君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二章二話

2015-03-30 03:01:55 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セルジュ 軍事惑星ペセトラの評議会議長代理(現在、軍部で最高位)
※ここまでのあらすじはカテゴリー「はじめに」で確認してください。

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二章二話

  惑星ノア・首都ノアの空港 惑星ニュクスの事件から三か月

「セドル」
「ジョミー?」
 まるで、空港の整備員のようなグレーの服のジョミーにセドルは声をかけられるまで気が付かなかった。
「ミュウの服じゃないんだな」
「あれじゃ、目立つし…。さっきまでセイクリッドの調整と搬入をしていて…。君は?約束の時間にはまだあるよね?」
「話があって…捜していたんだ…」
 強引に話を進めるタイプのセドルが口ごもるのは珍しかった。
「どうした?」
「…何か事情を作って、今日の会見を断ってほしいんだが…」
「セドル。僕の方から君に頼んで会う事にしたのに、それは出来ないよ」
「確かに、俺は人類にスポンサーが居て、ここまでやってこれた。彼は恩人だ。ジョミーも星を守ってくれた恩がある。だから…」
「この会合が上手くいくとは思えないとか?」
「…出来れば、会わないでほしい」
「それは無理だ。もう進みだしてしまったから…。必要な事なんだ…」
「いいのか?」
「何が?」
 ジョミーは人懐っこい笑顔を見せた。
「本当にいいのか?彼はお前の敵だぞ…」
「承知済みだよ」
「…スーツに着替えてくれるか?」
「了解。セドル」
 ジョミーはジュピター時代に着ていたのとよく似た黒のスーツに着替えた。 
 その姿を見て服だけじゃなくて、何か雰囲気が変わったか?とセドルは思った。
「知っていると思うが、あいつはニュクスには行かなかった。だが、マザー信奉者だ。お前を殺しはしないだろうが…」
「大丈夫」
「いいや。会うのを止めてもらう」
「セドル。言っただろ必要な事なんだ…。最終的に僕の命を欲しいと言われても構わない。今は…だから…」
 見上げるジョミーが笑う。
「俺を見るな」
 セドルはジョミーの視線を遮るように手を上げた。
「ああ、ごめん」
 一瞬、ポカンとしたジョミーが慌てて謝る。
「お前、気が付いていないのか?」
「いや、薄々は…」
『意識してやっているのか?」
「ううん。違うよ。これは力(魅惑)じゃない」
「ニュクスへ行った時の強いお前と、さっきのお前と今のお前と。一体どれが本物なんだ?」
「それはセドル、君に気を許している証拠だよ」
「そんな訳ないだろう…」
 セドルは彼の癖の卑屈な笑いを作ろうとしたが出来なかった。
「ごめん。君が僕の中に、僕が君の中に入り過ぎてしまったようだね…。僕が不安定なんだ。緊張してしまっているのかもしれないね」
「だから、俺をあんな瞳で見たのか?、ああ、もういい。俺はいい。これで本望だ。お前が言ったように俺が親のように俺を無条件で愛してくれる存在を求めていても、それはお前じゃない。だからもう止めるのは諦めた。全てが終わって本当に俺が必要じゃ無くなったら、もう一度だけ、夢をみさせてくれればいいさ」
 と、セドルは笑った。
「死ぬ気はないけど、すべてが終わってお互いに生き残っていたらね」

