君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」六話

2013-02-25 01:33:08 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
惑星アルテメシア ジョミーの故郷 ここの教育衛星で学園生活を送る
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
太陽系木星の軍事衛星メティス 大戦直後キースとジョミーが暮らした都市 
ジュピター キース警護時ジョミーのコードネーム(シャトル所有↓)
ベルーガ ジョミー所有の小型シャトル(ワープ可能、ステルス機能あり)
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」六話

「なんで…」
「……」
「どうして…こんな物を…僕に見せるんだ…」
「ジョミー。あれは本物ではないんだろう」
「どうして答えないんだ」
 ブルーは叫んだ。
「これは現実だよ」
「嘘だ。ジョミーがミュウを見殺しにするはずがない」
「では、これが…起こる未来だ言えば君は納得する?」
「未来?」
「そう」
「未来でも在り得ない。何が言いたい。僕がミュウを滅ぼすとでも言うのか?」
「そう言う事だ。前に言ったよね?タイプブルーの力はそういう恐ろしい力なんだと…」
「僕はもう制御出来ている」
「出来ていないから、こんな馬鹿げた戦いを挑んだりするんだ。そしてメサイアを壊す未来を招くんだ」
「そんな事はしない。僕はしない」
「君が完全に壊されてしまっても、大丈夫だと言える?本当の力が見てみたい。使ってみたいって理由だけで戦うような遊びではタイプブルーの力は使ってはいけないんだ」
「僕は大丈夫だ。制御出来ている」
「この力には、理性以上の物が必要なんだ。心がストッパーではいつ壊れるかわからない。そんな物ではダメなんだ」
「心が壊れる?」
「そう。心は、精神は簡単に壊れてしまう物だ…。僕は前に力が暴走したトォニィを力ずくで止めた。でももうあの時の僕ではないから…もしこの先、トォニィが暴走して、彼自身の心が壊れたら、僕は彼を殺すしかない」
「トォニィを…殺す…」
「そうなった時、彼は僕に無条件で殺されるようになっている。これは、二人で決めた事だ」
「……」
「僕は…僕を殺す役目はキースになっている」
「……」
「僕らの力はもうこの世界に必要無いんだ。人には過ぎた物なんだよ。もうこんな事は止めよう…」
 ジョミーがこなごなに砕けたメサイアを見ながら言った。

 そして、静かにそのビジョンが消えていった。
 ジョミーは振り向かずにブルーに聞いた。 
「ブルー、教えてくれないか?」
「何…を」
「君はブルーのクローンなんだろう。その君が僕にさっきの攻撃の時にブルーを忘れろと言った。その意味を教えて欲しい」
「あれには深い意味はない…」
「…そう…。でも僕は知っているよ。君のDNAは僕を求めるんだ。僕を作り育て上げるその為に生きていた。そして、地球の頂で、あの陽の光を見る為に…」
「ジョミー。僕も知っている。言葉で僕を操ろうとしても無理だ」
「…苦しいかい?僕がその想いを消そうか?」
「何…?」
「僕を守り、育てなければならないと思うのは本体の願いだ。君ではないから、それを僕が消そう」
「消せはしない…」
「出来るよ。僕らミュウが地球を思うのは人類本来の思いをマザーが増幅させ僕らに植え付けた物だ。それと同じように、僕を守り育てるようにと植え付けたのは、僕自身なんだ…」
「なんだって…」
「これはキース以外知らない事だけど、地球再生へと向かった僕は、ブルーの過去を見た。彼はまだブルーじゃなかった。僕は彼の力に変化を与えた。そうして彼はタイプブルーになった。それと、この未来を彼が選択するようにと僕は彼の意識に緑の地球を見せた。やがて彼はマザーを受け入れ、ミュウとなり僕を探す長い運命へと向かう事になった」
「ジョミー。僕に何をどう思えと…」
「クローンの君が彼の思いまで背負って生きる必要はないんだ。もう彼の思いは成就されたのだから…」
 キース…。
 ブルーが僕に生きろと言ったのが僕への贖罪なら、僕が出来る彼への贖罪はこの運命を断ち切る事だ。
 足元の何もなかった宇宙空間が緑の草原に変わってゆく。
 やがてそれはごつごつとした岩場になり、冷たいけれど爽やかな空気が流れていた。
 そして、空が暗い星空から青に変わり、少しずつ陽が昇ってきた。
「これが、地球?」
「そう…」
「ジョミー。さっきの話は本当?」
 頂きに立つ二人の後ろにトォニィが居た。
「本当だよ。トォニィ。僕のDNAが生かされ続けていたように、ブルーのDNAは僕を探し続けた。そして、僕は君を求め、君を戦いの道へと向かわせた。全ては…この景色を皆で見る為に」
「……」
「僕はね。戦うだけの…そんなタイプブルーはもう必要が無いと思っているんだ。僕らはクローンだから…トォニィ、君が最後のタイプブルー(ソルジャー)だ。覚えておいて、ここが僕らの希望の地、地球だ。全てはここから始まり、ここへ戻ってゆくんだ」
 ジョミーの声は静かに広がりゆっくりと消えていった。

