君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

閑話 『七夕』

2017-07-08 02:31:05 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆月イチ雑記のかわりに。
「小説」は日記と違って、
一回別の所で書いたものをコピーして持ってきています。

今日は、いきなり書いてみようと思います。
気分は ほろよいなので、ハチャメチャになっていたら、ごめんなさい。


  閑話  『七夕』


 前に聞いた事がある。七夕は恋人が一年に一度会うのを許された日だと。

「そんなロマンチックな日なんだ」
と僕が言うとキースはこう答えた。
「じゃあ、俺たちは年に一回会えない日を作ろうか?」と。
あの頃はいつも一緒だった。
あの頃、僕はジュピターと呼ばれていた。

キースの傍らにいて彼を守るのが仕事だったのだから、一緒なのは仕方がない。
「一日、時間をずらして、無事に済んだ日をもう一回繰り返すならいいよ」
と、僕は提案した。
キースはそれを本気にしなかった。
もちろん、そんな事が出来る筈もなく、ただ言ってみただけだった。

地球再生という時間に波に流された先で僕は時間を捕まえる力を授かった。
その力は、そう難しいものでもなかった。
ワープ航法が発見されたこの世界では理論的は無理なことではなかったのだが、
人間の脳ではその演算が処理できないものだった。
ミュウが生まれ、時間跳躍が人の身体を使って出来るようになった。
それを応用すれば、簡単だった。
だが、それをする事の影響は計り知れなかった。
1つ1つ改変してゆく事は出来なかった。

やがて時間跳躍はブルーだけのものとなった。
ブルーはそれを僕には教えなかった。
いつか時間の果てで訪れる別れを知っていたからだろうか…。
今、僕も同じことをしている。
真実を告げずにここにいる。


 見知らぬ船

「お前は時間を跳べるのか?」
キースに良く似た男が僕に聞いてきた。
「跳べると答えて欲しいなら、出来ると答える」
「それは出来ないって意味か?」
言い回しまで彼に似ているこの男。
この男が僕は嫌いだった。
「どっちとも言えないからね」
「どういう意味だ」
「もし僕が時間を自由に跳ぶ事が出来ても、何も変わらないからね」
「そんな事はない」
男が怒りだした。
彼はとても感情の起伏が激しかった。
気に入った事を言ったりするととても優しく。
何もしていないのに、殴られる事もあった。
僕は彼を心の中で「エラー」と呼んでいた。

「願いがある」
「願い?」
男は僕の肩に手を置き、テレパシーを送ってきた。
この慣れた感じもそっくりだった。
「俺をキースだと認めてくれないか?」
「君をキース本人だと言えって事?」
「ああ、そうだ」
覗き込むように、不遜な顔をする。そんな所も似ていた。
僕は気分が悪くなった。
「そんな事をしたら、君は殺されるよ」
「お前が殺される前に助ければいい。お前はジュピターだったんだろ?」
「その権限はもう無い」
「権限なんて必要ないさ。ただ守ればいい」
「何のために?」
「俺の為にだ」
この会話が成り立つと思えない。話もしたくないと思い始めた時、抱き寄せられキスをされた。
このまがい者は、どこで仕込まれたか、セックスは上手かった。

僕を上手く使えていると思っているんだろう。
これも僕がそう思わせていると最初は思っていた。
だが、だんだん身体が慣らされていくのがわかる。
快感に溺れてゆくのを感じていた。
これを教えたのが、セドルなのだとしたら、僕は彼に本気だったと言う事だ。

キースが惑星メサイアで殺されたと教えられ、その犯人が僕だと報道されたと聞いた時、
あっさりとメサイアを脱出出来た事を、疑えば良かったと思った。
どこかで、トォニィを信じつつ、守れなかった事を後悔した。

僕はどこを間違えたのか?

