君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」四話 (過去編)

2011-09-27 01:50:52 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

   『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  四話(Chiron)惑星キロン過去編 ※この章は流血も腐もあります。ご注意を!

 青い光に包まれて漂うフレッチア
 レーダーには母船シャングリラの位置が小さく点滅していた。
 近くには人が住むような星はなかった。
「ここで、いいか…」
 操縦席で膝を抱えているジョミーが顔を上げずに呟いた。。
「ドール…。僕は君を殺さなくちゃならない」
 しばらくしてから小さな声が返ってくる。
「別に殺さなくても、もうすぐ寿命がくるからそのままにしておいても…僕は死ぬよ」
「そうか…知っていたのか…」
 僕は彼の前でもそういう話をした事があるのだから、それは当然だった。
 そう、冷たいようだが、僕は彼を「人」としてみていなかった。
 ドールとその呼び名のまま、自分の人形だと思っていた。
「寿命か…。でも、そうはしない。僕がこの手で君を作った。だから、僕は僕の責任で君を殺さないといけないんだ。何体も作って壊して。命を弄んだ罰を、僕の身勝手を…僕は自覚しないといけない…」
 ジョミーは顔を上げて暗い宇宙を見た。
 その瞳の先に何が見えているのかはドールにはわからなかった。けれど今、彼を苦しませているのが自分なのはわかった。
「もうそれ以上苦しまないで」
「…僕は力を願った。せめてもう一人と。でも、それは僕の独りよがり。僕の軽率な行動は守ろうとした仲間達の命を危険に晒していたかもしれない。僕なんかが命を作り出したのが、いけなかったんだ…そんなつもりじゃ…なかったのに」
「……」
「だけど、僕はどうすればいいのだろう。どうすれば良かったのだろう。見えないんだ…。ねぇ…教えてよ。君という命を作った罪はどこへいくんだ?沢山の人の命を奪った罪はどうなる?僕は君を…どうすればいいのだろう…わからないんだ」
 ジョミーの頬にひとすじの涙が流れた。
「ジョミー」
 ドールがジョミーの手に触れる。
「タイプイエローか…そうか…シロエと同じだね。僕はまた救えないのか…」
 そう言ってドールに向き直った。
「僕にわかるのは、ただ一つだけ。人を殺せる力は、それを持つ者にその事を自覚させないといけない。どんな命だろうと命の重さを知らないといけない。だから僕は君を殺す。そして僕は二度と愛もなく命を作らない!」
 僕はそう叫ぶとドールに馬乗りになって首を絞めた。
 だが、どうしても手が震える。
 こうして彼の首に手をあてて、そして、力を入れるだけなのに、どうしても出来なかった。
「あんなにも人を殺した僕が、心臓を一突きとか、首をはねるとか、あれだけ酷い事が出来た僕なのに。たったこれだけが出来ないなんて、おかしいよね。僕は本当に沢山殺したのに…君、一人を殺せないなんて…」
 僕の下に居る自分そっくりな顔に向かって言った。

