君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十二話

2014-06-18 02:05:03 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十二話

  セドルの部屋
 ニュクスへ降りる為にジョミーは研究員の服へと着替えた。
「ジョミー。お前、その髪が伸びたな…」
 と、着替えが終わったジョミーの髪に触れる。
 今のジョミーの髪は後ろを伸ばしていて、ゆるくカールした髪が襟足にかかっていた。
「俺と再会してからのばすようになったと聞いたが、のばしているのは、願掛けか?」
「古風な事を言うね」
「お前は自分を裏切ったあいつを信じようとしているのか?」
「わからない…」
「信じたいんだろ?」
「……」
「愛しているから、信じたいんだろう?」
「セドル…。そうかも…しれない。でも僕は…」
「ジョミー」
 髪に触れていたセドルの手が首の後ろに回り、グイと力まかせに引き寄せられた。セドルの唇が迫っていた。
「セドル!」
 ぎりぎりでセドルが止まる。
「…お前が悪いんだ…そんな…物欲しそうな顔をするから…」
 そう言ってセドルはジョミーを離した。
「…確かに、願掛けかもしれない」とジョミーは諦めたように小さく笑った。
「……」
 それをセドルは面白くなさげに見つめた。
「馬鹿らしい。髪が好きだとでも言われたのか?」
「誰だって。言動と行動が伴わないって時はある…それを許されない立場なのはわかっている…だけど…」
「ああ。悪かった。今のはちょっと羨ましくなっただけだ」
 セドルは負けを認めたように手を振った。
「セドル。僕は僕の全てを使っても彼を止めたい。ねぇ、さっきの信じられないと言ったのは僕の事だよね?」
「俺はこの話を聞いた時から、お前とキースの両方を見てきた。俺の記憶がどこかで書き換えられていたとしても、星を守りたいのは変わらない。だから、今はお前を信じる…」
「ありがとう。今、少しだけ、君の為に戦おうと思ったよ」
「……」
「セドル、ジョミー。艦橋へ。降下地点まで到達します」と二人は呼ばれた。
「了解」
 艦橋に戻ると目の前に緑色の星が眼下に大きく広がっていた。
「降下開始」
「ジョミー」
「大丈夫」
 ジョミーがオレンジ色に淡く光だす。
 ゆらゆらと金色の髪が浮かぶ。
「境界線。通過」
 マザーシステムからの攻撃は無かった。
「クローンの世界へようこそ」
「セドル。ここからは君の番だ。案内をして」
 そう言うと今度は青く光りだす。船が静かに消えていった。

  セイクリッド内部
「ジョミーが自分諸共存在を消した。僕達にも追えないな…」
 とニュクスのレーダーを見ていたシドはため息をついた。
「軍の動きは?」
 祈るように手を組んだソルジャーズのジョミーが聞いた。
「依然進行中」
「停船要求を出し続けて」
「このまま、軍は星の防御圏外から攻撃を仕掛ける気なんだろうな…」
「ゼウス級が三隻。それと、プロメテウス。あの船だけでも星は無事ではすまない」
「本気で燃やす気か…」
「ねぇ、シド。ジュピターを使えないの?」
「ダメだ。第一それは偽物じゃないか…」
「僕が作ったんだ。そうそうバレないと思うよ。そうすれば簡単に時間は稼げる」
「ダメ…だな。ジュピターはジョミーにとって戒めなんだ。だから使えない」
「戒め?それは枷って事?」
「そ、キースがジョミーに付けた。枷だ」
「そんな事をジョミーは言ってなかったよ」
「でもそれは、人類にとっては良い物じゃないからね…」
「それでも、僕はこれをジョミーは悪く思っていないと思うけど…」
 自分の手首の白いブレスを見つめる。
「…脅しにでも使うつもりなの?」
「うん…。そう思ったけど、止めておく」
 そう言ってまた手を組んだ。その手が微かに震えていた。
「ジョミー。君は今のこの状態をどう思っているんだい?」
「え?今の状況を?」
「この星を守る事をどう思う?」
「多分、このまま、見過ごしたら後悔をすると思う。でも…」
「でも?」
「知らないままだったら、きっと…そのまま何も感じなかったかもしれない」
「そうだよね。人類同士が殺し合おうが僕らミュウが気にする事はない。だけど…」
「うん。それでもこれは止めないといけない…ね」
 でも、どうやって…止めればいい。僕はここで時間を稼ぐだけだ。でも…いつまで?…いつまで持たせる事が出来るのだろうか…?
「大丈夫。僕達が側にいるから、怖がらないで。ジョミー」
「シド…これは戦争じゃないよね…」
「違うよ。僕たちはそれを止めに来たんだ」
「ああ、前の時みたいに、人類に答えを出させたらいいのに」
「…それは出来ない。僕らの口からは言えない事がある…」
「そう…。キースの事を公には出来ない…」
「キース・アニアンが…」
「……」
「彼が保身に走るとは思えないが…事実がこうなら…」
「シド。やはり、キース本人と話すのが一番良いね…それなら、艦隊を相手にする事もない」

