君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

オンラインな彼女と僕 7  (終)

2012-07-15 18:36:50 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)

 (ここまでのあらすじ)
リアル友人と始めたネットゲーム。
彼女は見る間にゲームにのめり込んでいった。彼女のPC名は、つぼみ。
彼女は普通の生活が出来ているのかとゲーム内の友人、林に心配される程だった。
実際、彼女は僕に金の無心をしてきていた。
そんな危うい中、つぼみと付き合いたいと言うPCが現れる。彼の名は高原。
ゲーム内のつぼみに侵食されるようにどんどんと変わってゆく彼女。
そんな、姿を見て辛い思いをしながら、僕はゲーム内で一人の女の子、サキを落とした。
だけど…僕はそんな事をしてはいけなかったのだ。
その頃、僕はシアといキャラと知り合った。
シアと遊ぶ僕につぼみは「あの子、気に入らない」と言ってきた。
シアが高原を狙っていると疑ったつぼみの嫉妬心は次第にエスカレートし、彼と話すPC全員に向かっていった。
その攻撃は、僕にも例外なく向けられ、僕は落ちた。

(主な人物紹介)
つぼみ・・・僕と現実で友人。僕は彼女に誘われてゲームを始める
高原・・・つぼみに告白をしたキャラ
京極・・・高原の友人、リアルでも友人
林・・・つぼみと僕と高原の共通の友人 深夜派
シア・・・林が紹介してきた初心者
あかね・・・つぼみが所属するコミュのリーダー
あかね・・・あかねの友人、リアルでも友人らしい

はるか・・・僕の友人
今泉・・・僕とはるかの共通の友人
明石・・・僕の友人、シアとも友人になる 僕と同じ深夜派
サキ・・・僕がゲーム内で落とした女の子
しおり・・・僕が所属するコミュのリーダー




  「オンラインな僕と彼女」

                -7-


 こんな数字の羅列のPCに、本当に恋が出来るというのなら。
 
 それを見せてもらおう。

 と僕は思っていた。


 僕はそれを見せつけられたわけだ。



 だけど、それは…本物なのだろうか…。
 


 それから僕は高原を調べだした。

 彼の過去を知る人物、一番は京極だろう。
 だが、彼はリアルフレだ…。
 やはり聞きにくかった。

 なので、僕は、林とあやか、あかねと、そして彼らを知る人物を探した。
 PKしてでも吐かせようと思っていたのだが、拍子抜けするくらいに簡単にわかった。


 何故なら、高原の過去には彼女達も絡んでいたのだ。

 以前、彼女達二人は高原を取り合っていたという事だった。
 そして、どちらかと付き合っていて、二人は一時険悪な状態になったのだと言う。

 もしかしたら、
 リアルで二人共に会っているかもしれない…。
 別々に会ったのか、三者懇談?修羅場?
 まあ、そんなのはどっちでもいい。

 過去のモメ事を、彼女達が許したから高原はここに存在しているのだけれど、
 この後、大混乱が起こるので、本心から許してはいなかったんじゃないかと思う。


 その時は、その事実を聞いた僕は半分キレたまま、
「本当の事を教えろ」
 と京極を問い詰めた。

 京極は、彼女達より以前にもそういう事があったのだと言った。



 正直、呆れた。

 高原にとってここは、、。


「攻略だけを楽しむ恋愛ゲーム」なのか…?


 ある種の狩り場だな…。



 だが、問題は…ソレがリアルでも通用してるって事だ…。

 僕が前に実践した「女の子の落とし方」は高原から教わったものだ。



 A子のように、離婚問題まで発展した「まやかしのリアル恋愛」

「一度だけでもいいから彼に抱かれたい」と思わせる恋。


 それは本物たりうるのだろうか?
 たとえ本物でなくても会えれば抱かれれば満足なのだろうか?
 それが、オンラインの恋なのだろうか?

 僕にはわからない。
 

 でも、嘘でも本物でも…

 多分、そこには、人を好きになったという気持ちはあり、
 良くも悪くも
「物語」や「ドラマ」のような恋だったとしても、
 事実(リアル)はここに存在するのだろう。
 

 それが偽物だと、きっと誰にも否定する事は出来ない。



 女は、会う前に気持ちだけが先に登りつめてしまうのだろうな。

 男は、逆に会ってからなんだろうな。

 

 結局、あのA子は友人の説得を聞いて会うのを止めて、
 二人で東京観光を楽しんで来たらしい。

 僕は美味しい「ラスク」を土産にもらった。









 しばらくして、

 高原とつぼみが別れた。



 その事で、

 ここに名前が出て来た関係者が、何かしら傷ついたのも事実だ。


 僕は前の事を知っていた林や京極を傷つけるような事を言ったし、
 シアも傷ついた。

 あやか、あかねも高原を責めて大騒動になった。
 林の所を含む合計三つのコミュ崩壊まで発展した。

 巻き込まれた人は多い。
 皆、無傷ではないと思う。
 
 つぼみは僕を傷つけて去って行った。
 その刃は彼女自身をも傷つけているのだろう。


 「まさみ」は何故僕に対して酷い事が出来たのだろう?
 それはここが「ネット」上であるからなのか…?

