君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 三話「追憶の破片」

2012-01-28 02:08:14 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 三話「追憶の破片」

  現在・Messiah
 戦艦ゼルは惑星メサイアに到着した。
「名前はカリナにしたんだ」
「きっと、優しい子になるよ」
 これで本当におじいちゃんだねとトォニィが笑う。
 小さなカリナは僕の腕の中で笑っていた。
「ありがとう。トォニィ」
 トォニィ。
 君が産まれた時は、本当に心配で心配で、そして、とても嬉しかった。
 今もすごく嬉しいけれど、泣いてしまうのは何故だろう。
 涙は悲しい時だけではない。
 そんな事は知っている。
 こうして皆が泣いている。
 この仲間達が嬉しくて…、どうしようもなく愛しい…。
「ツェーレン、トォニィ。本当に感謝する。こんなに嬉しいのは感じた事がないくらいだ」
 もう何人もミュウや人の出産を見てきたが、カリナ、ユウイ…。
 君たちの小さなトォニィに子供が産まれたよ。
 彼がパパになったんだ。

「皆、聞いてくれ。僕はジョミー。ジョミー・マーキス・シンだ」
 ジョミーはゆっくりとメサイア全体に精神波を拡げてゆく。
「大戦が終わって六年。僕達がこの星、メサイアに来て三年になる。ここに来て皆は大変な苦労をしてきた。それでもここを、第二の故郷とする為に皆は頑張ってきた。そんな君たちに僕は、昨年、酷い事を強要した。あの時「ここを捨てて逃げろ」と僕は言った。命を守る為に逃げて…と。それはとても酷い命令だったと僕も思う。だけど、君たちは無事に避難をしてくれた。あれは、メサイアへと移住した僕らへの人類から次なる課題だったのかもしれない…。あれから人類は僕達を真正面から認めるようになった、彼らも、そして僕らも、確実に変化をしてきている。六年は長かった…。けれど、やっと進みだしたんだ。僕は最近、色々な星を回っている。他の星でも何人も新しい命が産まれている。ここだけじゃないんだ、産まれて育っている。僕らが目指す未来はこうしてゆっくりと、しかし確実に、大きく育ってゆくだろう。僕らはそれを大切に育てて未来に繋げよう。それは、僕一人では出来ない。今までも、そして、これからも皆の力が全てを築いてゆく。カリナ、元気に育って。トォニィ、ツェーレン、皆、ありがとう。僕は、この世のすべてに感謝している。本当に、ありがとう…」
 と、静かに頭を下げた。
 ジョミーのこの言葉は、メサイア全土に届き、ミュウだけでなく、人間にも聞こえていた。
 駐在していた軍部の兵士がペセトラ基地へと送信をしたので、会議中だったキースにもほぼ生中継状態で届いていた。
「ジョミー、それがお前の決意か」
 とキースはつぶやいた。

「ジョミー、順番が違うけど、今度はジョミーがパパにならないと」
 トォニィが言う。
「考えておくよ」
 とジョミーが笑う。
 その言葉にトォニィは驚き、あちこち回る内に出会いでもあったのか?と傍にいるソルジャーズに聞いている。
 今日は本当に良い気分だと思うジョミーだった。

 やがて、メサイアを離れる日が来た。
 皆に送られてベルーガは衛星ステーションを飛び立った。
 メサイアとスメール間はそう遠い距離でもないので、船は通常航路を飛んでいた。
 しばらく進んだ所で、謎の船団に方包囲された。
 船団の存在を察知していたジョミーとソルジャーズは交戦する事もなく停船要求をのんだ。
「ジョミー・マーキス・シン。あなたにこちらに来て頂きたい。言う事を聞けば、手荒な事はしない」
 シャトルに乗り込んで来た者の指示の通りに従い謎の船にジョミーが移って行く。
 ソルジャーズとシドはシャトルの一室に閉じ込められてた。
「こんなモノ」
 とブルーがふてくされていた。
「危険はないから、抵抗しないでと言われてもね…」
 シドが言う。
「何も出来ないままなんて…」
 ジョミーも言い出す。
 そんな二人を見て
「人を殺さずに戦える?」彼らはプロだ。とシドが言った。
「んー、無傷は無理だろうねぇ」とブルー。
「ジョミーは、何もしないでと言ったけど…体調が心配…このままでいいの?」
 ジョミーの最近の不調を気にするソルジャーズ。
 やがて、ジョミーが顔をあげる。
「ブルー、ジョミーを探して。そして絶対に見失わないで。あっちにも強いミュウが居るから気をつけてね。僕はこの囲みのほころびを探す」
 と、ジョミーが言った。
「了解」
 ブルーが面白そうに笑った。

