君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

「限りある永遠」番外 『カイふたたび』 決戦前夜

2015-02-25 02:03:11 | 地球へ…完全番外編「snub cube」
※↓↓のは、2013年の休筆中。
今の「限りある永遠」を書き出した頃に書いたものです。
ジョミーはニュクス事件の前に、こんな事を考えていたのだなぁ。って感じ。
次回からの二章のジョミーは少しだけ印象が変わっていますので、UPさせてみました。
カイは真城のオリジナル「海を見たかい」の主人公ですが、そこを無視して、
二人の関係は会ったことがあるくらいでおk。^^;
※すみません。セリフだけの構成です。


   番外 『カイふたたび』決戦前夜
 
  ※時間場所などは不明ですが、二人ともが戦いの前です。

「人を殺したいと思いました」
 と、カイが言った。
「仲間の為、でしょ?」
 真剣な眼差しでジョミーは聞き返した。
「あなたは運命を信じていますか?」
「巡り会うその理を運命だと言うなら運命を感じる時もある。だが、出会ったその先まで運命だとは思わない」
「でも」
「そこに逃げないで」
「でも…」
「さっきのは、君が誰かを殺したいと思うって言葉じゃないよね?」
「……」
 カイは答えない代わりに、ジョミーを睨み、
「心が読めるなら、読めばいいじゃないですか!」
 と、言った。
「小さな子供が泣いてるだけだから…」
 ため息とともにジョミーが答える。
「…子供…」
 カイの目の色が変わる。
「まって、読めと言ったのは君だ。そこを怒らないで。僕に八つ当たりしても別にかまわないけど…」
 ジョミーは突き放すように言った。
「八つ当たり…?」
「君は殺せない。そうする必要はないと思うよ」
「でも、あいつは僕を、僕らを狙ってくる。だから」
「確かに君の力は他の人より強い。だけど、その力を使って人は守れない。仲間の力を信じて皆で護りを固めてゆくしかない」
「皆で」
「そう、個々の力を信じ、頼ればいい」
「俺が信じてないとでも言うのか…」
「いや、違うよ。皆の力でないと護りきれないだけだ」
「…助けてなんて言えない。今までも十分危険だったのに、もうこれ以上巻き込めない」
「今君が自分だけで戦うと決めて、仲間に手を出さないで欲しいと願っても仲間は動くだろう?君が彼らを大事に思うように彼らも君を思っているのだから」
「…だったら…俺はどうすれば…」
「君は君のするべき事を、君が出来る全ての事をしなければならない。それが力を持ってしまった者の運命」
「運命?」
「ああ」
「運命なんて、違うって、さっきあなたは言った」
「そうさ。今の君はそこに流されていい」
「…!」
「良いんだよ。まだ始まったばかりなんだから、そこに逃げても。でも、いつかそれを自分の手でつかみ、選ぶ時がくる。そこからが本当のはじまりなんだから」
「いつか…」
「そう、いつか。時がきたら君は自分で選ぶんだ。そしてそれが未来を創る」
「でも、俺が選んだ道が間違ってたら?」
「間違っていてもいいじゃないか。やりなおせばいい」
「だけど…」
「だから、今はまだ迷っているなら動くなって事」
「…でも…」
「…僕もね。同じなんだ。愛するものを守る為なら何をしてもいいなら、それはどんなに楽だろう。だけどそれは結果的には世界を壊す事となるんだ」
「世界を…」
「でも、僕は壊してもいいと思っているんだ。僕は…ね」
「…ジョミー…」
「だけど、今はまだその時じゃない…」
「……」
「敵だと言われていたミュウが同じ人類だとわかって十年以上。そこにまた新たな事実を突きつけるのはまだ早い。だけど、僕が知りたいものがそこにあり、今、追求しなければ失われるかもしれないなら…」
「俺はまだ何も知りたくない…」
「そうだね…」
「何もかもが思い通りにいかなくて、歯がゆくて。苦しくて潰れてしまいそうなんです」
「誰もみな、思い通りにいかない事の方が多いと思うよ…」
「俺は何を無くし、何を護り、何を得て、どうしてゆくのだろう」
「カイ。僕はね、人が好きなんだ。何物にも代えがたいほどに…」
「俺もです。今となっては…なにもかもが…」
「…カイ…」
「泣かないで…下さい」
「違うよ。泣いているのは君じゃないのか?」
 カイはジョミーを見返し笑った。
「俺はいつかきっと」
「そう、いつか。今の僕では無理かもしれないけど、いつか」
「この輪廻を超えた先で、いつかきっと」
「いつか、僕たちは夢を実現させると信じている」