 …ジョミー。
(それは君が、たったこれだけと思っていないから、命の一つ一つを重い軽いと数で数えるような事が出来ないから…)
 聞き覚えのある静かで優しい声がした。
(多くを救う為には犠牲が出てもいいと、天秤にかける事が出来ないから…)
(その子は生まれ、生きている)
(ジョミー。愛はある…。君がその子を殺す事は責任を取るのではなくて、それから逃げているのではないのか?)
「そうです。ブルー。僕は逃げている。僕はこの子をただの人形と思えない、僕と同じだといつの間にかそう見ていた。だから、収容所で力を発現させてでも生きていてくれて嬉しかった。だけど…。僕は…そんな甘い事を言ってちゃいけない気がするんです」
(ジョミー…)
 ブルーの声はドールにも聞こえていた。
「ブルー」
 その声にすがってしまいたい。
 この現状から逃れられるのならば、小さな子供のように…。
 ブルーの後ろに隠れてしまいたかった。
 でもそれは出来ない。
「でも、ブルー。僕はミュウの皆を守る為には、人と戦っていかないといけない。これくらいの事、出来ないといけないんだ」
(無理して戦おうとしなくていいんだ。どうしても、力を揮わなければならない日は必ず来る)
(ジョミー、君は人でありミュウなんだ。どちらも君には同族だ。僕なんかよりずっと悩み、苦しむだろう。だけど逃げないでいてほしい)
(君がどちらも大切に思うのは間違いじゃない)
「ジョミー…」
 ドールが優しく微笑んでいた。
 そして予定よりも早くその時がやってきた。
「…僕を人と思ってくれてありがとう…」」
「ドール。ダメだ、僕が君を殺さないとでないと僕は人間と戦えない」
「戦うって殺す事でしょ?僕を殺したら…そうしたら…人を憎めるようになるの?」
「!」
「あぁ…それは…多分…それでも僕は憎めない…。ブルーや長老のような深い悲しみや強い憎しみは僕には持てそうにない」
「じゃあ、ジョミー。救う為に戦って…ミュウと人を救うと信じて戦って。そしてテラへ。地球へ行って…みんなを救って…」

 それがドールの最後の言葉だった。
「ダメだ。逝かないで…」
 僕は泣きながら彼を抱きしめた。
 優しい微笑みのまま彼は逝った。
 一個の小さな細胞から人となり、笑ってくれるようになって、ポッドから出て話せるようになって、食事もおいしいと食べてた。
 収容所では本当に楽しそうにしていたっけ…。
 彼が殺されそうになり力に目覚めた。それがわかった時は嬉しかった。
 でも、別れがくるのもわかってた。
 僕はこのまま二人でどこかへ逃げてしまおうかと思っていた。。
 救いたかった。。救えない事もわかっていた…。
 それでも…。
 そして僕は、この手で人を殺してしまった事を彼の所為にして、彼の死で、自分でやってしまった事実を、それで片を付けようとした。
 僕は卑怯だ。
「ドール、いや、ジョミー。誓うよ。僕はミュウとして生きる。そして例え何があっても希望は捨てない」
  僕の青いサイオンが彼を包む。
 僕は、そこから一番近い恒星を探した。僕の赤いマントに包まれたドールが燃えさかる星に落ちていく。
「テラへ…か」
「君の願いのように、戦いの先に、ミュウと人類の両方を救う道があるのだと…。僕もそれを信じよう」
 フレッチァが静かに動き出し星にまぎれた。



  続く



『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」三話(Chiron/過去編)※流血含む

2011-09-22 01:50:44 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

 『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」

  三話(Chiron)惑星キロン過去編
「ジョミー」
 …遠くで誰かが僕を呼んでいる。
「もう…いい」
 誰…?
 誰かが僕を、血まみれの僕を抱きしめている。
「……」
 目の前にはやわらかな金髪があった。
 僕が僕にすがって泣いていた。
「あぁ…」
 泣きながら僕の名前を呼んでいたのはドールのジョミー。
「…そうか…僕は力じゃなくて剣で…。殺された人たちがどれだけ怖かったかを教えようと…剣にしたんだ…そんな事を教えても…殺しちゃうのにね…」
 手にしていた青い剣が消える。
 僕からも抱きしめてあげたかったが僕の手は血で汚れていて出来なかった。
 ミュウの力で相手の自由を奪い動けなくして斬る。
 それはどれだけの恐怖だろうか…?
 手や髪や顔、全身が、まだ乾いてない返り血でべっとりしていた。
 僕は兵士や収容所の監視員たちを皆殺しにしていた。
 半端な殺し方はしていない。兵士たちにうめき声すらあげる者はいなかった。
 講堂から出られないようにしたので逃げられた者はいないはずだ…。
「ドール、無事だったんだ。離れないと君も血で汚れちゃうよ…」
 それだけしか彼に声がかけられなかった。
 僕は彼に笑いかけたかどうかすらわからなかった。
 でも、僕は笑っていたのかもしれない…。
 目の前の惨状が僕に「お前はもう人ではない」と教えていた。
 しばらくすると、リオが呼んだのだろう講堂にハーレイと医療班が来た。
 彼らはこの惨劇に言葉を失った。
 僕たちがここに着く前に収容所の人のほとんどが殺されていたので、二十人程しか生き残っていなかった。
 ミュウの医療班は彼らに暗示をかけて記憶を消し、兵士や看守は手違いから爆発事故にあったように見せかけるため収容所を内部から破壊した。
 シャングリラは惑星キロンを後にする。