  ニュクスの中心部
 大きな円柱の内部、その側面に引き抜くタイプのデータが何千、何万と刺さっている。
「これほど…とは…」
 ニュクスの中枢にはこの星の研究員なら入れる。
 見るところによると、ここのデータは種別にまとめられていた。ここの人間は自分が研究している物以外にあまり関心を示さないそういう人種のようだった。
「これだけじゃ、足らない。まだある」
「これを一つ一つ、集めていくのか?」
「ああ、一つも残さずね。もっと圧縮したデータにすれば、簡単に運べるさ」
「これほどの量をどうやって…圧縮に時間がかかり過ぎる」
「見てて…」
 オレンジ色に光りだしたジョミーが手を上げる。すると、刺さったプラグから小さな光が抜け出て集まってくる。 手の上に風船のように光が集まり浮かんでいた。
 そこでジョミーは手のひらサイズの黒い塊を出してそれに光を全部集めた。
「終わり」
「瞬間じゃないか…。ジョミー。一体、それは何なんだ?」
 セドルは黒い塊を指さした。
 興味なさげなそぶりでセドルが聞いた。
「これは『コンピューター・テラ』マザーの前身だ。今はここの情報に絶対命令を出せる唯一の物さ」
「コンピューター・テラ…」
「そう…。次へ行こう」
 そうして二人で何か所かを回り、やっとこれで星を半周した辺りでセドルが話のついでのように話しだした。
「俺、お前の本当の弱点がわかったぞ」
「…そう?」
 ジョミーが静かに笑う。
「お、信じてないな?」
「いや…。セドルなら気が付くかもしれないな。と思っただけ…」
「その口ぶりだと、間違ってないって事だな」
「答えを聞いていないよ」
「ジョミー。だったら尚更、俺でも良いだろ?キースじゃなきゃ駄目なのか?」
「それは…本気で答えた方がいい?」
「俺はここに来て、お前がこの星を助けようとする姿を見て、お前を手に入れたくなった」
「言うだけじゃ足りなくて…行動で理解をして…。信じてくれたって事だね」
「お前ほどの人間が、こんな辺境の惑星を助けて、軍とひと悶着をしようなんて、あり得ないだろうが」
「最初の一歩を止めたいだけさ…」
「お前は、プロメテウスをぶっ壊したいんだろ?」
「そうだよ。あれは人類に必要ない」
「俺がお前を手に入れたいのは、本気だぞ」
「ああ、わかったよ。セドル。だけど、今は先を急ごう…」

  セイクリッド艦橋
 警告音が鳴り響いていた。
「艦隊を捉えました」

「ジョミー」
 ソルジャーズのジョミーが呟いた。




   続く





「実は、前から好きだったんだ」で。完全番外編

2014-06-16 00:00:00 | 地球へ…完全番外編「snub cube」
☆本編が遅れ気味なので、番外を挟みました。すみません。もう少しお待ちを^^;