 ソルジャーの三人が地球の朝日を見ている。
 それは、ジョミーが望み願った情景だった。
 ソルジャー・ブルー。
 僕の夢が叶いました。
 生きて本物の地球で見たかったけど、僕はこれで満足です。
 足元の地面は青い草原へと変わった。
 そこは最初にいたあの惑星だった。
 元の場所、元の次元に戻った三人の前にはフィシスが居た。

「やっぱり、力を貸したのは君だったか…僕の記憶を奪うなんて出来るのは君しか居ないと思ってたよ」
「昔の自分に出会った感想はどうでした?ソルジャー・シン」
「良い体験だったと言えなくもないけど、やはり、現在(ここ)が良いな。そろそろ記憶を戻してくれないか?」
「戻っていない記憶は何です?」
「まだ、断片的にしか思い出せていないかな…僕が見たい都合の良い部分だけ思い出せてる気がする…」
「急がずにゆっくりと思い出して」
 とにっこり笑った。
「でも、フィシス。君も僕の本当の力が見たかったの?」
「いいえ。私がイグドラシル後、すぐにカナリアの子供たちとスメールへ移るなんてしなければ、あなたは船を降りる事も無かったのではと…。もう一度同じ選択をするのかが知りたかっただけです」
「最初の僕とキースの上に落ちた剣は、僕にその選択をさせた。記憶がある無しもなく落とす事も可能だった。でも、僕はそれを捻じ曲げた。結局、僕は同じ選択をしたのかな?」
「やりなおせるならやり直したい過去は誰にでもあると思います。けれど、きっと、あなたは同じ選択をしてもその結果を変えようと進むのでしょうね」
「それは、僕が無理を押し通しているみたいに…聞こえるな」
「記憶が無くても、力が無くても、負けないと言える人が無理を通していないとはいえませんわ」
「やっぱり、僕は君には勝てないな」
と、ジョミーは笑った。





  続く





『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」五話

2013-02-19 02:50:19 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」五話
 
「この星の繋ぎは元通りにした。もう人質はいない。だから、ただ純粋に戦おう。君はそれを望んでいるのだから…別の次元に跳ぼう…着いて来て…」 
「ジョミー。まって…」
「トォニィ…。大丈夫。彼と二人で話がしたいんだ」
トォニィの心にジョミーが囁いた。
「わかった…」
ジョミーとブルーは別次元へと跳躍した。

「お前たちは、何が見たくて、何がしたくてこんな事をしたんだ?」
 キースが静かに皆に問う。
「僕たちはジョミーに本気で戦って欲しかっただけだ…」
 皆の代表のようにトォニィが答えた。
「あいつはいつでも本気で戦っていただろう。前は溢れ出しそうな力を必死で抑えていた。今は、自分でも未知数の力に翻弄されないように戦っている。お前たちはそれを間近で見てきたのではなかったのか?」
「…それは…」
「何故いつも、お前たちはあいつの答えばかりを聞きたがるんだ?」
「……」
「まだ、ソルジャー・シンがいないといけないのか?十年前に自分たちであいつを排除しようとしたのに…それを忘れてまだ頼るのか?」
 キースはジョミーの作った剣を手に取った。
 彼のバリアがまだここで保持されている。
 これしか彼らの無事を知る手がかりが無い歯がゆさを感じていた。
「こんな事で、記憶を奪い十四年前のあいつに戻して何が変わると言うんだ…。これがお前たちの時間と、人類の時間の流れの差なのか?もういい加減、自由にさせて…やってくれ…」
「キース…」
「それが…タイプブルーの運命…なのか?」
 キースがそう呻いた。
「運命なら…誰にも介入出来ないものなのかもしれない…」
 いつの間にか、ソルジャーズのジョミーが皆の後ろにいた。