 謎の船では、十人あまりの対ミュウ装備の兵士に囲まれたジョミーが廊下を移動していた。
 そして何もない部屋へと入るように言われ兵士はドアの前で見張っていた。
 手には手錠と、目には目隠しがしてあった。
「手荒な事をしてすまない。訳あって私は君の前に姿を見せる事は出来ない。ここで、大人しくしていてくれるなら、その手錠、目隠しを外そう」
「あなたの要求は何です?」
 ピーッという小さな音がして手錠が外れ目隠しも床に落ちた。
「ここに居てもらう事だ」
「ずっとですか?」
「ああ、そうだ」
「…それは…出来ないな」
 そういうジョミーの前に椅子がどこからともなく現れた。
「(転送か)なら…この部屋は…」
「椅子に座ってくれ。少し、話がしたい」
「話す事はない。要求は僕がここにいる事でしょう」
「……」
「転送するなら、早くした方がいい。彼らが、きっと何かしてくる。その前に」
「ジョミー…気付いてますか…」
「ええ…」
「…移動した後…話をしよう」

 囲んでいた船の一つで小さな爆発が起きる。
 ジョミーを目指してソルジャーズの二人が跳ぶ。
 ジョミーのいる部屋の前には兵士がいた。
 彼らはミュウだ。
 機械的に能力を増幅されていて、ブルーでもなかなか部屋にたどり着けない。
「あと少し…」
 だが、ブルーの目の前で部屋が消失する。
「ジョミー!」
 ブルーが叫んだ。

  シャトル・ベルーガ内
 操縦室を奪回したシドが、部屋ごと跳んだ先を探るが、何者かの攻撃でシャトルで火災が起きる。
 それを見たソルジャーズがシャトルに戻り、力任せでシャトルジャンプをさせた。
 その強引な移動でシャトル内に居た兵士たちは気絶した。
 武器を調べたシドはそれが人類軍の物だと気付く。
「ソルジャーズ、メサイアに戻ろう」
 消火して戻ったジョミーが「このまま追跡を」と言うが今のシャトルの状態では跳べないから、とシドが言う。
 僕が追跡する、とブルーが宇宙空間へ出ていこうとするのをシドが止める。
「今は一緒にメサイアに戻ってくれ。二人が必要なんだ」

  謎の船
 部屋ごとの無理やりな置き換え転送でジョミーは椅子につかまり床にしゃがみこんでいた。
「さすがに…この転送は人を運ぶものじゃないな…」
 自分の周りには椅子を中心にしてさっきの外の兵士達が作ったバリアがあり、自分でも作ったけれど不快感はどうしようもない。
 ワープでもない物質のただの転送だ。
 実験では人も運べるようになってきたが、それは数メートルの距離だった。
 いったい、何キロと跳ばされたんだ。
 自分の背後に人の気配を感じてこう言った。
「全く、テレポートに不慣れな昔を思い出したよ」
「ジョミー、無事か?」
「心配するくらいなら、こんな無茶をしないで、会いに来て欲しかったよ」
「……」
「セルジュ」
「……」
「ブルーが来てたが、君の部下は無事か?」
「…六名が君のシャトルに乗ったまま消えた。他はバリアを作ってた者が倒れたくらいだ…」
「なんで、こんな事を…」
「ジョミーが何をしようとしているかは知らないけど、止めないと後悔すると思ったから…」
 別の声が答えた。
「……」
 ドアが開いて、トォニィが入ってきた。
「…部下には反政府のミュウとの戦闘訓練と転送実験だと言って連れてきた。それが、まさか君が相手だとは思ってもいなかっただろう…よくやってくれたよ」
「トォニィ。セルジュを巻き込むな…」
「ソルジャーズがいつも一緒で僕には何も話そうとしなかったじゃないか!」
 口論を始めた二人に、とにかくここを出ようとセルジュにうながされて二人は転送部屋から出た。
 ジョミーは捕虜という立場なので二人の兵士がぴったりと張り付いていた。
 大型の実験艦らしく長い廊下を歩いて併走していた練習戦艦アルビオンへと移動した。
 
 用意された部屋は、セルジュの部屋だった。
 部屋に着くとセルジュがジョミーの後ろの兵士に、シャトル現在位置は把握出来ているか?と聞き「第1級戦闘配備のまま、待機」と指示をした。
 そして、ジョミーに、
「ここは、色々と対処出来るようにしてあります」
 耳打ちをした。
 それを聞いて、ジョミーは、
「いつでもワープ出来るようにしておいて」と告げた。
 セルジュの部屋にはテーブルセットがあり、そこに先にジョミー座り、トォニィはその真正面に座った。
 だが、どちらも話出そうとしなかった。


