君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二話

2013-01-31 02:18:33 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」二話

 少し離れた場所から二人を見つめる者があった。
 キースとジョミー本人だった。
「あれが、僕たちの心象世界」
「現実じゃない…と…」
「……」
 ジョミーは隣に立つキースを見て静かにうなづいた。
「俺たちは、破滅に向かうと言いたいのか?」
「…違うよ。あの剣は今も二人に刺さっているじゃないか」
 抱き合った二人の姿は消えて、二人の胸には青い剣が血を滴らせながら刺さっている。
「俺たちは死んだのか?」
 信じられない表情のままキースが言った。
「それも、違う。ここもまだ心の世界…。あれが現実になる可能性もあるが…僕が見た以上…そうはならない」
「どこから分岐させたんだ?」
「僕が混乱した辺りで…二人に剣が刺さってる未来が見えたから…」
 と言いながらジョミーは剣を触り、それを消した。
「未来が?では、お前は記憶が戻っているのではないんだな」
「記憶はまだだ…」
 少し冷めた感じの声と同じ空気を漂わせ注意深く周りを視ているジョミーを見てキースは思った。
 未来を見る。
 それはジョミーが日常的にしながらも嫌っている行為だった。
 ここにいる彼は、その事に抵抗を感じつつも使わずにおれない戦士の顔をしていた。
 ここに避暑に来なければならなかった原因はジョミーの記憶が消失したからだった。
 十四年分の記憶。
 敵はそれを彼から奪い、何をさせようとしているのだろう?
「これは…ミュウの仕業なのか?」
「…それ以外に何が考えられるんだ?そして…僕に攻撃できるミュウなんて…彼しか…いない…」
「ジョミー。お前は記憶が無いなら知らないんだ。今は、お前に手を出す事が出来るタイプブルーがもう一人居る」
 
 パリン
 と小さくガラスが割れる音がした。
 ジョミーの顔が苦痛に歪んだ。
「ジョミー。どうした?」
「…そう、そんな事はわかっている。僕も思う…。どうして、僕はこんな愛し方しか出来ないのだろうってね…。好きな人に本当を言わないで、裏切るような行為を平気でしておいて、それでも、愛して欲しいとねだる。そうさ…それは、僕の我がままな甘えでしかない。だけど…」
「……」
 ジョミーが何者かの問いに答えるように話はじめた。
「僕は彼が好きなんだ。それは本当に、本当に好きなんだ。それは感じられる…十四年の記憶?それは…長い年月だ…それだけ過ぎればもういいだろうって?そう言うのか?君が!忘れろと言うのか?…だけど、僕は…まだ忘れられない。貴方を看取っても葬っても、まだダメなんだ!でも、どうしようもなく好きで…でも、それでも、何の記憶も無い。何の経験も思い出も無い状態なのに、彼が好きなんだ。どうして…こんなに…」
 キースにはジョミーが誰と話をしているのかがわかった。
 相手はソルジャーズのブルーだ。
 侮ることの出来ない手強い相手だ。
 この攻撃が二人に対にする物だったら俺がここに存在する理由があるはずだ。
 ならば…。
 キースはジョミーの腕を掴み言った。
「ジョミー。そんなに苦しいなら…このまま…俺を殺せ。お前は、以前のように今また自分が死ねば終われると思っていないか?それは駄目だ。そんな事はさせない。俺を殺せばいい。記憶が無いなら殺しやすいだろう。俺はお前にとって敵だ。俺はもう十分に人類の為に生きたと思っている。この先、俺が居なくても人類はやってゆける」
「キース、なぜ、そうなるんだ。どうしてその選択を僕にさせるんだ」
 思い出せジョミー。
 けれど思い出せないなら、そのままで…。
 その心のままで俺を殺せ。
「出来ない…」
「お前は残される者の苦しみを知っているな。そして、残してゆく苦しみも知った。そして、自分の身よりも他を思うのも知っている。だから、苦しむんだ。あいつは、ソルジャー・ブルーは何と言ったのかを思い出せ。生きるのを諦めるな。足掻きながらでも前だけを見て進めと言ったのだろう?」
「…キース…」
「それは、お前の人生を途中から狂わしてしまったあいつの贖罪だ。あいつはお前を見守り続けて、イグドラシルで、マザーの前でお前を導いた。生きろと言ったのだろう?覚えていないなら教えてやる。あいつは、自分の道を見つけて生きろと言ったんだ。そして、お前は人類の許に戻ってきた。人類とミュウの間に立つのを選んだんだ。お前が生き抜くのにブルーは必要だった。だから、俺は忘れろとは言わない。あいつと同じ声がお前に何を言っても忘れる必要はない」
「……」
「ソルジャーズのブルー。これ以上何を言っても俺はジョミーを信じる」
 キースは叫んだ。
「キース…君はどうして…」
「お前は自分を我がままだとよく言うが、俺にはお前は我がままだと思えない。人一人が生き抜いているんだ。我がままなんて言って当然だろう?ジョミー、お前が俺に中のマツカが許せないなら俺を殺せばいい。俺はお前のその思いも全部受け止めてやる」
「それが…僕の我がままな…の?」
「ああ。だが、俺の我がままでもある」
「命がけの我がままなんだね」
「ああ、そうだ」
「ありがとう。キース・アニアン。これが誰の攻撃だろうと、そう、たとえ、ソルジャー・ブルーだろうと僕は負けない」
 イグドラシル直後のジョミーなら自分の中に余りある力があった。
 今はそれが無いのはわかっていて彼らと対峙して負けないと言う自信。