  時空の波の中、漂う二人
 ソルジャーズのブルーもソルジャー服になっていた。
 自分が先に出てきたので、ブルーより高い位置にいて、僕は彼に手を差し伸べている。
 ジョミーはブルーが僕を見上げているのを少し懐かしく思った。
「戦っても良い空間が必要だね」
 ジョミーが言う。
「今は、僕の方が強いとわかっているのに、どうして…こんな事をする…」
「僕も…本気が見たくなっただけ…さ。タイプブルーの性ゆえか…」
 静かに宇宙空間に戻ってゆく
 そこは知らない座標がならぶ未知の宇宙。
「……」
 こうなる事を望んでいたブルーの方が不安げなまなざしを見せていた。
「今更、戦う気が無いとは言わせないよ…」
 ジョミーが聞いた。
「そ…そんな事は言わない」
「子供の我がままでは通らないよ」
「我がままなんかじゃない」
 そう言うとブルーもジョミーと同じような剣を作って身構えた。

 距離を取っていたジョミーが剣を握りなおしたかと思うと、その姿が消え、すぐ側に現れた。
 ザッと剣が振り下ろされる。
 それをぎりぎりで受け止め、ブルーが力を込め弾いた。
 三メートル程、後ろへ飛ぶジョミー。
 着地したかと思うとそのまま向かってくる。
 ブルーは今度は受けずに横へと避けた。
 その動きを読んでジョミーも移動をし、真正面から剣を突く。
 ジョミーの剣先はブルーをかすめる事は無かった。
 ギンと言う音がして何かに当たったジョミーの剣が飛ばされて消える。
 ジョミーはその事に意も止めず、上へと手を伸ばし光の玉を作った。
 光の玉はジョミーの手から何個も作られ連続で撃ち突けられた。
「くっそ…」ブルーがうなる。

 攻撃を避けて上空へ飛んだブルーは攻撃の早さに反撃が出来ずにいた。
 ジョミーの攻撃はバリアで防いでいるので一つも通っていない。
 だが、ブルーもジョミーの攻撃は読んでいるものの上手くいかないでいた。
「なんで…、まさか…」
 ジョミーは僕に嘘の情報を与えている?
「そういうのはジョミーの方が上だ。…なら、僕は力で。押し負ける事はない」
 ブルーはバリアの保持をやめて、ジョミーの攻撃を全部力で相殺させた。
 ジョミーの連続攻撃の波を読み、相殺していた力を上げて少しずつ攻撃の距離を縮めてゆく。
 そして、攻撃が完全に通る距離まで到達した時にもう一度、力を上げる。
「行け」
 と言うブルーの声と共にジョミーの身体が弾き飛ばされた。
 ジョミーは飛ばされる瞬間に青い剣を作りブルーへと飛ばした。
 ザン。
 と、ブルーの右肩と顔をかすめて飛んで消えるジョミーの剣。
「痛ッ」
 右肩を押さえてジョミーが飛ばされた方向を見るが彼の姿は無かった。
 ブルーは、一瞬目を離してしまった。
「ジョミー…」