「ジョミー」
しっとりと汗ばむ体でキースに似た男は、僕でその渇きを満たそうとしている。



「ああ、キース」

僕も願いがある。

今、会いたい。

「ねぇ、このまま、会えなくても良いから、今、一度会いたいんだ」






 閑話 終わり






『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十二話

2017-02-06 01:55:23 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 軍部解体中
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…ニュクス事件後行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握する。現在、ジョミーのジュピターの権限を預かっている。
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
シルジャーズのジョミー 本当はジョミーのクローンではなく実子(タイプイエロー)
ヴィー キースの部下 ミュウ部隊の隊長 ニュクス事件で仕事を失う
セドル 惑星ニュクス生れのクローン 商売に長けているキースとジョミーに近づく
アガレス・ベリアル 悪徳商人 セドルの上司 大戦中に彼の親とジョミーが会っている


※大戦から10年余りが過ぎ、ミュウを敵としてみるマザー信奉者も減って安定してきた頃、人類の歴史から消されたクローンの星が現れる。ニュクス事件でミュウ・人類・クローンの勢力図が出来上がる。クローンは富裕層に多い、影の権力者にアガレスがいる。


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十二話


 やがて、船は未開の星の宙域に着く。
 ヴィーは、とある小さな石の星に小型艇を3機飛ばし、座標の固定をする。
「ステルスデバイス、起動」
 小型艇同士が特殊レーザーで繋がると、中の星がぼやけて消えていった。
「これで、当分は誰にも見つからない。だが、ジョミーがここを離れた以上、事は急がなければならない。ソルジャーズのジョミー。君の健闘を祈るよ」
 と、ヴィーは言った。
「僕自身も本当の事が知りたい。僕とブルーはケンカ別れをしているんです。一方的に売られたケンカでしたけど、僕はその挑発に乗ってしまい。会えなくなりました。何が起きていたのか、僕は知りたい」
「うん。期待して待っている。話が終わったら合図をしてくれ」
「OK」
「君の勇気に期待する。敬礼!」
 ブリッジのミュウ部隊の全員がソルジャーズのジョミーに敬礼をした。
 ソルジャーズのジョミーは、笑顔でそれに答え、ブリッジから出ていった。
 ヴィーは半年前のニュクス事件を思い出していた。あの時、僕らは彼を捕える命令を受けた。
それは抵抗した場合、殺しても構わないというものだった。結果、僕は彼を撃ってしまったのだが、彼が倒れるのを見て、僕はあの戦いに矛盾を感じたんだ。
「応援している。そして、必ず、昔の君たちを取り戻して」


  小惑星 N-6605

 ソルジャーズのジョミーを乗せたフレッチアが飛んでゆく。
 ジョミーが探し付き止めたこの小さな星にブルーが居る。
「僕たちに隠し事は無かった。あの日まで。僕は謝らないといけない」
 シールドを確認しつつ、この何も無い星を見下ろし、テレパシーを飛ばした。

(ブルー。ブルー。答えて)

 答えは無かった。ジョミーは再度送信をした。
「僕は諦めないよ」
 何度目かの送信の後、小さなノイズを感じた。
 精神を研ぎ澄ましても、返事はない。
「会いたくないのかな」
 ふと弱気が起きる。
「聞いて。ブルー。僕は本当に小さい人間だ。君と居ると自分も大きくなれた気がした。タイプブルーでいれるのが、とても誇らしく、楽しかった。でも、それが壊されたあの時、僕も君と同じように、ジョミーを恨んだ。だけど」
 ジョミーの目が涙で滲む。
「だけど、あの時、気が付いちゃったんだ。彼が、ジョミーが父ではないかという事に。それは予感でしかなかった。怒りよりも憧れがどんどんと強くなった。それは苦しくて、ジョミーや君と離れて暮らすのが楽になっていた…そして、僕たちは絆になって…君は遠くなった」
 ジョミーは微弱なノイズを頼りに場所を特定してゆく。
 ある一点に定まった時に、声が聞こえてきた。
「僕は…許されない事を…した」
 それは、テレパシーでは無かった。フレッチアの通信が捉えたものだった。
 一点の光がより強く輝いた。
「ブルー。会いたい」
「……」
「このまま聞いて!ごめん。ブルー。僕は君が望まなくても。会いたいんだ」
「……」
「しつこいかな?僕から離れていったのに。ごめん。僕は…君から逃げた。逃げたけど、駄目なんだ。一人は怖くて怖くて。ブルーに一緒に居て欲しい。例え、ブルーが誰を想っていてもかまわない。僕は彼の代わりでもいい…僕は君を好きなんだ。愛している」
「ジョミー」
「…ブルー」
 フレッチアの前に思念体のブルーが現れる。
「付いてきて」
 そう言うと思念体は、降下していった。