「アガレス・ベリアル卿。あなたでしたか…」
 古の民の神と悪魔の名を持つこの男。セルジュと同じ年代いの彼はペセトラの評議会員の一人で、ペセトラでもその地位は高かった。彼がアルテメシアの教育ステーション落下事件の時にダールトン家に近づき圧力をかけ、セドルと僕に罠を仕掛けた張本人ではないかとセルジュは見ていた。
「髪はいつ切ったのでしょうか?」
 唐突にベリアルは言った。
「…なんのことでしょう?」
「ニュクスでは肩につくくらいまであった筈…シャングリラでは今の短い髪だった」
「あなたはニュクスにはいなかったのでは…?」
「セドルから聞いたのですよ。彼が気していてね。いつ切ったのですか?」
「髪はキースに会った時に切りました」
「キース・アニアンに…。そう言えば、ジョミー・マーキス・シン。いや、ソルジャー・シンを手に入れたら世界が手に入るとは本当ですか?」
「さあ、どうでしょう。そのような事より、話を始めましょう」
「この会見はそちらが望んだものだ。まずはそちらから」
「わかりました。アガレス・ベリアル卿」
「ベリアルで良いですよ。ソルジャー・シン」
「では僕もジョミーで良いです」
「僕からの提案は、軍縮に協力をして頂きたい」
「セルジュの軍解隊はすすんでいますよ」
「そうですね。ですが…彼だけは、問題があります。ベリアル。あなたは軍縮は反対ですか?」
「いいえ。戦争はもう無いでしょうから…」
「では、お願いします。彼らは研究所や病院などの建設を進めていますので、心配はないです」
「人類をどうするつもりですか?ジョミー」
「人類をどうもしませんよ。戦争を望まない。それが人類の意思だと解りましたし…」
「『ジュピター』としてですか?」
「いいえ。ミュウの元長(ソルジャー)としてです」
「あなたはもう長ではない?」
「はい」
「今は何なんです?」
「ただの、ジョミーです。ですから、セルジュと共に、トォニィにも協力をしてほしいのです」」
「ミュウにもですか…ではジョミー。こちらの軍備解体の代わりにミュウにはバンクからの供給を止めてもらうのはどうですか?」
「子どもは…人口を維持するのに必要なものであって、軍事とは対等に扱えません」
「それはそちらの都合ではないのですか?ミュウも子どもは産まれにくい。人の母体ばかりはどうしようもない」
「…ええ」
「それは嘘だ。ジョミー。あなた方、ミュウは母体が無くても子どもは作れる。そんな恐ろしい事は発表出来ない。人類と同じように生きるには、子どもは供給してもらわないといけない」
「ミュウの力で作った子どもは…」
「もう、人とは呼べない?」
「…いえ…」
「ミュウはやはり人では無いですね」
「ベリアル卿」
「私はミュウが嫌いです。恐ろしいです。自覚しましたか?あなたはミュウであると」
「そうですね。僕はミュウです。でも、その前に一人の人間です」
「何が言いたいのか…」
「あなたの望む世界は今、僕ではなく、あなたに委ねられたと言う事です」
「わかりました。協力します。軍縮も供給もこのままにしましょう。でも、ジョミー。私は世界と他に欲しいものがあります。あなたは何だとおもいますか?」
「……」
 バラバラと男たちが、ベリアル卿の部下が銃を持って入って来る。
「これは何の真似ですか?」
「私にセルジュを助け、と同時にトォニィをも守って欲しいのでしょう?」
「ええ。ですが、僕にこのような攻撃は無意味ですよ」
「彼らはあなたに攻撃はしません」
「…彼は…セドルはどこですか?」
「セドルが心配ですか?」
「…彼だけではありませんが…あなたの言う通りに…」
「そうですね。まずはひざまずいてお願いしてもらえますか?」
「わかりました」
 ジョミーは床に膝をつく、その肩をベリアル卿が掴む。
「あまりにあっけないですよ」
 見返したジョミーは聞いた。
「あなたは僕がキースの手から離れるのを待っていた。僕に何をさせたいのですか?」
「30年前。ペセトラで私はあなたを見ています」
「え?」
「ペセトラの将校を殺した事を忘れましたか?」

 記憶が蘇る。
 ペセトラのある家で銃撃戦が起きる。
「ジョミー。大丈夫ですか?」
「何が起きた…体が動かない」
「乗って下さい」
「ダメだ。助けなきゃ…」
「人類に任せましょう」
「ハーレイ」
 ジョミーはハーレイに引きずられるようにしてその場から離れた。

「…何をした…」
 ジョミーは急に眩暈を覚え、倒れた。





 つづく






完全番外編…。らくがきです。

2015-03-22 03:19:48 | 地球へ…完全番外編「snub cube」
↑「トワノクオン」っぽい。ですね…。^^;
昨年、大阪旅行中に描いたものです。(三年振りくらい…)
こんなので、すみません><;

↓は、陽の目を見ないまま残っていたものをUPしてみました。
書いた時期は「限りある永遠」を書きはじめた頃だと思います。
3編です。

※1 ジョミーで書いたと思うけど、ブルーでもいい?