  続く






『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 二話「追憶の破片」

2012-01-22 01:33:31 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 二話「追憶の破片」

  現在 戦艦ゼル内
「君たちには理解できるかい?」
 シドは血が滲む包帯を見る。
「今まで敵だと思って戦っていた人間まで、彼には、救いたい対象だったんだ。僕も…それは同じだった。だから、僕はイグドラシルで、指示に背いて地球へ降りて人々を救出した。人を憎いと思っていた。それでも救った。それが、僕は戦いが終わった先にあるものだと思ったんだ。これで、全ては上手くいくと…」
「それで、救われた人間が感謝してミュウを認めるようになると…思っていた?」
 ジョミーが問う。
 その言葉は、ソルジャー・シンが言ったような気がしてシドは思わず、目の前のソルジャーズのジョミーから目を逸らした。
「…そう…思っていた。だけど、現実は、僕らは感謝されなかった。直接、助けられた人間は感謝していたけど、でも、思っていたようには進まなかった。簡単には、そうならなかった。SD体制だってそうさ。人間を縛るものから解放したのに、全然で、僕らは落胆し絶望したんだ。人なんて、もうどうでもいいと…。夢にまで見た地球は、目の前にある。だから…。力でこのまま征服して全てを僕らの手におさめてしまおうと思ったんだ。でも、ジョミーはそれを許さなかった。人類と分かり合う方法を探そうと言った…」
「…それで?」
 とブルーが聞いた。
「いろいろあって、結局、僕らは大怪我しているのをいい事にジョミーを幽閉したんだ。長かった戦争の後、僕らは勝利者だった。だから、好戦的な意見が多かった…」
「……」
 ジョミーは何も言わなかった。
「よくトォニィが黙っていたな」
 とブルーがつぶやいた。
「もちろん、黙っていなかったよ。でも、彼はソルジャーになったばかりで、まだ皆の意見をまとめられなかった」
「…力技で奪回しそうだけどな」
「他のタイプブルーが止めたんだ。トォニィも仲間に閉じ込められてるのと近い状態だったと思う。それに、幽閉されているジョミー自身が、僕らの包囲なんて簡単に解けるはずなのにそれをしなかった。トォニィはその気持ちを優先したのだと思う」
「ジョミーには…それは出来なかったんだ」
 とブルーが言う。
「そして多分、考えてた。全ての人の未来を…進むべき道を模索していた…」
 とジョミーが言った。
「…幽閉は怪我が治る頃には解かれたけれど…それからジョミーは、ミュウはシャングリラを降りて人間と共に暮らすべきだと言い出した。僕らはそれに従えなかった…」
「……」
「…ジョミーはその必要性を何度も言った。降りる者も少なからず居たし、他の惑星のミュウ達は守られる物が無い分、自分たちで人間の中に入っていく者も居た。だけど、戦いの最前線だった僕らには…それは、とても…。…とても…」
「怖かったの…でしょ?」
 ソルジャーズの二人が聞いた。
「…そう…だね。笑っちゃうよね。自分たちは勝ったんだと征服するんだ。と言いながら…実際は船から下りる事すら出来ずにビクビクしてた。人を力で抑えるのも全てソルジャーがすればいいって思ってたのだろうね。笑っていいよ。僕たちは人間を畏れていた。そして、僕達は、ジョミーも畏れたんだ」
「言う事を聞かない猛獣は飼えないもんな…」
 とブルーが言う。
「……キツイね。けどそれで当たっているよ…」
「……」
「ジョミーの出自まで持ち出す者まで出てきて…」
「あ、ジョミーは人間だったんだね」