 知らない人が知らない人に喧嘩が売れる世界だから。

 けれど、彼女と僕は知らない仲では無い。


 きっと、もうそれすらもすべて彼女の中では過去の事で、
 それ程までに「彼」を好きになってしまった結果なんだろうな。

 何もしようとしなかった「僕」に彼女を責める事は出来ない。



 リアルで僕は、彼女との友情の修復を何度も試みた。
 何時間も電話をしたし、メールもした。

 だが、「会いに行く」事は出来なかった。
 高原との別れが彼女を深く傷つけていたのだ。




「いつか、また」




 僕達は、この言葉を最後にした。


 僕と彼女は、もう現実であろうと何処であろうと

 会う事はない。








 でも、そんな他人に平気で喧嘩が売れるオンラインの世界であっても…。


 シアの件で「それは死のうとした訳ではないよね?」
 と言った明石のように…。
 僕と色々無駄話をしたはるかや今泉のように…。
 高原を心配していた京極のように…。
 つぼみを心配していたあかね達のように…。


 この事件後、消滅や抹消や削除しか考えていなかった僕に、
 何も聞かず事情も知らぬまま
「深く考えずに動いてもいいんじゃない?」
 と誘ってくれた佐伯のように…。



 僕の回りはかなり優しい人たちで構成されていたようだ。


 偶然だが、しおりもここで恋をしていて
 現実が立ち行かなくなり辞める事になった。

 はるか、今泉は現実で大変な問題が起きていたし、
 僕もまた同じだった。







 でも、

 僕は、
 
 もう彼らに会う事は無いが、
 

 まだ「オンライン」の住人を続けている。






 






 実は、シアの事を高原と話した時の会話には、まだ少し続きがあるんだ。


「男だと思うんだけどね、僕は」
 と僕

「俺も男だと思う」
 と高原

「だよね」
 と僕

「それじゃ、さぁ、お前」
 と高原

「ん?」
 と僕


「お前は、どっちなの?」





「俺、つぼみに本気になれないんだよね」



「俺と、付き合ってみない?」


 
 









 さて。


 オンラインに住む不可解な怪物の正体は、誰だと思います?


「つぼみ」?

「高原」?

「僕」?

 
 それとも、他の誰かかもしれない…。  









                 ー終ー





オンラインな彼女と僕 6

2012-07-15 18:18:03 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)



 「オンラインな彼女と彼氏と僕」
 
                 -6-



「…気にいらない?良い子じゃん。明るくて」

 僕は背中に嫌な汗が流れた気がした。

 シアは少し、ヤンデレ?だったのである。
 若いから考えすぎてしまうのだろうが、神経質な子だった。
 ちょっとした言動や他のPCの行動を悪い方向に取ってしまい、よく落ち込んでいた。

 少し前のある時、深夜組の明石と、相談にのっていたのだが、その日はシアはある事で悩んでいた。

 そして、
「車を見落として渡ってはねられそうになった」
 と言った。
 はねられてはいないが、ケガをしたので、病院に通う事になり、しばらく学校を休むのだという。
 会話からも落ち込み具合からも、嫌な感じがする。
 僕は「それはもしかして?」と思ったが、聞けずにいた。

 すると、明石が、
「それって、死のうとしたんじゃないよね?」
 と聞いた。
「見落としただけですよ」
 とシアは答えた。

 そんなちょっと怖い、心配をさせてしまう危うさのある子だったのだ。

 僕から見ると、今のまさみ(つぼみ)は言動が大人らしくなくなっている。

 ゲームの中の他人の気持ちまで考えろ。
 とまでは言わないが、人を傷つけて平気なのは良くない。

 ……。

 「あんた、気に入らない」とはっきり言ってしまうのでは、と心配になった。
 
 

 余談だけど、
 シアの事で、僕はこの少し変わった所のある明石を信用するようになった。

 彼はゲーム内での情報通で人脈も太い。
 で、かなり自分の世界のある人だった。

 明石は自分のリアルを一切言わない。
 年齢も読ませてくれない。
 性別は男性だが、そこから疑ったら国籍も疑えるくらいの人だ。

 僕の誤爆につっこみが早く、現れるのも消えるのも早かった。
 気が付けば目の前に居たりする事も多かった。
 まるで、隠密な人なのだ。
 




 さて、

「シアのそこが気に入らないの」
 とつぼみが言う。

「明るいのが?」

「そうよ。無神経なの。私達をバカにしてるような事を言うし」

 あぁ、始めて1ヶ月くらいのシアは、始めて2年になる高原とつぼみが毎日インしているのに、カンストしていない事を、
「そんなに時間かかるの?そんなに出来ない」と言ってたっけ。
「学生だから、課金も出来ない」とかも言ってたな。


