君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

終わった感想です。

2013-06-21 03:54:40 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆月イチ雑記を忘れてました^^;

終わってすぐに書けばいいものを、ちょっと放置してたら、感情が流れてしまいました。
別の問題もリアルで立ち上がってきてしまい、もうすっかり「終わったなぁ~」って思うようなテンションが無くなってしまいました。…すみません。;
UPPした瞬間は「爽快感」がすっごいあって、気分が良かったです。
終わりの一つ前、ソルジャーズのジョミーの視点で語る一話がとても苦労しました。
実は、彼のキャラが出来上がって無いんです;
クローン設定だったから、まぁ、同じ感じで良いんじゃない?なんて思ってました…^^;
で、クローンじゃなかった。ってした今回の設定で、どこをどうする。と焦りました。
最後の所で半分無理矢理に会話させていますが、もっとわがままになるはずだった。
でも、そうならなかった。
結局、良い子で終わりました。しかも、中途半端に。。
「伝えたい言葉」ってタイトルもね。途中でそう変えたので、そこも中途半端。
何が「伝えたかった」のでしょうねぇ^^;
「自分で考えて生きるのが一番良い」がテーマかな?

人の為に生きてきた感じのあるジョミー。(でも、それは自分の意思でもあるけど)
自分とその周りの人がもっと自由になれれば、その先には、きっと。
ぶつかりあいながら、求めながら、心で悩み進む。
作られた意思ではなく。
生きてゆく事。
生き抜く事。

それから、ラストでいかにも重要そうに語った、殺せる殺せないの展開ですが、あれは、答えが出ないまま放置していた問題を持ってきただけです。
あの事件で最初は殺している設定でした。直接手を下すかくださないか?はありましたが、苦しまずに殺す。って感じで殺すはずだった。でないと、レイプ擁護になっちゃうじゃん;
暴力は反対です。。。。でも、殺さない。となり、そこは、矛盾だったんです。
何で殺さないの?と。でも、返答は出なくて、、。
「殺したくないから」ではない。とだけ…。そのまま放置で進んでいました。
結局は憎しみで殺してはいけない。だったけど、それもちょっと違う。
子供に語るにあたって、そうなっただけ。。です。
。。。。。。

ジョミーとしたら、自分の事をここまで酷く扱える者が新鮮だった。
で、そのあたりで興味が湧き、同じ人として向き合ったら、きっと殺していない。
自分が人ではないなら殺している。それは暴力。
人なら殺せない。あの時、僕は人だったから。
暴力に暴力で答えないって事。
だけど、どうすればいいのか?で悩んでしまい殺せないままだった。
って、小説で書いてない事を言っても意味はないですね^^;

キースを出して二人で語らせようかとも思ったけれど、キースはもう話したくない話題なので、これ以上苛めるのもねぇ。となりました。
どうせなら、ラブラブで出してやりたいですから、ここで彼の機嫌を損ねてどうします。
えーと、まだラブラブは書いてないです^^;
短編扱いだから、一気に書いた方が面白い。
何処をどうしようか?と悩み中です。
砂吐いて~。てかもうどっかにいっちゃってるようなの書きたいです^^
でも、どっかで歯止めかかっちゃうんだろうなぁ;;
なんとかその辺を打破して書きたいです。


ラストに駄文。
「進撃の巨人」見てます。展開にドッキドキです。
巨人化きたーーーーー!^-^
新年のアニメは「絶園のテンペスト」が良かったです。
樹の意思とか、良かったけど絶園の魔法使いの正体がわかった所で終わりですね。
その後は全部、まとめですもん。
主人公がだんだん蚊帳の外になっていって、「俺ら、普通の高校生」は、ちょっと興ざめしたけど…。でも、すごく出来は良かったと思います。
多分、ラストバトルに主人公達が居ないのが、寂しいかっただけです。
でも、そういう所に視点がいってるのも面白いですね。