 小惑星の中に小さな地下基地があった。人類軍の小型艇があり、その横に小さな施設があった。
 フレッチアを停め、降りると、重力制御も酸素供給も出来ている事にジョミーは驚いた。
「もっと、凄い事になったいるのを想像してた?」
 スピーカーから声がした。
「う、うん。まさかこんなに普通に暮らしているとは思わなかった」
「ここは、昔の移動基地さ。今はこうして小惑星群に呑まれて絶えず移動している。ジョミーも彼らも、ミュウを探しているなら人間になるのが良いと思って。死ぬまで誰にも会わずに生きようと思ってた」
 施設のドアが開き、人類軍の服を着たブルーが現れた。
「ほんとうにブルーなの?」
「さあね。君の熱烈な愛の告白に出て来ずにいかなくなった。意思の弱い男だよ」
「本物だね」
「ジョミー」

「フレッチアの信号が消えました」
 ブリッジの通信士がヴィーに伝えた。
「ジョミーからの通信は?」
「ありません」
「見つけたって事か…。消えた場所を特定しておいて」
「了解」
「では、二人が戻った時の守りを固めよう」
 ヴィーは、もう一人のジョミーに思いをはせる。
 ソルジャーズの二人は無事に逃がしてみせます。
 ジョミー。あなたもどうか無事でいて下さい。
「ヴィー。大変です!通常回線で信じられない事が…」
「開いて」
 そこにはある映像があった。それは星々に同時配信されていた。
「ジョミー。事はあなたが思うようには動いていないらしい。急がなければおしまいだ。メサイアには繋げられるか?」
「無理です。どうやら、軍も動いているみたいで」
「畜生!」
 ヴィーは立ち上がる。
「いいか。警戒を怠るなよ。何かあったらすぐに星に降りて、力ずくでも彼らを乗せる」
 俺だって、ジョミーを信じて動くと決めたんだ。
 シド。
 あんたも、何があってもトォニィを守れよ。


  惑星ギーガー

 行政府のドアが開く。
 後ろに銃を構えた警官に押されるように入ってくるジョミー。
「これは、ジョミー・マークス・シン。こんな辺境にようこそ」
「マーキスですよ」
「ここでは、こう発音するんだ。お気にさわったらすみません」
「気にしてませんよ」
「さて、ニュクス事件での重要参考人がどうしてこんな遠くにいる。何しにきた?」
「ノアが住みにくくなったので、新しい星を探そうと思いまして」
「ノア?ここに来る前はノアに居たと?」
「ええ」
 見つかれば捕まるだろうと思っていたジョミーだったが、回りの様子が変だった。
「嘘をつくな。メサイアだろう?きさまがいたのは?」
「どういう事です?」
「これを見ろ」
 ジョミーが見せられた情報端末には、メサイアの施設に入ってゆくジョミーの姿と、出てきて
ミュウ同士で戦っている所。それと、ジョミーがキース・アニアンの殺している映像だった。
「これは?嘘だ」
「ジョミー・マークス・シンを捕まえたと連絡しろ」
「それはしてはいけない!」
 ジョミーが叫んだ瞬間。この部屋全体に圧力がかかった。
「こ、これは。物質転移の…」
 立って居られず膝をつくジョミー。
 回りに居た人間たちは、皆、床に倒れていた。
 一回目のジャンプ。
 二回目、三回目と立て続けに跳ぶ。
 最初は人間達をバリアで保持していたが、四回、五回と続く内にジョミーは意識を失った。

「ジョミー」と声がした。
 それは、キースの声だった。
 冷たい床に寝ている自分を感じた。
 身体中が痛み指の一本も動かせない。目を開けると、キースが目の前に居た。
「夢…?」
 声にはならなかった。これは夢だとそう思った。
「他の…人間は…?」
 やっとそれだけ聞いた。
「ああ、死んだよ」
 ジョミーはそのまま気を失った。
「よし。運べ。慎重に扱えよ。身体中の骨が折れているはずだからな」
 遠のく意識の中でキースの声を聞いた。
「しかし、よく死なないな。死んだ方がマシな程、痛いだろうに」





  続く



※ちょっと怖い感じの所で終わっていますが、多分、その予感は当たりです。
バレンタインを書こうと思っていたけど、ベタ甘が書けそうにない。
ソルジャーズの二人でなら、書けるかな?