「僕はここだよ」
 と声のする方を見るとジョミーがいる。
 でも、彼は何人も何十人もそこここに居た。
「なんで、なんでちゃんと戦ってくれないんだ!」
「僕には僕のやり方があるからね」
「このっ、力は僕が上なのに!」
 ブルーは力の限りで光の玉を作り、四方にいるジョミーに向けて撃った。
 光る玉はジョミーを一人一人倒してゆく。
 どれも粒になって消えるばかりで本物ではなかった。
 消しても消してもジョミーは現れ「ここだよ」と囁いてくる。
「本物はどれだ」
 次第にブルーが焦りだす、さっき作ったのよりももっと大きな玉を作り投げた。
 一人のジョミーがそれには当たらず避けた。
 光の玉はジョミーの後ろにあった惑星へと落ちていった。
「ジョミー」
 ブルーは本物を見つけた。と思った。
「ブルー。あれはどこに向かっていると思う?」
「え?」

 見覚えのあるあの星は、惑星メサイア。
 ミュウの星だ。
 やがて、光の玉は地上へ落ち、星の表面には大きな地割れがおき、火山が噴火し、ミュウたちが作ってきた歴史がほんの数十秒で消えていった。
 そして、星は爆発した。
「やめてくれ!」
 ブルーが叫ぶ。
 彼には地上で死んでゆく人々の叫びが届いていた。






   続く





『君がいる幸せ』 Missing-link編 「バレンタイン・ディ」-2013-

2013-02-15 02:46:15 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆イベント事は参加してゆきたいと思いつつ、書くのを忘れて…。;
昨年書いて、来年はもう書く事は無いだろうなぁと思っていました。
なので、思いつくまま、今の本編の展開やらを全部抜きにして、書いてみました、、。

 『君がいる幸せ』 Missing-link編 

 「バレンタイン・ディ」ー2013-

 大きなうねりの中で翻弄されるしかないとしても…。
 それでも、僕らはそこで生きていた。

「何?」
「…なんでもない」
 ペセトラでの会議を終えて、キースと僕は宿舎である庁舎へと向かっていた。
 窓の外、彼の目の先にあるのは、前に使われていた旧庁舎だった。そこには以前マザーが居て人類を管理し監視していた。
 大戦から、十四年、マザーがここから完全に消えて五年になる。
 僕と彼の政治的立場は、最高司令官(総統)とその補佐(副総監)だった。
 僕はミュウの元長の立場も残している。
「窮屈…じゃないか?」
 最近、キースが良く僕に聞く。
 立場は上がった。ジュピターの頃より動きにくくなったのは確かだ。
 「ジュピター」という絶対的な力も残してはいる。だが、それを使う事はもう無いだろうと思っていた。
「自由に物が言えなくはなったね…でも、それも悪くない…」
 庁舎についた僕たちは用意された部屋へと案内された。
 案内される前に僕は彼へ言葉を送った。
 あの時のあの場所へ と。

「あれだけで良くここに来れたね」
 そこは前に僕がマザーに襲われ自我を無くし、僕の中に残っていたブルーが彼の前に現れ二人で訪れた公園だった。
 時間はもう深夜になっていた。管理された公園には誰もいなかった。
「何故ここに?ここで何があると言うんだ?」
「ん、星をね。見たかったんだ」
「星?そんなの…」
 どこでだって見えるじゃないか?と言いかけたキースがジョミーにつられるように空を見上げた。
「……」
「ね。キレイでしょ?この時期、ここから見る星がキレイだって前に聞いて来てみたかった…」
「…そうだな」
「星の瞬きは空気の揺らぎ、そんな物だとわかっているのに、人は星を見て星座の物語を紡ぎ、夢を見、願い事をする。それはいつになっても変わらない」
「俺はただキレイだとしか思わないぞ」
「それでも、良いよ」
「星座か…、ペセトラじゃ、軍事物ばかりだろな…」
「あっは。それがそうでも無いんだよ。むしろ、ロマンチックなのが多いくらいだよ」
「軍人はロマンチストか…」
「君だってそうじゃないか」
「俺が?」
「敵である僕に気を許し、警護に加えてくれた。僕が勝手に居なくなっても探さなかった。ミュウの元に戻りスメールに渡った僕が人類に宣戦布告をしても僕に銃を向けなかった。そして、二度と会えなくなると言っても行って来いと送りだした。どこをどう信じたらそんなになれるのかな?」
「…あの大戦中から、俺とお前の見る未来は同じ場所なのだろうと思っていた。だから、信じた」
「やっぱりロマンチストだよ。君は…。人類の未来。それって、星座占いで見えないかな?」
「今は見えなくても、きっと見えるさ」
「ねぇ、キース。跳ぼう」
 ジョミーがキースの手を取り、空へと導く。
 ふわりと風が起こって二人は夜空を飛んだ。
 二人はぐんぐん上昇してゆく。
「セキュリティにひっかかるぞ」
「僕がそんなヘマなんてしないよ」