「青い星」

僕の星だ。
僕が望んだ。

でも、それは現実ではなかった。
嘘だ。
僕は信じない。


この世界は誰のものなんだ。
この狭き小さな世界。

そんな強がりばかり言わないで委ねてごらん。
きっと、何か見えるはず。

無理だ。
僕は小さいんだ。
まだまだ。
何も無い。

それなのに、何を望むというの?

全てを…望む。
世界を僕に見せてくれないか?

君はそれを僕に見せてくれるだろうか?

諦めない。

諦めない。


僕らは。

与えて見せる。

僕は全てを。

終われない。

このままでは終わらせない。


きっと。

僕は君に見せてあげられるだろう。

あの星を。



捕まえていよう。
いつまでも。

この心を。

離しはしない。


諦めない。

僕は望むんだ。
何度でも。

「生きたいか?」

「生きたい…」





※2 楔になると決めた「ソルジャーズ」を見送るシーン

 『楔』


その願いはきっととても欲張りな諦めの悪いどうしようもないものだと気が付いている。
それでも。と、願ってしまうのは、ただのエゴなんだろう。
ただの独りよがりでしかない。

それでも。
願わずにいられない。

欲張りな僕だから…。

宇宙港で旅立つ「ソルジャーズ」を見送っていた。
「ねぇ、シド。僕が…」
と、言葉を切る。
「…?どうしました?」
「いや、何でもない」
「……」
いぶかしげにシドが見つめる。
「ん、僕がソルジャーズのジョミーと初めて会った時を思い出したんだ」
「10年前のメサイア襲撃の時の?」
「それより少し前、スメールで彼らを知った時」
「それで、どうだったんです?」
「僕は嬉しかったんだ」
「あの状況で、嬉しかったんですか?」
「そう、殺されそうになったのに、何故か嬉しかった」
「それは、あなたの死にたい願望からじゃ…」
「そんなに僕は死に急いでいたかな?」
「ええ、突っ走ってましたよ」
「ふーん」
「な、なんですか?」
「僕の事、やっぱ見てるんだなと思ってね」

「…ごまかしてもダメですよ。嬉しかったって、そういう事じゃないんですか?」
「そう見えたのなら、そうだったのかもしれないね。だけど…さ、死に急ぐなんて事は裏返せば、生きたいって思っているんだよ」
「生きたいと思っていたと言うんですか?僕はてっきり、自分を殺せるミュウが現れた事が嬉しいなんて思った。なんて言うかと思いましたよ」
「僕を殺せるって…シド、君は」と苦笑い
「対等に戦えるって事なら、ブルーに会えたのは嬉しかったな」
「ブルーですか…。僕らは彼に感謝していますよ。あなたを何人かに分けてしまった、あの事件のおかげで、僕らは今もあなたを失わずに済んだのですから…」
「僕もね。彼には感謝してるよ」

飛び立つ船。

「じゃ、僕たちも行こう」
「ええ」



※3 これからの?


キースは苦手だ。
ミュウの僕を見透かす。
それは、僕がきみに残した力。
僕たちが出会い共鳴し、この世界を願ったあの時からの…。
僕は君の何なんだ?

でも、それでも、僕は行くだろう。

これが、僕の我がままだとしても。


「いのち」はどこから来て、どこにいくのか?