「そりゃ、言われて嬉しくはないよな」

「でしょ、でしょ」

「まぁ、人それぞれだし…」

「それに…あの子、高原を狙ってない?」

「え…えぇ?それはない…んじゃ」

「ねぇ、女だと思うんだけど、どっちか知ってる?」

「知らないけど、男だと思うよ」



 ああ、そうか。

 そういう事か…。
 シアに確認してみるか…。


 その時、僕は気がついていなかったのだけれど、高原がつぼみと付き合い出してから、
 京極と三人でいるのもあまり見なかった。

 京極のあの発言があるので、僕と同じ理由で彼は遠慮しているだけなのかと思っていた。



 最近はいつも高原とつぼみは、二人だった。

 そして、大きな町とかに居る時は、二人は重なるように座っていた。

     
 これは。グラフィックならではの「合体技」です。




 ちなみに、僕はそれを面白い。

 と思って見ていたけれど、誰もそんな事を街中でしていないので他のPCがどう思っていたかは不明です。




 シアの性別を確認しようと思っていたけれど、僕は姉の退院で忙しくなってしまい、また数日入れなかった。


 そして、

 夕方の、僕にしては珍しく早い時間にインすると、高原がいた。



「時間ある?」と聞くので

「ご飯落ちするまでの1時間くらいなら、いいよ」
 と答えた。

「相談したいから、ちょっと待ってて」と

 高原はわざわざ僕の居る町までやってきてPTを組んだ。
 僕達は大きな町の芝生の辺りで1時間程話をした。

「この前さ。シアに頼まれて3人でダンジョンに行ったけど、その時さ。つぼみが怒り出しちゃって…」

「シアに怒ってた?」

「いや、俺に。チャットとメールであの子とは遊ばないで。って言って来た」

「ふむ…」

「前にも、他のPCと遊ぶといちいち怒ってさ」


「……」

「俺は、他のと遊んじゃいけないのかな?」

「それは、遊んで良いと思うよ」

「だよね。ちょっと焼きもち焼き過ぎだよね」

「まあ、そこは、問題あるけどさ、それだけ高原を好きって事でしょ?」

「そうなんだろうけどねぇ…。ちょっとしゃべっただけで怒るから」

「度が過ぎるようなら、僕から注意してみる」

「ありがとう。それで聞いてくれるといいけど…」

「彼女は寂しがり屋だから、優しくしてあげて」

「うん。そこはわかってる」

「よかった」

「わかっているけど…」


「でもさ、これからは、シアは誘わない方がいいかもね」

「だなぁ…」

「暫くは、僕が来るから、シアの事を気にしなくていい」

「よろしく頼む」

「つぼみは、シアの中が女だと疑っているから、仕方ないよ」

「そうなのか?」

「男だと思うんだけどね、僕は」

「俺も男だと思う」


 と、こんな会話を街中でして、僕はご飯落ちをした。




 その日、夜中にまたインすると、すぐにシアから

「話したい事があるのですが」
 と言われた。

 話は高原のと同じだった。

「高原とつぼみが喧嘩をしてしまったのは自分の所為じゃないか?」
 と心配をしていた。
 それは、君が女性じゃないかとつぼみが疑っているからだよ。と伝えた。

「え?マジ?男ですけど」
 とシアが言った。

 これで、解決。



 と思ったけど、まだ続いていた。。




 男だとわかっても、つぼみは一緒に遊ぼうとしなかった。
 
 フレンドの関係も一方的に切るほどだった。


 それで、シアが落ち込んでしまって、なだめるのに苦労した話は、省いて、ここは。


 先に進めよう。



 高原が言っていたのは、どのフレでも焼きもちを焼くので、と言う事だったから、どのPCでもダメだったのだ。

 とにかく、高原と話す相手はすべて排除だったのである。



 この時点で、二人が付き合い出して、半年くらい経っただろうか。


 この頃には二人はリアルで会っていた。
 まさみ(つぼみ)の部屋のパソで高原がログインする時もあったようだ。




 そして、 

 ひとまず、このシアのフレンド切りの話が片付いた頃。


 僕はつぼみに喧嘩を売られたのだ。


 
 その日は、つぼみの雰囲気が違っていた。
 
 僕をメール呼び出しておいて、会話が高原との事ばかりだった。



 パソから何か嫌な感じがする。


 ゲーム画面から液晶を超えて伝わってくる…、

 恐ろしかった。


 ホラー映画でまだ何も映し出していないのに感じる不気味さと似ていた。




 それで、身の危険を、感じたなら、すぐにその場を逃げれば良かった。




 僕はまだ信じたかった。



 彼女もそう、信じたかったのかもしれない。







 僕は落ちた。




                  つづく





オンラインな彼女と僕 5

2012-07-15 14:37:50 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)