『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十一話

2017-01-29 13:28:41 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章

☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 軍部解体中
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…ニュクス事件後行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握           する。現在、ジョミーのジュピターの権限を預かっている。
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
シルジャーズのジョミー 本当はジョミーのクローンではなく実子(タイプイエロー)
ヴィー キースの部下 ミュウ部隊の隊長 ニュクス事件で仕事を失う
セドル 惑星ニュクス生れのクローン 商売に長けているキースとジョミーに近づく
アガレス・ベリアル 悪徳商人 セドルの上司 大戦中に彼の親とジョミーが会っている


※大戦から10年余りが過ぎ、ミュウを敵としてみるマザー信奉者も減って安定してきた頃、人類の歴史から消されたクローンの星が現れる。ニュクス事件でミュウ・人類・クローンの勢力図が出来上がる。クローンは富裕層に多い、影の権力者にアガレスがいる。


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十一話


 ジョミーは球体の部屋で夢を見た。
 ゆっくりと意識がソルジャーズのブルーの許へ飛ぶ。
 
「クローンなんて何個でも作れる」
「失敗作?」
「売ればいいんだよ」
「ミュウのクローンは高いぞ」

 もう、聞きたくない。
 でも、それが現実で…。
 誰か。
 誰か、誰か。
 いつも、願っていた。

 これは、過去の情報だ。僕の持つニュクスの知識とシンクロして、より鮮明に見える。

「ブルー。君は何をみて生きて。僕は彼に何をしたのだろうか…」


  ヴィーの部屋

 ヴィーは自分のキャビンで記録を取っていた。タイトルは、

『ジョミー・マーキス・シン』
  人間・ミュウ
 ソルジャー・シンと呼ばれる最強のミュウ。
 ミュウの力に関しては、あまり使いたくないと思っている。
 能力の使い過ぎて身体を分解させてしまった事がある。
 その時の後遺症で、常に能力を使っていないと生活が出来ない。
 能力区分は、戦闘特化のタイプブルー
 予知能力を持っていたが、今は使えないらしい。
 趣味は紅茶が好きで、紅茶に合うお菓子作りをしている。
 恋愛は、人類の女性を愛した事があるとの噂がある。。
 その時の子どもがソルジャーズのジョミーだと言われている。
 今の恋愛の対象は、キース・アニアンのようだが、現在は不明。
 性格は温厚だが、怒らせると怖い。
 目的の為に手段を選ばない時がある。
 主に自分を犠牲にする事で解決させようとする。
 お目付け役だったシドが離れてから、少し行動が読めない。
 時空が跳べるとの噂もあるが定かではない。

