝わらない事はあるのだから…。それに、僕も言葉で確実に伝えたい、僕はずっと君に甘えてきた。君の許に行った時だけじゃなく、メサイア襲撃の時も、カナリアの事もノアの事も、僕はずっと君に甘えていた。僕は戻ってから、人として君の前に立った事がなかった…。そして、僕は君から逃げた。何も無くなった自分に何の価値も見いだせず、情けなくて、恥ずかしくて、そんな自分の不安を君に見せたくなかった。そんな自分が醜くて怖くて無様だと思っていた。ステーションで、タイプブルーの力が戻って、やっぱり僕はこうでしか生きられないと気付いた。けれど、力の有無に関係なく。利用していると言われようとも、僕は…僕には君が必要だ」
 ふいに黙ったジョミーは、もう一度キースを抱きしめなおすと、こう続けた。
「僕も知りたい。君が今の僕をどう思っているのかを…」
「俺は、お前がタイプブルーだろうと無かろうと、ミュウでも人間でも何でも、変わりは無い。お前のその瞳が俺を見ていてくれればいい。傍にいてくれればいいと思っている。お前の手綱は死んでも離さない。愛している。お前が俺を見ていてくれるなら、俺は生きてゆける。命をかけてもいい。お前が俺には必要だ」
「僕は愛に気が付いて、今、それを信じている。キース、君は今、幸せ?」
「俺は愛を欲し、願う。そして、今、それを感じている。俺は幸せだ」
「キース。僕は自分が幸せだと思うのが怖い。手に入れたものが失われてしまうのが怖いんだ。でも、僕は今幸せなんだと思う。だから、お願いだ。僕の前からいなくならないで…その存在が失われないように願う…」
 キースはジョミーが泣いているのを感じていた。
 それは、今まで彼が流してきた悲しみの涙ではなかった。
「俺はお前の前から居なくならない。絶対だ」
「…ありがとう…キース…」
「俺は、やっとお前を本当に泣かせる事が出来たな」

 機械の申し子だったキース。ミュウの長だったジョミー。
 自分の心をどこかで殺して生きていた二人。
 そんな二人が全てをさらけ出して生きる。
 悲しみや喜びをその心のままに表現して、欲しい物を欲しいと言い、怖い物は怖いと言う。
 そんな、一人の『人間』をお互いに受け止めていこう。
 僕たちは今深い繋がりを感じていた。
 お互いの存在や立場を利用して立っているように見えても構わない。利用しようと利用されようと関係ない。
 二人を偽善や欺瞞で結びつけているのだと、陰口を叩かれようとも構わない。
 言いたい者は言わせておけばいい。
 未来で間違っていなかったのだと証明させてみせる。
 そう、僕らは未来を作ってゆける。

「僕は君の願いを、人類の進化を人々の恒久の平和を望む」
「未来を俺たちの時代にしてゆこう」




   続く
 


 

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十一話

2013-03-20 01:58:27 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十一話

「キース・アニアン」
 ブルーが声をかけた。
「……」
「我々の邂逅は必然だった。避けれられない現実だ」
「お前は俺に殺されるのを気付いていたのか?」
「自分の死に場所くらい自分で選びたいじゃないか…」
「そうか…」
「出来ればメギドだけじゃなく、お前も道連れにしたかった。だが、それは実現しなくて良かったと言うべきなんだろうか」
「俺が死んでいたらか…」
「もし、そうなっても、ジョミーは地球を目指し今と同じ場所にいただろうと思ってはいるが…」
「ソルジャー・ブルー。それは俺も同じ意見だ」
「彼は、自分の道を見つけて進む事が出来る。迷っても悩んでも、その先を探す」
「ああ。俺もお前もきっとそういうジョミーをずっと見ていたいと思っているのだろうな」
「我々はオブザーバーだから…だが、君はもう気が付いている。君の願いと彼の本当を…」