「それで、その後、ジョミーはシャングリラから降りてしまったんだ」
「ミュウ達がトォニィを見るのと、ジョミーを見るのとが、微妙に違うのはそれだったんだな。うしろめたいんだ」
「でも、勘違いしないで。もちろん、僕たちは彼が降りるのは反対した。けれど、彼はそれを振り切って降りてしまった。今では、彼は降りて正解だったと思っているよ。色々な都市や施設が人類側に出来たのはジョミーが向こうへ行ったからだし…だけど…」
「シドはそれで裏切りだと思ってるの?」
「……そこじゃないな…」
 とシドは、諦めたように少し下を向いたまま言葉を続けた。
「僕は降りたジョミーを追ったんだ。彼の意見を支持する者を集めて、一緒に暮らせるようにしようとしたんだ。だけど、彼の消息はトォニィにしかわからなくて…わかった時にはキースの護衛を…人類の軍の中にいたんだ…」
「そか、キースの所に行った事が裏切りなんだ」
 ブルーが言う。
「だってそうだろ?裏切りじゃないのか?戦争していた相手の筆頭なんだキースは!彼の指示で何人も殺されているんだ」
「ふーん…、あんたがそう言うのは…」
 と言い出したブルーをジョミーが止める。
「シド、僕達が知ってる今のキースも許せない?」
 とジョミーが問う。
 またここでシドはまた君がそれを言うんだ…と言う顔をした。
「僕たちはキースはミュウの為にもいろいろやってると思えるんだけど…過去を引きずっているんじゃない…」
「わかっているよ」
 と、ブルーが言い出す。
「シドはジョミーが好きで…」
 言いかけるのを「ダメ!」とジョミーが止めるが、
「ジョミーをモノにしたのがキースだったのが気に入らないんだろ?」
 と言ったブルーは何者かに平手打ちをされた。
 殴りかかろうとしたシドとブルーの間に入って睨んでいるのはジョミーだった。
 痛ったいなぁ、と文句を言いながら頬を押さえて向こうを向いて座ったブルーを無視して「続きを聞かせてもらっていい?」とジョミーが言った。
 あんなに仲が良いソルジャーズの二人のそんな光景を見て、シドは驚いていた。
 そして、そうさせてしまった自分を少し恥じながら、シドはこの話を途中で終わらせられないと思った。
「…僕でいいなら…だけど」
 シドはこの話を話出したきっかけを思い出した。
 本当のジョミーには言えないけれど、このクローンのジョミーになら聞いてもらえるような気がして話そうとしたんだ。と。
「ごめん。二人共、ありがとう」
 シドは椅子に座りなおして話を続けた。
「知っていたのか?ジョミーとキースの事を…」
「僕達は、ジョミーの心をそのまま映すような行動をしてしまうから…なんとなく…」
「僕が知ったのは…トォニィの結婚式にメサイアに来たジョミーがキースの部屋に居て…僕は彼がキースと関係があった事を気付いたんだ…」
 彼に隙があり過ぎだったんだよ。と寂しく笑った。
「あぁ、それで結婚式って…」
 と向こうを向いたままのブルーが言った。
「だったら、もう、諦めなよ。だってシドの想いは…」
 ブルーが振り返る。
「…わかってる。彼を好きだったのは、僕じゃなく…ハーレイだ。だけど、ハーレイは僕のような邪な感情じゃなかった。純粋に心配していた…」
「邪…?」とジョミーが反芻する。
 それを横目で流し、
「シド。あんたはそればっかりで僕らと一緒に行動してる訳じゃないだろ?」
 ブルーが言った。
「ああ、僕はジョミーを助けたいと思っていた。。補佐をしたかったし、シャトルへの興味もあった」
「ジョミーはシドを信頼してて必要としている。もうそれでいいじゃん?」
「友人としてだけどね…。告白してキスして、振られて…完敗した訳だ」
 ソルジャーズに笑いかける。