「じつは、昔、好きだったんだ」をテーマで書いてみようと思い立ち、少しチャレンジ。
気になっている順に書きました。

・トォニィからセルジュへ
「だけどさ、前から、好きだったんだ。セルジュのこと」
「え?」
 お酒も入って機嫌が良くなったトォニィが急にそんな事を言い出した。
 ここはノアの一室、セルジュが会議に参加したトォニィを誘ったものだった。
「前?前は嫌いだったんじゃないか?」
「ああ、嫌いだったよ。でも、一緒に戦ったし、良いヤツなんじゃないか?くらいは思ってた」
「そうか」
「真面目なセルジュだから、こんな事を言いだしたら何て返すかと想像してた」
「それは…想像通りだった?」
「僕がそう言うまでしか想像しなかった」
「言うまで?何故?」
「その、先がさ。まだ何の準備も出来ていないから…」
「?何か準備がいるのか?」
「僕は、アルテラの死を乗り越えた。だから、もう、先へ進む準備を始めなよ」
「トォニィ」
 この大雑把に見える友人は、普段の彼から思いもつかない繊細さで、十年以上もそんな事を考えていたんだと…。気づかされた。
「僕にはもう何のわだかまりも無い」
「…そう?じゃ、僕の事好き?」
「ん、ああ」
「じゃあ、合意だ。部屋(寝室)に行こう」
 と立ち上がり腕を掴んだ。
「えええ?」
 ニッとトォニィが笑う。
「冗談さ」
 

・ジョミーからスウェナへ
「実は前、好きだったんだ」
「あら?今も好きだって言ってくれないの?」
「あはは、そういうの言い返せるようになったんだね」
「そりゃ、そうよ」
「あの頃は、恋なんて気持ちすら気が付いていなくて…」
「ジョミー」
「ごめん。君たちはあの頃の記憶は無いんだったね。でも、僕も同じさ。あれからが大きく重すぎて…。あの頃が優しく暖かだった事だけ…」
「羨ましいわ」
「でも、それを美化する気はないよ。僕達はまだ闘い続けるんだ」
「そうね。ジョミー」


・ジョミーからフィシスへ
「実は前、好きだったんだ」
「どうかしたのですか?」
「言いたくて…」
「嬉しいですわ。そういう言葉は何度聞いても良いものですわね」
「僕、何度も言ってましたっけ?」
「言っていますわ。心の中で」
「そっか…」と笑う。
「私たちの間ではもう何も言わなくていいのですよ」
「僕らは同じものを愛し、失ってきた」
「ええ」
「でも、言わせてよ。君の事が好きだって気持ちはずっと変わらないから」


・ヴィーからキースへ
「実は前から好きでした」
「そうか」
「はい」
「それだけか?わかった。下がっていいぞ」
「……」


・シドからジョミーへ
「前から、好きでした」
「知ってるよ」
「少しは本気にして下さいよ」
「…うーん…」
「ジョミー?」
「僕もシドは好きなんだけど…これって…」
「本気で考えなくていいです」


※ここまで考えたら、有り得ないパターンも考えてみたくなりました。

・キースからブルーへ
「俺は、前からお前が好きだった」
「……」
「二度言わせるのか?」
「…キース」
「信じられないか?」
「ああ」
「まぁ、そうだろうな。今のは忘れてくれ」
「いいや。忘れない」
「ブルー」
「面白くなりそうだ」



  終



月イチ雑記を忘れてました^^;六月の雑記。

2014-06-07 03:01:03 | 月イチ雑記「青い星」
☆雑記。

話が進んだ所だから、ここで「雑記」を挟むとなぁ…。とも思ったけど…。いれます。^^;

今度、久しぶりに「アニメファン」の友人とカラオケに行きます。
今年の正月に会った(カラオケした)東京の友人です。
それで、アニメのOP曲を仕入れようと思い色々とレンタルをしてきました。
その中「佐香智久」さんのをレンタル、この人って歌いやすい~。
後は「バルシェ」もレンタル。この人、女性だったんだ。
「SID」のベストとか、「神々の悪戯」や「シドニアの騎士」とかをレンタル。
「キャプテン・アース」が無かったのは残念だったけど;