「ジョナ・マツカ」
 ジョミーが声をかける。
「あなたをずっと見ていました」
「マツカ、僕は君にありがとうと言うべきなんだろうか。それか、謝るべきなんだろうか」
「僕はあなたに感謝しています」
「……」
「ミュウの僕が彼の傍にいるのを見逃してくれた」
「でも、僕はトォニィを止めなかった。それが結果的に君を死なせることになった」
「僕は、キースを…彼を救えましたから…」
「君はそれで満足したんだね」
「はい」
「僕は君が羨ましいのかもしれないな…」
「あなたは失う物が多すぎたんです」
「そうかもね…。それは、キースもね」
「彼を助けてくれてありがとうございます」
「君にも感謝している。君が彼の命を救い、彼が居たから僕も戻れたんだよ…」
「ジョミー。僕がお礼を言いたいのは今の事をです」
「マツカ…?」
「彼を愛してくれてありがとう…」
「…愛する事が助ける事になると?」
「愛が無ければ何も救えませんよ」
「そうかもしれないね。マツカ…ありがとう」
 ジョミーの目から涙がこぼれた。

 ジョミーとキース、二人の意識が現実に戻る。

キースに見えないようにジョミーは手の甲で涙をぬぐって話し出した。
「僕は、ブルーを尊敬し愛していた。彼が僕に残したものは無償の愛だ。ジョナ・マツカが君に残したものも同じなんじゃないか?」
「それが、答えなのか?ブルーを殺した俺を「許す」という事か?」
「許してはいないよ。だから、君には方法が無かったとか、仕方がなかったとか、そういう他に押し付けるような言い方はしないでほしいんだ」
「マザーが全ての根源だと思ってはいないという事か?」
「では、キース。答えてくれる?僕は君を殺しに行くトォニィを知っていて見逃したという事を、それで、君を守ってマツカは死んだ。それをマザーの所為だったと言えるのか?それでトォニィも僕も全く悪く無いないと言っていいのか?そして、守られた君には何の罪も無いと言えるのか?」
「そうとは言っていないし、思ってもいない」
「残念だが、すべてがマザーの思惑だった訳ではなく、その通りに動かされてきたとは僕は思っていない」
「動かされていたとすれば、それは俺なんだろうな…」
「だから、違うんだ。君は君で道を選び進んだ。僕らは僕らで選び進んだ。それだけだったんだ。それを何かの所為にしないで見つめ、受け止めるしかない。そしてそれが、償いになればいいと思っている」
「俺は…自分が選び進めていたと思えない」
「どう思って戦ってきたと言うんだ?」
「お前たちを排除すれは終わる戦いだと思っていた。だが…」
「…その考えは、将軍と同じだな…」
「調べれば調べる程、知れば知る程に、矛盾が生まれて消えなかった。何故、マザーは病巣を摘むように取り除く事をしないのだろうと…そして、ナスカで、フィシスに会って彼女と自分の遺伝子構造が同じものだと知った。俺も人間じゃ無いのかと…」
「君はどこまでも人間だよ。隠された感情が君を人間だと言っている。だからだろう…僕は君を憎み切れない…」
「俺は…イグドラシルでお前たちを敵として見ないと答えを出した事を後悔していない」
「それは、君の下にマツカが居て、君がサムを看取ったから出せた答えなのだとしたら…僕は何に感謝して、何に償いをすればいいのだろう」
「…マツカも駒だったと言うんだな…」 
 ジョミーは静かに首をふった。
「確かにきれいに配置された人間関係を見ると、そう思ってしまう。シロエやサムは利用され悲運や悲劇だったと思えるけれど、彼らがその為だけに生きて、そして死んだとは思いたくない。進んでしまった道だ。事実は変えられない。彼らが生きた事を受け止め見つめるんだ…」
「都合がいいな…」
「だって、僕自身が作られた命だから…」
「……」
「運命の歯車が誰かに握られ回されていたとしても、それだけじゃない。僕は逆らい続ける…そうとしか生きれない」
「俺も作られた命だったな…」
「マザーが選び配置した僕らの世界。それでも、その上で動き変化をさせてきたのはそこに生きた人だ。彼らがいて、僕らがいて、過去があり未来が作られてゆくんだ。そう思っていいよね?」
「ああ、そう信じたいな」
 「ありがとう。キース。過去を見つめなしたら随分記憶が戻ってきたよ」
 そう言ってジョミーは立ち上がり窓へと向かった。