 もう普段のシドだった。
「じゃあ、なんでこんなになるの?」
 シドの怪我を心配するようにジョミーが言う。
「…それは…」
 そして、
「ジョミー、ちょっと僕を見て」
「失恋したからって、こっちのにしようっての?」
 と言いつつも、ジョミーをシドの正面に座らせるブルー
 シドはじっとジョミーの目を見て言う。
「君たちは目の色って変えられる?」
「ううん」
 ソルジャーズが答える。
 前にトォニィも変えられないと言っていたっけ、とシドがつぶやいた。
 あれはジョミーだけの力なのだろうか?
 だけど、あれはまるで…。
 その様子をソルジャーズの二人はただ見つめるだけだった。

 船は静かにメサイアに向かい航行を続けたー



   続く






『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 一話「追憶の破片」1※BL風味

2012-01-18 01:51:38 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
☆あらすじ☆
一章「黄昏の海」
地球へ辿り着いたミュウ。人類との会見後グランドマザーの許に降りたジョミーとキースは、マザーの策略で殺されそうになる。ジョミーの最後の力でイグドラシルから地上に戻った二人。
大戦から二年。ミュウは新たな移住惑星に移り住む事となった。その旅立ちを見送ったジョミーはキースと共に「月」へと向かった。そこにはソルジャー・ブルーの身体が保管されていた。
その事実をジョミーは何故かミュウ達に明かせずにいた。
二章「湖底の城」
木星でキースの警護をして暮らすジョミーに「カナリア」の少年が会いに来た。彼らには渡航出来るIDは無い。事の不審さにジョミーとキースはある計画を練った。だがそれは思いも寄らない展開へと進んだ。事件解決後、ジョミーはメティスを出てスメールへ渡る事となった。
三章「星の祈り」
トォニィの結婚式の為、ミュウの移住先の惑星メサイアへと向かうジョミーとフィシス。過去にこの空域にジョミーは辛い思い出があった。木星のメティスを出て二年振りに会ったキースにジョミーが告げた言葉とは…。キースは再び権力の道へと登り始じめる。やがて、姿を現す敵と最後のメギド。その標的は惑星メサイアと首都星ノアだった。
四章「心のままに」
四年前、ジョミーがジュピターだった頃、軍事惑星ペセトラの地下にまだ残っていたマザーの端末に呼ばれたジョミーはその攻撃で倒れてしまった。そこに現れた白い思念のブルー。キースとの邂逅でブルーは彼に「時が溶ける」と警告をした。
同じ四年前。ジョミーはミュウの少年ヴィーと出会った。四年後、成長した彼はキース付きのミュウ部隊へと配属された。彼がキースに語った過去の傷害事件にショックを受けたキースはジョミーを呼び出した。そして、キースにジョミーは今まで隠していた事実を明かした。
※四章は最終章に向かって、心残りの無いようにとあれこれと詰め込んでいます。
暴力が嫌いな方はその回(パスワード入室の隠部屋)を飛ばして下さい。パスしても繋がります。

 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 一話「追憶の破片」※BL風味

 はじまり そして…
 グランドマザーの前に立つ少年
「承認されました」
「計画を進めなさい」
 威圧的なマザーの声が響く
「了解。マザー」
 足元から消えるマザーの瞳
 少年は何もなくなった床を睨み
「運命(さだめ)など認めない」とつぶやいた。

  現在・Artemesa
 ジョミー達がスメールを旅立ってから四ヶ月になる。
 アルテメシアに居たジョミー達のもとに、ツェーレンが無事に女児を出産をしたとの嬉しい知らせが届いた。
 彼らはメサイアへ戻る事になった。
 アルテメシアの戦艦ゼルからの通信が入った。
「着艦体勢に入りますよ。ジョミー」
 副操縦席のジョミーにシドが声をかける。
「起きてください」
「ん…あぁ」
 と、ジョミーが目覚める。
 シドは最近よくこんな風に寝てしまうジョミーを見ると、ブルーのイメージが重なり、このまま起きないのではないか心配になった。
「どこか体調が悪いのですか?」
「大丈夫だよ」
 戦艦ゼルの上部甲板にシャトルが着艦する。
 停止位置ぴったりに止めるシド。
「僕ではこうはいかないよ」
 笑うジョミー。
 惑星メサイアまでは戦艦ゼルでの航行となる。
 戦艦でも十日以上はかかる道程だった。
 ジョミーは仲間たちへの挨拶を済ませて艦橋へ向かった。
 窓の外には星が流れていた。
 さっきはキースの夢を見た。
 彼の傍らにはブルーも居た…。
 半年前、僕はキースに知り得たすべてを話した。
 話してしまったのは…僕の弱さだろうか…彼を巻き込むべきでは無かったのかもしれない。
 キースは今、何をしているのだろう。
 ノアやペセトラ、それとも地球でマザーの隠された謎を探っているのだろうか?
 そして、何かを見つけられただろうか?
 …彼なら何かを探し出せるかもしれないが…。
「どこにも行かせない」
「僕も行きたくない…」
 あれは…もう、何も隠す必要の無くなった僕らの本当の言葉だった。
 それでも…僕らには、立ち止まる時間は無かった。
 しかし、ブルーは何故キースの所に現れたのだろう?
 僕へのブルーの最後の言葉は「ジョミー、愛している。君は生きてくれ」だった。
 その言葉通りに取れない事もないが、あれはきっと…貴方の覚悟。
 あの言葉がきっかけで僕は謎を探り出した。
 たとえそれを貴方が望まなかったとしても、僕の見つけた起源の答えは間違っていないだろう。
 だから、僕はもう振り返りはしない。
 先に進むだけだ。
「各員、第一回目のワープに入ります」
 と放送が流れる。
 ジョミーは艦橋へ入って行った。
 ワープ後、戦艦ゼルのジョミーの部屋にシドがやってきた。
「フィシスがメサイア着いたそうです」
 色々と報告をするシドと話していたジョミーが急に眠たそうに目をこすった。
「ジョミー?」
「ごめん。シド…すごく眠いんだ」
 と言いながら、隣の部屋のベッドに横になる。
 このままで話していい?とシドに問うが、その後はもう会話にならなかった。
 夢が僕を誘う…何かが僕を呼んでいる…。
 それに抗う事が出来ずに落ちかけた時に、シドがそっと僕にキスをした。
(シド…僕は…)
「あなたが好きです」
 そして彼は確認をするように、もう一度、キスをした。
 今度は舌を入れてくる。
「ん…」
 さすがに落ちかけていた僕の意識が反応する。
 けれど、目が開けられずうわ言のように…、
「駄目だ…シド」と言った。その後は言葉ではなく(僕は…君とは…友達でいたい)と伝えた。
 ハッとしてシドが唇を離す。
「目を開けてジョミー」
「……」
 少しずつ目を開けるジョミー。
 それをじっと見ているシド。
「…ジョミー、こんな事をしてごめん…どうしても…伝えたかったんだ。起こしてごめん…もう行くから」
 シドは部屋から出て行った。