 僕とドールをどうするかの話し合いがされていた。
 ソルジャーが血まみれのままではミュウ達にショックを与えてしまうからと言われ着替えたが、ジョミーはフレッチアの格納庫から部屋に戻ろうとしなかった。
 あれから僕はリオやハーレイと口をきいていない。
 フレッチアの前に寝転びシャングリラの格納庫の高い天井をただ見つめる。
「結局…救えなかったな」
 そうつぶやくとさまざまな事が浮かんできた。
 今回の事にはマザーは全く関係をしていない。
 邪魔になれば間単に殺すという判断を下せる人間が居ただけだ。
 命令さえあれば、罪も無い人々を殺す事の出来る兵士。
 暴力的な意識と圧倒的な軍事力。
 なのに、こちらにはこの「シャングリラ」一隻。
 解り合える日は訪れるのか?
 そして人に攻撃が出来ないミュウたち。 隠れて逃げ回るだけの日々。
 長老たちは昔の記憶で人間たちに敵意はあるが、教授は命の尊さを説いている。
 このままでは、いつか僕らは潰される。
 あの惨劇が今ここで起きてもおかしくない。
 防御セクション・思念波攻撃が出来る者を増やし、守りを固めて、そしてなお攻撃出来るようにしなくてはならない…。
 だが、本当に人類と戦う道を進んでいいのか?
 ミュウになってから知った事実。
 僕はその哀しい歴史を知っていると思っていた。
 次代のソルジャーという僕自身のの立場すら、解かっていると思っていた事だったんだ。
 だから、哀しい歴史を再び繰り返さない為には、僕はもっと強くならなくてはいけない。
 僕がミュウである事を受け入れられず、飛び出した僕を人類から救出する為に力を使い、ソルジャー・ブルーが眠ってしまった日。
 あの時、僕に力があるのなら、ブルーの助けになるのなら、ミュウになろうと思った。
 だけど、僕は彼の代わりにはなれない。
 僕は…貴方とは…違う。
 この先に戦いが待っているなら、せめて、もう一人強いミュウが居ればいいのに。
 ドールを作ったのはそんな思いからだった…。
 あの子は、エネルゲイアのシロエはどうなったのだろう。無事だろうか?
 そこまで考えた時、誰かが側にやってきた。
「ドール」
 答えずに彼は僕の隣に座った
「待ってたよ。君は力が使えるよね?」
 ドールは小さくうなずいた。
「やっぱり…兵士から逃げれたのも力のおかげか…」
 収容所の服からミュウの服に着替えた彼は僕と本当にそっくりだった。
 それを見ると辛くなる。
 ジョミーは身体を起こすとこっちに来てと、ドールを呼びフレッチアに乗り込んだ。

 船橋に通信をいれる。
「ハーレイ。ハッチを開けて欲しい」
 艦橋で協議中だった長老達は皆あわてた。
「ジョミー。何をするつもりですか?開けられません。せめて訳を言って下さい。それにフレッチァでは宇宙は無理です」
「わかってる。バリアを張って力で飛ばす。これを出すのは形だけだ。行く訳は…言えない」
 僕はモニターに隣に座るもう一人のジョミーを映す。
 それを見てハーレイは言葉に詰まった。
「…ダメです。なおさら開けられない」
(待ってください。ジョミー。僕も行きます)リオが格納庫に向かって走り出した。
「ハーレイ。リオ。長老たちお願いだ。一度だけいいから、僕の我がままを許して欲しい。無茶はしないし、絶対に戻る」
 そう言うとフレッチアのエンジンを始動させる。
 次第に音が上がりやがて安定した音に変わる。
 これで発進出来るはずだ。
「ハッチを開けて。開けてくれないと壊してでも行く。キャプテン・ハーレイ。今だけでも、僕の事を信じて欲しい」
「ジョミー…船の位置座標をそちらに送った。必ず、必ず戻ってくるんだぞ」
「ハーレイ!」ハーレイの後で長老たちの怒鳴り声がした。
 少しずつ格納庫のハッチが開き始める。
 発進位置まで移動したフレッチアはシャングリラから飛び出して行った。
(ジョミー!彼の事は僕にも責任があります一人で行かないで下さい!)
 駆けつけてきたリオが風に煽られながら叫んだ。