「戦えと言うのなら、戦おう」
 ソルジャー・シンがそこに居た。




   続く




『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」一話

2013-01-27 04:16:00 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
  <ここまでのあらすじ>
 地球へとたどり着いたミュウ。地球での対話の後、イグドラシル崩壊から無事に生還したジョミーとキース。
 大戦後、太陽系の木星の基地だった「メティス」から動かないミュウ達。そこを出て人類の中へ。キースの許へ一人向かうジョミー。木星で療養中のキースは戸惑いながらも彼を受け入れる。
 大戦で人間たちは未来と自由を手に入れたかにみえたが、ジョミーには、もう一つの未来を作る使命があった。それは、「地球再生」その謎を追うジョミー。
 キースはジョミーを迎えた。そして悩み苦悩する姿をみて思わず言った「俺を(人間を)好きになればいい」という言葉からジョミーはキースを意識しはじめる。
 木星でキースの護衛をしながら、ジュピターという軍も動かせる権限を与えられるジョミー。そんな木星での暮らしが二年過ぎ、やっと重い腰を上げたミュウ達は人類に用意された新しい星「メサイア」へと移住する事になった。
 それと同時に動き出した新たな「敵」
 カナリア達が住む「スメール」でブルーのクローンの攻撃を受けたジョミー。防ぎきれなかったジョミーは思念を何人にも分割されてしまう。やがて、現れる盗まれた最後の「メギド」それはミュウ達の移住先の惑星「メサイア」と人類の首都星「ノア」を攻撃をしようとしていた。その計画を察知していたキース率いる人類軍とジョミーは協力して対抗する。
 敵であるブルーとジョミーのクローンの二人の寝返りもあり、彼らの力を借りて何とか防ぐミュウ達。 この事件でミュウ達はメサイアが自分達の星なのだと思いはじめる。
 二人のクローンはソルジャーズと呼ばれるようになる。
 「スメール」でのクローンのブルーからの攻撃を受けた際に助けにきたのはキースだった事や、キース自身も問題を抱えながらも人類全体の為に前向きに進むのを身近で見てジョミーの彼への認識が変わってゆく。
 その心が、感情だけが先に動くようにキースに「好きだ」と告げるジョミー。
 そんな危い状態のジョミーを見た事がなかったシドは、木星でジョミーを一人で船(シャングリラ)から降ろしてしまった自責の念と今度は彼の信頼を得て一番近くで助けたいと願うようになる。恋愛感情も含まれるシドの思い。シドは度々思いを遂げようとするが、友人でありたいと強く思うジョミーに拒まれ続ける。
 人類はミュウを受け入れ始めた。だが問題は残されている。
 改革へと乗り出したキースは政治の表舞台へと戻っていった。「ノア」の首相に返り咲くキース。そしてノアは議会制へと変わっていった。その十二人評議会には長い間キースの許で働き軍の学校の教官をしていたセルジュが入った。
 様々な問題を残したまま死ねないと思い始めたジョミーに「地球再生」の時間が迫る。
 そして、「地球再生」の時、ジョミーはトォニィではなく、クローンのブルーの前で倒れてしまう。