 シドは、ジョミーの部屋のドアが閉まるのを振り返り見つめた。
 なんで…ジョミー。君ばかり…。
 何故なんだ!
 シドが廊下の壁を殴った。
「…シド!?」
 手が切れて血が滲んでも殴る彼を、ソルジャーズのブルーが止めた。
 食堂へと移動したシドとソルジャーズの二人。
「操舵士が、手を傷めちゃだめでしょ?」
 と傷の手当てをするジョミー。
「何があった?」と聞いたのはブルーだった。
 シドはそれに答えなかった。
「何かしたの…かな?」とジョミーが言う。
 その探るような言い方が、クローンでない本当のジョミーとそっくりで、シドは聞かれたくない事を本人に聞かれたような気分になってしまった。
 だが、彼がジョミーのクローンなら…。
 当の本人には言えないような話をしてもいいのかもしれない。と思った。
 心配そうに見るソルジャーズのジョミーのその顔を、じっと見てから目を離しシドが質問に答えた。
「キスをしたんだ…。ジョミーに拒絶されるのはわかっていたけど、気持ちだけでも言いたいと思ってね…」
「そっか、やっぱりな」
 とブルーが言う。
「やっぱりって?」
 シドが普段言わないようなキツイ口調で応じた。
 少し目を細めたブルーがそれに答えた。
「だって、僕がスメールであんたにキスしちゃったのは、あんたがジョミーを好きだって思ってたから」
 シドはスメールでの事を思い出して気まずそうな顔になった、
「…そりゃ、ジョミーは、俺なんかを見る余裕なんて無いよな…」
 自分の事を「俺」と言う事も珍しかったが、いつも前向きな発言が多いシドが愚痴を言うのも珍しかった。
「…俺なんかって…」
 と言おうとしたジョミーをブルーが制止する。
 今は言わせてやった方がいいと目で合図をした。
「なんで余裕が無いと思うんだ?」とブルーが聞いた。
「教えて欲しい?」
「教えてくれ」
「ソルジャー・トォニィが許しても、やっぱり簡単に納得できるものじゃないよな…」
 話す事を迷うと言うより、どこから話せばいいのかと悩みながらシドが話し出した。
「君たちが僕らミュウに加わる前…あのメサイア襲撃の半年くらい前に、メサイアの空港でトォニィが結婚式をしたんだ。その時、僕がジョミーを迎えに行ったのだけど…。普段、僕達の前では彼が心を許すような…隙を見せるような状態になる事はなかった。いつも何か作っている感じがもうずっとだった…。その彼があの日は隙があって…」
「結婚式だったから?それって嬉しい事なんだろ?」ブルーが言う。
「結婚式は、良い事だよ。あの頃は僕にも結婚したいって思う人がいたな」
「過去形?どうしたの?」とジョミーが聞く。
 君に問われるのか?と言う顔を少ししてシドは答えた。
「ジョミーを好きになってしまったからね」
 と言った。
「……え?…」
「彼女にシャングリラを降りると言ったら振られた」
 …何してんだよ、とブルーがつぶやいた。
「僕はずっと前からジョミーとは仲間で一緒に育った。仲間達とずっと彼を心配して、そして、応援してきたんだ。一番の理解者とまではいかなかったけれど、それでも、そう思ってきた。でも、ナスカで仲間のほとんどが死んでしまい…。ジョミーは変わってしまった」
「……」
「死んでいった皆の分まで、僕が彼をちゃんと支えていなくちゃいけなかったのに、僕はその重さに耐えられなくて逃げた。彼と他の仲間達の間がどんどん離れていくのを、ただ黙って見過ごしたんだ。彼は強い。だから、僕らを引っ張って行くのは当然なんだと、それが義務なんだと、それがタイプブルーの使命なんだと…」
 タイプブルーと言う言葉にソルジャーズの二人が思わず身構える。
「…でも、地球に着いて、彼が本当にもう死んでしまうんじゃないかと思うような大怪我をして僕らの元に帰って来たのを見た時に…。そう思っていたのは、僕らが彼に全てを押し付けてきただけなのではないのかと、気が付いたんだ。彼は僕らの為に必死になって戦ってきた。だから、まだ彼を失えないと思った。けれど、その時にはもう遅かった。もうジョミーを理解出来る者はソルジャートォニィと…人間のキース・アニアンしか居なかったんだ…」