で、早速、時間作ってカラオケに行きました。
佐香智久くんが歌えたのは嬉しかった。
それと、カラオケでTMが歌い難いと思ってて、何故?となっていましたが、
カラオケが原曲キーじゃなかったのが判明。
キーを2つ上げたら、ぐっと歌いやすくなりました^^
やったこれで歌える~。
確か、ポルノもキーが違うのがありますよね?
男性が歌うから下げて設定されているのかもしれないですね。
カラオケで一番に歌うのを声だし曲って言いますよね。
あれ、声を出す為に高くて出ない所があるような曲、または、低い曲を選ぶと良いです。
無理し過ぎなくい程度で、高い曲か低い曲を。喉を広げる為です。
十八番のを熱唱でも、まぁ、良いですが…。
最初なんだし、「声だし~」って言えばいいので。
そうすると、後が楽に出せるようになります。
私は「いきものがかり」で声だしをしていました。

藤澤ノリマサさんも熱唱出来るから好きだけど(ちょっと疲れる)
最近は、口説くようにイケメンボイスで歌うのが好きです(笑)
バレンタイン・キスとかを^^
先日練習で「ムーンライト伝説」を入れたら、歌い難かった。あれ、なんで?;

さて、そろそろ「小説」へ戻します。
早くキースと会わせてしまいたいと思うのですが・・・。
だらだらとなってきていますね…、
小説のラスト(本当に終わる時の)は考えてあります。が、まだ先です。
そのラストの場面は(私が)夢で見たものです。
無事にそこまで書けますように。^^;

まだしばらくお付き合いを、お願いします。では~。^^ノ








『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十一話

2014-06-04 03:03:30 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十一話

 惑星ニュクスはSD体制時代、最大の脳科学そして医学の研究惑星だった。
 ここはグランド・マザーが直接操作していた。
 全てがコンピューターで管理され人がほとんど居なかった。
 SD体制崩壊後、最高機密だった所為で長い間人類からもその存在を知られずにいた。
 近年、ここの出身と言う人間が現れた。彼らは黒い服を纏い、行動も怪しかったのでまるで暗黒惑星のような星だと噂が立っていた。
 その噂の真相を確かめる為に軍は星への侵入を試みたが、星の鉄壁な防御システムを崩す事が出来なかった。
 そんな中、黒い服を着ていないセドルが現れる。
 キースは彼に興味を持った。彼に接触しニュクスへ入れる条件を聞き出す。
 入る条件は「クローン」である事、ニュクスの人類は全てがクローンだった。
 現在、クローンだと人類に認知されているのは『カナリアの子供達』と『ミュウのソルジャーズのブルー』そして、公認はされていないものの彼の発言から一部で囁かれている『前ミュウの長 ソルジャー・シン』だった。
 人類はクローンを人道的に認めていない、クローンは不遇で下等な者だと蔑みながら、得体のしれない畏怖を感じていた。そして、クローンを受け入れるどころかその存在すら認めようとしていなかった。
 実験体のキース・アニアンはクローンだった。
 彼はその事実を伏せねばならなかった。