  「オンラインな彼女と僕と彼女」  


                 -5-



 僕がリアルの友人から聞いたのは「オンラインゲーム」にハマッた友人の話だった。


 その人を、A子さんとしよう。

 A子さんは結婚をしていて、まだ小さい子がいる。3歳くらいらしい。

 空いた時間に遊んでいたが、だんだんそこでの滞在時間が増えてゆき、課金の額も半端ないくらいになっているのだという。


 でも、それだけならまだいい。と友人。


 東京に会いに行きたい。と言っているらしい。
 

 友人は言う。

「どうも、ゲーム内に好きな人が出来たみたい。なんでそんなのを好きになるのかわからないわ」と。

「……」

 まさか、それって僕じゃないだろうな。と一瞬思った、が、やっているゲームが違うのを失念していた。
 それで僕は自分が焦っている事に気が付いた。
 

 東京行きを、もちろん友人は反対していたが、A子は、もう相手と約束をしていて、函館からのチケットも買っているのだそうだ。
 
 なんで、友人は僕にわざわざ相談するのだろう。と思った。

 そういえば、PCを買う時に、「友人とゲームをする為」だとか、そんな事を言ったな。と思い出した。
 あの時、彼女は「オンラインゲームを家族以外の親しい友人とするのは止めた方がいいわよ」と言っていたっけ。

 あれはA子から色々聞いていたからだったんだ。





 まさみと楽しくゲームが出来るはずだったのに、今は、何となく疎遠で。


 僕は、他の子を、サキちゃんを落としにかかっていて、はるかさんとも「ささやかな時間」を楽しんでいる訳だ。



 パソを買ったのが、ほんの1年前の事なのに、随分、昔の事のように思えた。



 パソの中に居る。

 林や、明石、はるか、今泉、高原、京極を、ずっと前から苦楽を共にして来た友人のように思っている自分を感じた。

 そういえば、最近、現実の友人達と会っていないな。と思った。



 彼女は仕事を休んでA子と一緒に東京に行くつもりだと僕に言った。

「何もそこまでしなくても」

「だって、オフ会とかじゃないのよ。2人っきりで会おうとしてるのよ」

「でも、会うだけなんでしょ?」

「あの子が会うだけで済むはずないじゃない」

「え…え?…」

 この、リアル友人は女性である。
 女性同士だから、突っ込んで聞けたのだろう。
 A子はまるで「恋する乙女」になっているのだそうだ…。

 どこかで似たようなのを知ってるぞ。
 と思いながら僕は聞いていた。


 まさか、友人がそうなっているとは、格好悪くて言えなかった。

 A子は、ここ何年かで、言動も服装も変わった。
 お金の使い方も変わった。
 間単にローンを組むようになったのだ。
 ゲームにインする時間は子供は放りっぱなしで、ダンナさんとの喧嘩も増えた。
 
 まぁ、ここまではよく聞く話だ。


「恋する乙女って?」
 と、僕は探りを入れてみる。


「その彼が居ないと生きてゆけないとか思ってるのよ」

「…!?」

「つまり、本気で恋しちゃっているのよ」

「顔も何も知らないのに?」

「なんだっけ?ナントカって言うので、顔と声はわかるみたい」

「へぇー」

「だけどね、顔を知ってるからって…あの子は、バカみたいに、一度で良いからって、彼に抱かれに行こうとしてるのよ!信じられる?それっていったい何なのよ!」


 彼女は僕に散々A子の文句を言った。

「バカみたい」とか、
「ありえない」とか、
「傷つくだけじゃん」と…。

 その後は、その彼が実際に魔法で怪物をやっつけれる訳でもないのにね。
 と、言ったかな?

 僕は、その東京行きを阻止するべきだ。と、

 駄目なら一緒に行って2人きりにさせないように。

 とか言ったような気がする。




 良く覚えていない…。





 そんな時、実姉が急病で入院する事になった。

 その為に車が必要になり、僕は実家と姉の家と病院を行ったり来たりする日々が続いた。

 忙しくてゲームに行かない日々だった。



 休む事は知らせたけれど、サキはどうしてるだろう。

 彼女には本当に申し訳ない事をしたと思った。


 本気でも何でも無いのに、あんな事をして…、サキはどういう気持ちでいるのだろう。
 でも、あれ以上、付き合うなんて事になっていたら。
 

 僕はどうすれば…いいのだろう。


 A子の思い人のようには振舞えない。


 