   終








☆次回、二章突入です。
 さまざまな思惑が重なり、より過激になってゆく予定です。
 頑張ります。^-^v




 

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二十七話

2015-02-23 03:46:29 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相・人類の評議会議長だったが…

シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)


※長くなってしまったので、シドの話が終わったら二章にします。^^b


  『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二十七話   

  惑星メサイア上空・宇宙ステーション(シャングリラのジョミーの部屋)

 事件から二か月。まだジョミーは眠ったままだった。。
 だが、いつしか、あの淡い氷は消えてなくなり、目覚めは近いと思われていた。 

「本当に早く起きてくれないと、僕がやっちゃいますよ。ジョミー」
 ジョミーの部屋を訪れていたシドがぼそっと呟く。それに答えるように声がした。
「君がそういうと、違う意味に聞こえるね。シド」
「ジョミー!?」
 シドは振り返るとベッドの上で起き上がっているジョミーがいた。シドは思わず抱きついた。
「シド。心配かけたね」
 ジョミーは優しくそう言った。
「だって、二か月も…。もう目覚めないのかと思って…僕は…」
「もう大丈夫だよ」
「トォニィは心配ないって言いましたが、僕はどうしても思い出してしまうんです。あの時を。ナスカ、地球、メティス、スメール…僕には、ただ見送るしか出来ないのかと…」
 シドは泣きそうだった。
「シド。ごめんね。君は見送っているだけじゃない。君がいつもそこに居てくれたから僕は歩き出せたんだ。ナスカも地球も。そう、ニュクスもね。いつも、側にいてくれた。でも、心配をさせてしまったし、辛い思いをさせた。それは謝る。ごめん。今回の事も本当に色々、ありがとう」
「お礼は…僕の方こそです」
「…シド」
「それにしても、そのニュクスの黒い服のだと印象が違いますね」
 そう言ってシドはジョミーから体を離した。
「これは喪服の意味があるそうだよ」
「そうなんですか」
「あちこち焦げちゃってるし、着替えなきゃね。惑星ニュクス。自分たちの星を暗黒惑星と呼び、人類から隠してきたあの星を暴いたのが同胞のクローンとミュウだったとは皮肉だ…ね」
「そうですね。あの星は、彼らはそうなる運命(さだめ)だったのでしょうか?」
「暴かれる事を願う者が現れたのだから、時の流れなんだろうね」
「時の流れ…そうかもしれませんね。ああ。そうだ。ジョミー。ソルジャー・トォニィから正式にシャングリラに戻るように言われました」
「そうか。旅立つ前に出した僕の辞任は通ったよね。なら君を束縛出来ない」
「……」
「では、トォニィに従って…」
「僕はトォニィの側に行って、貴方の為に動きます」
「それは…。僕は純粋に君をシャングリラのキャプテンに戻したいのだけど…」
「僕にはミュウの為にならない事をしようとしているとは思いません」
「シド…僕はそういう意味では…」
「あなたが眠っていた間に考えた結果です。ジョミー。僕には、キャプテン・ハーレイのようになりたいという夢がありました。あれは、ただシャングリラのキャプテンになるだけでは無いんだと気が付いたんです。ハーレイはソルジャー・ブルーとソルジャー・シンの二人を支えていました。僕もそうなりたいと思ったのです」
「そう…か」
「僕はまだまだ頼りになりませんが…」
「ねぇ、シド。僕は君をもうずっと前から頼りにしているよ。そういうのは言葉にしないと伝わらないのかな…」
「いえ、僕がはき違えていたからだと思います。僕は、あなたの心を欲しがっていた…」
「心か…。君は前に答えが欲しいと言っていたね。それに答えるよ」
「答え?」
「僕は、僕の命よりも大切なものを君に託した」
「ジョミーの…命より大切なもの…?」
「傍に居て守りたかったが出来なかった。僕はそれを君に託した」
「それは…」
「何度も君は守ってくれた。君のその大事な肩を負傷してまでね…」
「…これは大した事はありません。ヴィーには僕らを殺す気は無かった…」
「今度は、トォニィを守って欲しい」
「それが僕への答えだと?」
「僕より危なっかしい彼の補佐して欲しい。君は僕といて人類の事も学んできた。技術も医学も政治も。君はとても優秀だ。これからのトォニィに絶対に必要なんだ」
「その為に僕を旅に同行させていた訳じゃないですよね?」
「ううん。違うよ。君を僕が欲しがり、君が側に居てくれた」