  続く



月イチ雑記2012,1 「京都話と最終章について」

2012-01-15 18:10:04 | 月イチ雑記「青い星」


章が変わるので、日記を挟みました。
新年の挨拶をしたばかりですが、お許しを。

↑は、京都、清水寺のライトアップです。
綺麗ですね~。
京都には年に1回は行くようにしているのですが、最近は大阪の帰りに寄る感じになっていたので昨年はちゃんと泊まれて嬉しかったです。
今年こそは宿坊に泊まりたい。
昨年、時間があったら「まんがミュージアム」に行く予定だったけれど結局行けずに終わってしまって、次回の楽しみとなりました。
御所とか晴明神社も最近行けてないからここも次回。
でも、貴船神社に行けたので満足!
川床料理も今度行ったら食べてみたいです。
貴船は恋愛の神様で、ちょうど行った頃に、小説の「星の祈り」の最初のあたり…。
なかなか良い雰囲気にならない二人を書いていて、思わず2次元のお願いをしてきてしまいました
そのおかげか、二人はちゃんとくっついたので、お礼にいかないといけませんねぇ。

貴船に2頭の馬が並んでる銅像があるのですが、何も気にせず写真を撮ってきて…
帰ってから見たら…2頭がキスしてました
正面、斜め横からだと良い感じで…
さすが恋愛の神様ですね
(↑私の腕が悪いだけですね)

さて、小説の5章、最終章ですが、書き落としをしないように色々と入れて最終章まで終わった後で時間が戻るような番外を書かないようにしたいと思っています。
「心のままに」は時間が動きまくってごちゃごちゃで…すみませんでした><
番外を書くとしたら、その先を書けるように…。と言う事で、勘の良い方はわかるかな?
私はジョミーを死なせる気はありません。
安心された方と、がっがりされた方と居ると思いますが、書き始めたきっかけが「死んでしまった二人を幸せにしたい」なのです…。
無理やり生かした命を死なせられません。
しかし、私のブルジョミは「I guard you」3が限界かも…書きたいのになぁ。

この先ですが、現在…まだ1話なんですよ…納得のいくまで触りまくっています。
今後はUPするのが遅くなると思いますが、お許しください
展開としては主人公不在で進んでゆきます。

少しばかり長い目でみてやってくださいませ。
よろしくお願いいたします。




『君がいる幸せ』 四章「心のままに」二十四話 「I guard you3」(後編)

2012-01-14 01:55:00 | 『君がいる幸せ』本編四章「心のままに」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)二十四話話