「と、こんなところかな…。こうして見ると、自分の認識も変わったな。敵意むき出しだったのに。あ、そうだ。最近の噂の…」

 彼を手に入れると世界を手に入れると言われている。

 これは、時空が跳べるの噂と連動しているのかもしれない。
「世界を手にか…。一体、誰が流したのだろう」
 と、ここまで書いた時に、当の本人から呼び出された。


  球体の部屋

 ヴィーが入って来た時、ジョミーは惑星ノアと現在地の天体図を見ていた。
「ジョミー。何ですか?」
「君に頼みたい事があるんだ」
「どのような事ですか?聞けるきけないがありますよ」
「んー」と、ジョミーは少し考えた。
「アガレスが動き出したようだ。と言ったら、わかるかな?」
「アガレス。ベリアル…。最近、聞きますが…。ブルーは彼から逃げているのですか?」
 そう言いながら、ヴィーは手首の端末を開き、アガレス・ベリアルを調べた。
「今のは、アガレスⅡ世?親子?うーん。きな臭いですね」
「ヴィー。全くだ。だから、僕もブルーと彼を会わせる気はない」
「で、どうするのです?」
 ヴィーは端末をしまうと、ジョミーを見て言った。
「ブルーはあの星から出てこない。アガレスはここに気が付いたって事でしょ?」
「ヴィー。君は…アガレスを知っていた?」
 ジョミーは彼の言葉に驚いていた。
「忘れましたか?ジョミー。私は人類側の軍人ですよ。何を守るのか。その為に何を信じるのかを迷ったら負けです」
「僕を好きじゃないのはかわらないのにね」と、ジョミー。
「好き嫌いをいつまで言ってては生きていられませんし、隊員もいます。僕は彼らの為にも、生き残る方を選びます。ニュクスの時のように…」
「そうだったね」
「ジョミー。でも、さっきのちょっと違います」
「?」
「好きじゃないではなくて、嫌いではないです」
「…。それは昇格したって事?」
「そうでしょうね。多分」と、ヴィー。
 二人は笑った。
 笑いながら、ヴィーには予感があった。彼はここからいなくなるのだと。ふと『世界を手にする』がよぎる。
「それで、作戦は?」
「アガレスはタイプブルーの反応を探している」
「はい。それで…」
「僕を追わせる。そして、僕が彼の許に行く」
「それは…、良い方法と思えない」
「ここからブルーが出て来る前に彼らが来たら、全て水の泡となる」
「でも…。ジョミーが居ないとブルーは出て来ませんよ」
「間に合うと思ったんだけどね。僕が起きるのが遅かったね」
「わかりました。あなたがいなくなった後の指示を下さい」
「ん、それはね。僕が彼らを引きつけてもいずれここには来るだろう。だから、ここからブルーを連れだし、この船で逃げてほしいんだ」
「逃げるのは出来ると思いますが…」
「力ずくで出してやろうと思っていたけどね。それをしたらここが敵にわかる」
「敵が視えたと?」
「時期が近いんじゃないかな?ブルーがね。苦しんでいるんだ。僕が出て無理をすると傷つけてしまうからね」
 今までいろいろやっているのに?とヴィーは言いそうになった。ジョミーにとってソルジャーズのブルーはどこに位置付けされるのだろうか?
「傷、ですか?」
「ああ」
 ヴィーは自分が書いた『ジョミー』の欄にソルジャー・ブルーとソルジャーズのブルーの事も書き加えなくてはいけないと思った。
「僕の代わりに、ソルジャーズのジョミーが説得してくれるから、心配ないよ」
「わかりました。全力で我々は逃げます。ジョミー、あなたはどうするのですか?戦いますか?」
「戦わないよ。僕はアガレスに直接会ってみたいんだ」
「戦わないで解決出来ると?」
「世界がね。人類とミュウだけじゃないって言いたいだけなら問題はない。けどね」
「ジョミー。あなたはブルーに戦って欲しくないと思っていませんか?彼を戦わせない為に逃がすのですか?」
「……」
 ジョミーは答えない。
「彼が人類の脅威になるからでしょう?」
「ううん。違う。ブルーを死なせない為だよ」
「死なせない…為?彼は凄く強いのに?」
「僕は彼を守りたいんだよねぇ」
 そう言って笑うと、ジョミーは天体図を消し、「ブリッジに行こう」と言って出て行った。
 ヴィーはデスクに残されたジョミーの端末を開き、中を見る。
「…これは…」
 ヴィーは、データを取ると球体の部屋を後にした。






   つづく




 ☆長い間、止まっていてすみません。気長な人だけついてきて~。^^;
  今回の言い訳はしません。
  3月末の「シナリオ新人賞」の方が、大変になってきますが、ここも少しずつでも進ませようと思っています。
  バレンタインもありますし~~~。
  一方的じゃないベタ甘が書きたいが…。

  さて、ジュピター時代からの知り合いとなると結構長いヴィーとの時間。
  彼はミュウでありながら人類側ですので、この点ではジョミーに近いですね。
  




『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十話

2016-09-01 02:23:19 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 軍部解体中
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…ニュクス事件後行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握する。現在、ジョミーのジュピターの権限を預かっている。
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
シルジャーズのジョミー 本当はジョミーのクローンではなく実子(タイプイエロー)
ヴィー キースの部下 ミュウ部隊の隊長 ニュクス事件で仕事を失う
セドル 惑星ニュクス生れのクローン 商売に長けているキースとジョミーに近づく
アガレス・ベリアル 悪徳商人 セドルの上司 大戦中に彼の親とジョミーが会っている