「ジョミー。ありがとうございます。着替えますか?」
 シドはステーションの医療センターにジョミーが目覚めた事を知らせた。やがてドクターたちがやって来て検査をして去って行った。
 まだ休んでいるように言われたジョミーは検査着のままだった。
「シド」
 ジョミーが医療班のデータを見ていたシドを呼び寄せる。
「はい。どうしました?」
「さっきの君への答えさ…。もう一つあるんだけど…」
「え?」
「でも、言いにくくて…」
「?」
「ちゃんと答えていない気がして…気になっていたんだ…けど…。やはり言いにくいな…」
 ジョミーは困ったようにしどろもどろになっている。
「もしかして、僕への返事ですか?」
「ああ」
「あー、それはもういいですよ」
 シドは照れて、誤魔化すようにそう答えた。
「好きだったよ…」
 ぼそっとジョミーが言った。
「え?ええ?」
「ずっと好きだった」
「ええ。だって、どうして。ああ、それ友情でしょ?」
「んー、でもさ、ごめんね。キースが居なかったら…と思ったよ。本気でね。そう考えた事が何度もある…」
「それ…嘘?」
「嘘じゃない。君だったらなと…ね」
「僕は拒絶され続けて、可能性すら無いと思っていましたよ」
「そこまで嫌だとは言っていない…想いを隠す為に酷い事をしてた。ごめん。どうしても、言えなかった」
「どうして、そんなに」
「この気持ちは友情だと誤魔化していないと、本気になりそうだったから…かな?友情と愛情が一緒になって君の思いに答えたら、僕は君を壊してしまうんじゃないかと…怖かった。ああ、やっぱりダメだ。もう上手く言えない」
「ジョミー…」
「ダメだ…な。言うんじゃなかった…もう会えないって訳じゃないのに…感傷的になってるんだな…」
「ジョミー。僕も複雑な思いでいました。好きだとうのは本当なんだろうか?どんどん先に行ってしまうのを僕は嫉妬の思いで見ていました。それと、僕はキースにも嫉妬していました。彼はジョミーを笑わせる事が出来る。僕には何度やっても無理でした」
 シドはジョミーの肩を掴んだ。
「それに、あなたはキースを選んだ」
 そういうとシドは真剣な眼差しでジョミーを見つめた。
「…シド?」
「抱いていいですか?」
「え?」
「ジョミー」
「いや、ダメだ」
「僕の事を好きだと言ったじゃないですか?」
「好きだから、ダメなんだ…」
「もしかして…僕が怖いですか?」
「……」
「答えて」
「…怖いよ」
「本当に、僕はあなたに好き以上の感情を持たせたんですね」
「…お前も随分意地悪だな…」
「僕の思いと同じように、あなたの愛も複雑って事ですね」
 自分の命を掛けるような事が平気で出来てしまうあなただけど、愛した相手にも自分の為に命を掛けてくれるのを望む。好きだけでも体をつなげられるのに、それとは別に、愛へと進んでしまったのは、相手の命も要求する。
 それは、リオとハーレイだけ知っていた。
「そんな事をしてるから、自分の愛がわからなくなっちゃうんですよ」
 と、シドは言った。
「どうすれば。どうしたら良かったんだ?」
「キースが好きだから。僕は好きになれない。ってはっきり言えば良かったんですよ。いつも、どこかへ行っちゃうような事ばかりしていないで、ずっと一緒にいられるようにすれば良いんです」
「ずっといられるように…」
 セルジュが前に言った幸せの定義をジョミーは思い出していた。
「僕は幸せになるのを恐れているのだろうか?」
「そうですね。そうかもしれませんね」
「じゃ、幸せへの一歩だ。シド。アレを返して」
「え?」
「セドルに薬を飲まされて僕が君の薬を自分に移した時の僕の動画データ。アレを渡して。気になっていたんだ」
「えっと、ですね」
「渡して」
「ああ、まさか。それを言う為に好きだなんて言った訳では…」
「ごまかさない。全部だよ」
「わかりました」
「良い子だ」
「……」
 シドは自分の端末からジョミーのデータを出して、ジョミーの所へ送信した。
「ジョミー。これからどうするのですか?」
「セドルに会いに行く」
「セドルですか、彼なら、今、ノアに来ています」
「そうか。トォニィは?」
「ペセトラです」
「……」
「ノアに送りますよ」
「ううん。一人で行ける」
「あの…」
「ん?」
「いいえ。何でもないです」
 キースはどうしているか聞かないんですか?と言おうとしたシドだったが、聞けなかった。
 気になっていない筈はない。
 目覚めてすぐにセドルに会うのもきっと先の事件がらみだろう。
「ジョミー」
 シドはこの無鉄砲なソルジャーを一人にしたくなかった。だけど、今は…。二人はもう心を決めていた。
「ジョミー。セルジュからメッセージがきています」
「何?」
「ノアで会いたいとの事です」
「わかった」
「では、行きます」
 ジョミーはシドを見て静かに頷いた。