 「地球再生」の時空の彼方で出会ったブルーとの邂逅を経て、ブルーの願いや想いを知り、望みを持って能力を解放する。青い地球を眺めるブルーとジョミー。そして小さなひと欠片となったジョミーは最後の力で現在(いま)へと帰還する。
 ジョミーは会いたいと願ったキースの前に現れた。
(↑本編)

(↓続編)
 死を覚悟して向かった「地球再生」から何とか戻ったジョミーだったが、自分の身体を遺伝子レベルから再構成した為、子供の姿になってしまった。その上、ミュウの能力も無くし、そんな何もかも失った自分を優しく迎えてくれるキース。何も出来ないただの子供になった自分の価値に悩んだジョミーはキースに想いを残しつつも彼から逃げるように「教育ステーション」に入学する。
 そこで待っていたのは、地方の現実だった。
 人類は紛争を繰り返していた。海賊の攻撃でステーション落下の危機を学園の生徒と共に乗り越えたジョミーは自分はミュウの能力が無ければ何も出来ないと思い込みそこから逃げていた自分を恥じた。
 彼の能力は戦闘特化の「タイプブルー」ではなく、結合する能力「タイプオレンジ」へと変化をしていた。
 ステーション落下の事件の後、東方で戦闘が起こる。海賊を利用して軍事から政府転覆を狙った将軍革命は瓦解した。その中、もう一人のクローンと思われていたジョミーがクローンでは無いと発覚する。

 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 戦後十二人の代表で議会制になる
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
惑星アルテメシア ジョミーの第二の故郷 ここの教育衛星で学園生活を送る
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 
太陽系木星の軍事衛星メティス 大戦直後キースとジョミーが暮らした都市 
ジュピター キース警護時ジョミーのコードネーム(シャトル所有)
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
       ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」一話
※時間軸は「アルテメシア編」の後です。

 僕はやわらかく暖かいベッドで目を覚ました。
「……」
 窓から日が差し込んでくる。
 何処かの星に居るのだろう。
 だが…。ここは?
 手早く服を着て大きな窓から外を見た。
 避暑地と思われるような大きな森の中だった。
 外の景色は本物だ開拓され作られた自然だとしても映像では無かった。
 旧式の暖炉には火がはいっている。
 自分の他に誰かが居るのはわかる。
 何者かが近づいて来る。
 僕はゆっくりとドアに近づきその横に身を隠した。

 ドアが開き黒髪の背の高い男が入って来た。
「何をしている?」
 と、キースが僕に聞いた。
 大きな荷物の下から銃が確実に僕を狙っていた。
 ジョミーの方もキースの首に剣をあてていた。
「君の方こそ、何をしている」
「……」
 僕の顔をじっと見てから彼は銃を静かに下ろした。
 その様子を見て、僕も青い剣を消した。
「調子が悪いんじゃ無かったのか?何故起きてこんな悪ふざけをしている」
「…悪ふざけ?…何がなんだ。ここは何処で。何故、君と一緒に居るんだ?あれから何があった?」
 真剣そのもので聞いてくるジョミー。
「お前の方こそ何があった?あれからとは…いつからだ?」
 その問いを聞いて、混乱した頭を整理するようにジョミーが少し考えてから答えた。
「イグドラシルからだ。僕らは助けられて…まだ起きられる状態では無かったはずだ」
 それを聞いてキースは持っていた荷物をドアの側に置くと、話をしようと言って暖炉の前のソファーに座り僕を呼んだ。