 ペセトラはドーム型の都市が連なる星。
 ジョミーは外壁ギリギリまで飛ぶ。
「星が近い」
 いつも船で外宇宙をいくキースが言う。
 彼は本当に感性が豊かなんだなとジョミーは思った。

「キース。あの星に誓うよ。僕は君に人類の未来をあげる。だから、君は僕に人類の幸せな未来を見せて」
「ああ、誓おう。お前に幸せを与えると…」

 そうさ。
 それでも僕らは生きている。

 夢を見よう。幸せな夢を。





  おしまい




※もっと甘くしたかったのに…これ止まり。
ホワイトディではもっと頑張ります^^;
 



『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」四話 ※BL風味

2013-02-13 01:55:42 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」四話

 二人は背中合わせに立ち、銃を構えた。
「反撃開始だ」
 それが合図だったかのように、パリン とまた割れる音がした。
 ガラスの破片が降り注ぐ、その破片がバリアを抜けてきた敵の攻撃をピンポイントで撥ね返してゆく。
 その中心でオレンジの光に包まれゆっくりと回りながら二人が銃を撃つ。
 そうか…。
 ジョミーのタイプオレンジの力はまだ未知数。
 予知や予測で読めない力。
 人類の武器には抵抗がある上、予測不可能な動きをする弾。
 オレンジへと力を変えて防御の力を攻撃へと回したが、まだ敵の攻撃は容赦なく続いている。
「埒が明かないな…」
 ジョミーが呟く。
 パリン また音がする。
 物理的にも心理的にも優勢と言える状態では無い。
 このまま消耗戦になったらジョミーが押し負ける。
「ジョミー」
 キースが囁いた。
 その声に振り向き見上げるジョミー。
 キースの背中に銃を持ったままの腕が回され、引き寄せられた。
 二人の唇が重なる。
「…ん…」
 ジョミーの背中に回したキースの手の銃が背中を離れ敵を撃つ。
 キースがジョミーを離す。
「捕まえた。シド。君だね」
 霧が晴れたようにシドの周りが見えてくる。
 座り込んだ彼の身体にはオレンジ色の鎖が巻き付いていた。
「あれくらいで動揺するようじゃ…な…」
 キースがシドを見下ろして言った。
「ジョミー。もう一回するか?」
「思いきり甘いのでいこう」
 二人が向き合い、お互いの身体に腕を回す。
 キースはジョミーの背中と腰に手を回し、ジョミーはキースの首にぶら下がる。
「僕らのどちらかが音を上げるまでしよう」
 二人の唇が触れた瞬間、キースがジョミーを抱いたまま振り返る。。
 今度は二人共が同時に撃っていた。
「トォニィ。ごめんね」
 シドと同じようにトォニィの身体にもオレンジの鎖が巻きついていた。
「クローンの二人。もう。止めにしよう。でなければ、この空間ごと吹き飛ばすよ」
「ジョミー…」
 トォニィがジョミーを見つめる。
 今のジョミーには彼らの記憶が無いはず…。
 僕らはジョミーが本気で戦うのが見たくて記憶を消す事を思いついた。
 戦うこと(タイプブルー)を封じた彼ではなく、まだ戦士だった頃の彼を見たかった。
 ソルジャーズ達もそう言った。
 だが、彼を本気で戦わせてはいけないんだ。
 それは、彼を悲しませる事になる。
 僕はそれを間近で見ていたはずなのに、どうしてこの計画に乗ってしまったのだろう…。
 後悔しても遅い。何とかしなくては、何かがが起きてしまう前に。
「ジョミー。止めて…」
 トォニィが叫んだ。
 ジョミーがオレンジ色に輝きだす。
「姿を見せてくれないか?でないとこの星ごと消すよ。出ておいで」
 突然、視界が開けて元の別荘近くの草原に皆がいた。
 ソルジャーズの二人の姿はなかった。