   Epilogue Bridge「I guard you3」(後編)  
※「君の存在」の完成版です。
☆ソルジャーズのブルーとの表記は前編の1行目だけで、後は省いています。
  現在・Sumeru
  数日後
「ジョミー、ブルーに何を教えてるんですか?」
 そう言って僕の部屋に飛び込んできたのはシドだった。
「何って?」
「彼にキスを教えたんじゃないですか?」
「え、あぁまあ、キスくらい…問題は無いでしょ?」
「知らないんですか?彼、カナリアの女の子に人気あるんですよ」
「え、そうなの?」
「そーですよ」
「カナリアも年頃だからなぁ…」
「彼の子でもできちゃったらどうするんです?」
「ちょ…それは飛躍しすぎじゃ…」
「彼は上手いですよ」
「ん、え?…何が?」
「えっと、あの、キスが…」
「えーっと、…もしかして、シド、君が…キスされたの?」
 と笑った。
 笑わないで下さい!とシド。
「朝の挨拶に来て、なんかそのまま…だから、キスがって言うより。ふ…雰囲気を作るのが上手いんですよ。きっと、そう、だから…それで……」
 シドはブルーの力に呑まれたんだなと僕は思った。
「で、それを…僕が教えたってブルーが…言ったのか?」
 まだ笑えて上手くしゃべれなかった。。
 憮然とするシド。
「と…ともかく、何か問題が起きる前に止めないといけないね」
 ジョミーはブルーを探し「僕の部屋に来て」と呼んだ。
「どうしたの?何か用事?」
 ブルーが入って来る。
「ブルー、キスして回ってるの?」
「え、そんなのしてない」
「でも今朝、シド以外の誰かにキスした?」
「カナリアのマリナ」
「…彼女だけ?マリナの事を好きなの?」
「マリナだけだよ。別にそう…好きってのでもないけど」
「…じゃ、なんでしたの…?」
「なんか、今日はかわいく見えて、かわいいねって言ったらマリナが急に…」
「彼女からか…」
 ジョミーはため息をついた。
「わかった。とりあえず、キスは禁止だよ」
 とブルーに指示をした。
 ブルーは文句も言わずに部屋に戻って行った。
「ブルーは見た目は十四歳って言っても、中はまだ五歳くらいの子供だからなぁ…。マリナは実年齢で十六歳。成人している。だけど、カナリアだし…。第一、ブルーが本気じゃないなら…しばらくココを離れるしかないのかな」
「マリナって優秀でおとなしい子ですよね」
「うん」
「ブルーは天性のたらしとかなんかですか?」
 …たらしって…。
「んー、多分、あのね」
 とジョミーが、シドをじっと見つめる。
「どうしたのですか?」
「シド、二人の時は言葉使いを普通にしてと言ったじゃない?」
「あ、はい。でしたね」
「違うよ。そこは…」
「……」
「だから…うん。でいいんだって…言ってみて」
「うん」
 ジョミーがパチンと指を鳴らした。
「え?」
「わかった?」
「一種の暗示か催眠術に近い感じかな?」
「これってタイプブルーの能力なんですか?」
 と言うシドをつまらなそうな目でジョミーが見る。
「…タイプブルーの能力なのか?」
 と言いなおすシド。
「ううん。皆、誰でも持ってるけれど、僕たちのはパワーが違うと思う。僕達でもそれぞれ出来る種類も違うし」
「種類?」
「トォニィは戦いたい時に使うから、彼から本気で挑まれたら受けない訳にはいかなくなる。僕のは甘言。つまり言葉でこっちのペースにするってのかな?ブルーは恋愛モードってなるのかもしれないね」
「じゃあ、ジョミー。君も彼の暗示にかかったって事?」
「キスを教えた時?んー、そうなるのかもね」
 あの時、ブルーは何も言わなかった。
 むしろ僕の方から言ったんだ。
 だけど、何故急に一人で僕の所に来たのだろう。
 僕が彼を呼んだのかもしれないな…。
「でも、なんでブルーは君の所に行ったのだろう?」
「さあ…」
「で、なんでそんな雰囲気になったんだ?」
「いや、僕もそれはよくわからなくて…」
「シド、君で試してみようと思ったのかな?」
「え?試すって何を?暗示を?」
「そう、相手を喰う方法をさ」
「喰う…」
「ブルーのは、言葉よりも目と纏ってる空気が違ってきて、呑まれると知らない内に、こちらから動かされる事になる」
「カリスマ性に近いものがありますね」
「否定してても、ブルーはブルーって事だね」
「…ですね」 
「しかし、ここを離れるいい時期かもしれないけど、離れるとなるとどこに行こうか?」
「…ソルジャーズのジョミーは、どうします?」
「彼はフィシスと居ると言うかもね」
「ソーシャラーになりたいんでしたっけ?」
「ヒーリングに興味があるみたいだね。だけど、まだ僕の側に置く。彼らに色々見せたいんだ。そうだ。四人でいろいろな所を旅して回ろう。きっと楽しいよ」
「そうですね。了解。ジョミー」
 そういうと、シドがジョミーを見つめて
「けど、ジョミー。彼のキスは本当に上手かったんですよ」
「…そう?」
「だから、僕にも教えて下さい」
 ジョミーの腕をつかみ身体を寄せてくるシド
 唇が次第に近づく…。
「残念」
 ジョミーが笑い出す。
「効いてないよ」
「全然ですか?」
 がっくりするシド。
「君は君の方法を見つけないとね」

 ブルーとマリナのキスの話題はカナリア内ですぐに広まってしまい、ジョミーはフィシスに軽はずみな事をしないでと叱られた。
 そんな淡い恋愛問題を残したまま、それから間もなく、四人はスメールを旅立った。




  四章エピローグブリッジ(Epilogue Bridge)「心のままに」 
  「I guard you3」 (後編)    終
    五章「星の在り処」へ つづく

後書き※問題の四章のUPが無事終わりました。
次は五章「星の在り処」です。五章の後に終章がありますが、話数が少ないし、
閑話扱いっぽいギャグテイストなので、実質、五章が終章になります。
終わりまでよろしくお願いします。