 それより、つぼみ だ。




 僕はこの時、
 
 友人が東京までついて行くように、

 例え、彼女に嫌われても、


 会うのを阻止していれば良かった…のかもしれない。


 とにかく、僕もメールや電話じゃなく、彼女に現実で会うべきだったのだ。
 



 でも、 A子と彼女は違う。

 結婚して子供がいる訳じゃない。
 
 だから…離婚の危機はない。

 傷つける相手もいない。



 大人な2人が会って、そうなっても



 それが、良い出会いになればそれでいいじゃないか。



 心のどこかで不安を感じながらも、


 そう思っていた。





 だけど、本心では、
 

 そうやって変わってゆく彼女が許せなくて、

 彼女と友人でいるのが重荷になっていて、それを下ろしたいと
 
 思っていたのかもしれない。



 前に送金してから、もう一回請求された。

 僕はそれを拒否し、

 お菓子やらカップめんやらを箱に詰め

「これでも喰って何とかしろ」って気分で送った。

 伝言には
「前に貸した5万はあげます。返さなくていい」と書いた。

 その時には、
 高原と付き合っていたので、


 高原を頼ればいいじゃん。

 と思ったのを思い出した。



 そう、面倒になった彼女を

 押し付けようとしているのかもしれなかった。



 僕は、僕の本心が見えなかった。



 やがて、

 姉の手術が終わり病状も落ち着いたので、

 久しぶりにインしてみた。


 その日は、サキはおらず、はるかが居た。


 僕は休む前に、今泉とはるかに教えてもらって
 メインのキャラの改造をしていた。

 それからしばらく、はるかのフレと遊んでいた。
 前と同じように、深夜には、林と明石が居た。



 ある夜、僕は林にシアと言うフレを紹介された。

 その子は、口調だけでは性別がわからなかった。
 自分と呼んでいて、丁寧な感じだ。

 多分、男だとと思いつつ、
 僕は林にシアのレベル上げを頼まれたのと、
 僕自身のPCを改造をしてまだ慣れていなかったので
 シアと2人で居る事が多くなった。

 サキもたまに来たが、シアといる方を優先した。
 そのうちにサキは来なくなった。
 他のPCに変えたか、他のゲームに行ったのかはわからない。

 サキとはそれっきりだ。


 僕は、サキがシアの使用キャラは男だが、中を女だと勘違いしてシアに乗り換えたとでも、思ってくれれば良いと思っていた。

 実際、「今、行けない。シアと居るから」とか色々と、こいつ酷いよなぁ…と思える事をあえて言ったので、もう仕方がない。


 しかし、自称19歳、女子大生。を振るとは…、


「リアルで会わない?」

 との発言を僕が深読みをしてしまっただけなら、
 もったいなかったかもしれない…。



 そんなある日、高原とつぼみがイベントをクリアしないか?
 と言ってきた。
 僕が休みの間に進行していたイベントで、シアはそれをやっていたので、4人で行く事になった。

 林は、彼らにもシアを紹介していたので丁度良かった。

 深夜遅くまで4人でぐるぐるとダンジョンを回って、
 少しシアが離席した時につぼみが僕に


「あの子、気に入らない」と言ってきた。





                つづく





オンラインな彼女と僕 4

2012-07-15 14:11:09 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)



 「オンラインな彼女と女の子の落とし方」

                   -4-



 こうして、高原はつぼみに告白をした。


 高原の事だからストレートに

「好きなんだ。俺と付き合ってくれないか?」

 とでも、言ったんじゃないかな?


 つぼみの最近の様子から、振られる事はないだろうし…。


 しかし、いくら会話が出来るからって、告白ねぇ…。
 相手が誰だかわからないのに、てか、本当に女かもわからないのに、よく告白なんて出来るなぁ…。と僕は思っていた。



 翌日、高原の友人、京極に会えたので聞いてみることにした。

 まず知っているかの確認をして
「どう思います?」
 と聞くと、

「うん。2人の事だから、僕は口出ししないけど、あまり良いと思っていない」
 と、意外な答えが返ってきた。


 いつも簡潔な答えをする京極が答えに困っている感じがしたので、

 僕は、
「どうして?」と聞けずに

「そうですか」と答えた。



 後で彼のこの微妙な返事の意味がわかるのだけれど…。 



 その時はもう…後の祭りだった。



 二人だけにさせようと僕は彼らと遊ばなくなったので、暇になった僕に林が声をかけてきた。

「彼女(つぼみ)は最近、ここに入り浸り過ぎだと思うのだけど、現実は大丈夫なのか?課金もしているようだけど、友達の君から何か注意した方がいいんじゃないのか」
 心配して言ってきた。

「確かに、ハマリ過ぎてたけど、多分もう大丈夫だと思いますよ」
 と僕は答えた。


 彼氏も出来た事だし、課金も生活も落ち着くと良いな。と僕も願っていたんだ。

 …その時はね…。



 そんな時、はるかと彼女のフレの今泉とあちこちを回って遊んだ後で、僕ははるかに
「相談したい事がある」と声をかけた。
 お互いが用事を済ませた後でと一旦別れ、再び会う事になった。