 晴れていた空は黒雲に覆われ、風が吹きすさんでいた。
 遠くで稲光が見える。
 竜巻も起こっているようだった。
「まさか、これをジョミーが?」
 トォニィが聞いた。
 まだ、ジョミーとキースは背中合わせのまま空中に浮いている。
「トォニィ。自然を操っている訳じゃないよ。僕のこの力は繋ぐ力、それを反転させているだけだ。この星のいろいろな繋ぎを切っていっているんだ。素粒子の部分に少し手を加えると、物質はバランスを崩す。星を壊すのは難しい事じゃない…」
「そんな事をしたら、ここに居る人間も死んでしまう。ジョミー。駄目だ」
「彼らは…尊い犠牲となるだろう…」
「ジョミー!」
 トォニィとシドの二人が同時に叫んだ。
「こんなのは駄目だ。ジョミー。どうして」
 シドが言う。
「キース。ジョミーをどうして止めないんだ」
「クローンの彼らが人類の脅威になるなら、排除しなければならない…」
「そんな。脅威になんてならない」
「トォニィ…。戦いは遊びじゃないんだ。僕のこの力はミュウの苦渋の中で作られ、僕に与えられた物だから、仲間の命を使っているような物、それを僕は簡単には使えないんだ。だけど…」
「わかっているけど…」
「彼らを止める」
「ジョミー」
 トォニィ達を捕らえていた鎖が解ける。
「!」
 ふいにどこからか飛んできた青い針のような物がキースの銃を弾き飛ばした。
「また人類を人質に使うなんて…そんな手には乗らない」
 どこかから声がした。
「人類全員を守るなんて、どこの誰が出来ると言うんだ?」
「ジョミーは僕らならそれが出来ると言った」
「キース!」
 青い針がキースを襲う。
 ガラスでは防ぎきれない針が降り注いぐ、ジョミーが彼の前に回り庇い覆いかぶさる。
 オレンジの円の中で倒れこむ二人。
 いつの間にかジョミーのその姿はさっきまでの人類の服ではなく、昔の赤いマントのソルジャー服になっていた。
 パラパラとジョミーの背中に当たった青い針が落ちる。
 立ち上がり、振り返った彼の手には青い剣が二本あった。
 一本を円の真ん中に突き立て、シールド保持に使い、もう一本を掴み自分のバリアの外に出るジョミー。
 キースを乗せたオレンジの球体は静かに地上へ降りた。
 空中ではジョミーを中心にして、オレンジの光の輪が何重にも重なって星全体へ広がっていった。
「出てこい。クローンのブルー」
 ジョミーのサイオンがオレンジからブルーに変化していた。




  続く





『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」三話

2013-02-06 01:10:16 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」三話

 どんな方法だろうと構わない。
 ここで戦えと言うのなら、戦おう。
 僕は負けない。
 キースは掴んでいたジョミーの腕を離し、彼の背後に回り背中合わせに立った。
「戦えと言うのなら、戦おう」
 その言葉を合図にしたように攻撃が始った。
 ジョミーはバリアを張っている。
 そこかしこで稲光が走る嵐の中のような状態になった。
 ジョミーのバリアは強固でびくともしない。