※オリジナルキャラを追加しました


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十話
 

惑星メサイア キース・アニアンの幽閉されている施設

「…お前はトォニィには強がるんだな…」
 と、映像のキースがジョミーに言った。
「それが…悪いか?」
 僕はキースを睨み返した。
「映像のくせに、憎まれ口なんて、本人と確認するまでも無さそうだね」
「そうだな」
 キースは小さく眉を上げた。
「俺もお前の前では、自分を作っていたのかもしれん」
「それは…当然だと思う」
 映像のキースではなく、眠るキースに話しかけるように僕はベッドの横に立った。
「僕は馬鹿だな。君をこんな風にしてしまった。恐がって浅はかで、どうしようもない。どこかに閉じ込めてしまえば良かったのかもしれないな」
 生きていれば、また利用される。そういう事か?
「嘘を言うな」
 顔上げると、キースが僕を睨んでいた。僕は彼の目の前まで行って、手を伸ばした。捕まえようとしても捕まらない映像。キースは僕の手をとる事は無かった。
 僕はキースの映像に触れて力を加える。薄く淡いオレンジの光。
「ねぇ。キース。じゃあ、本当の事を全て教えてくれない?」
「……」
「答えられないのは、トォニィが制限をかけているから…か。トォニィは僕がここに来る事を見越していた。そして、連れ出したりはしない事も…ね」
 僕は、キースのベッドを見下ろすトォニィを視た。
「……」
「キース。トォニィに伝えて欲しい。君はアガレス・ベリアルを知っているよね?彼に世界は渡ったよ」
「アガレス・ベリアル」
「ニュクスの、そして、ソヌスの権力者。あいつが全ての黒幕なんだろ?そして、キース、君は彼を知り…僕を疑った」
「ジョミー」
「きっかけはキースで。番狂わせは、セドルってとこだろうか」
「……」
「だけど、僕は、君やセドルやアガレスの事よりも、ブルーを救いたい。だから、僕の中にある情報はトォニィに託す」
 ジョミーが触れていた部分が青い色に変わり、小さな六角の水晶に変わる。それをキースのベッドの傍らに置いて、手を横に祓う。その手に分断されたキースのホログラムは消える。
「このままでは…僕は…誰も救えないんだな…」
 目の前にあるカプセルのようなベッドに眠り続けるキース。
「これは、僕の独り言だ。聞いてくれる?キース。大戦から、10年以上が過ぎて、大きな諍いもなくミュウは受け入れられた。そこはキースの影響が大きかったと思う。人類は拠り所を無くし、君をその代わりとした。でも、君はその状態に奢る事も無く懸命にやってきた」
 時間が経ったからか、キースのホログラムが再び現れる。
「全く、良いタイミングだ」
 キースに向かい、僕は再び手を差し出した。 
「僕がメサイアとノアの救ったとの情報を流したのは君、ノア政府だろ?あの頃の僕はマザーしか見ていなかった。ブルーの願った蒼い地球を取り戻せるなら何でもしようとそれしか、考えていなかった」
 キースがジョミーの手を取る。
「僕が君を好きだなんて、僕らは何を勘違いしたんだろうか?僕は蒼い地球を自分の力で取り戻したと思った。もう何もかもが最高の状態で、君まで僕の物だと思い。気が付かなかった。小さな綻びに…」
「ジョミー」
「お前は誰だ。僕はどこで間違えた?」
「俺は…」
 言い出したキースの姿が揺れて消える。
「ソルジャーズのブルーが君の記憶を壊した。あの時からか?wソルジャーズを君たちに渡した時か?東の海賊はどうしてキースを殺そうとした?何故、君は死を選んだ?答えろ。キース・アニアン。この全てに答えられるか?」
 眠るキース。
「まさか、君が一人では無かったなんて…思いもしなかった。ここに要るお前はどっちなんだ…。だけど、君をそんな風にしてしまったのは、僕なんだね。でも、キース。僕は行くよ」
 部屋を出て、ドアが閉まる。
 ジョミーは歩きだし、部屋の中のモニターに目を向ける。そこには、ベッドの中で、こちらに向かって手のひらを向けるキースの姿があった。と、同時に声が聞こえる。
「大丈夫だ」と。
 声が聞こえたと思ったのは、多分、錯覚だろう。
「キース・アニアン…」
 建物の外に出ると、トォニィの親衛隊が待っていた。僕は彼らの指示に従った。
 その後。僕は惑星メサイアから、ノアへ向かい、未開の宙域へと飛び立った。