「…これを見てくれ」
 キースは服をまくり上げて自分の腹を見せた。
 そこには古い傷跡があった。
「…これがあの傷だと…言うのか?」
「俺がお前に切りつけた肩の傷、そして、わき腹の傷は無いだろう?」
 ジョミーは服の上から傷口を確認してみた。
「…無い…どういう事だ」
「俺の傷が証拠だ。これはお前の言うような付いたばかりの傷ではないのはわかるな?これはもう十年以上前の傷だ」
「十年以上前!?何故?」
「俺が聞きたい。何故、そんな風に記憶が消えてしまったんだ?」
「…わからない。だけど、今が十年後だと言うなら、その間に起きた事を説明して欲しい…」

 キースはイグドラシル後、木星へにいたミュウが惑星メサイアへ移住した話から、木星や月の事、最後のメギドによる襲撃事件とその時のクローンの二人との出会い。ジョミーが地球再生をして戻った事、そして、最近の東部での戦いの後、ジョミーが副総裁となり、今は休暇中でここに来ている事をかいつまんで話した。
 ジョミーは記憶が全く無い訳ではなくて所々で僅かに残っている部分がある様子だった。
「大戦から…そんなになるんだ…。そして、人類は順調に和平への道を進んでいるんだな…」
 そう言いながら、ジョミーは窓に向かって行って外を眺めた。
「嬉しいんだけど…」
 キースは窓に映るジョミーの顔が苦痛に歪むのを見た。
 キースにはもう十年以上も前の事だとしても、今のジョミーにとってはついこの前の事なのだ。
「…なぜだ…か…」
 混乱しはじめたジョミーを見て、キースは立ち上がり彼の頭を抱えるようにして抱きしめた。
「ジョミー。今は何も考えるな。記憶はきっと戻ってくる。だから考えるな」
「クローンだから記憶が崩壊したのかもしれない…」
「そんな事はない。今は考えるな」
 キースの右手はジョミーの頭を抱え、左腕は身体を押さえてジョミーの髪の中に顔を埋めていた。
 ふいに抱きしめられたジョミーはこの事実に驚いていた。
 さっきの話の、木星のメティスで暮らした二年間と二人で月へ行った事、地球再生の間ずっと待っていた事と、今のキースの態度を見ると、きっと僕たちは普通の同僚では無いだろう。
 僕がいつから彼とそうなっていたのかはわからないが、僕には記憶ではなく覚えがある。

 僕は彼を…。
 そして、彼は僕を…。
 キース、彼のこの匂いを僕は覚えている…。
 そして…この身体も覚えている…。だけど…。
「キース・アニアン…」
「……」
「今の…僕では君に応えられない…。僕は…僕はまだソルジャー・ブルーを愛している」
 心の中に燻る二つの想い。
 身体も心も何かを拒絶しつつ求めるような、苦しさがあった。
「知っているから、ジョミー。それは…わかる」
「ジョナ・マツカを愛しているから?」
 この十四年間、ジョミーの口からマツカの名は出た事が無かった。
 抱きしめるキースの身体が小さく反応した。
 今のジョミーは月でブルーに別れを告げ、トォニィを見送り、クローンを守り、地球再生後に自分の許に戻ってきたジョミーではない。
 十四年間自分を見つめ続けた彼では無いのだ。
 ごまかす事は出来なかった。
「ジョミー。俺は確かにマツカを求めていたかもしれない。自覚が無いが、彼を愛していたのだろう。だが、それは…」
「僕を彼の代わりにするの?」
「代わりなどではない」
「では、何?」
「ジョミー。誰かを忘れないままでいてはいけないのか?忘れていないと、愛せないのか?俺は、あいつを忘れないと誓った。あいつは俺の命を救った。俺は忘れない。だが、お前を愛しているのは事実だ。嘘はない」
「いいよ。僕は彼の代わりでも…」
「代わりではない!」
「良いんだ。誰でも愛する人の最初の相手で、そして、最後の相手で在りたいと願う。誰でもね…。でも、こうして僕らは出会ったんだ。忘れなくていいんだ。忘れないまま愛していこう」