  続く


『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」二話(Chiron/過去編)※流血含む

2011-09-17 02:37:28 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

  『君がいる幸せ』

  三章「星の祈り」

  二話(Chiron)惑星キロン過去編 ※この章は流血も腐もあります。ご注意を!

 収容所から少し離れた場所にフレッチアを隠すと二人は慎重に収容所に向かった。
 収容所は異様なほどの静けさだった。
 監視兵も居ない。
 リオは銃を構え進んでゆく。
 いつもならうるさいくらいの食堂も誰もいなかった。
(もうどこかに移動してしまったのでしょうか?)
 リオが話しかけてきた。
 ジョミーは中をサーチして視る。
「……。人の気配はある。だけど、何か変だ…遊戯室か講堂に行ってみよう」
 遊戯室に着いた。そこまでも人影は無かった。
 ドアの左右に分かれて立ちリオの合図でドアを開けると、そこは、血の海だった。
「…こ…これは」
 僕は息を呑む光景に動けなくなってしまった。
 リオは倒れている人に近づき首に手をあて生死の確認をしている。
 しばらくしてこう言った。
(ジョミー、ここにドールはいません)
 目を背けてしまっている僕は振り返る事が出来なかった…。
「リオ、これは、どういう事?」とだけ聞いた。
(ここに居た人たちは一箇所に集められて四方から撃たれたようですね。逃げる間すら与えられていない)
 リオのそんな残酷だが適切な答えが返ってくる。
 嫌な予感が二人を包む。
「いったい何があったんだ…奥に進もう…。まだ生きている人がいるかも…しれない」
 僕はそれだけ言うのが精一杯だった…。
 講堂に向かう前に各部屋を見たが、荷物も何もかもがそのまま残っていた。
「閉鎖をすると知らせずに、殺す事にしたのか?」
(政府に知られる事を恐れたのでしょうね)とリオが答える。
「リオ。それは、あんまりじゃないか?何もしていないのに捕まえて、邪魔になったから殺すのか?」
 そう言う僕を見るリオの眼に悲しみが浮かんだ。
 そうだ、それは…。
 僕は現実として、わかっていなかった…。
 今ここで起きている事は、今どこかでミュウと判断された人が同じ事をされているのかもしれないかった。
「…先に進もう…」
 リオが無言でうなずいた。
 もし、まだ生きている人がいたら長老たちがどんなに反対しても絶対に連れて行くと決心して僕は歩きだした。