「…わかっているんだ本当は。僕らが「作られた命」で「配置された運命」なんだって。でも、それでも、夢や希望を望んだって良いと思うんだ。僕らで壊したこの世界。マザーの居なくなった世界で人々は懸命に生きてきたから、現在(いま)がここにある。それは、まだ動き出したばかりでぎこちないけど、ちゃんと回っている。だから…これからは、僕たちはみんなで、暗黒の空に怯える事なく、青い空を望むんだ」
「その夢は叶えられると思うのか?」
「叶えなきゃいけないんだよ。それが今を生きてる人間全体の意思なんだからさ。皆で叶えてゆくんだ」
「そうだな…」



   続く



『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十話

2013-03-16 02:32:03 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十話

「キース。君はエイハヴじゃない…。僕こそが悪魔だ。親友のサムを、彼をあんな風に狂わしてしまったのは僕だ」
「サムの輸送船がモービィ・ディックと遭遇したのじゃないかという噂はあったが…」
「ああ、その通りだ。ミュウの攻撃でサムは狂ったんだと君は思っていたね。君の考えは当たっている。僕たちは再会をしたんだ。彼は僕を覚えていた。僕たちが別れてからもう十年になるのに、それはおかしくないか?」
「お前の友人だから、サムやスウェナの記憶操作が普通より甘いと言いたいのか?」
「多分、そういう事だろう。彼らもシロエと同じさ…」
「駒だと?」
「駒だよ。サムは僕を見て懐かしいと言ったんだ。この僕を見て…」
 ジョミーは自分の胸に手をあて「良く見ろ」と言った。
 二十歳そこそこに見えるジョミー。
 実際なら、キースと同じ歳のはずだった。
「十四歳の成人検査から十年か…。当然大人になっているはずのお前にサムは気付き、その子供のままのお前を怖がりもせず、懐かしいと…言ったのだな…」
 キースは教育ステーションでジョミーの思念波を受けたサムがジョミーを思い出し「姿が変わっていないんだ」と言って怯えていたのを思い出していた。
 そして、それをマザーイライザによって忘れさせられた事も…。
「そう。おかしいと、あの時僕はすぐに気が付くべきだったんだ。それに気付かないでサムを迎え入れ、刺された。それを止めに入った人間をサムが刺す所を目の当たりにする事になった。でも、隙をつくならサムは僕の心臓を狙えたタイミングだった。それをしなかったのは、僕によって君の友人のサムが狂わされたんだと、君が思える事実と証拠だった…」
「……」
「サムは狂っていた。いや…狂わされていた。それは、マザーが仕掛けた罠だ」
「ジョミー…」
「僕がまだ人間を信じようとする心を摘む為の、そして、君がミュウを標的にする為の…」
「俺は迷っていた。お前たちは逃げていたのだろう。なら何故、そこまで執拗に追う必要があるのだろうかと、だが、確かにサムの事は、俺の目をお前たちに向けさせた。そして俺はお前たちを見つけた」
「それが、ナスカの始まり…。すべて、きれいに配置された布石だ。彼らは僕らの運命に巻き込まれた被害者だ…」
「俺とお前の運命にか?」
「僕と誰かと言うのなら、僕とブルーの運命にかな…。そうなら、キース。君も被害者になるのかもしれないね」
「俺が被害者な訳はない…」
「加害者で在りたいと言うのか?キース」
 挑むようなジョミーの視線をキースはまっすぐに見つめ返した。
「お前達にとったら、俺は最大の加害者で、憎むべき存在だろう?」
「…ここは、僕らは被害者でも加害者でも無く。そして、被害者で加害者だ。とか言ってどこにでも逃げれるようにするべきなんだろうけど、君はそれを望まないんだ…ね」
「今まで避けてきた言葉は沢山ある。それを吐き出す時が来たんじゃないか?と俺は思っている」
「…僕の記憶を追う事が…おかしな方向に進んだね」
 ジョミーは俺から視線をはずして、気を抜くように肩をすくめた。まるで、ジョミーにはその後に続く俺の言葉が見えているようだった。だが、俺は言葉を変える気は無かった。
「覚悟は出来てると言ったはずだ…それを聞いたのはお前だ」
「あっは…。そうだったね」
「ブルーを殺したのは俺だ」
 ジョミーは目を閉じて少し考えた後で、小さく「そうだね」と言った。
 そして、
「そう。それで、間違いは無い。君が殺した。それを僕は見ている事しか出来なかった…」
「今、お前はそれをどう思っている?ブルーをどう思っているんだ?そして、俺をどう思っているんだ?」
「ブルーを死なせたのは自分だと思っている…」
 キースは「それは…」と声をかけようと思ったが、それを言わずジョミーが言葉を続けるのを待った。
「…あの時の事を思うと、何をどうすれば良かったとか、こうしていたらとか、色々考えてしまうけれど、それは、僕の本当を言ったら、ミュウの皆を見殺しにしても彼だけを救いたいとなってしまう。一番の間違いは、不穏な空気を感じていながらそれを皆に言えずに過ごしてしまった僕なんだ…」
「俺を殺しておかなかったのも、お前の後悔の一つだろう」
「ああ、そうだ。何もかも捨てて君を殺せていたら…」
「お前なら、殺せたはずだ。どうして俺を殺さなかったんだ」
「マツカ。彼が居たから…」
 静かに部屋の空気が変わってゆく。
 キースの後ろには、ジョナ・マツカが居て、ジョミーの後ろにはソルジャー・ブルーが現れた。