謎は。
人類の理を変えるのか?
人類の脅威は僕なんだ。
そんな僕が、この謎を解くと何が見えるのだろうか。
キースは僕に何をさせたかったのか。

「僕は何を求めるのか」

「何があるのか」

「未来はどこにあるのか」

「人はどこにいくのか」

「時は僕らに何をさせるのだろう」

「何を見て、何を思い、何をしてゆけば人は幸せなんだろう」

「零れ落ちる涙は何の為に流れるのか」

「出会い」
「信じあい」
「求めあい」

「人とは」

人の命を奪うだけのこの力。
これで何が出来ると言うのだろう。
我がままでもかまわない。
僕は残したいんだ。何かを。

「繋ぐこと…」

それでも、僕は。

僕は、希望で今と未来を繋ぐ。







☆最後に、この頃、チャレンジしているのは、
ジョミーの食事シーンを書く事です。
もうずっと書きたいと思いながら満足に書けないでいました。
食べるシーンって人間っぽさが出ますよね。

※カテゴリー「はじめに」にここまでのあらすじを追加しました。
ネタバレですが、こんな感じで進んでいるのがわかると思います。

それでは、これからもよろしくお願いします。


『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二章一話

2015-03-13 19:13:58 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…
セルジュ 軍事惑星ペセトラの評議会議長代理(現在、軍部で最高位)

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二章一話

  惑星ノア・商業都市コスタ(惑星ニュクスの事件から三か月)