 そう…苦しいよね…。
 忘れられない…。
 誰かを愛して…苦しみが増すんだ…。
 教えて下さい…ソルジャー・ブルー。
 何故、人はこうまでの思いで愛するのだろう?
 いっそ、憎しみで殺したい。
 愛で人が殺せるなら、殺してしまいたい。
 ジョミーの心と裏腹に両手がゆっくりとキースの背中に回り、優しく力をいれて抱きしめた。
 静かに時が流れてゆく。
「ジョミー。俺を殺すか?…それとも…」
 窓ガラスに二人が写るのをキースが見つめる。
 その頭上に青い細い剣が浮かんでいた。
「落としていいぞ。二人で逝こう」

 静かに剣が落下した。
 青い剣が二人を刺し貫いている。
 剣の先から血が滴り、二人の足元に血溜りを作った。






  続く





『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド後編」※BL風味

2013-01-23 02:29:28 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド後編」※BL風味
※「伝えたい言葉」の冒頭にありましたが、こちらの方が合うので二章に持ってきました。
移動ついでに改稿しています。ジョミーの繰り返しがしつこかったのでちょっと変更しました。

「ね。いいよね」
「…それは…」
 心が警鐘を鳴らしている。
 けれど、彼の力に僕が抗えるはずもなく、僕は彼の手を取り身体を抱き起こす。
 そして、静かに唇が触れ合う。
 一度、ためらうように離れるが、次は舌を絡めて音を立て吸いあった。
(ジョミー)
 シドの手が絡みつくジョミーの手を引き剥がした。
「シド?」
「ダメだ…。ジョミー…僕は」
 不思議そうに見つめる彼を見返したシドの目には涙が光っていた。
「わ…わかっているんだ。僕は…ジョミー…僕は、ソルジャー・シンが好きなんだ。彼に認めて欲しくて求めているんだ…」
「……」
「わかってるんだ…僕は…ジョミーを羨ましいと…本当は妬んでいるんだ」
 シドは下を向いて目をつぶりぐっと涙を堪えていた。
「妬む?」
「そう…そうだよ。ジョミー」
「……」
「彼は人からミュウになった。あのソルジャー・ブルーが彼をとても大事に扱ったのを僕は知っている。彼は人間で幼い時からの記憶を持ったまま、ミュウになった。人間なのに…最強のミュウで…。僕らを地球まで導いた彼。僕は嫉妬しながら、いつも憧れていたんだ」
「憧れていたの?」
「そうさ。僕が前からずっと好きだったなんて、嘘だ」
「嘘?」
「人と共に生きると言ってジョミーが船を降りた時、僕は何も言わずに見送ったんだ。なのに、キースの所に知った時から、心に黒い物が出来て、それがだんだんと大きくなっていった。…どうしようも無くなった時に、僕は彼を自分の物としようと思ったんだ」
「それは…」
「きっと、僕はソルジャー・シンがただの人間のジョミーに戻るのが嫌だったんだ」
「……」
「僕らは彼がものすごく苦労してソルジャーになって、そして何度も何度も迷いながら、戦ってきたのを知っている。ソルジャーとして、心を閉ざしてまで戦い続けて、地球にたどり着いたのに…。あの時、僕は止めなかった…僕は…それでも…」
「どうして?」