結城信輝キャラデザインの「ヤマト2199」見ました。結城さんが好き!!最初はそれで直視出来ず(笑)
デスラー総統のセンターで登場の回から見ました。え、入浴シーンからですっ!(笑)
今回女の子が多くて良いですね^-^
でも、森雪の設定が微妙な気がします。
まさか、キムタク「ヤマト」みたいな事にはならないよね?
あの映画は、予算が無かったのがねぇ、悪かったと思う。
フェリーで撮影したのね!!!って丸わかりで、つまらなかった。
せっまい格納庫で話すより、甲板でいいじゃない?バックは真っ黒の宇宙空間で済みますもん。
あああ、話がそれた;

月イチ雑記って事でお許し下さい。
頑張って短編で何かを書きあげますので、もうしばらくお付き合いをお願いします。


では、また。 真城灯火



『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 二十一話

2013-06-11 03:13:45 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー

   

 今にも泣きそうな顔のソルジャーズのジョミーを見て、僕は彼が愛おしくてたまらなくなっていた。
 ここまで連れてきたのに、君は僕の甘言に乗らないね…。
 やり難いよ。
 元が僕と同じ人間だからか?思考が似ているからなのか…。
 僕は彼から見えないように小さく微笑んだ。 
「僕は気が付いていた。君はブルーよりも人間を恨み、ミュウを恨んでいる。感情がすぐに表に出る彼の方が怒っていると思われがちだけど、実際は君の方が深くて重い。惑星ノアを救った時も、メサイアでもそうだった。スメールの子供たちと交流して素直に受け入れたのはブルーだ。彼は実験体だからかどこか希薄な部分がある。そうだな…彼はいろいろなしがらみを切って進める。メギドの中で僕たちミュウの方を選んだのも彼だろう?人間の君はそんな風に簡単にはいかない。出来ないんだ。…恨みや思いが消えない」
「僕がミュウを受け入れて喜んでいると演技をしていたと?」
「演技?そうか…演技だったと…。そうだね。演技じゃなくて、本当に受け入れていた部分はあっただろう。けれど、自分の運命を作った僕を、君をそこへと連れて行った人類を許してはいなかった。君が第三勢力の海賊と繋がりを持ったのも全てを壊してしまいたいと思ったからだろう?」
「!」
「だが、それも結局は出来ずに自分で自分を罰した…」
「ち、違います」
「違わない。君は本当に人間だな…」
「……」
「流されては迷い…、戸惑って悩み…傷つきやすくて脆いのに強い。殺されても生き延びようとする命。人は本当に強い。僕は君を羨ましく思うよ。だから、もっと自由になって世界を見てごらん。そして君なりの答えを見つけるんだ。君が人類やミュウを許せる何かを捜すんだ」
「僕には何も見つけ出せません」
「どうしてそう思うんだ?」
「それは、僕が僕だからです…」
「君が?何だと言うんだ?」
「皆を騙し続けていたから…僕は許されないし、許しもない」」
 そう言って彼は自分の両手で両腕を抱えた。
「そうだな」
 その答えに彼の体が小さく震えた。
「……」
「そう、では「楔」にはならないのか?」
 ふわりとジョミーが宙に浮いた。
 シュルシュルという衣擦れの音がして、天井から布が降りてくる。一つ、また一つと、布が増えていく、それは心の防壁が増えるという事だった。
「ジョミー?」
 そして、どこからか声がした。
「君の弱点と僕の弱点は同じ…」
 それは、ブルー。
 言葉ではなく心に響いた。
「じゃあさ。何故、次は僕を嫌だとか怖いと思うのかを教えてくれる?」
「…あ…それは、力が強いから…」
「今では、ブルーやトォニィのが強いじゃないか」
「好きだからです。そして、悔しいから…」
「良い答えだね。じゃあさ。僕らがブルーを取り合っても君は僕を好きでいられる?」
「ええ!?」
「…出来ないよね?普通ではいられない。それで良いんだ」
「いえ、たとえ、そうなっても僕は…」
「人類を恨みに思うならその気持ちをキースに向ければいい。ミュウを恨むならそれは僕に向ければ良い。それが出来ないって言うなら…」
「ジョミー」ふいにどこかから、ブルーの声がした。
 目の前には金色の髪と青い瞳のクローンのブルーが居た。その横にはジョミーが立っていた。
 ジョミーはブルーの肩と顔に手を伸ばして、少し背伸びをして、目を閉じる。
 二人の唇が徐々に近づく…。
「ダメ。嫌だ」ソルジャーズのジョミーが叫んだ。
 ブルーとジョミーはそこで止まった。
「もう少し、強くなって自信を持つんだ。でなければ、彼は僕がもらうよ」
「…嫌だ」
「本体であろうと、クローンだろうと、ブルーの遺伝子には僕を探し求めるようにインプットされている。それは絶対的な僕からの支配だ。彼の意思だけでは太刀打ち出来ない。僕が彼を拒否しない限り、ブルーは僕を追い続けるだろう」
「知っています」
「僕に似ていると言うだけのただの人間の君には、どう足掻いても分が悪いね」
「知っています」
「それでも?」
「それでも」
「君はもう十分強いのかもしれないね」
 答えはもう君の中にある。進んでごらん自分の足で、その意思で。
 もう誰も君を束縛しない。
 大丈夫だから、前を向いて進んでごらん。
 僕はここに、ここに居る。