「こんなに遠くまでありがとうございます」
「久しぶりですね」
 民間機を乗り継いでやってきたジョミーはセルジュの部下に案内され、セルジュの待つ部屋へと入った。
「お一人で大丈夫でしたか?」
「ええ、もう動けます。寝過ぎでなまってるだけですから、リハビリです」
 出迎えたセルジュは軍服ではなく、簡素なシャツとパンツにジャケットを羽織っていた。ジョミーもミュウの服ではなくて同じような姿だった。
「メサイアまで行けなくて、すみません」
「何故、極秘なんです?もしかして悪巧みですか?」
 とジョミーが笑って言った。
 セルジュがちょっと困惑する。
「冗談です。このタイミングで目覚めたのですから、会わなければならないという事だと思います」
 ジョミーはそう答えた。
 二人は再会を祝してセルジュが用意していたお酒で祝杯をあげた。カチンとグラスが鳴る。二人は三か月前、あのニュクスでの戦闘中のモニター越し以来だった。
「実際、こうして会うのは、一年振りになりますか?」
「キースの事を話した時ですね」
「そうでしたね…。もうずっと前の気がします…」
 セルジュがお酒の入ったグラスを回しながら答えた。
 今日の彼はピッチが早かった。
「セルジュ。何か困った事でも起きたのですか?今、トォニィはペセトラに行っていますよね?」」
 惑星ニュクスの事件で軍部を一人で掌握する事に問題があるという流れになり、あちこちで軍事勢力の解隊が起きた。それを押し進めたのは、トォニィとセルジュだった。トォニィは一刻も早く全軍を解隊するよう強行していた。この事に不満が出てきているのは誰の目にも明らかだった。そんな時期に軍の最高責任者となっているセルジュがペセトラを留守にしてここに来ている。
 セルジュはかなり酒が強い。酔っているところを見た事が無かった。その彼が今日は酔っているように見えた。
「いいえ。別に今は何も…。トォニィも…。今日はあなたに個人的な願いがあって…」
「願いですか?」
「はい」
「僕に出来る事ならと答えたいところだけど、あいにくと、今の僕には出来る事があまりありませんよ…僕はキースの事を知りつつ見逃したのを許されていませんし…」
 そこまで言ってジョミーは言うのを止めた。セルジュの様子がやはり普通ではない。
「……」
「セルジュ?」
「いえ、あー、そういえば、シドがあなたの所から離れたと聞きましたが…」
「シドは、トォニィが『シャングリラ』を使うので、彼はキャプテンですから」
「そうですか。では今は一人で?」
「ええ。『セイクリッド』は僕だけでも問題なく動かせます」
「あの、ジョミー。今、僕の所にヴィーが居ます。彼を使って下さい。彼自身がそれを望んでいます」
「ヴィーがペセトラに?」
「ノアの兵士は総入れ替えされましたからね」
「そう…ヴィーが、彼は今…」
 ジョミーはニュクスでのヴィーを思い出していた。ヴィーはキースの命でミュウに近づき情報を流していた。だが、実際キースが動き出すと、捨て駒にされる事に気付き、ジョミーに協力した。
 彼は自分の部隊を助けたい一心だった。ミュウと兵士の間で揺れ動いたヴィー。
 そして、ジョミーの脳裏には戦艦プロメテウスが燃え落ちる姿が浮かんでいた。ミュウ部隊の仲間たちの死を目の当たりにしたヴィー。その悲しみと嘆きを思い出していた。
 あれは夢。大丈夫。そうならなかった。
「ミュウの部隊は解体されて、ヴィーは僕の所で謹慎処分中です。復帰しても今までのようにはいかないでしょう」
「それで、僕の所に?」
「彼はミュウですからね…」
 セルジュは寂しげに笑った。
「まあ…確かにトォニィの所にって訳にはいかないけど…」
「彼が苦手ですか?」
「ああ、いや、彼がどうのとかじゃないんだ。ヴィーはミュウの部隊をとても大切にしていたから…ちょっと。辛かっただろうと思ってね」
「ミュウ部隊の再編成はあると思いますが、ヴィーは戻れないでしょうね」
「…そうですか…」
 深く思い悩んでしまったジョミーを見て、セルジュは確信したように言った。
「ジョミー。あなたはあの時、何かをしましたね」
「あの時とは?」
「ニュクスでプロメテウスが降下をした後です」
「ううん…何も」
 ジョミーは首を振った。
「僕らは何か大きな悲しみを感じましたが、何も起きなかった。ミュウは皆、口をつぐんでしまった」
「誰も何も…していないよ」
「僕には言えないのですか…」
 セルジュが小さく呟く。
「……」
「やっぱり。あなたを入手するのが早いのかもしれませんね」
「?」
「ジョミー。あなたの噂を知っていますか?」
「僕の噂…ですか?」
「ええ。もう何年も前から言われている噂です。出始めは確か海賊事件の頃…」
「ああ、それなら、世界がどうのって言うのですね」
「そうです。ここ最近特に言われています。あなたを手に入れた者が世界を手にするというのです」
「僕は副首相ではなくなり。ジュピターをトォニィに返上したのに。まだそんな事が。立ち消えになると思っていました」
「誰かが意図的に流しているという事です」
「そうですか…それは良くないな…」
「どうしてです?」
 ジョミーは「セルジュはその出所を知っている?」と思ったがそれは聞かなかった。いや別にと曖昧に答えた。
「ジョミー。僕がここに来た理由…。ヴィーの事なら会っていう程でもないですよね?」
「ああまぁ、そうだけど…」
「何だと思います?」
 セルジュは手にしたグラスを眺めて、小さくため息をついた。
「僕の噂とここに来た事は関連があるというのかな?」
 その問いに、心を決めたようにセルジュは答えた。
「ジョミー。僕を抱いてくれませんか?」
「それは?…どうして?」
「僕は何もして来なかった。これがその報いなんです」
「報い?セルジュ。君は酔っているのか?」
「酔ってますが、酔えません」
「酔っているよ」
「大丈夫です」
「いや…。違う。君は」
「違う?何故ですか?」
「…君は間違えている」
「……」
「そんな用件なら、僕は失礼する」
 ジョミーは席を立って出て行こうとした。
「待って下さい!」
「僕に会って…君は何を確かめたかったんだ?」
「真実を…」
「それはさっきの問いですか?」
「……」
「ミュウと人間の感覚は少し違っている。でもそれは大きな違いじゃない。僕らに近い人間もその感覚を持つ。君は僕らとの時間が長いからね。もう薄々気が付いているだろう」
「ジョミー」
「僕からもお願いがある。交換条件を出してもいいかな?セルジュ。ヴィーの話を受けるよ。今の僕には一人でも多くの人間の協力が必要だから…。嬉しく思うよ。その代わりに、あの時の事、そして、これからの事を教えよう。そして、僕は君の協力も必要としている。それは多分君も同じだろう。僕らはとても良く似ているんだ」
「協力するかを聞いてから決めてもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
「君たち人間があの時垣間見たプロメテウスが沈んだという事。あれは本当だ。僕が皆に見せたこれからの事。でもあれは起きなかった。皆、その予感と恐怖だけが残った。それで皆は休戦に応じた。あまりに鮮明な未来で、僕が時間を戻したとトォニィやミュウは感じたんだ。その事実で、キースは政界を追われ、トォニィがその後釜に入った」
「…未来は本当に?」
「未来も世界も誰も物でもないと言ったら君はどう思う?」
「それは、その通りだと思います」
「だからさ。あれは僕が視た未来であって、そうならない未来もあるという事だよ」
「ではどうすれば」
「どうすればいいのかは皆の思い次第」
「だけど、僕には見えません」
「見えなくても動く時だ。君はその力を手にしてしまったのだから」
「僕は、トォニィに聞きたい。キースに問いたい。ですが、それが出来ない。だから」
「だから、僕を呼んだ。僕はそれに応え目覚めた。けれど、君の問への答えは本人たちが持っている」
「あなたは待っているのですか?」
「待ちたいけれど、残念ながら僕には他にしなければならない事があってね」
「さっき、とても似ていると言いましたが、問いは同じでしょうか?」
「ああ、トォニィとキース。彼らを想うならば、同じだろう」
 