 それは、現実ではなかった。



 続く




『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 九話

2013-03-13 02:44:28 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉 九話

 それは、今まで見た事もない瞳の色を見せるジョミーの表情を見てもわかるように、二人は敵だったという意味を含んだ言い方だった。
 キースは大戦を終えたばかりの頃に立ち戻らなければならないのは自分の方だと感じていた。
「どこから?」
「イグドラシルからかな…」
 そう話し出したジョミーは少し考え込んだ。
「…いいや。もっと、前からか…僕がブルーをどう思っているかを知りたいのなら、でも、それには…」
 それきり黙ってしまったジョミー。
 ジョミーからは言葉を続けるのを迷っている感じは受けなかった。その先の文章ををこちらに答えさせるようなそんな雰囲気があった。
「わかった。長くなりそうだな、場所を移そう…」
 と、キースは言った。
 それまで俺たちは執務室のデスクの前で浮かぶモニターを見ながら話していたが、そこから、隣の部屋の応接セットの方へと移動した。
 執務室の前に居る部下に人払いをするようにと指示をして、キースがコーヒーを淹れて戻って来た。

「ありがとう」
 そう言ってジョミーはコーヒーを受け取った。
「キース…言っておく。僕は力は使わない。わかるように言葉で話そう」
「それは、憶測や、推測も無しでか?」
「ん…心を読むのはもちろん、普通は見る表情すらも読まないという意味かな…。僕自身わかるように今は記憶が足りないから、僕の言葉が間違っていたら、直してくれていい。僕はもう何も怖くない」
 本当の意味で真正面から話をしてゆこうって言う事か…。
「ジョミー…」
「覚悟は出来てる?」と少し楽しそうな顔でジョミーが聞いた。
「そんな物、とうの昔に出来ている」
「全く、君らしいな。そう答えると思っていたよ」
 ジョミーは、ニッと笑って言った。
「じゃあ、まずは、何処からにしよう…。僕と君がお互いを知った頃から…?」
「いや、ナスカからじゃなくて、お前とブルーの出会いを聞きたい」
「え、出会い?ああ…そうか。ブルーの事をどう思っているのか知りたいって言うのは、ソルジャーズのブルーの事じゃないのはわかってた…けど…本当にそこからか…」
「俺が知っているのは、アタラクシアでお前の成人検査の時、コンピューター『テラズナンバー』からミュウの判定を受けて、ソルジャー・ブルーがお前を連れて行ったのは知っている。それが出会いか?」
「そう、それが最初。出会いはねぇ…ブルーとの出会いは最悪だった。僕は成人検査を通る事が出来ないなんて全く思ってもいなかったし、それなのにお前は「ミュウ」だ。なんて言われて…。それも、僕にはそれが何なのか、どういう事なのか全くわからなかった。だから、僕は彼らを「化け物」呼ばわりしたんだ」
「それは、人類がまだ知らされて無かったからで…」
「そう、それはそうだけど…。実際に、僕は『ミュウ』で、しかも、最高の力を持つ『タイプブルー』だったんだから…」
「お前が施設を破壊して逃亡したのは知っている」
「あれを見たら。僕が戦闘特化だと自分の力をそう思ってしまうのは否めないよね?」
「ビルを瞬時で裂いたのも聞いた」
「僕は覚醒発現したばかりで、成層圏まで飛んだりもした」
「衛星からのレーザー攻撃も弾いたと聞いた」
「…その所為で、人類軍は惑星アルテメシアから僕らの母船シャングリラを旅立たせてしまったんだもんね」
「人類はお前たちがあそこまでの科学を持っているとは想像もしていなかった」