 呼び止めたは良いが…。

 京極や林のようにつぼみの事を知っている訳じゃないので、
「ここで付き合うってのをどう思いますか?」
 と聞きたかけたけど、聞けなかった。

 考えたあげく…。


「フレがここにハマリ過ぎてて、実生活で問題が起きてるのです」
 と泣き言を言ってしまった。


 林の時と反対だ。


 はるかは「放っておけば、そのうち目が覚めると思うよ」と言ってくれた。



 本当にそうなら良かった…のだけれど。





 つぼみと高原が付き合い出したすぐ次の週末。


 僕にどうしようもない災いが降ってきた。


 それは、夜につぼみからメールがあり、

「今すぐ、インして!」

 と言われたのだ。


 何事か?と僕はすぐに現実の用事を手早く済ませてログインをした。



 週末の早い時間は人が多いので僕は普段あまりインしていなかった。

 僕が入るのはいつも深夜。
 同じように深夜に来る、林や明石と遊ぶ事が多かった。



 ログインしてコミュやフレに挨拶をしていると、つぼみからPTへの招待がきた。

 PTに入ると、高原が居た。

「聞いてくれる?高原ったら。今日の夕方に約束したのに入って来ないんだよ!」


「!?」



 はぁ? 

 今、いるならいいじゃん…。しかも、必死で謝ってるし…。

 どうも、二人はご飯前に約束をして、ご飯が終わっても彼が来なかったという事だった。

 二時間ほど遅れて彼がインして来て、それを怒っている訳なんだが…。


 高原が言うには、「京極を誘って、ご飯を食べに行っていた。飲んだので遅くなった。忘れていた訳じゃない」と謝っている。

 それでも、つぼみは彼を許さない。
 と捲くし立てている。
 

 手に負えない感じだ。


「仲裁に入って」と高原からフレチャットで言われる。


「高原が悪いと思うけど、もう許してあげなよ」
 とつぼみにPTチャットで伝えると。

「許さない。もうキャラ変える!」
 とつぼみ

「でも、謝ってるし。京極と居たならしょうがないってか、仕方ないじゃん」
 と僕

「ごめん。もうしないから」
 と高原

「もう会わない」
 とつぼみ

 二人のやり取りが延々続く、チャットが勢い良く流れてゆく。
 これだけならチャットが忙しいけど、そんな問題は無かった…。

 この日は、週末の夜。

 二人の会話の合間にコミュの会話が入ってくる。

 この二種は色が違うので混同する事はないんだけど…。
 向こうは四人で会話をしていた。
 だから、チャットが本当に早くて、僕はコミュの方を無視していた。

「もう嫌いー!約束を守れない人って嫌い」
 とつぼみ

「さっきから…」
 と知らないコミュPC

「ちゃんと、これからは守るから」
 と高原

「コミュの会話、聞いてて何も言ってこないの?」
 と知らないコミュPC

「守るって言ってるんだし」
 と僕

「居ないんじゃない?」
 と知らない他のコミュPC

「許してあげてよ」
 と僕

「許さないもん」
 とつぼみ

「さっき、来た時は挨拶したよ」
 と しおり

「ふーん」
 と知らないコミュPC
 
「ごめんな」
 と高原

「こっちが言う事を聞いてバカにしてんだよ」
 と知らないコミュPC

「もう約束なんかしないし!」
 とつぼみ

「だから、ごめんっ」
 と高原

「聞いてて、シカトしてんだよ。シカト」
 と知らないコミュPC


「……」
 シカト?
 確かに無視はしているがな。



「もう遊ばないもん!」
 とつぼみ


「……今、チャットが大変で」
 と僕はコミュチャットへフレが喧嘩中だと伝える。
 


 しかし、なんだって、よく知りもしないやつにそんな事をいわれなきゃならない。

 テメエら。チャットで喧嘩の仲裁してみろってんだ!
 流れまくって、できねーから…。
 …ったく。

 なんでこんな嫌な思いをしなきゃいけないんだ。




 しかし、つぼみはこんな女じゃなかった。


 会話の「~だもん」「嫌い嫌い。大嫌い」はもう諦めた…許そう。


 だけど、ずっと怒ってる。
 もう30分以上だ。

 いや、1時間かもしれない。



 意外な一面を見た気がする。


 いやいや、知らなかっただけなのか?
 もっと普通に話しのわかる人だった。


 こんなガキじゃない!




 ギャップ萌えってあるけど、

 その反対だ。


 ギャップ萎えだな、これは、と僕は思った。




 何故、ここに自分が呼ばれたのか意味がわからない。

 つぼみは何がしたかったんだ?