 だが、
 パリン
 とまた音がした。
「つっ…。物理より…心理防御の方が弱いかもしれない…」
 ジョミーが唇を咬む。
 ジョミー…。
 と何処かからあの優しい声がする。
 クローンのブルーはジョミーの弱点を確実に突いてきている。
「ジョミー…」
 ソルジャーズのブルーはジョミーの一番の弱点そのものだ。
 十四年前の地球へたどり着いた頃のジョミーは、ナスカで彼を見送った事がいつまでも後悔として残っていた。
 ブルーの仕掛けた謎を追い求めていた頃だ。
 彼はまだ「月」を知らない…。
 後悔しか心に無い頃…。
 そう、取り返しのつかない事実は何物にも換えられない。
「大丈夫か?」
 キースが声をかけた。
「……」
 ジョミーが振り返りキースを視た瞬間に「俺の心を読んでいるか?」と彼の心が飛び込んできた。
「キース…」
 この男は…。
 ジョミーは自分と彼が築いてきた時間を感じた。
 敵であるキースの心をこじ開けて覗いた事はある。
 本当は感情豊かなこの男の心が勝手に流れてきた事もあった。
 今は、とても信じられない事だが、こうして二人だけの空間をいとも簡単に作っている自分がここに居る。
 それはイグドラシルでの事を思い出させた。
 僕はシロエに意識を明け渡し、彼への思いを体感した。あの時とは少し違う思いが自分の中に流れているのがわかる。
 そうか…今の僕はキースを信頼しているのだな…。
「俺の心を読んでいるか?」
「ああ…」
 ジョミーはキースを見ていた顔を戻し、前を睨みつけた。
「なら、ずっと俺を読み続けろ。やつに引っ張られるな。お前が今、愛しているのは俺だけだ」
「…それは…ちょっと、自信過剰なんじゃない?」
「お前とここで押し問答をする気はない。とにかく、俺を読み続けるんだ。彼らが、何故、お前の記憶を取っていったのかを考えたら、そうなるだろ?」
「十四前の僕と、今の僕の違い?」
「そうだ」
「今の僕…」
 キースも前を睨みつけている。
 今のジョミーにその違いを辿る記憶が無い。
 それはわかっている。
 だが、彼ならば…。
「……」
 ジョミーは目をつぶりしばらく考えた後、後ろ手で「キース。これを…」と、丸腰のキースに銃を渡した。
「これは…?」
「君の記憶を読んで僕が作った人類の銃だ」
 この頃のジョミーはまだ人類の中には来ておらず、銃に関してはあまり知らない頃だったはずだった。
「大丈夫。僕のではなく君の記憶だ。君の記憶は正確だ」
「相手がミュウなら、これでは役に立たない」
「それも大丈夫。僕が力を上乗せする。それと、相手がタイプブルーだと君が言っただろ?なら僕の今の力では、普通に戦っては全く歯が立たない。このままでは勝てない」
 二人の頭上では容赦ない攻撃が続いていた。
「だから、これを」
「俺はこの銃で何をすればいい?」
「…その銃で君が…敵を撃つんだ。君の直感を信じて撃てばいい」
 俺の直感で?
「そう。僕の攻撃は多分全て読まれてしまって何も起こせないだろう」
「俺なら攻撃が通ると?」
「ああ、君はナスカで僕を撃っただろう?」
 そう言ってジョミーはキースを見た。
 キースもジョミーを見返す。
「……」
「シャングリラやメギドでブルーを撃てたのも同じだ。君は心で思うより先に身体が動くんだ。だから、僕らでも追えない時がある。不意を突かれてしまうんだ」
「撃てと思うより先に…」
 だが、撃つ相手は…。
「そう。いいんだ。撃って。僕が力を加えるから…何も気にする事はない…それで少し時間を作ってくれればいい」
「ジョミー」
 不敵な笑みを浮かべるジョミー。
 前に見た人智を超えた力を持っていた頃のジョミーを彷彿とさせた。
 キースはまっすぐに前を見つめる。
「わかった。俺はお前を信じる」
 銃を両手で構え撃つキース。
 ジョミーのバリアを抜け、一直線に進んだ弾はやがて不自然に曲がった。
 そして、場の空気が少し揺らいだ。
「手応えあり…」
 振り返らずジョミーが言った。
「当たったのか?」
「いや、かすめただけのようだ。それでも、視えた…」
「……」
「続けて、君の直感を頼りに…」
「ラジャー」
 無限に撃てる銃を撃ち続けるキース
 外れていた狙いは次第に的確に敵を捉えるようになっていった。
 それなのに、彼らの攻撃は容赦なく続いている。
 こちらの銃が攻撃となっているのかわからないとキースが思い始めた頃、ゆっくりとジョミーのオーラがオレンジに変わっていった。

「OK。もういいよ」
 キース…僕の背後を頼む…離れないように…。
 ジョミーの心が流れてきた。
 見るとジョミーの手にも銃があった。




  続く