 世界が広がる 安心して、まだまだ広げていけるから。




  惑星アルテミシア クローンのブルーとの邂逅後
 僕の記憶はなんだかまったりとした感じでスッキリとしなかったが、それでも次へと向かうのに支障はなかった。
 最近は前よりもゆっくりと時が流れている気がする。
 それは、僕の「記憶」が有る無しに関わらず、時を大切に思うようになったからかもしれない。
 僕はいつも何かに追われていた。
 それは、ソルジャー・シンだった時も、ジュピターになった時も、何かを追い探し求め、何かがずっとその先へその先へと僕の背中を押していた。
 「死」というものを感じたあの時も同じだった。
 簡単な安らぎが僕を覆いつくし、眠りたいと願った時も、それでもまだ何かに追われていた。
 まだ「人類の目覚めはこない」そう思って僕は何故?どうして?とそればかりを嘆いていた。
 でも、気がついたんだ。
 彼らはもうとっくに「目覚めている」静かにゆっくりと目を開いていたんだ。
 僕は僕の周りしか見えずにそれに気がつかなかっただけだ。
 もう、僕は…何も心配をしなくていい。
 次を追う準備が出来たのかもしれない。
 
 あの後で聞いた。クローンのブルーの願いは自分が死んだ後で、彼がもし願ってくれたのなら、同じ場所に埋葬して欲しいとの事だった。
「ジョミーがあなたのクローンでもなく、タイプブルーでも無いのに、ただ仲間が欲しくてそうしてきたのは自分だから、あの事件は僕にこそ非がある。僕が勝手に死のうとしたジョミーに怒ったり恨みに思ったりするのは見当違いなんです。あなたが僕の願いを叶えてくれるなら、お願いがあります。この先、どう長く生きても自分が先に逝くから…その時に寂しいのは嫌だと思ってしまったんです。でも、彼が死んだ時、僕の隣なんて嫌かもしれない。それは彼の意思次第だから、だから、お願いにも何にもならないかもしれないけれど、叶えられないかもしれないけど、僕はそれを願ってしまうんです。だけどもう、寂しいのは嫌なんだ…」
 その願いは、僕の心を締め付けた。
 僕はブルーをあの寂しい場所に置き去りにしている。何もなく、僕が作った氷が閉じ込めた悲しみだけの世界に。
「ブルー。わかった。彼の意思を尊重する。君の意思は必ず伝える。だけど、似ているね。これは前に皆と月に行った時に考えたんだけど、僕は月でオベリスクのようになったあの氷ごとブルーを地球へ運ぼうと思う。そして、僕が死んだらそこに埋葬してもらえたらなと思っていたんだ。だから、地球で良いなら…君もそこにと…」
「…はい…」
 と、泣きながらブルーはうなずいた。