「彼のする事を願っていたなんて…嘘だ。ソルジャー・シンは休む事無く、ずっとソルジャーで居て欲しかったんだ。そう…死ぬまで…僕らの為に…僕らの側で…」
「死ぬまでなの?」
「悪夢のように…そんな呪縛で縛り付けて起きたかっただけなんだ。それを僕は愛してると言い換えたんだ」
「シド…」
「なんて、愚かで浅ましいんだろう…最初はただ認めて欲しかっただけなのに…」
「……」
「それを見抜いていたから、ジョミーは僕を受け入れなかった。友達のままでいたいと、ずっと言っているんだ」
「友達…」
「笑っていいよ。君にも僕は見破られているのだろうから…」
 シドは愚かでも何でもない。
 好きじゃなかった何て嘘だ。
 きっととても心配してずっと見ていた。
 その想いの行き先が決まってないだけだ…。
 どの言葉で置き換えてもきっと…そこには…。
「ねぇ、シド。人が人を羨んで妬んでしまうのは、誰にもでもある事でしょう?」
「ああ、多分…」
「人にそうあって欲しいと願ってしまうのも罪じゃないよ」
「でも、僕は…」
 僕はジョミーを必死になって忘れようとしている。
 いつから…そう思うようになったのだろう…。
 彼らが現れた事も、月で何も出来なかった事も、キースの所へ戻った事も、全てが…。
 そうすれが楽になれると言ってくる…。
 でも、それでも…。
「きっと…届かない思いだからだよ」
「……」
「ジョミーはシドを認めて、そして信頼をしていると思う。友達になりたいなんて他には誰にも言ってないよね。それが答えだと思うよ」
「…そう…」
「シドは…いい人だよ…僕は好きだよ」
「…ありがとう…」
 シド…それでも…。 
 どうして…。
 人は何かを求めてしまうのだろう。
 僕は「人形」で、どこにも存在してはいけないのに…。
「……」
 ふと、シドが違和感を感じて顔を上げるとジョミーが泣いていた。
「ど、どうして?僕に同情したの?なんで泣くんだ」
「どうしたら…いいのか…わからなくなっている…」
「何をなんだ?」
「妬むとか恨むとか、憧れるとか…僕はとてもわかるよ…シド…」
「なら何がわからなくなっているんだ?」
「人を好きになる方法が…」
「どういう?」
「妬むにも何もすべて…そこには愛がある…」
「妬むのも愛?」
「そう愛がある。ねぇ、シド。今の自分は好き?」
「自分?」
「うん」
「十年前の僕は自分に自信があった。けれど…ジョミーを見送ってからは自分が好きじゃなくなった。彼を取り戻せたら自分も好きになれそうな気がしてた。それは違っていた。それはわかる。だから…今は…」
「今の自分は好き?」
「少しだけね…。今はこうして忙しくしていた方が、きっと自分らしいんだろうね…」
「なら…良かった」
 そう言ってジョミーは自分の涙をぬぐった。
「何故、泣いたんだ?僕を哀れんだのか?」
「ううん。僕と同じだと思って…僕は…ジョミーが嫌いなんだ。でも…大好きなんだ…」
「君はまだ子供でこれから色々知っていく。そうして悩んで泣いて大きくなってゆけばいいさ」
「ジョミーが言うような言葉だね…」
「僕は彼が好きなんだから、同じような事も言うさ」
「さっきは違うって言ったのに調子がいいな…」
「大人だからね」
「大人?大好きで大嫌いなんでしょ?そんな事言うのが大人とは思えない」
「違うよ、大嫌いで大好きなんだ…」
「そこ、意味あるの?」
「ああ、あるよ…」
 とシドが笑った。
「ふーん」