  惑星ニュクス上空 セドルと合流してすぐ
 セドルの船の中、青く細い剣をセドルに向けるジョミー。
「さて、セドル。ミュウの仲間が僕の船へと移った今、この船は僕の思いのままだ。教えて欲しい事がある」
「ジョミー。これ…冗談だろ?」
 セドルはこの状態でも嫌な笑いを消そうとしなかった。
「それは、俺がもう必要じゃないって意味か?」
「ううん。そうじゃない」
「なら、どうしてこんな」
「僕にとって君は、今この時では無くて、ずっと先に必要になるだろう。だから、本当はこんな事はしたくない。だけど、君は脅さないと本当の事を答えてくれないからね。僕はこの船にミュウの秘密であるステルスの技術を乗せた。乗せるのは僕からの提案だが、ステルス技術は僕らの身を守る盾と矛なんだ。だから、今頃で悪いけど交換条件だ。教えて欲しい。君はキース・アニアンとどんな話をしたんだ」
「キース・アニアン…ノアの首相じゃないか?会った事も無い。話を?そんなの俺は知らない」
「キースはアルテメシアで僕らの夢に入ってきた男だ。君は覚えていると言ったよ」
「ああ、そうだった。覚えてる。だが、あれが初めて会った…」
「…意外に律儀だね。キースだとわかっているのに。君にはあの時の男が誰でもいいと軽く設定されているのかな?あの時、入ってきた相手がキースだと知った時の君の衝撃を僕は覚えている。君は僕と同じだったんだ『何故、彼がここに…』と思っただろう。本当に忘れているのなら…どこかで君の記憶は書き換えられていると言う事だ」
「…書き換え?」
「君はキースと何をどう話したのかさえ覚えていないんだ。もうそれは会話とは言えないね…」
 そう言ってジョミーは青い剣を消した。そして、額に手をあてた。
「そうじゃないかと思ってはいたが…。あの時、僕は君の深層に潜った。君はミュウだと聞かされ、僕もそうだと思った。人類では無かったからね。でも実際はミュウに見せかけられていただけの人類だった。君の中には巧妙な細工があった」
 ジョミーの表情が曇る。
「でも、あれは俺がミュウに会う為に人を利用し騙したものだ。だから、俺は…」
「薬の試しに会うなら、誰でも良かったのに僕が来ただけ?」
「ああ、そうだ…」
「違う。君は僕が居るのを知って行動を起こした。そこがキースの誤算だったんだろうね」
「キース・アニアンの誤算…」
「そう、一つ目のね…」
「俺にどんな細工があったんだ?」
 勝手に仕掛けられた罠、成立しない話し合い、忘れさせられている事実、どれを取ってもセドルには面白くない話だった。
「僕の推測の部分もあるけれど、僕らの出会いは偶然だった。僕がアルテメシアに居ると知って、君は僕に会う為に東に権力を持つダールトンを訪ねた。その結果、僕が君に潜った。そして、僕らは眠り続けたとなっているね。あれは、実際は眠らされていたんだ」
「それは、あの家に居た者。全員の記憶が違っていると言うのか?」
「多分…。僕とシドの記憶が食い違っているし、今のセドルと初めて会った時の大人しい君との違いが余りにも不自然だ。最初からのシナリオはこう…。その前に質問。正直に答えて。君は僕に会う前にキースに会っているね?」
「…っと…そこは…会っていると思う…多分…。軍に船を止められて…。でも、お前たちミュウの話なんてしなかったぞ」
「キースが君に関心を持ったのには、ミュウは全く関係が無いからね。キースの考えで動いた事だ。君の星に存在をキースは知っていたから…」
「俺はキースに会った時、ニュクスに入る条件を教えた。それだけだ…」
「そうか…わかった。じゃあ、あの時の種明かしをしよう。まったく…。僕に薬を飲ませるなんてしなければこんな困難な事にはならなかったんだ」
「…会えなければ実験台なんかにしなかった…」
「確かに、結果論でしかないが」
「悪かった…」
「いいよ。もう、僕も迂闊だったんだ」
 そう言ってジョミーは自分の考えを話した。
 セドルが彼の部下を使って昏睡状態のミュウという自分を作った。ジョミーはシドを補佐にして薬を飲んだ事を知らないまま状でセドルに潜った。キースが二人が会うのを知りアルテメシアに急遽やって来た。キースは自分がしようとしている事を知られない為に、二人が会ったと言う事実を消したかった。