 僕の同級生のスウェナはまだまだ若々しいが、レティシアが昨年子供を産んだので「おばあちゃん」になってしまったわ。と言っていた。
 そして、そういう話の最後には決まって「ジョミーはいいわね」と続く。
 僕は一度自分を殺し戻った。
「肉体年齢は二十歳でも…僕は僕だよ。君と同じだ」
 彼女も僕がクローンで、そう永くないのは知っている。
 それは、僕だけではなく、同じクローンのブルーも、実験体として生まれたキースも同じだった。
 そして、僕ら自身で子孫は残せない。

 後、何年生きていられるのかわからないけれど
 僕らはそれまで懸命に生きるんだ。
 それしか出来ない。
 でも、それで良いんだ。

 人は生き続けるいつもいつでも、営みが続いてゆく。

 僕らはそれを見つめ続ける。

 それが僕ら「タイプブルー」の生きる道。











「では、これからは、君の為に生きようかな」













  「伝えたい言葉」    終





『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二十話

2013-06-03 01:30:22 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二十話

 僕は話の内容とジョミーの言う許しが繋がらなかった。
 だが、ジョミーは僕を見て静かにこう続けた。
「僕の矛盾はそこだったんだ。彼らを僕は殺せなかったけど…答えは出たんだ」
「ジョミー。それは間違っています」
「わかっているよ…僕の言葉は殺せなかった事に理由をつけたに過ぎない」
「あいつらは悪い事をしていたから、殺していいんです…」
「ああ、そうだね」
 ジョミーはそう言いながら、僕の前に来て手を取った。
 そのまま僕の頭を腕の中に納めた。
 そして「ごめんね」と言った。
 僕にはその意味がわからなかった。
「泣かないで」
 とジョミーが言う。
 僕は泣いてなんかいない。
 だけど…。僕は話の内容に頭がついていっていない事に気が付いていなかった。
 懸命に考えているけれど、思考と感覚がどこかにいっているようだった。きっと僕は酷い顔をしていたに違いない。
「ごめんね。君にはショックだったね。どうも僕は過去の事を話す事で他人を傷つけるんだって意識が薄いようだ…」
 ショック?
 ああ、そうか。僕は信じられないんだ。こんなに強いジョミーが何も出来ない状態で酷い暴力を受けた事が信じられないんだ。でも、僕は彼に何をどう言えばいいんだろうか?まだ、僕はさっきの話を信じ切れていない筈なのに、心が全然落ち着いてくれなかった。。
「あ…あのジョミー。僕が沈んでいるのは、僕らも、同じような事があったから…。教育ステーションで僕らは理由もなく他の生徒に攻撃されたんです。暴力では無くて精神的にでしたが、最初の短い期間だったけど…それを思い出してしまっただけで…。だから、わかるんです。あなたは辛くないのですか?僕は思い出すだけで辛くなります」
 僕は少しうろたえながらそう言った。
 でも、半分以上自分が何を言おうとしているかわかってなかった。ただ、ジョミーの話を必死になって自分の中でまだかみ砕いてる最中で、何も言えなかった。こんな気持ちをどう言葉にすればいいのかをただ模索していた。
「そうか…大変だったね。辛いのなら泣いていいよ。僕がここでこうしているから」
 僕が辛い?僕が泣く?それって、僕がする事?
「僕は泣いていないです…」
「心のずっと奥がここに来ているんだ。見ていればわかるよ」