 シドはジョミーの部屋を後にする。
「ああ」
 シドは大きなため息をついた。
 彼はシャングリラを降り、ステーションのエレベーターへと向かった。
 ここはトォニィの結婚式に来たジョミーを見た場所だった。
 あの時、彼が心を開いた相手が僕だったら、何もかもが平和に進んだのだろうか?
 スメールの事件もノア・メサイア襲撃事件も、そして「地球再生」も、僕は死を覚悟して進む彼を支えきれただろうか?
 僕らではなく、キースの所へ戻ったジョミーをトォニィは認めた。
 僕は帰ってきたジョミーと一緒に旅をするようになっても、いつまでも文句を言っていた。
 何度もジョミーは僕を頼りにしてくれたのに、僕はそれすら見ようとしないでいた。
 離れる今になって気が付いた。
 ジョミーの言葉が蘇る。
「好きだよ」
「僕は、僕の命よりも大切なものを君に託した」
 自分の命よりも大切なもの、それを…。
 僕はそれを守れた。

 そして、もう一度シドは、宇宙港に停泊しているシャングリラを振り返った。
「やっぱり違うな…ジョミーが居ると船が違う。船が暖かくて、喜んでいる」
 貴方はここから何処に行くというのですか?
 僕はここで待っています。
 ふいに涙が零れた。


 しばらくしてジョミーはノアに向かった。
 


  一章  終






『バレンタイン2015』

2015-02-14 23:58:12 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編

  『くまーその先へー』

「フィシス」
 シャングリラの通路を歩いていたフィシスにジョミーが声をかけた。
「ああ、フィシス。君を捜していたんだ。ブルーの所の帰り?」
「ええ、あの、ジョミー?」
「ん?」
 微かな違和感を感じたフィシスは彼に手を伸ばす。
 その様子を見て、ジョミーは優しく彼女の手を取った。
「ほら」
「え?」
「何だと思う?」
 フィシスの手は暖かなふわふわの毛皮の感触に笑顔を浮かべた。
「ミトン?これはぬいぐるみですか?」
「そうだよ」
 明るくジョミーは答えて、次はフィシスの手を自分の頭に導いた。
「ジョミー。これは耳ですか?丸い耳」
「そう。熊だ。カチューシャなんだ」
「熊ですか。でも、どうして?」
「あのね。今日はハロウィンなんだよ」
「ハロウィン?」
「……」
 何かに気が付いたアルフレートが言おうとしたのをジョミーは指を立てて口に当て「(黙ってて)」とウィンクで合図をした。
「トォニィ達も皆も、僕と同じ熊やウサギや猫の仮装をしているよ。中庭に行ってあげて」
「ええ、わかりましたわ」
「お菓子ももらえるよ。行ってらっしゃい」
 ジョミーは二人に手を振って見送った。