 講堂が近くなると人の気配があった。
 叫ぶ声だ。
 僕は走り出し講堂に飛び込んだ。
 そこでは隅に集められた人に容赦なく銃が向けられ殺されていた。
 武装した兵士や看守が銃を持ち人々を殺している。
「やめろー!」
 人々と兵士たちの間に走りこみ。すぐさまシールドを広範囲に展開させる。
「何者だ」
 答える義理はない。
「お前達こそ何だ!なぜこんな事をする?」
 その質問にも答えはない。
 僕を見た一人の兵士が「タイプブルー?」と言った。
 兵士がざわつきだした。
「Mか!?」
 さすがにミュウの収容所だけあってそういう知識はあるらしい。
 シールドを人々の回りに保持したまま、前に進むと目の前にいた兵士が至近距離で叫びながら銃を撃ってきた。
 シールドを自分の周りに作って防ぐが安定せず肩をかすめた。
「……!」
(ジョミー!)
 撃たれた僕を見て、僕の方に走って来るリオに銃が向けられた。
 銃を構えているリオに兵士たちは躊躇うことなく撃った。
「リオ!」
 僕はリオに向かって走り、二人を包むようにシールドを作るが、さっきと同じように弾を全部止めるまでいかず何発かくらってしまった。
 リオも肩と足を撃たれてうずくまっていた。
 弾の威力は力で抑えたので二人ともかすった程度だが痛みで人間たちの方のシールドが弱くなった。
「どうして…?」
 僕はかろうじて立っている状態だった。
 苦痛と吐き気が襲ってきていた。 
 兵士と看守はだいたい五十人はいる。
 生きている人はそれよりずっと少ないだろう…。
 死体の山が何個もある。肩で息をしながら辺りを見回している僕を兵士がじりじりと距離をつめてくる。
 捕獲する気だ…。

 そんな時、僕が収容所の人間を助けようとしているのを感じた。指揮官らしきの者が合図をした。
 人間たちが殺されてゆく。
 もう限界だった。
 怒りが止まらない。
「このやろう!」
 叫ぶと同時に指揮官の眼前に跳び、力の限り吹っ飛ばす。
 彼は講堂の壁まで飛ばされ動かなくなった。多分即死だ。
 僕は再び人々とリオにシールドを張り兵士達に向き直る。

「ミュウめ!」と銃が火を吹く。
「この人殺し!」青い光が力を増した。


 この先はあまり覚えていない。
 青く長い剣を作って近くに居た兵士を横なぎにしたのは覚えているが、その先があいまいだった。



  続く



『君がいる幸せ』 三章「星の祈り」一話(過去編)

2011-09-13 01:41:45 | 『君がいる幸せ』(本編)三章「星の祈り」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です
 <用語>
木星軌道上の衛星都市メティスのビルレスト 二人が住む建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市

☆あらすじ☆
一章「黄昏の海」
地球へ辿り着いたミュウ。人類との会見後グランドマザーの許に降りたジョミーとキースは、マザーの策略で殺されそうになる。ジョミーの最後の力でイグドラシルから地上に戻った二人。
そして、大戦から二年。ミュウは新たな移住惑星に移り住む事となった。その旅立ちを見送ったジョミーはキースと共に「月」へと向かった。そこにはソルジャー・ブルーの身体が保管されていた。
その事実をジョミーは何故かミュウ達に明かせずにいた。
二章「湖底の城」
木星でキースの警護をして暮らすジョミーに「カナリア」の少年が会いに来た。彼らには渡航出来るIDは無い。事の不審さにジョミーとキースはある計画を練った。だがそれは思いも寄らない展開へと進んだ。事件解決後、ジョミーはメティスを出てスメールへ渡った。


 『君がいる幸せ』

  三章「星の祈り」

  一話(Chiron)惑星キロン過去編 ※この章は流血もBLもあります。ご注意を!
 何をしても人は許されるのだろうか?
 この世に神がいるのならば…。
 僕は…許しを請う事すら許されないのだろうか…。

 ゆっくりとシャトルが進む先にミュウが移住した惑星メサイアがある。
 メサイアはパラテラフォーミング中の惑星で、白っぽい土の下に建設中の建物が見える。
 太陽系から見ると、その位置は人類が居る宇宙の中央部。
 人類の中枢惑星・首都栄星ノアに近かった。
 この星域には昔、来た事があった。
 その白っぽいメサイアを見ると思い出す。メサイアよりもずっと遠くの星キロンを。
 …それは、今より20年前
 まだ僕がソルジャーになって間もない頃。
 もう思い出す事も無くなった過去の話。
 けれど、忘れてはいけない過去の出来事。