 一か月前にノアの首相と評議会議長になってからのトォニィは軍の縮小を推し進めていた。そのあまりの強行さにあちこちで問題が起きていた。そして、キースの状況に進展はなかったが、彼に会う事がセルジュですら困難になってきていた。


  



  続く



☆お待たせしました。二章開始です。
二話に分けようかと思いましたが、分けるには短いのでこのままです。
しかし、最近、めっきり華が無いですね。
(華=砂が吐けるようなBL展開)
書いていてもとても寂しいです。
ジョミーとキースが離れたのでシドやセルジュに攻めさせてみましたが、
この二人は役不足だったようです。
なので、次回はジョミーの弱点を突いてみます。(笑)

※姉は無事帰国。お騒がせしました。


☆月イチ雑記・三月「IS」の事。

2015-03-02 03:21:25 | 月イチ雑記「青い星」
☆月イチ雑記です。
丁度、二章に入るというとこなので雑記を書きます。

真城灯火の駄文ブログの方で書いていますが、
姉が近々、中東(トルコ)に旅行に行きます。
知人に「トルコに行くんだけど…」と相談したら、
「いい所だよね~。友人が行った事があって~」と言われた。
ふむ、一般人にはトルコは中東だと思われてないらしい…。
アジアとアラブの堺にあるトルコ。
美人が多いって事で、充分、アジアでは無くてアラブだと思うんですが…。
「IS」の事があるから、今は行って欲しくないなぁ…。
でも、旅行社も国も渡航OKを出してる。

姉も行くと決めてる。
自分の命と会社の休みを量りにかけたって事ですね。
今は、何も無い事を願うのみです。
おかげで、全然落ち着きません;

命の重さを感じつつ見送る体験をするとは思わなかったな。


さて、『限りある永遠』の二章ですが、
オリジキャラがもう一人増えます。
流石に、あっちもこっちもオリジ設定ばかりになっていますね^^;
これであれこれ締めに(閉め?)に入ったら、次は何を書けば良いのでしょう。

まぁ、何とかなるでしょ。^^b

では、二章の開始を待ってくれると嬉しいです。
どうぞ、今後も宜しくお願いします。

 真城灯火(マキアカリ)