「いいえ。いいえ。僕は泣きません。ジョミー。だから、僕はあなたが辛くないのかと…。僕は辛いです。だって、僕は自分だけが、すごく不幸なんだと思っていました。でも、トォニィもシドもセルジュも、ヴィーもキースも、そして、あなたも不幸だったんだと知って…だから…」
 支離滅裂だ。
 言葉が思い浮かばない。ただただ、自分が苦しくて辛かった。苦しくて苦しくて、僕はそれを怒りに変えて、ジョミーに当り散らしていただけだった。
「僕の不幸?僕は不幸じゃないよ。自分で行動して起こした事象なら、それは僕が選んだものだから」
「そんなの。殺されそうな目に遭う事を選んだってそう言うのですか?だから、辛くなかったって、あっさり話せてしまえるような事じゃないでしょう?」
 僕はジョミーの腕から抜け出し、反対に彼の肩を掴んで叫んだ。
「だって、暴力が怖かったのでしょう?」
「ああ。怖いと思ったよ」
「そんな…他人事みたいに言わないで下さい。だって、本当に何も出来なかっただなんて、あなた程の人が、そんなの酷過ぎる」
 きっと、僕は泣いている。でも、それは、意味のわからない怒りへと転換された。
「僕程の人?僕は普通の人間さ。ミュウの力が無ければ何も無い」
「そんな事は無いです」
「ただの子供さ」
「いいえ。ジョミー。違う。それは違う!子供だったって言うなら、そんな目に遭ってどうして、そんな風に話せるんですか?辛いって泣けばいいじゃないですか?」
「それはやったさ。怯えて、逃げて。叫んで、憎んで、泣いた。自分を蔑んだり憐みもした。それで、自分にはまだこんなに色々な感情があるんだと知ったよ」
「……」
 あの頃のジョミーは色々な感覚がマヒしていて、自分を動かすことすら力を使っていたと聞いた。泣き叫ぶのは人間の本能で力で動かしてはいないはず…。そう思った瞬間、怒りなのか、憐みなのか。とても酷く醜い感情が襲ってきていた。そんな僕をただ見つめてジョミーはこう言った。
「だからさ。記憶が粉々だって…事だよ」
 とジョミーは自嘲した。
「え?」
 人は誰だって記憶を消したり塗り替えたりして辛かった事を変化させて生きている。いちいち覚えていたら前には進めなくなってしまう。だけど、ミュウの能力はその忘れたい部分まで記憶のどこかに保管して忘れさせてくれない。なら、自分で壊すしかなかった。そういう事なんだ。そこまでの恐怖だったんだ。その時の恐怖の感情を思い出さないようにその部分の記憶を壊した…?だから、今こうして他人事みたいに話しているんだ…。
「自分で、砕いた…?」
「多分…ね」
「だったら。だったら、なおさら、殺していないんです?僕にはわからない。それなのに許すって何ですか?そんなの信じられない」
「君は殺していれば、納得が出来ると言うの?」
 ジョミーのこの言葉に訳のわからない感情に振り回されるのに疲れた僕は、それをまた怒りへと変えた。
「だって。命の危険はあったでしょう?殺されるとは思わなかったのですか?」
「殺されそうだから殺すってのは、極端な正当防衛だよね。だけど、僕は彼らに殺されるとは思わなかったよ」
「そんなの、嘘だ!」
 僕はジョミーの視線から避けるように首を横に振った。
「あのさ。いい?」
 そう言うとジョミーは手に青い短剣を作って僕に向けた。
「…ジョミー」
 鋭い切先が目の前にあった。鈍く青く光る剣をすべらせ僕の首筋にあてたジョミーは僕にこう聞いた。
「怖い?」と。当然僕は「怖いです」と答えた。
「そう?ならこれは?」
 と、ジョミーは僕の目を見た。
「…!」
 彼からは絶対に逆らえない力を感じた。ぞっとする。悪寒があがってきて止まらなかった。
「怖いでしょ?」
「……」
 はい。と答えたかったが口から出なかった。
「これが殺意。相手を完全に消し去ってやろうと思う事」
 ジョミーから殺気が消えた。