 ジョミーの姿は、手には茶色の熊のミトン、足は同じ色の熊のスリッパ、頭にまあるい熊耳だった。
「フィシスが白なら、ブルーは黒かな?」
 ジョミーはそんな事を言いながら、ブルーの部屋へと向かった。

「黒より青が良いのか…な?」
 ジョミーはブルーにミトンとカチューシャを付けて、そう呟いた。
「ジョミー」
 ブルーのテレパシーが優しくジョミーの頭の中に入ってきた。
「ああ、起こしてしまいましたか…」
「今日は何だい?」
 ブルーは目を閉じたまま答えた。
「ブルー。今日はハロウィンなんですよ」
「ハロウィン?」
「そうです」
「でも、ジョミー。今日は…」
「ええ、違います。10月じゃありません」
「ではどうして」
「トォニィが古い本を見つけてきて、お祭りをしたいって言いだしたんです。皆で用意して、僕もクッキーを焼いたんですよ。今、中庭でパーティをしています」
「それは、見てみたいな」
「ぜひ、来て下さい」
「ジョミー」
「はい?」
「それで僕は何の仮装をしているんだい?」
「熊です。黒い熊です…」
 ジョミーの語尾が小さく震えた。
「ジョミー?」
「目を覚まして下さい。ブルー」
「ジョミー…」
「ブルー。今は二月です。二月十四日」
「ああ」
「僕は誰も失わずに、本当のハロウィンを迎えたいと思っています。だけど…それは無理なのですね…」
「……」
「こんな事しか出来ない自分が憎いです」
「ジョミー。泣いているのか?」 
 ブルーはふわふわのミトンの手でジョミーの頭を撫でた。
 そして、ゆっくりと目を開けた。
「泣いてなんかいないです。泣いてどうにかなるならいくらでも泣きますよ」
「泣かないで」
「泣いてないです」
 ブルーから目をそらしたジョミーの目から毀れる一筋の涙。
「…すまない」
「ブルー。今日は何月何日ですか?」
「それは、君がさっき、二月十四日と」
「バレンタインですよ。起きて下さい。チョコを貰い損ねちゃいますよ」
「ジョミー。僕は一つだけでいいよ。君が隠している一つがいい」
「ソルジャー・ブルー。これは運命なんですか?」
「いいや。ジョミーこれは僕が選んだ道だ」
「わかっています…。次に貴方が目覚めた時、何かが起きる…だから僕は」
「そう、僕の命はもっとずっと前に尽きる筈だった。。それを伸ばしここまで来た」
「ブルー。きっともうすぐなんです。もうすぐ貴方の見たかった地球へたどり着けます」
「ああそうだね。僕らは地球へ行けるだろう」
「そうですよ。僕たちは…あの青い地球へゆける。だから、生きていて下さい」
「くれないのかい?」
「チョコあげたら、キスしてくれます?」
「ああ。君が泣きやんだらね」
「次の今日も、その次の今日も、もっと先の今日も。ずっと先の分までキスして下さい…」
「わかっているよ。ジョミー」
「ソルジャー・ブルー」
 ブルーはジョミーが泣き止むのを待たずに優しくキスをした。




 おわり




※トォニィが5才くらいの設定になっています。
 時間ぎりぎりUP。
 仮題のままUPしてしまいました^^;



『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二十六話

2015-02-05 02:17:51 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相・人類の評議会議長だったが…
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)

   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二十六話

  惑星メサイア・宇宙ステーション(シャングリラ)