 セドルの記憶操作は出来ても、ジョミーの記憶には触ることが出来なかった。だが、薬を飲んだ事で、不安定になっているジョミーに眠りについたままになったと嘘の情報を入れる。
 そこに、ヴィーを使ってキースが二人を助けに潜る。
 深層でジョミーが「女性体」になっていたのは予想外だったが、これはセドルの願望がそうさせた現象だが、これをキースは利用し『お前は過ちをおかした』とジョミーに思い込ませた。
 セドルはこの作用で一時ジョミーの記憶を無くしたが、やがて思い出しジョミーに興味を持ち始める。
「理想の女性ってさ…」
「ジョミー?」
「せドル、君は僕ではなくて、母親を望んでいるんだと思うよ」
「母親…?」
「君は知らないだろうけど…優しく包んでくれる存在さ」
「そうかもしれない…。でも、俺はお前を諦めないぞ」と少しおどけた。
「まだ言うの…」
 セドルが僕の言った言葉を理解しているのはわかった。それでも彼はこんな風に僕に入ってくる。
「本当に君はニュクスの生れなの?クローンっだって嘘じゃない?」
 記録によると、SD体制崩壊前から、ニュクスからの渡航者が居なかった訳ではなかった。今は都市伝説のようになっているが、死神のような黒い服は陽に浴びると溶けてしまうからとか言われていた。あれは僕らミュウが着る服のように独自で開発したニュクスの服だったし、陽を浴びると溶けるなんて事はない。ただ、彼らに共通したのは、表情が無く、抑揚のない口調とかだった。ニュクスは自我がない星なのか?と僕は感じていた。
 なのに、目の前にいるこの男は全く違っている。
 普通の人間よりも人間だった。
「セドルのその上へと向かっていく貪欲さに、キースは興味を持ったんだと思う」
「そう言えば…お前に会う半年くらい前に…戦艦に止められて…」
「少し思い出した?思い出したなら、僕にその枷が外せるかもしれない」
 手を重ねてとジョミーは彼の記憶に同調した。
 消されてしまった記憶は本人が思い出すしか戻せないが、そのきっかけを与える事は出来る。
 ミュウの記憶能力は、普通と同じ記憶とは別に記録する事も出来た。
 記録とは言葉通りに記録を見たり、写真を見るような物だった。それはそこに自分の感情を上乗せして見せる事も出来た。
 セドルの微かな記憶から戦艦の内部を見せると彼は少しずつ思い出してゆく、そこを情報で埋めてゆく。
 同調の中でセドルが話だした。
「お前に会う半年くらい前…軍に止められた船にキース・アニアンが居た。その時はニュクスの事を聞かれた。俺は入る条件がクローンだと話した。それで、俺は東の星域の渡航が出来るようになった」
「それだけじゃないよね」
「星の構造や色々聞かれた。俺は全部話した…」
 そこでジョミーは同調を解いた。
「君に自白剤を使って必要な情報を引き出し、その記憶を消したんだ。キースは星の真実を知った。それで君に監視を付けた」
「俺に監視が?」
「ああ、いたよ」
「僕と君に会った後からずっとね。きっと今回の事ももうキースには伝わっている。だから、僕は事を急いだんだ。だけど、キースは僕とは関係なく計画を加速させた…その理由がわからない…」
「ニュクスはただの研究惑星だ。それも忘れ去られた星だ。だから、俺はそれを気付いて欲しくて出てきた」
「SD体制崩壊後はニュクスは封鎖されてしまったからね。人類も見向きもしなかった。でもニュクスの技術は欲しかったんだ。下手に誰も手を出さないようにニュクスが怖い星だと噂を流したのも政府だろう。そうして、飴と鞭を君に与え、君が合法的な物の商売だけじゃなく、非合法の商売をするようにも仕向けた」
「なんで、どうして、そんな事を!」
「キースはあの星が怖いのさ」
「…怖い?」
「そう。だから。前に言ったけど、このままだと惑星ニュクスは破壊されると…」
「信じられない…」
「僕らはそれを止めにきたんだ」
「……」
「星を壊させはしない。今度こそ守ってみせる」





   続く