 ジョミー・マーキス・シンは特別な存在だ。
 彼は守られなくてはならない。

 それは、ソルジャー・ブルーの言葉。
 僕はきっと…その言葉を頼りにして、そしてその言葉に反発して…。
 そろそろ、その呪縛から僕も解き放たれよう。
 ジョミー…君は自らの手で僕らからの呪縛から抜け出した。
 でもまだ少し…時間を下さい…。
「ジョミー。起きれる?」
 シドはジョミーに手を差し出した。
「大丈夫」
 ジョミーはシドの手をかりてベッドから下りた。
「ほら、君の悩みの種が探しに来たよ」
 シャトルのモニターをシドが指さして言った。
 モニターにはソルジャーズのブルーが映っていた。
「大好きで大嫌いな、彼が」






    終







『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド前編」※BL風味

2013-01-18 02:59:54 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
       ジョミー 本当はクローンではない(タイプイエロー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 番外編「シド前編」
※「伝えたい言葉」の冒頭にありましたが、こちらの方が合うので二章の番外に持ってきました。

 僕らは優しさで出来ているのかもしれない。
 三年くらいまえ前、教育ステーションへ行くジョミーに合わせて僕は医療器材をシャトルに積んでもう何往復しただろう。
 惑星アルテメシアまでは大型の輸送船で運び、積み込むだけの作業だったが精密機械の運搬には精神的な負担があった。
 今良く使っているのはベルーガではなく、ミュウ用の医療用シャトル(救命用シャトル)を改良したものだが、これでジョミー所有のシャトルが二機となった。
 ステーションで運び終えた機材を設置し、試運転をしていると、何の連絡もなしにクローンのジョミーが現れた。
「お久しぶり。シド」
 彼に会うのは二ヶ月ぶりくらいだろうか?
「久しぶり。元気だったか?」
「試運転?」
「そうだよ。寝てみる?」
 ミュウ用に作られた医療ベッドだ。クローン用にと人類が作っている医療器材よりどうしてもこっちを先に設置しておきたいのは仕方が無い事だろう。
「いいの?」
 とジョミーが言った。
「いいよ」
 さっき彼が顔を見せた時に顔色が悪そうに見えたからそう誘ってみたのだが、彼はこのベッドにそうなじみはないはずだった。
 なので、これは精神的な安定と全体の調和を量り、ミュウの力をより安定させ早い回復を促すものだよと説明をして彼を寝かせた。
「そうなんだ…」
「君は僕らの所に来た頃に使っていたはずだが、スメールにはこれは無いからね…最初は弱いのから…」
 と、スイッチを入れる。
 淡い光が彼を包み流れてゆく。
「寝てもいいよ。短い時間でも夢がみれるはずだ」
 目をつぶったジョミーを見て、タイマーを十分くらいにし、僕は他の作業を始めた。
 しばらくすると、彼が誰かを呼んでいるのに気がついた。
 夢を見ているのだろう。
 苦しそうに眉間にしわをよせている。
「ジョミー。大丈夫かい?」
 僕は彼を起こそうとした。
「…駄目だ。もう…」
「起きるんだ。君が見ているのは悪夢のようだ。そこから戻って来るんだ」
「…でも…僕は…」
 身体をゆすっても、ジョミーはなかなか起きなかった。
 どうして起きてくれないのか、僕にわからなかった。
 考えられるのは、彼自身がその夢を見ていたいと思っているからだ。
「取り込まれてしまうよ。ジョミー」
 やがて、タイマーが切れて、光が収まる。
 それでも、起きなかった。
 このまま起きなくても、身体に問題はない。
 でも、安定をさせる為に作られたこのベッドで、悪夢を見るなんて…。
 彼は、何を抱えているのだろうか?
「ブルーを呼んでくるから…」
 そう僕が言った時、ジョミーが僕の手を掴んだ。
「ダメ。呼ばないで」
「ジョミー」
「彼は…呼ばないで…」
 半夢半醒状態だ。
「ジョミー。何がどうしたんだ」
「……シド…」
 そう言ってジョミーは目を開けた。
 目は開いていても夢の中にいるような感じだった。
「どうした?」
 僕は用心深く聞いた。
「ジョミーの事が好き?」
「え?」
「まだ好きなの?」
「…ああ、まだ好きだよ」
「そう」
「言っただろ。僕はキースなんかよりずっと前から見ていたんだよ。早々、諦められる物じゃない」
「じゃあさ…」
 その言い方に、本物を思い出させる雰囲気があった。
 これは、魅惑…?と、そう思った時にはもう術中だった。
「ジョミー…」
「僕はどう思う?」
「君は彼のクローン…だ。それ以上でも以下でもない…」
「そ…冷たいなぁ…。僕を彼の代わりにしようとした事もあったのに…」
「代わりになんてして…いない。似ているとは思った…けれど…」
「僕になら言えるって…思ったでしょ?」
「…それはあった…でも…それだけ…」

「なら…キスしてよ。そして、僕ら慰め合おうよ」
「…ジョミー…」



   続く




雑記。土6アニメ~日5アニメで思うこと。

2013-01-12 02:45:23 | 月イチ雑記「青い星」
☆アニメ(土6と日5)
久しぶりに「39」CD-2を流しっぱなしにしているので、ちょっと駄文。
土6アニメの「あやかしあやし」が不評で半年で打ち切りになり、急遽「地球へ…」が土6へと話が持って来られたのは有名な話、で、この枠に来たのが良かったのか、悪かったのかはそれぞれなんだけど…。
私は良かったのではないかな。と思っています。
予算だって違っていたと思います。
使える声優さんも違ってたかもしれないし…。←(ここは、大きな問題です!)