 辺境にある小さな惑星キロン。
 その星は鉱石が豊富でシャングリラの補修にそこの金属が必要になった為、ステルスで人類の目を盗んで採取していた。
 小さな星には人類の採石場もあった。
 そこでは過酷な条件で働かされている人達がいた。
 調べるとその収容所にいる人々は潜在的なミュウ因子の持ち主たちだった。
 年々、成人検査の技術が向上する中、ミュウにならない因子(ミュウ化する危険の少ない物)まで発見されるようになってきていた。
 政府からは%の低いものは排除や拘束をしてはいけない決まりで、そういう施設は作らないように言われていたが、中枢から遠い辺境地域では因子を持つというだけで人の道から外され、こうした労働を強いられる人たちが、まだ存在していた。
 しかし、ミュウ側がそれを知ってもミュウ化をしない人間まで助ける事は出来ないという考えだった。
「彼等は人間なんだ」
「助けなくてもいい。その内、助かるだろう」と言う意見は、僕には、
「彼等は運が悪かっただけだ」
「人間なんだから助ける必要はない」と聞こえていた。

 それは、僕がまだソルジャーになって間もない頃。
 自分の意識を飛ばすだけでなく、ちゃんと触れる事が出来るものが作れないだろうかといろいろと作ってみた中で、一体だけ人間(クローン)が出来た。
 この事を知っているのは僕とリオだけだった…。
 それがはじまり。
 自分の遺伝子データから作ったので、僕そっくりのソレを僕は「ドール」と呼んで色々と人としての動作を教えていた。
 人に見えるようになってくるとコレはちゃんと動くのだろうかと、僕やリオ以外とでもコミュニケーションが取れるのかと外に出してみたくなった。
 そして、外に出す時は「ジョミー」と名乗らせようと考えていた。
 ドールには期限があった。
 養水から出すと三週間ほどしかその身体がもたないというデータが出ていたが、僕はそれくらいの期間なら丁度良いと鉱石を採取する人類の収容所に「ドール」を入れてみたくなったのだ。
 反対するリオを「収容所は成人検査が済んだばかりの子もいるので気が付かれない」「短い間だから」と、説得し許してもらった。そして、人類の記録を書き換えて潜入させた。
 その時、僕は長老達には言わないでいたが、収容所の人間も救いたいと思っていた。
 彼等をそっとどこかの惑星に逃がしてやればいいのではないかと、そんなことを思いながら、彼等が望まずにそんな境遇になってしまった人間ならば、僕らと分かり合えるかもしれない。
 そしてこれが「人類との第一歩」になるかもしれないと考えていた。
 ドールが経験した事はジョミーに見れるようにしてあった。
 就寝時に精神感応で同期させるのだ。
 収容所での労働は過酷なもので、まるで監獄に入れられているような暮らしだったが、同じ年頃の人間と同じ生活をするのは学校生活が戻ってきたようで、僕には楽しく感じられた。
 潜入して一週間が過ぎた頃に、一度だけジョミー本人が潜入してみた事があった。
 創造した通り労働はきつく大変だったが思考を遮蔽する事もなく自分が周りからどう見られ、どう思われているかを考える事のない普通の人間の世界がそこにはあった。
 いつ戦うのかわからないのに訓練する事もない。
 僕は、少しずつ魅せられていく自分を感じていた。
 やがて、二週間が過ぎ「ドール」を回収する時期になった時、人類が収容所を閉鎖するという情報が入ってきた。

 僕とリオはバードフレッチアで飛び出した。



  続く




月イチ雑記 2011、9 「ネタ曲」

2011-09-11 03:19:17 | 月イチ雑記「青い星」
最近、声優のキャラソンではないCDをレンタルしているのですが,
福山潤さんの「浪漫的世界」が最高に楽しかったです
ゴミ収集車の歌がすごく笑えて^^腹筋痛くなりました
どうやらこの「ゴミ収集車」の歌がカラオケになっているとの事。
簡単なので、今度チャレンジしてみようと思っています




小説の続きですが、「星の祈り」は過去話から入って現在に戻ってとうとう告白です
告白で終わる少女マンガのようにはならないので、もう少しお付き合い頂けると嬉しいです。