 高原を一緒に非難して欲しかったのだろうが、何でそんな事をしなきゃならない。



 結局、二人はこの日は仲直りをしなかった。
 高原に用事が出来て、彼は落ちた。


 僕も、そのまま「寝る」と言って落ちた。



 その後は、彼女からメールで「ごめんね」と言われた。

 彼とメルアドを交換してちゃんと連絡が取れるようにしたから、との事だった。



 結局さ、痴話げんかじゃないか。

 僕は、関係者ながら来ていない京極が恨めしかった。





 それから、しばらく僕は二人と行動をしなかった。


 コミュの方も一緒に何かをする事もなかった。
 フレも誘わなかった。


 僕は得体の知れないモヤモヤを抱えていた。



 モヤモヤを抱えたまま…。


 僕は、フレのフレで知り合った、ある女の子を落とそうとしていたのだった。

 そう、僕は、チャットでつぼみが簡単に本気になったのが信じられなかった。


 そこで、僕は…。



 実験をしてみようと思ったのだった。

 チャットで女の子を落としてみようと。




 方法はー


 まず、その子に合わせてインする。

 居たら必ず声をかける。

 ゆっくり話をしたい時は、今、大丈夫?とかもちゃんと聞く。


 その時のイベントには参加して、そこで必要な物で持ってない物があればあげる。

 一緒にダンジョンへ行ったら、そこで出た報酬をあげる。


 装備を褒めたり、その服かわいい。とかも言う。

 女物の服はいらないから、と言ってあげる。
 これ着てみて?とかもいい。


 たまに、リアルの話題を話す。
 ちょっとした愚痴とかが良い。

 相談に乗ってくれたりすると、いい感じだ。

 たまに会えない時を作る。


 これをしばらく続ける。


 そして向こうの方から話してきたり、相談してきたり、リアルの事が会話に出たりしたら、もうこちらのペースと見ていい。


 それとなく、会えない時が寂しい。とかを言ってみて

 同じような発言が出たら良い感じだ。
 
 そろそろ良いかな?となる。


 そうと思ったら告白…。



 後は野となれ。山となれ。だ。





 僕の場合は、

 「リアルで会わない?」と言われた。


 彼女は「ここで付き合う」を飛ばしてきたわけだ…。





 僕は



 ものすごく、罪悪感に苛まれた…。


 もちろん、「やったー」と思う気持ちもあったが、




 僕はその頃、友人にある話を聞いていたのだった。

 

                 つづく






オンラインな彼女と僕 3

2012-07-15 13:12:45 | オンラインな彼女と僕 (真城灯火)


  「オンラインな彼女と僕とリアルマネー」   
             
                      -3-


 さて、新PC つぼみ の話に行く前に補足を少しします。

 ここから先は他のPCがぞろぞろと登場する為、表記を変えます。
 たとえば、佐藤くんのキャラの菓子ちゃん。と、紹介してゆくと、氏名ばっかりで、しかも性別がどっち?と、ごっちゃごちゃになってしまう可能性が大なのです。
 ですから、
 使用キャラが女でもリアルが男なら苗字のみで記します。
 同じように、使用キャラが男でもリアルが女ならば、名前で書きます。
 なので、前回登場した「西園寺さん」は「はるか」となります。
 自分的に彼女は苗字表記をした方が、しっくりくるのですが…。仕方ありません…。







 では、再開です。


 まさみが作った次のキャラの名前は、つぼみ。



 この時点で、僕がゲームを始めてもう四ヶ月程になっていたので、その頃には、僕はまさみ以外の人とも遊んでいました。

 まさみがころころPCを変えるのは反対だったが、僕の最初に作ったPCは育て方の配分を適当にやったので、次第に使いにくくなってきていました。

 そこで、職業を変える事にしたのですが、このゲームでは現金を使わないと簡単に職を変えれなかった為、前に作ったPCのレベルを上げして、新たにメインとしてやってゆく事になりました。



 そんな時、インする時間が似ていたのか、はるかとは意外に早く会えた。

「ガンナーを作ったのでよろしく」


 新PCの紹介をして、今度一緒にダンジョン行く約束をした。
 平成ライダーをまだ見てないの?と注意されつつ、出勤までの短い時間を過ごした。

 まさみは深夜遅くまでインしているので、朝方は居ない事が多かったから、僕はささやかな「秘密の時間」が持てた事が嬉しかった。


 やがて、僕のまわりで、はるかのフレと、そのフレ。という繋がりで友人が増えていった。
 もちろん、まさみ(つぼみ)のフレとも仲良くなったりしていたが、段々、はるかの方のフレ達と遊ぶようになっていった。
 同じ事をしているのに、つぼみには悪いが、はるかのフレ達の方が会ってて気が楽だった。


 何故なら、現金の使い方が違っていたのだ。



 オンラインゲームの課金には色々あるけど、ここでもそれなりに使わないと遊べないような部分はあった。

 つぼみが入ったコミュのリーダーは女性で、あかね。

 あかねは、あやかと言うPCと良く一緒にいた。
 二人はリアルでも友人であると後で聞いた。

 この二人からは、課金している感じがしていた。
 


 僕は、あかねのコミュにサブPCを入れて、僕自身はレベル上げを手伝ってくれた人の所に入った。
 そこも、リーダーは女性で、名前はしおり。
 彼女からも、課金している感じがした。