 事件から一か月。
 シャングリラが惑星メサイアに戻ってもジョミーは目覚めなかった。

「ソルジャー・トォニィ」
 トォニィに、シドがジョミーの容体を心配して話しかけた。
「ジョミーなら、いつもと変わりないよ」
「そうですか…」
「丁度良かった。シド。君にお願いがある」
「何ですか?」
「シャングリラのキャプテンに戻ってくれないか?」
「え…」
「無理強いはしない。だけど、このシャングリラを任せられるのは君だけだと思っている。ジョミーが君を手放さないなら、その時は僕が頼んでみる。ああ、でも、本当に無理にとは言わない。今は、僕がそう強く願っている事を伝えたい」
「トォニィ…」
「今、眠っているからという訳ではないけど、ジョミーではなく君が決めてくれないかな。僕は君の気持ちに従う」
 それだけ言うとトォニィは仕事あるからと戻って行った。
 シドは自分がいつかシャングリラのキャプテンに戻る日が来ると思っていた。でもそれは漠然としていて、このままずっとジョミーと一緒に旅をするのも悪くないと思い始めていた。
 今回の事件でトォニィが本格的に政界に乗り出し、ミュウの母船であるこの船が今まで以上に必要になるのは目に見えている。
 シャングリラのキャプテンに戻る。自分が望んできた事が現実になる。それは嬉しい。だけど、今のジョミーを置いて行っていいのだろうか?
 それは不誠実で不義理な事なのではないか?
 ジョミーは今、キースを失い。ソルジャーズも側に居ない。たった一人だ。僕まで居なくなっていいのだろうか?
『ジョミーではなく君が決めてくれないか?』
 トォニィが言いたい事もわかる。
 ジョミーなら、多分僕に戻るように言うだろう…。でも、それでは駄目で、僕の思いを尊重するって事だ。
 僕が決めないといけない。だけどいっそ、命令してくれた方が楽だったのかもしれない…。
 ずっとジョミーに必要とされたいと思ってきて、今がその時なのに、僕は…迷っている。
「どうすればいいのだろう」

「じゃあ、どうするって言うの?」
 ふいに聞こえてきたのはソルジャーズのジョミーの声だった。シャングリラの停泊するデッキで話している。出て行ったトォニィと会ったのだろう。シドはとっさに影に隠れた。
「何もしない。僕たちは知りたいだけなんだ。何故あんなことをしたのかを」
「捕まえてしゃべらせるって、尋問をするって事だよね。簡単に話す訳がない」
「ジョミー。だけど、彼をこのままにはしておけない」
「僕は居所なんかしらない」
「君の為にも、人類の為にも。これは必要な事なんだ」
「だから、知らないんだ。あいつが人を憎んでいるなんて前からわかっていた事じゃないか?」
「僕たちはその意味を知らなければならないんだ」
「僕たちじゃなくて、自分の為じゃないの?」
「違う。僕は、ブルーも君も救いたいんだ」
「今まで知ろうともしなかったのに、何を今さら」
「じゃあ、君に聞く。何故君は今回は僕らに協力したんだ。ジョミーが頼んだからか?それだけじゃないだろう。君は人が死ぬのを嫌い自分を盾にしたよね?あの時と同じように自分を使って戦いを止めようとしたんだろ?」
「!」
 ジョミーはトォニィを睨みつけた。
「そ…それは」
「だったら。君はブルーを助けたいんじゃないのか?」
「……」
「ジョミーの代わりにキースの軍と対峙したと聞いた。キースは怖かっただろう。味方なら良いが、あいつは僕でも敵に回したくない」
「…怖かった。怖かったけど…。シドが居た。一人じゃなかった。軍を少しでも僕に引きつけてニュクスから目を逸らすのは僕からやるって言ったんだ。だから」
「でも、それは、キースに罪を犯させないんじゃなくて、キースが罪を犯さなかったらブルーもって事だろ?ブルーも助けて欲しいって思いからじゃないのか?だったら同じだろう」
「助けたい…。助けたいよ。でも、僕にはその方法すらわからないんだ」
「僕も助けたいと思う。僕にも方法はわからない。この気持ちは同じなんだ。それは疑わないで欲しい。それに、ジョミーは拘束でもしない限り目が覚めたらすぐにでも動くだろう。僕はその前に知っておきたいんだ。また何もしないでこのままジョミーを見送るのはもうしたくない。それだけは嫌なんだ!」
「……」
「…トォニィ」
 隠れて聞いていたシドは思った。
 トォニィも同じ気持ちでいたのだと…。
 ソルジャーは強くて、何でも出来て、何でも自分の思い通りになる。そんな存在だと思ってい時があった。「何も出来ないし、弱いよ。同じ人間だもの」とジョミーがよく言っていたのを、本心からは取り合っていなかった。
 僕は傍に居て、三人のソルジャーの姿を見ていても、まだどこかで彼らは強いから別格なんだと思っていた。
 彼らの苦悩も努力も全て見てきた筈なのに…。
『知っていて何もしなかったのか?』
 僕は前にどうしてジョミーばかりそんな目に遭うのだとトォニィに怒りをぶつけた事がある。
 あの時、自分の身を斬りながら生き、皆を守るのがソルジャーなんだと、トォニィも思っていたに違いない。
 でもそれは間違っているとトォニィは気が付いたんだ。
「こんなんじゃダメだ」と言っているトォニィを見た事がある。
 今、僕が二人のソルジャー為に、ジョミーやトォニィに出来る事は何なんだろう?