  宇宙を行く船  ※(二章十一話)の続きです。


「僕は密航者ですよね?」
 ソルジャーズのジョミーが言う。
「ジョミー。どうします?」
「ヴィーは僕に言わず、僕も知っていてヴィーに言わなかった。だから、もうそれは密航じゃないね」
「ブルーには僕が会います。会わせてくれるって約束だった…」
「すまない。メサイアを出る時も、ノアを出る時も探していた。トォニィの所から出られないのかと思っていた」
「シドが助けてくれました。でも、その代わりにシドはあれを受け取りました」
「あれって?」
 ヴィーが怪訝そうに聞いた。
「最近、トォニィがミュウに付けさせている黒いチョーカー。これです」
 ソルジャーズのジョミーが襟を開けて見せた。
「やはり、君も付けていたか」
「ジョミーも?」
「僕は見えないように消しているんだ。僕はニュクスで倒れてすぐにだったよ」
 ジョミーが首に触るとそれが浮かび上がった。
「これは、どういう物なんです?」
「拘束具に近いかな。ある一定以上に能力を使うと爆発する。ジュピターのブレスの技術を使ったものだろう」
「ええ?」
 ヴィーが驚くのも無理はない。
「ソルジャー・トォニィがつけさせたって?そんなを物…」
 ソルジャーズのジョミーは答えなかった。
「多分、アガレスの指示だ」
 安心させるようにジョミーが言う。
「誰も何も信じられなくなったとか…でしょ?」
「今は、これは忘れよう」
「……」
「ラ、ラジャー」
 船は西へと向かい進んだ。



  続く






※シナリオの書き方で書きそうでした。^^;
 お待たせしました。
 八月中には、と思っていましたが、九月になっていまいました。;;





『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 番外

2016-07-09 03:47:53 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
惑星スメール カナリアの子供たちとフィシスが暮す星
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…ニュクス事件後行方不明中
シド シャングリラのキャプテン


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章 番外

  『七夕』

「七夕でもするのですか?」とシドが聞いたきた。
「たな?え?何?」
「たなばたですよ」
「?」
「短冊に願い事を書くんでしょ?」
「ああ、これ?」
 とジョミーは手にした紙を見る。
「それを笹に飾って、星に願うんです」
「スメールでね。何かするって。そうか、そんな風に使うんだ」
「何を書くんですか?」
「思いつかなくて…」
「年に一度の恋人同士が会うなんて、ロマンチックですよね」
「?」
「知らないんですか?七夕はですね…」

 七夕は年に一度恋人と会う日だと言う。
 それは、年一度しか会えない恋人同士って事だ。
 短冊に願いを書いて、星に願いをかなえてもらう。
 星になって戻ってきて欲しい人。
 答えられなかった。

 前なら答えるまでもなかった。
 ブルーの名を言っていただろう。
 いつか、貴方の所へ行く時、僕はどんな顔をしているのだろう。

「ああでも、ジョミー」
「何?」
「明日じゃないですか。書いても七夕に間に合いませんよ」
「じゃあ、何も書かなくていいか」
「それではスメールの子ども達が納得しないですよ」
「実はね。シド。子ども達は好きな子の名前を書いていたんだ。だから、書けなくて持ってきたんだ」
「好きな子ですか?キース・アニアンとは書けないですよねぇ」
「まぁ、そう…だよね」
「適当に誰か…。フィシスは?」
「本人に拒否されたよ」
「あの方は、あなたをからかってますねぇ」
「全くね」
「もう願い事なら何を書いてもいいんですよ」
「願い…」

 いつになれば、僕の思いは叶うのだろう。
 叶わない願いが多すぎて、僕はもう何も出来ないのだろうか?

 僕の部屋にかけてあった「ピーターパン」の絵が小さな音を立てて落ちた。
 それを拾い僕は短冊に文を書いた。

『The moment you doubt whether you can fly, you cease forever to be able to do it.』
(飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなっているんだ)

 今は、何も考えずに進めばいい。
 その先できっと出会えるさ。






  番外終わり。

※遅くなりました。思ったより書きにくくて…。;
 時間軸は、ニュクス事件前、シドと二人でスメールに行っていた頃です。