 リアルマネー、現金を使えば、良い装備や武器が手に入るのは、当たり前だ。
 別に僕は現金を使って遊ぶのが悪いと言っているんじゃない。

 皆、大人なのだから、自分の使える範囲内で遊ぶなら問題はないのだ。


 が…。



 この頃のまさみ(つぼみ)は、仕事が終わってからずっと深夜まで居て、一日六時間くらいインしていた。

 そして、課金もどんどん増えているように見えた。


「課金してるよね?」
 と聞くと、していない。と答えていたが、ある程度以上、使っているように見えた。


 だけど、彼女はその頃は、あの先輩の居る工場を期間終了で辞めていたのだった。

 彼女はその仕事が無い間はずっとゲーム内に居た。
 何日も何時間も…。



 やがて、僕の心配があたる。




「お金がない」


 と言って、僕に無心してきた。





「もう家族には頼めなくて。収入が無いから、食べていけない。ゲームに使わないから」

 お願いされて、仕方なく僕は彼女に五万円を送金をした。



 ゲームに使わない訳がないと思いつつ、僕はその言葉を信じたかった。





 しばらくして、コミュの関係で知り合ったつぼみのフレ、高原と京極と僕もフレになった。


 二人はリアルでの友人で中学か高校が同じらしかった。
 そのせいか、この二人も一緒に居る事が多かった。

 彼らはゲームセンスも良く、二人のPCのキャラバランスも良かった。
 だから、危なそうなダンジョンも二人でこなして行くのが見ていてとてもカッコよかった。



 つぼみと僕もリアルフレだし、向こうもそうなら丁度良い。と、この四人で遊ぶ日が多くなっていった。



 この頃の、つぼみはPTを組んでいる時に他のフレとチャットをする事を嫌っていた。

「PT内で黙っているのって面白くない。話さないならPT組む必要がない」

 と会話に加わらなかったりするのを怒っている事がよくあった。


「つまんない」

「寂しい気分になる」

 と言うのだ。


 それはわからなくもないが、他のフレからチャットが来てもそっちとは話さずに、ずっと何かしゃべってろ。と言うのか?

 現実だって、会話は止まる事はある。

 そしたら、そこにある店だったり、車だったり、何もなかったら友達を出したりして会話を進める事も出来るけど、そこで初めて会ったようなのが居るPTで何を話せと?


 はるかのようにイキナリ「平成ライダーを見ましょう」と言う度胸は僕には無かった。


「勝手にゲームの話題でも話していればいいじゃん」
 と思う日々が続いていたのだった。



 そんなある日、この四人で居るとつぼみが誤爆をしたのだ。
 誤爆とは相手の違うチャットを他の人にしてしまう事だ。


 彼女はPT内ではオープンな会話にして。と言いながら、PTで僕以外の人とチャットをしていたのだった。


 それこそ、勝手にゲームの話をPT内でしていた訳だ。

 流石に、やっぱ、これは寂しいかも。
 って気分になった。



 それから何となく、彼女がなついてくるようになった。
 現実の言い方で書くと、べたべたしてくる感じだ。


 ただなついてくるだけじゃなく、何となく会話がエロいのだ。

「ねぇ、ねぇ」
 と言って、くるっと回るモーションをしておいて
「いま、パンツ見えたでしょ?エッチ!」
 と言ったり、

 ……まぁ、そこは許そう。


 会話に ねぇねぇ、が増えて、
「だってぇ」「だからぁ」とかも増え、全然使っていなかった顔文字の「ショボン」とか「シクシク」も良く使うようになっていた。
「お願ぃ」や「何々してくれるぅ?」とかも増えていった。


 僕との現実のメールで
「だからぁ」などを使ってきたので、
「普通に「だから」でいいじゃん。高校生の女の子とメールしてるようで嫌だ」
 と返事をした俺って堅物過ぎ?

 彼女とはもう六年も友人をやっている訳だぜ。
 本当の女子高生ならそういうメールでも全然構わない。

 だが、彼女は、いい大人なのに、今更、そんなメールにどう返事をしろ言うのだ?



 そう、その頃の彼女は、高原、京極、それと他のコミュのリーダーの林、そして、何故か僕を落とそうとしていたのだった。
 

 そしてその本命は、高原だった。



 彼、高原は会話が上手くて、ちょっとHな事を入れてくる面白い人だった。
 京極や林は会話が堅いから、つぼみの会話にエロが増えたのは、高原の所為だろう。




 そんな、ある日。



 高原とつぼみと僕の三人でいる時。

 高原が、PT会話ではなく、フレでの会話で僕に。



「つぼみちゃんを、取っていい?」


 と、聞いてきたのだった。



 まずそれを聞いて最初に思ったのは、取るも何も、僕のでは無いし。だった。


 けれど、ここで遊ぶだけなら、こんな事を僕に聞いてはこない。

 だから、これは、現実も意味するのだろうな。と、思った。



 現実で彼女はフリーだ。



 僕が彼との事を反対してもしょうがない。


 僕は

「いいよ。かまわない」と答えた。

 



 こんな数字の羅列のPCに、本当に恋が出来るというのなら。
 
 それを見せてもらおう。
 
 と僕はその時、思っていた。




             つづく