心より思うよ。斎賀さんで良かった!!って!!

納期がきつくなったとか、レベルを急にUPさせるとか、製作側は大変だったと思いますが;
最近は深夜アニメも増えて(ってか深夜のしか見ていないかな)それなりに予算もUPしてるだろうけどね。でもやっぱり違うんじゃないかな?
新年アニメはヤマサキ監督の「八犬伝」を見る予定。
先日、その原作漫画を見つけて、ふと気がついた。
この作家さん、知ってる。「あべ美幸」さん。
BL作品で知ってる御方でございました。
「八犬伝」の内容は全然BLでは無いけれど、1巻を購入。
これは、、ヤマサキ監督を追い続けるのが私には向いてるのか?と思いました;
でも、雑誌でアニメ絵を見た時、主人公は「女の子?」と思いました。
それから、もちろん。「キューティクル探偵因幡」!!(これはBSで見るしかないけど)

秋アニメは「中ニ病でも恋がしたい」が良かったデス。他は「ソードアートオンライン」が良かった。継続もの、2クールのが増えてきて、嬉しいです~。
だけどなぁ、終わっていない漫画をやって、途中で終わるのは見たくないな…;
「続きはマンガで」ですか?だったら最初からマンガでいいとか思っちゃう。

斎賀さんを「後追い」してて、「隠の王」のDVDを見たら、アニメの最後としてちゃんと作ってあって、良かったです。後半がちょっと急いでる感じはしたけれど、マンガであの後があっても、違和感がないと思いました。
あえて言うなら、「あるがまま」を受け入れた宵風が良いから…。
でも、きっと、笑ってくれるだろうなぁ…。
大島ミチルさんの「隠の王」のサントラが買いたくなった。
「絶園のテンペスト」も大島さんですね~。CDが欲しいけど、最近、散財中なので、我慢します。

アマゾンで昨日、「黒バス」のキャラのウィッグを購入しちゃったのです。
明日、届くはず^^ウィッグなんて何に?コスじゃないですよ~あ、…コスです…;
ウィッグが金髪なので、「マギ」も出来そうですね(しないけど)
さて、日5の次が決まったそうで…。

「宇宙戦艦ヤマト」なんだそうですね。

結城信輝キャラデザのですね~。好きだから嬉しい。
聞いた時、「え?ヤマト?なんで?」と思った。
劇場版で作って、TVで放送するって事ですよね?
レンタルDVDにもなってる物をTV放送???なの???
「黒執事」の実写並みに「・・・・」でした。
いえ、映画館に行ってないからTV放送は嬉しいです。
が、日5なの?って事です。
日5って、それなりに影響があるから、もっと別の作品にしてあげればいいのに。
過去の作品のリメイクは「地球へ…」があるからなぁ;
そうそうダメって言えない気がするのですが、、。でも「ヤマト」でなくても…。
まぁ、DVDレンタルして見てるけど、やったらきっと見るでしょうね。
(結城さん好きだし)(小野Dも良いし)

全然関係ないけど、「マギ」で好きなキャラはモルジアナ。
でも、名前を忘れる事がよくある。
何だっけ?と娘に聞いたら「ツタージャ?」って返ってきた。ちゃうやろ?それ。
「宇宙兄弟」の歌も変わりましたね。
今回の「月の錯覚」はドキドキの事件発生ですね><
そこもいいけど「人」って文字の話。良かったですね。

※金髪ウィッグの使い道は、来月のバンドライブです。
「黒執事」のセバスチャンの服(タキシード)で、「黒子のバスケ」の(誰だっけ?)金髪ウィッグで、「鋼の錬金術師」のシドの「嘘」歌ってきます。知らぬが仏だ!(大笑)

バンドでは演奏が支えてくれる方。
ボーカルは支えてもらっている方。
になるのだなぁ~と思いました。
だから、私がちゃんとしていないと、全てが水の泡;
皆の苦労がめちゃくちゃになってしまうんです><
支えてもらって、御輿の上に上げてもらっているのだから、もっと頑張らないといけないな。と思いました。
後一ヶ月。頑張ります。

小説も書いていますが、なかなか進みません。
もう、少しお待ちを。