「あの時、彼らからは殺意は感じなかった。彼らは暴力行為をただ楽しむだけ、その結果、僕が死んでも別に構わないくらいは思ってはいただろう。けど、それでも殺す気は無かった。だから僕はそれに対応する術が無かった。とても怖かったよ。彼らのは狂気さ。一方的な暴力。人の枠から弾き出された彼らの自己憐憫。自己陶酔。人間の本質と狂気。それを見て、僕は当然の正当防衛だと言って彼らを殺してもいいものかと迷った。迷ってしまったから、あそこで僕は彼らを殺せなかったんだ」
「…それって、暴力には暴力。狂気には狂気なんですか…それは変です。だって、何であっても反撃しないと、何もしないで殺されてしまうかもしれない。だったら、殺される前に殺していいんじゃないですか?僕にはあなたがわかりません」
「僕には殺す事が重要じゃないんだ。ジュピターだった頃、キースや人間を守る為に人を殺していた。なのに、僕は彼らだけは殺せなかった。僕の中で何かが変わっているのに気付かずに居たんだ。だから、その答えを何年も探す事になったけどね」
「どうして…」
「暴力にも狂気にも許しなんだよ」
「許すなんて無理です!」
「恨みや憎しみにいつまでも、同じだけの憎しみをぶつけていたら、どこまでも終わりは来ないんだ。君は教育ステーションで君たちに向けられた暴力をそのまま返してはないだろう?話し合いで治めたんだろう。それと同じ…」
「でも、状況が違います。あなたは、酷いことをされて死んでいたかもしれないのに。なのに許すって言うんですか?」
「ああ。そう言っているんだ」
「出来ないです。普通はそんな事は!」
「だから、君は同じでなくて良いって言ったよ。君は君の答えを見つけるしかないんだ」
「そんな…」
「この先、君たちは人類にもミュウにも属さなくなるんだ。個人的な恨みでは動いてはいけない。前に言ったよね?僕たちの力は武器と同じなんだって。だけど、武器は意思を持たない。扱う者が殺したいと思って殺すんだ。僕らは武器と同じだ。この剣が怖いのは、これが自分に向かってきたら死ぬかもしれないと思うから怖いんだ。だけど、剣だけでは何も出来ない。僕たち強いミュウの力は殺意を表に出さなくても使える。何も考えなくても殺せる。そういう力なんだ。僕らは意思ある武器なんだ。だから簡単に殺そうと思ってはいけないんだ」
「それは、責任を持てばいいって」
「そう。力を揮うなら、その責任だね。でも、「楔」になるなら、僕らは殺せる武器にならなくてはいけないん。僕は君に殺す権利を渡すから…君たちが「楔」になると言う事は。僕は君に殺してはいけないと教えておいて、今度は殺していいという免罪符を与えるんだよ」」
「でも…」
「……」
「ジョミー。僕には無理です」
「君はいつまでも恨みや怒りで動くのか?まぁ。確かに彼らで言うなら殺されても仕方ない事をしている。君の苛立ちもわかる。だが、人類なら、そこは捕えて裁判で決める。僕らミュウはどうしている?メサイアでの犯罪は捕えたら何をするか知ってる?」
「もう二度としないよう指導するって…」
「本当は指導はしていない。強制的にその心に犯罪はダメなんだと植え付けて、放免だ。少ない我々には確かに効率は良いのかもしれないが、それではマザーと同じだと思うんだ。そこには犯罪者の贖罪と僕らの許しが存在しないといけないんだ。人類のように。罪は罪で悪いけれど、その罰を受ければ、許さないとダメなんだ」
「そんな、許せないような事もあります」
「うん」
「なら、どうするのですか?」
「許すのは僕が出した答えだ。君のは君で…」

「だから、ジョミー。もう答えて…教えて下さい。あなたは僕に何を見て、僕に何を望んでいるのかを」





   続く