「だから、知っているのは、多分、キース・アニアンだけだと思う」
 ソルジャーズのジョミーがぼそっと言った。
「彼も知らないと言っている」
「記憶を消されて…?」
「多分ね…」
「どうしたら…」
「ソルジャー・トォニィ。僕の所にジョミーが調べていたセドルの情報があります。セドルはキースと通じていました。そこから何かつかめるかもしれませんよ」
 シドは二人の前に出て行った。
 僕はジョミーを助ける為にトォニィの所へ行きます。
 今は、自分が良いと思う方へ。自分の出来る限りの事をしていこうと思うシドだった。





  続く



 ※短くてすみません><
 キリが良い所がここしか無かったので、ごめんなさい。
 次はバレンタインSPかな?
 なかなかHな展開にならない…^^;でも、だからって不本意なのは…。
 って事でSPで遊べたらと思っています。
 本編はシドの話がもう少しきます。



 





☆月イチ雑記・2月

2015-02-01 22:07:16 | 月イチ雑記「青い星」
☆今月からこの雑記を不定期にしますね。
月の初めに書くようにしますが、毎月ではなくなります。

この雑記が、なんか邪魔だな~。と思えてきたので…。
今回のように話の変わり目とかなら良いけど…。
良い展開の時に挟むのはちょっとなぁ~と思っていました。

雑記より本編を進めないとね…^^;
遅れた言い訳ばかりの時もあったし、うーーん。
ちょっと反省をしています。
反省と言えば、まだUPしていないけど、
この先で「人質」絡みの展開になる予定だったのですが…。
変更しようかな…と思っています。
でも変更しようにも、色々とあるので、ぎりぎりまで考えますが、
もしかしたら、このままでUPするしれません…。
そうなっていたらお許しをお願いします。


えーっと、
暗い話をちょっと止めて、お軽い話をします。
クリスマスSPが書けなかったけれど、今はちょっと書けそうな感じです。
なので、バレンタインSPを書きます。
CPがキスジョミではないかもしれません。
最近、設定がこのままの別次元物が書いてみたくなってきました。
私の本命・ブルジョミも良いな~と思っています。
SPは、きっちり短編で仕上げようと思っています。


さて、全然↑と関係がないけど、
最近、花江夏樹くんが好きです。と、小野賢章くんが好きです。
この二人のW主演の「アルドノア/ゼロ」が気に入ってます。
突っ込み所が満載! ??なのですけどね…(笑)
小野くんてどこか泣きそうな声ですよね~。^^
花江くんは高い声が斎賀さんと似てますよね~。^^
※前も書いていたらごめんなさい><。
「蒼穹のファフナー」も始まって、今期は楽しいです。^-^b


では、これで。
物語は、まだ少し続きます。これからも、よろしくお願いします。

  真城 灯火