「それは僕も同じだよ。あれほどの船はもう造れないだろう…」
「だが、その有り得ない大きさと、お前を背に乗せて飛ぶ「クジラ」(Moby-Dick)は恐怖の象徴と言われるようになった訳だな」
「おお、エイハヴ!いまからでも遅くありません。ご覧ください!モービィ・ディックはあなたを求めてはいません。やつを狂ったように求めているのは、あなたなのです!」
 突然ジョミーが古い小説「白鯨」を引用して舞台役者のように身振りを付けて叫んだ。
「俺を邪悪な狂人・エイハヴだと言うのか?」
「君は僕を悪魔のような力を持つ、邪神の象徴だと思っていたんだろう?」
「それは、俺の見解ではない」
「知ってるよ。でも、人は僕らを手負いの獣にしたのは君たちだ。何故、あそこまでする必要があった」
 あそこまでとは、惑星ナスカを消滅させる程の攻撃をした事に他ならない。
「そこを弁解する気は無い。だが、その前に、聞いてくれるか?」
「OK」
「俺が初めてお前たちミュウを見たのは、セキ・レイ・シロエだ。彼は成人検査をパスして教育ステーションに来た。工業技術都市エネルゲイアから来た彼は将来は優秀な技師になるはずだった。彼は教育課程の事故で死んだ事になっている」
「シロエが成人検査の網を抜けたのは後で知った。でも、事故で…」
「彼を殺したのは俺だ」
「キース。イグドラシルで…シロエの残された思念体に僕は身体を使わせた。彼が君にどうしても伝えたい事があったから。だけど、シロエは自分の死を何一つとして君の所為だと思ってはいない。自分がミュウだったから、その為に君の手で殺される運命にあったのだと…。自分はミュウを憎む為に配置された駒だったんだと…」

「俺はシロエの所為だと思ってはいない。やはり、俺はエイハヴなのかもな…」




  続く




何もないそんな時でも、何かを信じて何かを見て進む。どうせ、前にしか行けないさ

2013-03-10 17:45:56 | 震災
「震災」から二年になりますね。

無事を確認しましたが、宮城県名取市に友人がいました。
心配で心配で><。あの映像は今でも胸が痛みます。



今、前を見ていますか?


「何もないそんな時でも、何かを信じて何かを見て進む。どうせ、前にしか行けないさ」


失われたものは、何をしたって戻らない。
時間も何も戻らない。
でも、それでも、今、生きていれば何かが進んでゆくはず。

そう、思わないと進めない。

だから、もう振り返らなくてもいい。
確認しなくても、きっと進めるから。

思うとおりに生きていいよ。

誰もいいよ。って言ってくれるから、
ゆっくりとゆっくりと進んでさ。
いつか、何かを手に入れることが出来るさ。

失ったものは大きいかもしれないけれど
知り戻すことが出来なくても
いつか、何かを手に入れることが出来るさ。

どうせ、人は、前しか見えないから。

進もう。
前へ。

一歩でも半歩でも、自分のペースで。

進んだ先に何があり何が見えるのかは誰にもわからない。
だって、それは自分にしか見えないものだから、、。

何かを求めて欲しいと言っていい。
貪欲に望んだっていいさ。
たとえそれが手に入らない物だって、
願うのは誰でも自由に出来るんだから。

失ったものは大きいかもしれないけれど
知り戻すことが出来なくても
いつか、何かを手に入れることが出来るさ。

今、君は前を見ていますか?
顔を上げてゆっくりと見てごらん。
そう、人は前しか見えない。

進もうよ。
前へ。

君が進む時、その時は、必ず僕が隣にいるから。
二人で一緒に進もうよ。
一歩でも半歩でも、僕たちのペースで。
ゆっくりと進もうよ。




☆「小説家になろう」と、別ブログ、mixiにも同じ文をUPしています。